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2022/09/16 (公開:2022/02/03)

福利厚生を充実させるメリット・デメリットを解説


福利厚生を充実させるメリット・デメリットを解説

“福利厚生が充実している” というワードは、就職先を調べるときに誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。働き手が意識している以上、経営者や会社側も意識しなければならない福利厚生制度。基本に立ち返り、福利厚生制度を充実させることのメリットとデメリットを整理してみましょう。

  
       

1.福利厚生とは

福利厚生制度は、簡単に言えば「会社が従業員に支給する、通常の賃金以外の報酬」のことです。そこには、会社の魅力やPRのひとつとして、他の企業との差別化要素として用いるものから、条件にもよりますがほぼすべての働く人が享受できる、法律で定められた最低限の範囲のものまであります。

働き方が多様化し、仕事の内容も細分化され、一部はコモディティ化していく中、給与とは別の会社独自色を出すためには、福利厚生制度をきちんと整備することが求められています。


        

2.福利厚生の種類

それでは、福利厚生のメリット・デメリットをそれぞれ紹介する前に、まずは福利厚生を二分類にしてみましょう。法律で定められたものを法定福利、そうでない企業独自のものを法定外福利とそれぞれ呼び、ほぼすべての制度は概ねこの2つに分かれます。中でも法定福利は、誰もが一度は聞いたことのある内容が非常に多いのではないでしょうか。それぞれの特徴を以下へ具体的に記しますので、参考にしてみてください。


        

2-1 法定福利

法定福利厚生とは、法律で定められている福利厚生を指します。社会保険料の負担などの分かりやすい例を何点かここではご紹介します。

①健康保険

労働者および扶養家族が疾病・負傷した際に適用される保険。労使折半で支払うが、保険料は標準報酬月額により異なるとともに、保険者が 協会けんぽ か 自社の健康保険組合 でも異なるため注意が必要。国民健康保険とは別である。

②介護保険

加齢により生じる心身の変化により必要になる介護に対して適用される保険。健康保険同様、労使折半で支払う。第1号被保険者(65歳以上)は市町村区が所得に応じて決定し、第2号被保険者(40~65歳未満)は 事業で入っている保険か国民健康保険かによって金額が分かれる。「標準報酬月額(標準賞与額)×介護保険料率」の計算式で算出されるが、料率基準は介護保険事業計画に基づいて3年ごとに見直される。

③厚生年金

労働者の老齢(原則65歳以上)、障害、死亡に対して適用される保険。労使折半で支払う。「標準報酬額(標準賞与額)×厚生年金保険料(18.3%)」の計算式で算出。

④雇用保険

労働者が失業したとき、および雇用継続が困難になったときに、求職者給付(失業保険)や再就職手当を支給する保険。事業者と従業員がそれぞれ支払う(労使折半ではない)。業種により負担割合は異なる。「賃金総額×雇用保険料率」の計算式で算出。

【雇用保険の負担割合】

 ・一般事業 … 従業員1/3:事業者2/3

 ・農林水産・清酒製造事業 … 従業員4/11:事業者7/11

 ・建設事業 … 従業員1/3:事業者2/3

 ⑤労災保険

業務上、およびそれに付随する時間(=通勤途上など)に心身が負傷したときに、公正に労働者を保護するために給付される。「事業者の100%負担」となる。「賃金総額×労災保険料率」で算出。事業の種別によって非常に細かく分類される。

 ⑥その他 …子ども・子育て拠出金(児童手当拠出金)の納付など

 
このような、法律により定められた保険料は法定福利とされ、大抵の企業にはこの制度が適用されています。

 

      

2-2 法定外福利

法定外福利厚生とは、前述の法定福利とは別に、会社が独自で定める福利厚生のことです。つまり、世間でよく聞く「福利厚生が充実している」とは、ここで差が現れるのです。

代表的な法定外福利をここでは例として紹介します。独立行政法人労働政策研究・研修機構がビジネス・レーバー・トレンド 2018年8・9月号のなかで、一般的に良く知られている福利厚生制度を、一覧として列挙していますので、ここではその表を引用します。




以上のように、直接的な金銭負担だけではない、休みや働き方についての制度面も福利厚生として利用されていることが分かります。働く人が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするために「働きやすさ」を向上させる数々の施策を選んで導入しているのです。

引用元:労働政策研究・研修機構 ビジネス・レーバー・トレンド 2018年8・9月号「福利厚生のトレンド」JILPT調査
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2018/08_09/002-011.pdf


           

3.福利厚生の3つのメリット

福利厚生制度を充実させるメリットは低く見られがちです。企業は経営上のほかの課題を多く抱えているためです。ですが、経営上のメリットに直結する要素が実は多く隠されています。3つに大類し見ていきましょう。


        

3-1 従業員の生産性向上

福利厚生制度の充実により、従業員のワークライフバランスが充実します。私生活が充実することで適切なリフレッシュができ、仕事に対するモチベーションが上がることで、最大限のパフォーマンスを発揮できるようになることが期待されます。また、終業後やプライベートな時間を有効に活用しようと、従業員は 仕事を早く終わらせよう、休みの日に会社に来るのはやめよう、といった意識が生まれます。

心身に影響が出ることを未然に防ぐことにも効果があり、リラクゼーションやカウンセリング、ヨガやフィットネスなどの要素を福利厚生制度に設けることにより、健康増進を図ることも最近では注目されています。

一人ひとりのパフォーマンス向上は、組織全体のモチベーション向上にもつながることは言うまでもありません。生産性が高まった結果、より良い業績を収めることで会社としての成長にもつながるといった、正しい方向のアップスパイラルが生み出されます。


        

3-2 人材定着率の向上

福利厚生制度の充実と離職率には密接な関係があることが分かっています。内閣府が2018年に実施した「就労等に関する若者の意識調査の結果」では、「仕事が自分に合わなかったため」「人間関係がよくなかったため」といった、よく伺える理由に次いで「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」が挙がっています。



引用元:内閣府 2018年版 子供・若者白書(全体版) 特集「就労等に関する若者の意識」

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30honpen/s0_0.html

 

その企業へ属しているメリットを最も具体的に、かつ効果的に示せるのは、独自の福利厚生です。賃金を一律アップさせても、可処分所得においては格差が広がるだけです。その点、福利厚生制度であれば、使う側が自由に自身に合ったものを選択することができることから、不公平感を募らせずに利用できるのが良い点です。ただし、幅広い福利厚生を用意しても、使われない、使いづらいメニューを選択肢として用意したところで意味はありません。求められているものを取捨選択しながら、無駄なく導入していくことが求められています。


        

3-3 企業ブランドイメージの向上

一般的に各企業が行う“ブランディング”とは、多くが対外的な「アウターブランディング」と呼ばれるものです。植林活動をしています、環境対策をしています、生活に役立つことをしています、などが分かりやすい例です。ただしこれは、あくまで社外や一般のお客さま向けのイメージ活動であり、働く人にとっては直接的なメリットにはなり得ません。対して「インナーブランディング」とは、採用や教育から始まり、人材評価や福利厚生制度の充実といった、総合的な観点ですべての部署や部門で手を取り合ってひとつのブランドイメージを組み立てていくことを指します。

 

社内に良い評判が広がることは、働く人が相互に手を取り合い高いエンゲージメントを維持できること、家族にも支持されること、その知人にも自社を自慢することで、最終的にはアウターブランディングにもつながること、とメリットが多くあります。

そのためには、自社の福利厚生を自慢できることもひとつの条件と言えるでしょう。「うちの会社、福利厚生制度なんて本当に最低限なんだよね…」と暗く語る人と、「今度、会社の福利厚生で旅行に行ってくるんだ!」と笑顔で語る人、どちらの社員がいる会社で働いてみたいですか? と聞くとイメージは湧きやすいでしょうか。このようなクチコミは、人材採用においても非常に有効に機能します。

社内外問わずイメージを向上させるためにも、福利厚生制度の充実は非常に効果があると言えるのです。

充実した福利厚生を目指すなら「WELBOX」

介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行やエンターテイメントなど、多彩なメニューがパッケージとなっている福利厚生サービスです。
従業員のライフスタイル・ライフステージに応じて、メニューを選択しご利用いただくことが可能です。

4.福利厚生の3つのデメリット

福利厚生に限った話ではありませんが、会社制度を充実させる・変更させるのには大きな労力や負担を要します。ここでは、その代表的な3大要素を紹介します。



4-1 費用負担

福利厚生がまったく無い状態から新たに制度を作るとなれば、当然コストは増えます。このコストは年々増加傾向にあることが、経団連の定点調査でもわかっています。これを必要投資と捉えればプラスすることに抵抗はないのかもしれませんが、そうも簡単にいかないのが中小企業です。もちろん大手企業もコロナ不況などの要因でかかる費用を見直しているところが多いとは思いますが、毎月変動する費用を算入するのは非常に難しいことです。そこで、定額の福利厚生アウトソーシングサービスなどを用いることを検討する企業も増えてきています。

ただし福利厚生は、一度良いものを導入すると、簡単に元には戻せません。従業員からの不満の声を防ぐためにも、持続可能な制度を導入することが大切なのです。

※出典元:一般社団法人 日本経済団体連合会 2020/11/17発表 「2019年度 福利厚生費調査結果の概要」 より

https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/116.pdf



4-2 管理体制

福利厚生の充実化に伴い、その管理は非常に難しくなります。その作業は導入準備から、利用されるようにするための周知活動、利用時の申請受理、その後の関係部門への支払い、経理処理など非常に膨大です。つまり、制度として膨大な手間をかけても、利用されない、または利用率の低い福利厚生はコスト製造機になりかねません。また、今度は利用されてもなお、担当者の負担は増えてしまいます。時代や世相の移り変わりによる見直し作業も求められるなど、アフターケアにも手間がかかってしまうことが懸念されます。




4-3 不公平感

従業員によって求める福利厚生制度はバラバラです。例えば、食堂を充実させてもお弁当派の人は利用できない。家族向けの旅行制度を設けても、若手や単身者は利用しづらい。働き方も多様化している現在、容易に判断ができるものではありません。家族経営の数人規模ならまだしも、スケールメリットを活かしやすいはずの大企業でもこの問題はついて回ります。本来、従業員満足度を高めてエンゲージメントを向上させるはずであった制度も、享受できる人にばらつきが出ることから不公平感が生まれ、不満や従業員間の抗争につながってしまう場合もあるようです。

 


       

5.中小企業の福利厚生3選

大手企業は、グループ企業などと連動して制度策定などが行えることから、そのスケールメリットを活かした福利厚生制度の構築が可能です。かつては“ハコモノ”と呼ばれる、保養施設などを各大企業がこぞって用意していました。ただし今ではライフスタイルも多様化したことで、大企業に勤めていたとしてもそれを全員が利用しメリットを享受できるかというと、そうでもなくなってきています。また、莫大な維持費もかかること、ジャンルも偏ってしまうことから、どちらかと言えば廃止傾向にもあるようです。

 “ハコモノ”も無い、制度策定にかける時間も労力も経済的余裕も無い、そんな中でも誰もが活用しやすい新たな福利厚生のかたちが、昨今 中小企業にも多く注目を集めています。単身家賃補助や親睦会といった、偏りの発生しやすいよくある制度とは別の、新しいかたちの福利厚生制度をここでは3つピックアップして紹介いたします。



        

5-1  社販

自社の取り扱う商品を一般消費者よりも安く・早く入手できるというのは、小売業や製造業に多い方法です。自社商品に愛着を持ってもらう手段の一つにもなり、導入コストも大きく抑えられる(例:POSに割引コードを設定する、など)ことから、多くの会社や店舗が設定する方法です。

自社の商品が無形物、例えば移動手段や保険などの場合が良い例です(モノ売りではなくコト売りと呼ばれます)。ただしここで注意したいのが、“あくまで自由に購入できる”制度にすることです。例えばここにノルマや最低購入金額、時期などの限定を設けてしまうと、それは福利厚生とは呼べなくなってしまいます。利用者が必要なものを必要なときに購入できる仕組みを構築することが求められています。


        

5-2 飲食支援

たいていの働き方では、昼食を会社でとる、というパターンが多いでしょう。また、社内メンバーでの会食や慰労会などもあり、意外にも会社内での飲食の機会は多いものです。昼食を非常に安く食べられるように社食や宅配弁当などのサービスを利用できるような体制を整えるのも、昔から利用されている方法です。会食や慰労会などでは、不公平感が出ないよう全員参加時にのみ負担額を減らすなどの制度を導入するのもまた効果的です。ただしこの場合、利用しても良い範囲が経費処理上法律で細かく定められているため注意が必要です。

※出典元:国税庁HP 第8章 連結法人の交際費等の課税の特例 第68条の66《交際費等の損金不算入》関係 「第1款 交際費等の範囲」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/030228/08/08_68_66_01.htm


        

5-3 自己投資

利用したい人が自由に利用でき、かつそれが会社にとっても社員にとっても成長の機会につながれば、福利厚生制度としてはひとつのゴールとも言えます。これを直接的に導入できるため、非常に注目されているのが自己投資に関する福利厚生制度です。業務上必要、またはあると次のステップに進みやすい資格などの取得を推し進めるため、書籍の購入や資格試験受験料などを負担する制度が良い例です。従業員の判断に委ねきるのではなく、上司や経営陣も、どのように制度を使えるのか範囲やレベルをきちんと理解しておくことで、制度の正しい運用が行えるようになります。



         

6.簡単に導入できる福利厚生サービス

ここまで、福利厚生制度を充実させるメリットとデメリットをそれぞれ紹介してきました。ただし、中小企業が一から福利厚生制度を準備するのは、労力と費用から、多くは現実的ではありません。そこで、福利厚生制度をパッケージとして提供しているサービスを導入するのも効果的です。福利厚生制度のアウトソーシングについては、ウェルナレ内別記事でも紹介しておりますので、そちらも併せて読んでみてください。

この章ではその中でも3つのサービスをピックアップして紹介いたします(五十音順)。


        

6-1 イーウェル 「WELBOX」

WELBOXは、株式会社イーウェルの提供する、全国各地の施設やサービスを自由に使えるパッケージ型福利厚生サービスです。宿泊施設は業界トップクラスの充実度で、東急不動産系列の会員制リゾートホテルなどを利用できることが強みです。導入前のサポートから、導入後の会報誌などでの周知など、前述した“利用されない”問題を解決するための仕組みが整っています。大手企業に広く利用されていますが、利用できるサービスが非常に幅広いことから、中小企業にも利用されているサービスのひとつです。受付や利用までのサポートなどは専用のサポートセンターが担当するため、Webだけでなく、電話などでも安心して利用予約などの手続きを行うことができます。

※株式会社イーウェル 福利厚生サービス「WELBOX」を参照 


        

6-2 ベネフィット・ワン 「ベネフィット・ステーション」

ベネフィット・ステーションは、株式会社ベネフィット・ワンの提供する、業界トップクラスの福利厚生サービスです。140万件以上の優待特典があり、幅広い福利厚生を利用できます。また、基本的な内容を網羅したプランと、教育や研修の支援といった自己投資に用いることのできるメニューがプラスされたプランと、2つにプランが分かれているのも特徴です。 会員数の多さを利用し団体割引を行っていることから、映画チケットなどを大きな割引率で利用できるのも強みです。

※株式会社ベネフィット・ワン 福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を参照


        

6-3 リロクラブ 「福利厚生倶楽部」

福利厚生俱楽部は、株式会社リロクラブの提供する、パッケージ型福利厚生サービスです。導入企業は中小規模が多く、大企業に引けを取らない福利構成サービスの充実さが強みです。全国50エリアでのサービス情報を、会員専用サイトで発信しているため、エリアごとの特性を生かし、地域密着型のサービスを実現し、地域間格差に左右されない高いサービス利用率を得られています。また、多言語対応していることも特徴です。外国人雇用の機会が増えていることから、今後の採用計画などで外国人雇用が想定される場合には、非常に良いメリットであると言えるでしょう。

※参考元:株式会社リロクラブ 福利厚生サービス「福利厚生俱楽部」を参照



         

7.まとめ

福利厚生は大きく2つに分かれること(法定福利・法定外福利)、福利厚生を充実させることによる良い点とそれに伴う問題点を中心に解説いたしました。また、すぐにでも導入できるような福利厚生のヒントや、アウトソーシングサービスの利用と代表例も紹介しました。明日にでも準備やリサーチに取り掛かり、次年度に向けてでも導入に向けて動き始めることで、企業規模の大小にかかわらず、会社にとって非常にプラスになること間違いなしの福利厚生。皆さんもこれを機に、現行制度の見直しと充実化を検討してみてください。



監修者 株式会社イーウェル 健康経営推進室


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