福利厚生とは?種類や導入するポイントやメリット・デメリットを解説
「福利厚生について具体的に知りたい」
「企業が福利厚生を導入するメリット・デメリットは?」
これらの疑問を抱いている企業の担当者もいることでしょう。
福利厚生とは、企業が従業員にあたえる給与以外の待遇です。従業員の意欲向上や離職率の低下を目的としており、生活スタイルの多様化にともなって、重要度が増加しています。しかし、福利厚生にはメリットばかりではなく、いくつかの注意点もあります。
本記事では、福利厚生の内容や種類を徹底解説。メリット・デメリットや導入する際のポイントも紹介します。福利厚生の導入を検討している企業の担当者は必見です。
目次
1.福利厚生の目的
企業が福利厚生を定める主な目的は、以下の通りです。
- 従業員のモチベーション向上
- 離職率の低下
- 採用活動での優秀な人材の確保
- 従業員の企業に対するロイヤリティの育成
終身雇用が当たり前ではなくなった現代において、報酬面以外にも福利厚生の充実が重要視されています。福利厚生を充実させることで、従業員やその家族にとって良い職場だとアピールできるのです。
多くの業界で人手不足が騒がれているなかで、福利厚生を定めることは人材の流出防止にも繋がります。せっかく育てた人材が、待遇を理由に何人も辞められてしまったら、教育にかかった時間やコストが無駄になってしまいます。また、中途採用で優れた人材に自社を選んでもらうためにも、福利厚生の充実は大切です。
現代社会において、従業員とその家族、求職者に「良い企業」と認識してもらうためにも福利厚生の充実は必須でしょう。
1-1 福利厚生とは?
福利厚生とは労働基準法で定められている、従業員に対する待遇の一つです。[注1] 労働に対する報酬以外に、企業が従業員とその家族に提供する福祉向上のためのサービスと言えます。主な内容は、以下のような給与や賞与以外の報酬を指します。
- 各種保険
- 児童手当
- 通勤手当
- 住宅・家賃補助
- 従業員の健康管理に対する補助
- 冠婚葬祭に関する補助
- スキルアップ補助
福利厚生の具体的な内容は、企業ごとにさまざまです。少子高齢化が原因で労働人口が減少している今、どの企業も人材確保のため福利厚生の充実を図っています。
ライフスタイルが多様化した昨今では、報酬面と同じくらいのウエイトで福利厚生制度を重視している求職者も多いでしょう。また、企業側としても健康経営のアピールや多様な働き方の人材を確保できる可能性が高まります。福利厚生制度の重要度は、企業と従業員の双方にとってメリットが大きいため年々向上しているのです。
[注1]e-Govポータル「労働基準法」
1-2 福利厚生の対象者
企業の福利厚生を利用できる主な対象者は、以下の通りです。
- 正社員
- パート・アルバイト
- 派遣労働者
[注2]厚生労働省「パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために」
2.福利厚生には2つの種類がある
福利厚生は、以下の2種類に分類されます。
- 法定福利厚生
- 法定外福利厚生
2つの違いや、具体的な内容を詳しく解説します。
2-1 法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律によって設置が義務付けられた福利厚生です。[注1] 法定福利厚生は規模にかかわらず、すべての企業に義務づけられているため、導入していない場合は法律違反になります。
法定福利厚生は、具体的には雇用保険や健康保険、厚生年金保険料などの一般に「社会保険」と呼ばれるものが該当します。法定福利厚生の費用は、企業側が全額または一部を負担しなければなりません。
≪種類と費用≫
法定福利厚生の種類と内容、費用は以下の通りです。
種類 |
内容 |
費用 |
健康保険 |
医療費・手当金の一部を負担する公的な医療保険 |
企業と従業員で折半 |
厚生年金保険 |
老後の資金を負担する公的年金のための保険 |
企業と従業員で折半 |
雇用保険 |
失業給付や育児休業給付などのための労働保険 |
企業と従業員で保険料率が異なる (※事業の種類によっても異なる) |
介護保険 |
高齢者に必要な介護を提供するための保険。40歳〜64歳までの健康保険の加入者が支払う |
企業と従業員で折半 |
労災保険 |
仕事中や通勤時の事故や怪我、病気に対する保険 |
企業が全額負担 |
子ども・子育て拠出金 |
仕事と子育ての両立支援事業および児童手当に必要な税金 |
企業が全額負担 |
種類によって支払う費用や期間が違うため、企業側はどの費用がいつ発生するかを把握しておかなければなりません。従業員にとっては、自動的に給与から差し引かれることが多いため、あまり気にしていない人が多いかもしれません。しかし、企業側にとっては重要な項目です。
2-2 法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、各企業が独自で導入している福利厚生です。内容は企業によってさまざまで、どの程度設けるかも企業の裁量に委ねられています。法定福利と異なり、設置義務はありません。
法定外福利厚生の主な目的は、従業員のモチベーションアップと優秀な人材の定着率向上です。近年では、企業のカラーに合わせたバラエティーに富んだ法定外福利厚生が注目を集める場合もあります。法定外福利厚生は、他社との差別化や企業価値向上につながる重要な施策です。
≪種類と費用≫
法定外福利厚生の種類は企業によってさまざまです。参考までに、多くの企業で定められている法定外福利厚生の種類と内容を紹介します。
種類 |
内容 |
通勤手当 |
通勤交通費を支給。駐車場代やガソリン代も含む場合がある |
家賃・住宅手当 |
家賃や住宅ローンの一部を補助するために支給 |
時間外・残業手当 |
労働基準法で定められた時間以外での勤務を行った場合に支給 |
役職手当 |
主に管理職の従業員に支給 |
リモートワーク手当 |
リモートワークの従業員に対して通信費などの経費を支給 |
家族手当 |
配偶者や子どもがいる従業員に支給。扶養手当ということもある |
出張手当 |
出張した際にかかる諸経費を補助するために支給 |
資格手当 |
資格取得に必要な費用を補助するために支給 |
レクリエーション手当 |
社員旅行や新年会などの費用を規定に基づいて企業が負担する |
介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行やエンターテイメントなど、多彩なメニューがパッケージとなっている福利厚生サービスです。
上記は法定外福利厚生の一部です。「手当」を中心に紹介しましたが、ジムや社員食堂、レジャー施設の割引なども法定外福利の代表的な種類です。費用に関しては、規定に沿って企業側が負担します。税法上の問題などさまざまな規定から、上限額が定められています。充実した福利厚生を目指すなら「WELBOX」
従業員のライフスタイル・ライフステージに応じて、メニューを選択しご利用いただくことが可能です。
3.福利厚生制度を導入することで得られるメリット
企業が福利厚生を導入することで得られる主なメリットは、以下の3つです。
- 労働生産性の向上
- 従業員の満足度向上
- 採用率の向上
それぞれ詳しく解説します。
3-1 労働生産性の向上
福利厚生によって、従業員が常に心身ともに良好な状態で仕事ができるため、労働生産性が向上することも期待できます。過度な労働は、心身に大きなストレスを与え、結果として体調不良や気力の低下など企業にとって悪い影響を及ぼします。しかし、働かないことには企業全体の生産性が低下し、業績を悪化させてしまいます。
福利厚生で自由に休暇を取得できたり、運動習慣を身につけたりすれば、労働によるストレスを軽減可能です。福利厚生でワークワイフバランスを充実させられれば、従業員が常に良い状態で業務を行えるでしょう。
少子高齢化による労働人口の減少に備え、いかに従業員1人あたりの生産性を向上させるかは重要な課題です。
3-2 従業員の満足度向上
福利厚生の充実は、従業員の満足度向上につながります。従業員満足度の高い企業の多くは、ワークライフバランスが取れている企業である傾向にあります。
福利厚生の内容には、休暇や労働時間に関する項目も多いです。ワークライフバランスが取りやすい福利厚生制度を導入することで、従業員の満足度が向上するでしょう。結果として、定着率や業務効率の向上が期待できます。
3-3 採用力の向上
福利厚生を充実させれば、採用力の向上が期待できます。毎年のように採用希望者が多く集まる企業では、福利厚生制度が充実していることも応募数に関係しているでしょう。
給与や仕事内容の条件が同じ企業があった場合、応募者が福利厚生を比較してどちらに応募するかを決めることは大いに考えられます。求人に応募が来ない場合、福利厚生が他社に見劣りしている可能性があります。
福利厚生を導入し、従業員を大切にする姿勢をアピールすることで、応募数や内定承諾数の増加が見込めるでしょう。
4.福利厚生制度を導入することのデメリット
福利厚生の導入にはデメリットもあります。主なデメリットは以下の通りです。
- コストがかかる
- 管理に負担がかかる
企業にとっては、コストや管理面での負担が大きいでしょう。
福利厚生を導入するには高い費用がかかります。日本経済団体連合会の調査では、従業員1人1カ月あたり平均108,517円の福利厚生費がかかっていることがわかりました。[注3]
また、新しい制度を導入するなら、実施や管理の人員を新たに配置しなければなりません。人材の確保やモチベーション向上のために、既存の従業員に大きな負担を強いるのは本末転倒です。場合によっては、外部の業者を利用するなどして管理の負担を軽減させましょう。
5.福利厚生制度を導入する際のポイント
企業が福利厚生制度を導入する際のポイントは、以下の3つです。
- 導入する目的を明確にする
- 従業員から意見やニーズを調査する
- 定期的に制度を再検討する
5-1 従業員の満足度向上
福利厚生制度を導入する際は、目的を明確にしましょう。明確な目的がなく福利厚生制度を定めても、そもそも何のために導入しているかわからないため、効果測定ができません。導入前に「目的はなんなのか」「目的達成のためにどんな福利厚生が必要なのか」と論理立てて検討してください。
企業の施策にかけられるコストには、限りがあります。予算内で必要な福利厚生を導入するためには、目的を明確にすることが重要です。
5-2 従業員から意見やニーズを調査する
自社の従業員のニーズに合った福利厚生を導入するために、従業員へ直接意見を聞きましょう。福利厚生は、自社の従業員に対して最適な制度でなければなりません。他社の従業員の満足度が高い福利厚生だからといって、そのまま自社に導入しても失敗する可能性があります。企業によって従業員が抱えている課題はさまざまで、福利厚生のニーズも異なるからです。
いざ意見を聞いてみると、経営層にとって意外な施策のニーズが高いケースがあります。従業員から多く要望のあった施策を優先的に導入すると良いでしょう。
5-3 定期的に制度を再検討する
福利厚生は一度導入したら終わりではありません。導入後の各制度の利用状況や、満足度に基づいて制度を評価・見直しましょう。利用率や満足度が低い項目に関しては、改善策を講じる必要があります。従業員にヒアリングするなどして改善点を洗い出し、より良い制度にブラッシュアップさせましょう。
また、必要に応じて新たな制度の追加や、利用率の低い制度の廃止も検討する必要もあります。特定の従業員にしかメリットのない制度は、他の社員から不満が出る可能性もあります。多様な価値観があるなかでも、できるだけ多くの従業員に満足してもらえる制度を実現できるよう、定期的に再検討しましょう。
6. まとめ
福利厚生とは、労働に対する報酬以外に、企業が従業員とその家族に提供する福祉向上のための制度です。健康保険などの法律で定められている「法定福利厚生」と、通勤手当など企業独自の「法定外福利厚生」の2種類があります。
従業員のモチベーション向上や離職率の低下を目的としており、ライフスタイルの多様化にともなって、重要度が増しています。
企業にとって福利厚生導入のメリットは「労働生産性」「従業員の満足度」「採用力」それぞれの向上の3つです。労働人口が減少していく社会で、選ばれる企業を目指していくために福利厚生制度を導入しましょう。
イーウェルで提供している福利厚生、健康経営などのサービスをご紹介!
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