会社からの結婚祝いを福利厚生にするには?相場や休暇日数についても紹介
「結婚休暇やお祝い金の相場がわからない」
このようなお悩みはありませんか?
結婚は人生の一大イベントです。従業員の幸せを願い、多くの会社が福利厚生として結婚休暇や結婚祝い金を付与しています。
本記事では、結婚休暇や結婚祝い金制度を導入するにあたって、知っておくべきポイントやメリット・デメリット、導入の手順などを解説します。それぞれの相場や節税に関する情報などもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.会社は「結婚休暇」「結婚祝い金」という福利厚生を提供できる
従業員の結婚に際して、企業は福利厚生の制度として「結婚休暇」と「結婚祝い金」を付与できます。まずは、それぞれの制度の特徴を見てみましょう。
1-1.結婚休暇とは
結婚休暇とは、結婚による新生活の準備や、新婚旅行などのために使うことを目的として従業員が取得できる休暇です。
結婚休暇は、会社独自で定める「法定外休暇(特別休暇)」に分類されるため、導入の可否や内容を会社の裁量で自由に決められます。すべての従業員が心置きなく休暇を取れるように、結婚休暇を福利厚生として制度化するのが望ましいでしょう。
1-2.結婚祝い金とは
結婚祝い金とは、従業員が結婚した際に支給する慶弔見舞い金です。企業によっては従業員本人だかでなく、従業員の家族の結婚に支給するかスもあります。結婚休暇と同じように、結婚祝い金も企業に導入義務はありません。
金額は、勤続年数によって支給額が上がっていく会社もあれば、全員一律の会社もあります。結婚祝い金を付与する対象従業員や金額は会社が独自に決定できるため、企業によって制度内容が異なります。
2.結婚祝い金の相場や結婚休暇の平均日数は?
結婚祝い金の額や休暇の日数は、企業によって異なります。自社で金額を決める際には、相場をチェックしてから決定することをおすすめします。
結婚祝い金の金額を全従業員一律としている会社の場合、相場は3万円程度です。勤続年数で変動する場合は最大5万円程度を支給する企業が多く、従業員の子どもが結婚する場合は1万円程度の企業もあります。
結婚休暇の日数としては、従業員自身が結婚する場合、5日間程度を付与する企業が多いです。正社員や契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態によって取得可能な日数を別に設定する企業もあります。
3.結婚休暇・結婚祝い金を福利厚生に導入するメリット
福利厚生に結婚休暇やお祝い金を取り入れる場合、どのようなメリットが期待できるのかを理解しておくことが大切です。想定されるメリットについてそれぞれの詳細を見ていきましょう。
3-1.従業員のモチベーションが高まる
結婚する従業員は、結婚式をはじめ新婚旅行や新生活の準備などで時間を要するため、まとまった休暇が必要です。結婚休暇がなかれば有給休暇を使わざるを得ないため、従業員への負担が大きくなります。結婚休暇を提供することで、負担を軽減できます。
また、多くの企業が福利厚生として結婚休暇を導入しているため、周囲が結婚休暇を取得するなか有給休暇を消化せざるを得ない状態では、従業員がストレスを感じてしまいます。結婚祝い金は、従業員の経済的負担を軽減し、会社からのサポートを実感できる制度です。結婚休暇やお祝い金の制度が整った会社内では従業員の満足度が高まり、モチベーションアップにつながるといえます。
3-2.採用活動によい効果が出る
結婚休暇や結婚祝い金の制度化は、採用活動においてもプラスに働きます。福利厚生の充実度は、求職者が企業を選ぶ際に重要視するポイントのひとつです。働きやすく居心地のよい会社を選びたいと思う人は多いため、求職者がメリットを感じられる福利厚生の導入が重要といえるでしょう。
福利厚生に結婚に関する制度が入っていない場合は、企業の志望順位が下がる可能性もあります。結婚休暇や結婚祝い金は、従業員を大切にしていることを示すというアピールポイントのひとつになります。です。企業としてのイメージアップのためにも、結婚休暇や結婚祝い金の支給は有効な手段となります。
3-3.助成金が受給できる可能性がある
結婚休暇をはじめとする特別休暇を導入した企業は、助成金を受給できる可能性があります。ライフワークバランスを重視する風潮を受か、中小企業におかる特別休暇制度の導入が促進されているためです。
結婚休暇の導入により「働き方改革推進支援助成金」が支給される可能性があります。受給するためには対象条件を満たし、成果目標の設定や取り組みを行い、申請する必要があります。助成金にメリットを感じる場合は、詳細をチェックしてください。
3-4.節税につながることがある
結婚祝い金は、福利厚生費として計上できます。福利厚生費は非課税対象であるため、節税効果が得られます。
ただし、金額が高すぎる場合は、経費として認められない可能性があります。その場合、福利厚生費として計上できなくなり、節税効果が得られなくなる点に注意しましょう。
4.結婚休暇・結婚祝い金を福利厚生に導入するデメリット
結婚休暇・結婚祝い金を福利厚生に導入する場合のデメリットについても考えておきましょう。例えば、結婚休暇が制度化されると、休暇の取得によって人手が足りなくなる可能性があります。休暇を取得した人が担当する業務を分担するために、他の人の仕事が増えるかスもあるでしょう。
他には、手続きのための業務が発生することもデメリットとして考えられます。申請手続きが滞ると、申請者や対応する従業員が困るかスもあるでしょう。
福利厚生として導入を始める前に、体制を整えておくことが大切です。従業員が休暇を取得しても問題なく業務が進められるようにシステムやツールを充実させておいたり、福利厚生の管理などノンコア業務と呼ばれる業務については、アウトソーシングサービス会社に依頼したりすると、スムーズに導入できるでしょう。
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5.結婚休暇を導入する手順
結婚休暇を導入する場合、どのように進めていけばよいのでしょうか。実際に進めるにあたって、手順を見てみましょう。
5-1.有給にするか、無給にするかを決める
まずは、有給・無給のどちらにするかを決めましょう。結婚休暇は法定外休暇であるため、企業が独自に有給・無給を判断することが可能です。有給の場合は、金額も自由に設定できます。
一般的に、結婚休暇を有給扱いとする会社が多いため、可能な限り結婚休暇は有給として扱ったほうがよいでしょう。ただし、中小企業では無給扱いにしているかスも珍しくありません。無給の場合は取得した従業員の給与金額が減ってしまうため、モチベーション低下につながるリスクをふまえたうえで判断しましょう。
5-2.再婚を対象にするか決める
次に、対象範囲を考えてください。初婚だかでなく再婚も対象にするかどうかを判断しましょう。基本的には、再婚も対象にしたほうがよいでしょう。
ただし、結婚・離婚を過剰に繰り返すなど、福利厚生の不正利用が疑われる行為については、対象外にするとよいでしょう。
5-3.取得日数や条件を決める
次に、結婚休暇の取得可能な日数や取得するための条件を決定してください。取得日数の目安は5日程度とする企業が多く、この期間を目安に設定するのが妥当です。
結婚休暇の取得回数も検討する必要があります。2~3回に分けて取得したい人も少なくないため、一度にまとめて取得するのみか、分割して取得できるのかを決めましょう。
制度を利用できる対象者の条件も決めましょう。正社員のみを対象とするか、契約社員やパート・アルバイトも対象とするかを決めておく必要があります。「入社後6か月以上経過した人」など、入社からどの程度の期間が経過した人が対応になるかも決めなければいかません。
「入社前に入籍した従業員は対象外とする」と明記しておくなど、従業員との理解の相違が発生しないように配慮することも重要です。
5-4.申請方法や期限を決める
次に、申請方法と期限を考えましょう。取得するための期限として「入籍から6か月以内」などの規定を設け、取得期限を定めます。
申請方法と担当部署を決めておくことも重要です。手続きがスムーズに進められるように、担当部署の従業員と連携をとり、担当者が手続きしやすい方法で決定しましょう。
5-5.就業規則を作成して社員に周知する
ここまでで決定した内容をもとに、就業規則を作成します。就業規則の例は以下のとおりです。
第〇条 従業員は、会社への事前に申し出により、以下の範囲内で結婚休暇を取得できる。
- 本人の結婚の場合は〇日間、本人の子どもの結婚の場合は〇日間休暇を取得できる。
- 結婚休暇は入籍から〇か月以内に取得できる。
- 休暇日は最大〇回までに分けて取得できる。
- 結婚休暇の取得を申し出る際には、申請書を提出する。
就業規則を作成したら、メールなどで全従業員に必ず伝わるように周知しましょう。
6.結婚祝い金を導入する手順
結婚祝い金を導入する場合は、どのような流れで進めるのでしょうか。順を追って見てみましょう。
6-1.支給の対象者・条件を決める
まず、支給の対象者や条件を考えましょう。結婚休暇と同様に、正社員のみの支給とするか、契約社員やパート・アルバイトまで対象範囲を広げるかを決める必要があります。また、従業員本人の結婚だかでなく、従業員の子どもが結婚するときに支給するかどうかも検討してください。
6-2.相場をもとに金額を設定する
次に、結婚祝い金として支給する金額を決定しましょう。決定に際して、以下の相場を目安にするとスムーズです。
勤続年数 | 支給額 |
---|---|
満1年 | 2万円 |
満3年 | 3万円 |
満5年 | 5万円 |
満10年 | 5万円以上 |
満20年以上 | 5万円以上 |
勤続年数に関わらず一律の金額を支給する場合は、3万円が相場です。金額が高すぎると福利厚生費として認められない可能性があるため注意しましょう。
6-3.就業規則を作成し、周知する
最後に、就業規則を作成します。内容は以下のようなイメージです。
第〇条 全従業員を対象とし、結婚する際に結婚祝い金を支給する。
2.結婚祝い金の金額は、以下のとおり勤続年数の区分により金額を定める。
(1)勤続1年未満 〇〇円
(2)勤続1年以上3年未満 〇〇円
(3)勤続3年以上5年未満 〇〇円
(4)勤続5年以上10年未満 〇〇円
(5)勤続10年以上 〇〇円
3.再婚する従業員も結婚祝い金の支給対象者とする。
4.結婚祝い金の支給の申し出には、申請書を提出する。
結婚祝い金に関する就業規則を作成したら、メールなどで全従業員に必ず伝わるように周知してください。
7.結婚休暇の導入で助成金を受給する方法
- 労働者災害補償保険の中小企業事業主であること
- 交付申請時点で成果目標達成に向けた条件を満たしている
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
また、中小企業事業主とは、以下の要件を満たす事業主のことです。
業種 | 資本金または出資額 | 常時使用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
そして、対象となる取り組みを実施しているかどうかも重要です。今回の場合、結婚休暇の就業規則や労使協定を作成しましょう。
次に、成果目標の設定を行います。時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇の規定を1つ以上新たに導入します。
最後に、労働局雇用環境・均等部に交付申請書を提出しましょう。例年、11月末ごろ必着で申請締切が設けられているようです。
8.結婚新生活支援事業とは
新婚生活の経済的負担を軽減する補助金として、一部の自治体が結婚助成金を支給しています。結婚助成金の支給を実施しているのが、結婚新生活支援事業です。自治体の支援策を従業員に紹介し、必要に応じてサポートすることも企業の福利厚生の一環として有益です。
8-1.結婚新生活支援事業の2つのコース
結婚新生活支援事業には、「都道府県主導型市町村連携コース」と「一般コース」の2つがあります。2つのコースの違いは、交付金の補助率です。
都道府県主導型市町村連携コース | 補助率:3分の2 |
---|---|
一般コース | 補助率:2分の1 |
結婚新生活支援事業では、かかった経費のうち、補助率に相当する分はこども家庭庁、残りは自治体によって負担されます。
8-2.結婚助成金の受給条件や金額
結婚助成金の受給条件として、まずは居住している自治体で「結婚新生活支援事業」を実施している必要があります。補助対象となる世帯や補助対象となる費用、補助上限額は以下のとおりです。
補助対象となる世帯 |
・令和5年3月1日~令和6年3月31日までに入籍した世帯 ・夫婦とも婚姻日における年齢が39歳以下 ・世帯所得500万円未満 (奨学金返還中の場合、年間返済額を夫婦の所得から控除) ・その他、お住いの市区町村が定める要件を満たす世帯 |
---|---|
補助対象となる費用 |
・新居の購入費用 ・新居の家賃、敷金、礼金、共益費、仲介手数料 ・新居のリフォーム費用 ・新居への引越し費用 |
補助上限額 |
29歳以下の世帯:60万円 30歳〜39歳の世帯:30万円 |
結婚祝い金制度で節税するためには、導入費用を福利厚生費としてみなされる必要があります。以下の3つの条件を満たすように意識してください。
- 労働者災害補償保険の中小企業事業主であること
- 交付申請時点で成果目標達成に向けた条件を満たしている
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
10.まとめ
結婚は従業員にとって大切なイベントです。門出を祝して結婚休暇や結婚祝い金を支給することで、従業員のモチベーションアップや満足度の向上が期待できます。一人ひとりのモチベーションを高めることで、会社全体の士気も高まりやすくなり、生産性アップや離職率の低下にもつながるでしょう。
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