【中小企業向け】健康経営の導入メリットと実践方法: 注目の背景と有効性について

「中小企業でも健康経営に取り組む必要があるの?」
「どれくらいの企業が健康経営を導入しているんだろう」
などとお悩みではありませんか。健康経営をはじめとする働き方改革は、大企業に関係するものと思っている人もいるかもしれません。しかし、中小企業も健康経営を導入する必要があります。
本記事では、中小企業が健康経営に取り組むべき理由を解説します。政府による認定制度である健康経営優良法人が認められている中小企業の数も紹介。この記事を読めば、自社でも健康経営を導入する必要性がわかるでしょう。
目次
1.中小企業が健康経営に取り組むべき理由
中小企業が健康経営に取り組むべき理由は、以下の2つです。
- 大企業よりも中小企業の方が人材不足が深刻化している
- 求職者が就職先にワークライフバランスを求める傾向にある
健康経営に取り組むべき理由がわかることで、よりスムーズに導入が進むでしょう。それぞれ詳しく解説します。
1-1 大企業よりも中小企業の方が人材不足が深刻化している
中小企業では人手不足の深刻化が進んでおり、2018年には従業員299人以下の企業で有効求人倍率が6.4倍となりました。[注1] これは1人の求職者を、6つから7つの企業が取り合っている状態です。
人材不足が慢性化すると、長時間労働や休日出勤が常態化してしまうおそれがあります。それにより体調不良を訴える従業員が出たり、人材が流出したりとさらなる人材不足を招く可能性があります。
健康経営は人材不足に対する1つの解決策です。社員1人1人が健康的に働けることで、少ない人員でも高い生産性を発揮できます。また従業員の満足度向上も見込めるので、離職率低下も期待できるでしょう。
[注1] 経済産業省「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」
1-2 求職者が就職先にワークライフバランスを求める傾向にある
内閣府の調査によると、ワークライフバランスを重視する若者は増加傾向にあります。具体的には、自由時間の多さや子育て、介護との両立の他に、自宅から通えるなど生活面を配慮した待遇を求めています。[注2]
特にプライベート時間の確保は、長時間労働や休日出勤を敬遠していると言い換えることもできるでしょう。これは健康経営によって解決できる問題の一つです。健康経営を実践することによって、求職者への訴求力アップも期待できます。
[注2] 内閣府「就労等に関する若者の意識調査の結果 仕事選択に際して重要視する観点」
2.どうして健康経営が注目されているのか?
健康経営が注目される背景には、人手不足の解消だけでなく日本人の生産性が低いこともあります。日本の生産性は、OECD加盟国38か国中27位と低い水準です。[注3] 生産性の向上を実現するためには、一つの対策として従業員が集中して健康的に働ける環境作りが求められます。
コストの観点では、病気にかかってから治療にかかる費用より、予防の費用の方が安く済みやすいです。労働時間を適正に保ち、ハラスメントがない心身ともに健康な状態で働ける職場をつくりましょう。
健康経営が実現すれば、求職者にとって魅力ある職場となり、優秀な人材を採用しやすくなります。従業員が長い間働いてくれるため、教育にかかる手間や費用もカットできます。より効率的な経営ができるでしょう。
[注3] 日本経済新聞「日本の労働生産性、27位に後退 21年実績」
3.健康経営優良法人に認定された中小企業はわずか5年で約10倍に
健康経営優良法人とは、経済産業省による健康経営の認定制度です。健康経営に取り組む法人を表彰することで、求職者や関係企業、金融法人に評価材料を提供することが目的です。企業側にも、認定されると社会的評価が高まるメリットがあります。[注4]
健康経営優良法人の数は、2017年の318社から2022年には12,255社まで増加。[注5] 5年で数十倍となっています。今や中小企業の多くが健康経営に取り組んでおり、人材確保や生産性の向上に欠かせません。今後も認定される企業数は増加すると考えられ、健康経営に取り組んでいない企業が「遅れている」と言われるのも時間の問題でしょう。
[注4]経済産業省「健康経営優良法人認定制度とは」
[注5]「健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定数の推移(全国版)」
4.健康経営優良法人が注目されている理由について
健康経営優良法人が注目されている理由は、以下の通りです
- 働ける人口が年々減少している
- 売り手市場
- ワークライフバランス
健康経営優良法人になると、人材が集まりやすくなり従業員がやめにくくなるメリットがあります。人口減少などの社会的状況の変化だけでなく、労働者がどんな考え方を持っているかも理解しましょう。
4-1 働ける人口が年々減少している
生産労働年齢人口は長らく減少傾向にあり、1995年の8,716万人から2020年には7,509万人まで減少しています。[注6] 生産労働年齢人口は15歳から64歳までの総人口を指し、現役世代として働ける人数はこの先も減少し続けるでしょう。
現役世代が減ると、人材確保の競争が激しくなり、経営資源の豊富な大企業に中小企業が負けるおそれがあります。中小企業が人材を確保するには、大企業に負けない魅力をアピールすることが重要です。一つの武器が、健康経営優良法人です。
健康経営優良法人に認定されれば、従業員にとって働きやすいと社会的に評価され、求職者を集めやすいです。人材確保では他業界の企業も競合となるケースも多く、認定企業が増えていることで健康経営優良法人に注目が集まっています。
[注6]総務省「高齢化の推移と将来推計」
4-2 売り手市場
求職者あたりの求人数を示す有効求人倍率は、一時期1.5倍を超えました。2022年の段階では落ち着きを見せたものの、1.35倍と高い水準を保っています。[注7] 今後も生産労働年齢人口が減少するため、売り手市場が続くと考えるのが妥当です。
売り手市場では1人の求職者を複数の企業が取り合うため、待遇の悪い企業にはなかなか就職希望者が現れないでしょう。求職者は給料や福利厚生だけでなく、長く働ける環境かどうかも評価して就職先を選びます。
健康経営優良法人に認定されている事実は、求職者にとっては安心できる材料の一つになります。
[注7]独立行政法人 労働政策研究・研修機構「有効求人倍率(季節調整値)」
4-3 ワークライフバランスを求めている
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの両立を図ることです。近年、ワークライフバランスを求める労働者が増えています。これは、少子高齢化や女性の社会進出など、社会の変化が背景にあります。
従来は、企業の営利だけが評価される時代背景がありました。そのため、労働者と企業の間で働き方のギャップが生まれていました。しかし、企業側もワークライフバランスを取る時代背景に影響され、様々な制度や福利厚生を作っています。
こういった努力の前線にいる証明として「健康経営優良法人」があるのです。健康経営優良法人とは、従業員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいる企業のことです。健康経営優良法人に認定されると、企業側にも様々なメリットがあります。例えば税制優遇や金融支援、優秀な人材の確保などがあげられます。
健康経営優良法人に認定された企業は、従業員の健康を第一に考えており、様々な制度や福利厚生を整えています。これらの企業で働く従業員は、仕事とプライベートの両立が図りやすく、健康的に働くことができます。
ワークライフバランスは、企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。企業は、従業員の健康を維持することで、生産性や創造性を向上させることができます。また、従業員は、仕事とプライベートの両立を図ることで、仕事に集中し、より良いパフォーマンスを発揮することができ、企業と従業員の双方にとって、win-winの関係になるのです。
5.健康経営推進には他者の力を借りることも検討しましょう
中小企業が健康経営に取り組むべき理由や、健康経営が注目されている理由を解説しました。近年では人口減少による売り手市場や、ワークライフバランスを重視する考え方の広まりから、健康経営が重要になっています。知名度で劣る中小企業であっても、健康経営への取り組みをアピールできれば、人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
しかし、健康経営の重要性がわかっても、具体的に何をすればよいかわからない経営者も多いはずです。たとえばイーウェルでは、福利厚生企業として健康経営に関する種々の取り組みをしています。
当ウェルナレのダウンロード資料「健康経営」カテゴリーでは、企業がいかに健康経営を推進するかの提言をしています。現状と課題を明らかにしながら、健康経営に対するこれからのアプローチを考察しているので、ぜひ資料をダウンロードしてください。 健康経営を推進する上で必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、貴社の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」
監修者 株式会社イーウェル ウェルビーイング経営推進室
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