健康経営コンサルティングとは?おすすめ企業4選
健康経営の重要性はますます高まっています。健康経営の推進によって「従業員が身体的にも精神的にも健康であることが、将来の会社の発展につながる」といった考え方が浸透しつつあるためです。多くの企業経営で優先された業績よりも、従業員の健康がサスティナブルな会社経営に欠かせない要素であるという認識が広まった今、これからでも健康経営を実施するのに遅すぎることはありません。
ただし、独力で一から健康経営を推し進めるのにはやや高い壁が待っているのも事実です。そのために、健康経営のコンサルティングという心強いサポートがあります。この記事では、今注目を集める健康経営コンサルティングについて解説いたします。
目次
1. 健康経営コンサルティングの概要
健康経営コンサルティングとはいったい何なのか、その基礎・基本からおさらいしましょう。当メディア過去記事も紹介しておりますので、あわせてご一読いただくと、より理解が深まります。
1-1 健康経営とは
健康経営とは、「従業員の健康を企業経営の重要課題の一つとして、戦略的に取り組む経営手法」と定義されています。従来、従業員の健康は個人のものとして経営の管理対象からは独立していました。しかし、労働人口の減少、従業員の平均年齢の高年齢化、働き方改革といった時代の変化から、「従業員の健康増進が企業の業績向上・企業価値向上につながる」という考え方が浸透してきています。
経済産業省は企業における健康経営を推進するため、以下2つの制度を創設しています。
- 2014年度に「健康経営銘柄」
- 2016年度に「健康経営優良法人認定制度」
年々、健康経営優良法人認定の企業数は増えており、5回目の認定となる「健康経営優良法人2021」では、以下の通り認定されました。
- 大規模法人部門に1,795法人
- 中小規模法人部門に7,937法人
また、それぞれ上位法人には「ホワイト500」「ブライト500」といった認定も付与されるため、各企業はこの取得に向けて動き始めています。健康経営は企業価値向上のために、いまや重要項目となりつつあるのです。
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1-2 健康経営コンサルティングの特徴
健康経営を実施するために、専門家によるバックアップがあればその知見を活かし、効率的に施策を進めることができます。特に健康経営にはじめて取り組む場合には、なおのこと専門家の支援が必要となるでしょう。
そこで、健康経営コンサルティングのサービスは以下のようなニーズに応えます。
- 健康経営を投資家や取引先、リクルート市場等へPRしたい
- 健康経営を推進したいが、何から取り掛かればよいかわからない
- 資格申請に必要な人手やナレッジが足りない
などといった企業担当者向けのサービスが、健康経営コンサルティングと呼ばれるものです。サービスの構成として、以下の流れで進み、健康経営認定を得るための総合的なバックアップを行います。
- 取得資格の調査・選択 (各資格の概要など)
- 健康状況・施策の整理 (健康データや現行施策の集計・整理)
- 評価ポイントを押さえた申請書の記入 (評価ポイントや最新の施策の特徴などを把握する)
2. 健康経営が必要になった背景
健康経営という言葉がどうして生まれたのか、どうして昨今その必要性は高まっているのか。社会で今後起きるであろう問題や、すでに露見している問題を紐解くと、その答えが見えてきます。また、同時に健康経営を検討することにより生まれるメリットも存在します。この章では、3つのポイントに分けて健康経営が必要になった背景を解説します。
2-1 生産年齢人口の減少
日本の総人口のピークは2008年の1億2,808万人。以降、減少の一途を辿っていることは多くの人がご存じではないでしょうか。ただし実は、生産年齢人口(15-64歳)はそれ以前、90年代から減少傾向にありました。内閣府の発表によると、日本の生産年齢人口は減少し続けると見込まれ、2065年には約4,500万人となると予測されています。これは現時点と比べ、約2,900万人の減少になるということです。現在の65歳以上の老齢人口は約3割、生産年齢人口は約6割ですが、同じく2065年の人口構成の見通しでは、老齢人口割合は約4割まで上昇するとされ、生産年齢人口の割合は約5割に低下が見込まれています。
「働ける人口が減る」ということは、「今働ける人が、いかに健康的に、活動的にパフォーマンスを発揮できるか」といった方向に働き方をシフトすべきということです。そのためにも、限られたリソースから確実に働き手を確保できるか、という点が問われ、結果として健康経営が求められるようになった背景があるのです。
2-2 社会保障費の増加
国民医療費と介護保険給付の費用は、高齢化率が高まっていることにより年々高まっており、今後も拡大し財政への圧迫が予測されています。理由2-1の労働力人口減少も相まって、このままでは経済活動の停滞も招きかねません。
現在40兆円を超える国民医療費は、2025年度には約60兆円に達するとされています(介護保険給付費も同様に、現在の10兆円から、2025年度には約21兆円に達するとされており、高齢化の煽りを大きく受けています)。中でも、精神・神経の疾患の割合が伸びており、働くうえでの疾患発生と考えられる部分は少しでも減らしていく必要があります。
そのために、健康経営施策を実行・推進することで、少しでも働き手の精神疾患を防ぎ社会保障費を抑えることにもつなげる、というのも健康経営が推奨されるようになった理由のひとつです。
引用:厚生労働省HP「社会保障費用統計」
2-3 企業イメージの向上施策
「コモディティー化」と言われますが、同様のサービスや商品、ソリューションを提供している会社が一定数増えることにより、企業ごとの差別化が難しくなってきています。その中で、特定の健康経営施策を行っている企業に国(経済産業省)が認定を冠することにより、企業イメージの向上につながるよう自然競争を起こそう、というのも健康経営が注目されるようになった理由の一つとして挙げられます。
就職先を選ぶ際の決め手として「働きやすさ」に重きを置く人が増加していることから、健康経営に取り組んでいる企業、またはその取り組みが評価された企業ともなれば、イメージは非常に高まり、優秀な人材を集められるといったメリットがあります。
その他、投資家や銀行、取引先企業からの評価も向上するなど、多方面からの支持を得られ、良好な関係を構築できるといった副次的効果も期待できると言われていることから、健康経営に対する期待値が高まっているのです。
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3. 健健康経営コンサルティングのサポート内容
実際に健康経営コンサルティングを活用すると、どのようなサポートを受けることができるのでしょうか。
委託先により内容は異なりますが、健康経営のフェーズによってさまざまなサポートを受けることができます。
導入を検討するまえに、サービスイメージを持っておきましょう。
3-1 導入支援
これから健康経営に着手したいが、経営層を説得しきれていない場合など、スタート前からのサポートも受けられます。
自社が健康経営に取り組むメリットや効果について整理し、社内への提案を取りまとめるなど、非常に労力がかかる作業を担ってもらえるでしょう。
担当者に強い思いがあるが、リソースが足りない場合に強い味方になってもらえます。
3-2 現状把握・課題の可視化
これから健康経営に着手することが決まったが、何から実施すればよいかわからないという会社も多いようです。
そういった場合でもサポートを受けられます。
まずは、現状の把握を実施します。健康診断の結果やストレスチェックの結果、そのほか実施中の施策などから、従業員の健康状態を把握します。
つづいて、現状から課題を抽出する作業を行い、対応すべき課題の優先順位付けをします。
まだ分析できるデータがない等の場合は、健康診断やストレスチェックの実施など基本的な施策の実行やデータの管理方法も、コンサルタント担当者へ相談するとよいでしょう。
3-3 健康経営推進計画の立案
続いて、抽出した課題に対して、どのように取り組んでいくべきか計画立案をします。
健康経営戦略マップ等「健康投資管理会計ガイドライン」(※)で推奨されるフレームワークを用いつつ、各施策に取り組む意味やKPIの設定を行い、最終的には健康経営を通じて、解決したい経営課題へのつながりを可視化します。
※「健康投資管理会計ガイドライン」について
3-4 実行支援
計画に沿って、課題解決を行うための施策の立案・実施を支援します。
外部業者のサービスやICTツールを活用する場合には、第三者の視点から業者選定へのアドバイスなども行います。
他社での成功例・失敗例など豊富な知識や経験をもったコンサルタントであれば、より、自社にあった施策の実施ができるかもしれません。
3-5 効果検証支援
実施した施策についての評価・課題の抽出・改善方針・次年度へ向けたアクションプランの策定など、PDCAサイクルを回す支援を行います。
なお、多くの企業では、効果検証に課題を抱えているケースも多いようです。
出所:【HR総研】「ウェルビーイングと健康経営」に関するアンケート
参考指標となるKPIは様々ですが、当初健康経営戦略マップで定めた指標を中心に分析し、アウトカムへつながっているか検証する作業についてアドバイスを受けられます。
4. 健康経営コンサルティングの依頼にかかる費用
健康経営コンサルティングにかかる費用は、サービス提供会社によって異なります。コンサルティング範囲・サービス内容によって同一の企業でも費用が変動するため、まずは見積もり依頼することが大切です。
また健康経営コンサルティングを選ぶ際に重要なポイントは、費用だけで判断するのではなく、コンサルタントやサービス提供会社に、自社にあった実績があるのか、しっかりと自社の健康経営推進に伴走してもらえるかを確認しておくことです。
できるだけ複数の会社に見積もり依頼をして、予算内で課題を解消できる健康経営コンサルティングを利用しましょう。
5. 健康経営コンサルティングサービス4選
ここまでの解説で、健康経営が求められる理由や効果、一般的なコンサルティングサービスのイメージについてはご理解いただけましたでしょうか。
実際に健康経営に向けた施策を実施し、できることであれば優良法人認定を取得したいと思った方もいるかもしれません。でも独力での実現は難しい、そうお思いの方向けに、この章では具体的に、健康経営コンサルティングサービス提供会社の例を4つご紹介いたします。
※五十音順、称号は省略
5-1 イーウェル
福利厚生パッケージサービス「WELBOX」を提供する、株式会社イーウェルによる健康経営コンサルティングサービスです。組織・エリア・職種等、細分化および比較を行うことにより、リスク者の分布把握や健康格差の是正などの健康経営施策の最適化を目指すことができます。その他、労働生産性低下による損失額を算出できることや、現状の把握だけでなく効果的な施策実施により、健康経営PDCAサイクル推進へつなげることができます。また、継続的な健康経営優良法人認定を後押ししています。
産業医科大学産業保健経営学研究室の監修のもと、企業の健康状態を可視化できることが特徴です。 健康経営を推進するうえで必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、企業の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」
5-2 東京海上日動ディーアール
さまざまな業界に精通した経験豊富なコンサルタントが健康経営に関する課題解決の手助けをしてくれるのが特徴の、東京海上日動ディーアール株式会社が提供するコンサルティングサービスです。
取り組み状況に応じたサービス提供をしていることが特徴的であり、健康経営度調査項目に合わせた現状の可視化をはじめに、体制設備や課題検討、運用支援まで対応しており、無理のない計画立案で、従業員のセルフケア能力の向上を図った健進の支援をしています。
またそれだけでなく、健康経営推進委員会の設立などの支援といった他社同様の体制づくりにも対応しており、課題の可視化をベースに、データ分析結果に基づくKPI設定や健康経営のPDCAの支援をしています。
5-3 日本からだ開発
健康状態の現状把握や分析・改善策の提案と実施、効果検証や1年後の健康診断のプロセスを、ワンストップでサービス提供しているのが日本からだ開発株式会社です。最初に体組成計による身体チェックや血液検査結果によるチェック、ストレスチェックなどで構成される、専門機器を使ったヘルスチェックを出張で計測会として行っているのが特徴です。
チェック内容から、健康状態の原因分析を行い、改善に向けた食事や運動、睡眠などの生活習慣改善プランを実行するだけでなく、講師を派遣しリテラシー工場プログラムや運動プログラムなどの企画運営、健康状態維持のためのプログラムを多く用意しています。
5-4 みずほリサーチ&テクノロジーズ
株式会社みずほフィナンシャルグループのグループ会社である みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の提供する健康経営コンサルティングサービスです。
もともと金融系コンサルティング会社は、基礎として経営コンサルティングに強く実績が多くあるのが特徴ですが、業界でも、ただ経営を上向かせるだけでなく、サスティナブルな発展につなげるため、健康経営を絡めてコンサルを行っているのが特徴です。
経営コンサルティングのノウハウや強みを活かし、事業主の経営課題を明確化することに長けており、短期的ではなく中長期的な取り組みを支援し、最終的に健康経営の推進をサポートしていくことが特徴です。
6. まとめ
健康経営が昨今求められる理由を、3点にまとめて解説してまいりました。
- 生産年齢人口の減少により、限られた人口内でいかに確実に働き手を確保できるかが求められるようになった。
- 社会保障費が増加したことにより、少しでも社会全体で健康な状態を作り、社会保障費を減少させることが求められるようになった。
- 企業イメージを向上させるための有効な手段であると、社会的に認知が広まった。
以上を踏まえて、健康経営コンサルティングサービスの導入を検討してみても良いかもしれません。どこまで支援してくれるのか、またどの程度の費用感なのか、などの不明な点や気になる点があれば、各サービス運営会社まで、お気軽にお問い合わせください。
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