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(公開:2024/03/06)

健康経営優良法人の認定基準は?必要な項目も紹介


健康経営優良法人の認定基準は?必要な項目も紹介

健康経営優良法人に認定されるには何をすればいいのかわからない、項目が多くて難しいと悩んでいませんか? 健康経営優良法人に認定されると、メリットが多い反面、項目が複雑で実施が難しいですよね。

 

本記事では、健康経営優良法人認定制度を解説したのち、細かい認定要件・評価項目をわかりやすく解説します。また、具体的に何をすべきかまで紐解いて説明しております。健康経営を実施したい企業様はぜひご覧ください。

 


1.健康経営優良法人認定制度とは



健康経営優良法人認定制度とは、健康経営を優良な状態で行っている会社を認定する制度です。目的は、健康経営の度合いを「見える化」し、優良な会社が社会的評価を受けられるようにすることです。

 

1-1 健康経営銘柄

健康経営銘柄に認定されるのは、特に優れた健康経営を行っている上場企業です。毎年8月〜10月に行われる健康経営度調査の回答内容により判断されます。東京証券取引所の上場会社の中から、トップクラスの健康経営を行っている会社のみ選定されるため、投資家へのアピールが可能です。

 

また、過去の選定回数も表示されます。回数を重ねるほど、継続して健康経営を行っている会社、健康経営に力を入れられるほど経営が安定しているなどのアピールになります。

※出典元:経済産業省「健康経営銘柄」


1-2 ホワイト500

ホワイト500とは、健康経営優良法人制度の中にある「大規模法人部門」で認定された企業の、上位500位に与えられる称号です。開始当初は部門全体の認定企業をホワイト500と呼んでいましたが、基準が変わり上位500社のみに変更された点に注意しましょう。

※出典元:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」


1-3 ブライト500

ブライト500とは、健康経営優良法人制度の中にある「中小規模法人部門」で認定された企業の、上位500社に与えられる称号です。健康経営優良法人認定制度の開始当初はホワイト500しか存在せず、ブライト500は後から追加されました。日本は大企業よりも中小企業の方が数が多いため、比較的難易度の高い部門です。

※出典元:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」



2.健康経営優良法人に認定されるメリット



健康経営優良法人に認定されると、多くのメリットがあります。例えば、企業イメージが向上し、人材確保がしやすくなるなどです。昨今では、企業に対し働きやすさや福利厚生の充実度を求める人が増加しています。

 

健康経営優良法人に認定されることで「健康や働き方に対して理解がある会社」とアピールしやすくなるでしょう。さらに、融資の金利が優遇される、助成金を利用できるなど金銭的な面でもメリットがあります。メリットに関する詳しい内容は、以下の記事で解説しております。あわせてご覧ください。



3.健康経営優良法人を取得できる法人

健康経営優良法人に関する要件を「中小規模」「大規模」の2つの部門に分けて見ていきましょう。なお「健康経営銘柄2024」「健康経営優良法人2024」の申請は、2023年10月で終了しております。

3-1 中小規模法人部門の認定要件・評価項目



※引用元:ACTION!健康経営「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件」


中小規模法人部門の認定要件は上記の通りです。中小規模法人部門では、通常の健康経営優良法人の認定とブライト500で評価項目が分かれます。健康経営優良法人は、7つの項目を満たすことが必須です。しかし、ブライト500の場合「制度・施策実行」に関する15個の項目のうち、13項目を満たす必要があります。


3-2大規模法人部門の認定要件・評価項目

※引用元:ACTION!健康経営「健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)認定要件」


大規模法人部門の認定要件は上記の通りです。なお、健康経営銘柄でも同じ項目で審査されます。


ホワイト500にある、特徴的な認定要件の1つに「トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること」があります。自社だけでなく、健康経営を行っていない企業にも働きかけることが求められるでしょう。


4.健康経営優良法人2024認定までの流れ



健康経営優良法人2024に認定されるまでの流れを見ていきましょう。「中小規模」と「大規模」で認定の流れが異なるためそれぞれ説明します。

4-1 中小規模法人部門の認定までの流れ

中小規模法人部門は、比較的内定までのステップが多いです。具体的には以下のステップで認定まで進みます。

 

  1. 加入している保険者が実施する健康宣言事業に参加する
  2. 自社の状況を確認、認定基準に該当する取り組みを健康経営優良法人認定申請書に記載する
    (申請書はACTION!健康経営からダウンロード)
  3. ACTION!健康経営に申請書をアップロード
  4. 認定委員会が審議する
  5. 日本健康会議において認定される

 

健康経営優良法人2024では、申請期間が2023年8月21日~10月20日、2024年2月に内定というスケジュールで進みました。

 

4-2 大規模法人部門の認定までの流れ

大規模法人部門は、シンプルな流れです。具体的には以下の流れで認定まで進みます。

 

  1. 健康経営度調査票をダウンロードし、自社の取り組みを記載する
    (申請書はACTION!健康経営からダウンロード)
  2. ACTION!健康経営に健康経営度調査票をアップロード
  3. 認定委員会が審議する
  4. 日本健康会議において認定される

 健康経営優良法人2024では、申請期間が2023年8月21日~10月13日、2024年2月に内定というスケジュールで進みました。


5.健康経営の具体的な取り組み



健康経営を具体的に取り組む際、以下の6つのポイントをおさえましょう。

 

  1. 定期検診の受診を促す
  2. ストレスチェックを行う
  3. セミナーやeラーニングで健康について学ぶ
  4. 労働時間を見直す
  5. 食生活改善・運動に関する指導をする
  6. 感染症予防を徹底する

5-1 定期検診の受診を促す

健康経営優良法人の大規模法人部門と中小規模法人部門、どちらの認定要件にも「健康診断受診率100%」があります。健康診断の受診は、ただ促すだけでなく従業員の業務量にも注意が必要です。業務過多で残業が続いている、休日も出勤している従業員は定期検診の時間すら惜しいと感じるでしょう。

現実的に定期検診を受けられる業務量に調整し、体調を崩す前に異常の有無を確認できる環境づくりをしていきましょう。

5-2 ストレスチェックを行う

従業員50人以上の企業は、ストレスチェックの実施が義務付けられています。従業員が50人未満の場合でも努力義務とされており、実施が望ましいとされる項目です。ストレスチェックはメンタルヘルスの把握に役立ち、健康状態の改善につながります。メンタル不調による休職や離職を防ぐため、特に重要な項目です。

ストレスチェックの実施は準備が重要です。実施方法や注意点などは以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。

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5-3 セミナーやeラーニングで健康について学ぶ

健康診断の受診率向上やメンタルヘルスへの理解は、従業員の理解なくしては進みません。

 

外部講師を呼んでメンタルヘルスに関する講習や、栄養士による食生活講座を開くなど学びの場を設けましょう。eラーニングは比較的安価にできますが、形式上のものになってしまわないよう注意が必要です。


5-4 労働時間を見直す

時間外労働や休日の勤務は従業員のパフォーマンスを下げるだけでなく、心身の不調を招きます。経営者としても残業手当や休日出勤手当が必要になり、金銭的な負担が大きくなります。

ノー残業デーを設ける、勤務時間が長い従業員に対して産業医との面談を勧めるなど、今できる範囲から労働時間を見直していきましょう。 


5-5 食生活改善・運動に関する指導をする

特に忙しい部署では、帰宅後の運動時間が取れないケースや、ついコンビニ弁当で食事を済ませてしまうケースが多々あります。食生活に関しては、社内食堂があるならメニューの改善、栄養バランスが取れた仕出し弁当の提供などを検討しましょう。

運動は営業時間内にラジオ体操を行う、昇降式デスクなどを導入して立ったまま事務仕事ができるようにするなどが有効です。



5-6 感染症予防を徹底する

新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症は従業員の健康を大きく損ねます。感染したのはたった1人でも、個人から部署、部署から会社全体に広がり、最悪の場合会社の営業ストップにもつながりかねません。

予防接種の推奨、手指消毒の徹底や定期的な換気など、感染症予防の環境を整えましょう。




6. 成功した企業の事例分析



ここでは、健康経営に成功した企業の事例を見ていきましょう。中小企業法人部門、大規模法人部門をそれぞれ紹介します。

 

6-1 中小規模法人部門の事例:静岡部品株式会社

静岡部品株式会社では、若い従業員が病気を理由に退職したことがきっかけで健康経営に力を入れ始めました。具体的に行った取り組みは以下の通りです。

 

  • 血圧測定習慣化促進事業を始め、血圧リスクを見える化したこと
  • ヘルシー弁当を導入し食生活の改善に努めた など

 健康経営を実践したことにより、傷病日数が大幅に低下しました。2018年には682日だったものが、2022年には129日と約81%の減少に成功しています。年に数名いた休職人数も0名になり、継続的な勤務が可能になりました。

※出典元:「経済産業省」健康経営優良法人
 

6-2 大規模法人部門の事例:三菱地所株式会社

三菱地所では、従業員が心身ともに健康で最高のパフォーマンスを発揮しつづけるために健康経営に力を入れました。具体的に行った取り組みは以下の通りです。 

  • 重症化予防プログラムを導入した
  • 管理者層向けに定期的なメンタルヘルス研修を導入した など

 健康経営を実施したことにより、ストレスチェックの高ストレス者の割合は前年比で-0.8%(全体で4.7%)と、心身共に健康な従業員が増えています。上記のように、健康経営は従業員の健康につながり、ひいては会社の生産性向上につながります。

※出典元:「健康長寿産業連合会「2022 健康経営 先進企業事例集」
 


7.認定基準の変遷と2024年の新動向


制度の民営化を見据えて、日本経済新聞社が運営事務局に認定されました。日本経済新聞社は、ポータルサイト「ACTION!健康経営」を立ち上げ、健康経営に関する情報を提供しています。

申請が有料化になり、中小規模法人部門は16,500円/件、大規模法人部門は88,000円/件になりました。また、提出がオンライン上でできるようになったことも変化のひとつです。さらに、2024年から認定基準が変更されているため、詳しく見ていきましょう。


7-1 大規模・中小規模法人部門に共通する変更


まず、大規模・中小規模法人部門に共通する変更点を見ていきましょう。

変更点

詳細

仕事と育児・介護の両立支援

仕事と育児・介護の両立に関する設問が追加され、認定要件になった
※中小規模法人部門では現状評価のためのアンケートであり、認定要件ではない

女性特有の健康問題

月経や更年期症状など女性特有の健康課題に関する研修、行動変容促進に取り組むことが認定要件に追加された

生産性低下防止の取組

花粉症対策、眼精疲労に対する支援の項目が追加された

新型コロナウイルス感染症への対応

5類感染症に移行したことにより、変化を把握するためのアンケート項目になった


基本的には追加のものが多く、新型コロナウイルス感染症が変更になったと覚えておきましょう。


7-2 大規模法人部門のみの変更


次に、大規模法人部門のみの変更点を見ていきましょう。

変更点

詳細

特定健診・保健指導の実施率評価

特定健診・保健指導の実施率の設問が追加された
※やむを得ない事情で把握できない、40歳以上の従業員がいない場合は不利にならない
産業医または保健師に夜保健指導(特定保健指導を除く)の実施と割合の設問が追加された

業務パフォーマンス指標の開示

ホワイト500の認定要件に、業務パフォーマンス指標の開示が追加された

労働安全衛生に関する開示

労働安全衛生、リスクマネジメントの開示が求められた
※今回は必須要件ではない

海外従業員への対応

海外駐在員や現地法人で雇用されている社員を対象にした設問が追加された


すべて項目が追加されており、現在は必須要件ではないものの、今後必須要件になり得る評価ポイントもあります。

健康経営優良法人の情報は、経済産業省のサイトおよびACTION!健康診断のポータルサイトにより発信されるため、実施前に確認しましょう。


 

8.健康経営の未来展望



ここでは、健康経営の未来がどうなっていくのかを見ていきましょう。

 

8-1 国際的な健康経営の動向

アメリカを例に挙げると、1990年代頃から健康経営により従業員の健康を改善する動きがあります。アメリカに本社を構える「ジョンソン・エンド・ジョンソン」のフィクリー・アイザック博士の論文は多くの反響を呼びました。健康経営に関するプログラムへの投資1ドルに対し、1.88〜3.92ドルのリターンにつながりました。

このように、健康経営は日本だけでなく国際的な課題として取り組まれています。

8-2 日本の未来にも欠かせない健康経営

健康経営は日本の未来にも大きく関わります。特に、育休の促進や残業の削減は育児のしやすさにつながり、少子化にブレーキをかける可能性があります。経営面で見ても健康経営は重要な役割を担います。具体的には、以下のような点です。

 

  • 離職率を下げ、教育コストが下がる
  • 生産性が上昇し、事業の安定化につながる
  • 健康リスクを改善し、病気休暇を避けられる

 上記のように、生活面、経営面両方にメリットがあるため、日本の未来にとって健康経営は重要です。



9.まとめ



健康経営優良法人に認定されると、企業イメージの向上や融資の金利優遇など多くのメリットが得られます。しかし、評価項目は細かく、社内のリソースが限られた状態で細部まで実施するのは現実的に難しい場面もあるでしょう。

 

健康経営の実施でお悩みの企業様は、株式会社イーウェルの「健康経営推進支援サービス」をご利用ください。

 

健康経営推進支援サービスは「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、健康経営推進業務をサポートするサービスです。多くの知見を保有するコンサルタントが、健康経営のPDCAサイクルの循環までお手伝いします。


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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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