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2024/03/01 (公開:2022/11/11)

メンタルヘルスケアの対策方法とは?企業が行うべき対策を紹介


メンタルヘルスケアの対策方法とは?企業が行うべき対策を紹介

今、企業が推進している健康管理や健康経営の観点から、職場で「メンタルヘルスケア対策」(メンタルヘルス対策とも言います)に取り組み、改善することは、喫緊の課題になっています。しかしながら、「メンタルヘルスケア」の対策は多岐に渡ることや個別性が高いこともあり、効果にむすびつけるのは、難しいと思われている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、定義から企業の取り組み事例まで、メンタルヘルスケア対策の理解を深めるために読み解いていきます。

 

         

1.メンタルヘルスケア対策とは?



まず言葉の定義を確認しましょう。


メンタルヘルスとは


メンタルは英語で「精神的な」、ヘルスは「健康」という意味ですから、直訳すると「心の健康」ということになります。

「メンタルヘルス」とつなげて使われる場合は、「心の健康」の中に、精神疾患からの回復だけではなく、社会・職場・家庭等の環境に適応できているか、いきいきと仕事ができているかといったポジティブな部分も含めた意味合いを含んで使われます。


メンタルヘルスケアとは


「メンタルヘルスケア」とは、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践することをいう、とされています。(厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」より)

 

※引用元:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳


メンタルヘルスケア対策とは


では肝心の「メンタルヘルスケア対策」とはどういう意味でしょうか?

厚生労働省の「職場の安全を応援する情報発信サイト 職場のあんぜんサイト 」では、「メンタルヘルス対策」を、次のように定義しています。

「事業場におけるメンタルヘルス対策とは、心の健康に関する一次予防(「積極的な健康の保持増進=ヘルス・プロモーション」及び「仕事による健康障害の防止=ヘルス・プロテクション」という2つの概念を含む)、二次予防(健康不全の早期発見、早期対処)、三次予防(再発・再燃の防止ですが、ここでは職場復帰支援対策を含む)を含む広範な概念です。」

※出典元:厚生労働省「職場の安全を応援する情報発信サイト 職場のあんぜんサイト

 

つまり、メンタルヘルスケア対策とは、心の健康に関する3つの段階(一次予防、二次予防、三次予防)を広く行い、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような対策を進めること、と定義できます。

 

              

2.メンタルヘルスケアにおける「3つの段階」



メンタルヘルスケア対策を定義したところで、次にその中に含まれる3つの段階をくわしく見ていきましょう。

          

2-1 一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止

メンタルヘルス不調者を出さないよう、予防する取り組みです。

一次予防には、「積極的な健康の保持増進=ヘルス・プロモーション」および「仕事による健康障害の防止=ヘルス・プロテクション」という2つの概念を含むとされています。

 

具体的には、社員によるセルフケアや管理監督者によるラインケアのための研修、ストレスチェック、組織に向けたコンサルテーション、職場環境改善、ハラスメント窓口の設置などを行います。

        

2-2 二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対処

二次予防は健康不全の早期発見、早期対処です。

先んじて不調やその兆しにつき発見し対処することがこれにあたります。具体的には、定期健康診断、相談窓口の設定と対応(電話・メール・Web相談、対面カウンセリング等)、定期健康診断の問診、長時間労働者の面接相談などを行います。 

          

2-3 三次予防:メンタルヘルス不調者の職場復帰の支援

三次予防は、再発・再燃の防止と職場復帰支援対策です。

起こってしまったメンタルヘルス不調に対し、休職の長期化予防や復帰後の職場再適応のために必要な働きかけを行う(休職、復職支援など)ことになります。

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3.企業が行うべき4つのケア

ではここで改めて、メンタルヘルスケアを企業で対策すべき理由について確認しましょう。

厚生労働省は平成18年3月に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を定め、職場におけるメンタルヘルス対策を推進するよう呼びかけました。

 

目標として「メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする。」としていましたが、令和2年の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は61.4%となっており、毎年若干増加はしているものの、目標にはまだまだ遠く、取り組んでいない企業が全体の4割近くも存在します。

 

厚生労働省がメンタルヘルス対策の推進を呼びかけた背景には、近年、経済・産業構造が変化する中で、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合が高くなっており、業務による心理的負荷を原因とした労災(精神障害や自殺等)も増加していることがありました。

 

国、事業者、労働者をはじめとする関係者が一体となって、総合的かつ計画的に労働者の安全と健康を守り、労働災害防止対策に取り組むことが、社会的にも求められているのです。

 

そして、厚生労働省では、前出の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、具体的な施策として、「4つのケア」をあげています。「4つのケア」は、「セルフケア」「ラインによるケア」「産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。この「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要とされています。

 

ひとつずつ内容を確認していきましょう。



          

3-1 セルフケア

労働者が自分自身で行うことができるケアのことです。ここでいう労働者には、管理監督者も含まれます。

具体的にはストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解をし、ストレスチェックなどを活用したストレスへの気付きや対処を労働者自身で行います。
事業者は労働者に対して、セルフケアが行えるように教育研修、情報提供を行うなどの支援をすることが求められます。 

            

3-2 ラインによるケア

日常的に労働者に接している職場の管理監督者が、その部下に対して行うケアのことです。

 

  • 職場環境等の把握・改善(「いつもと違う」部下の把握と対応)、
  • 労働者からの相談対応(部下の話を積極的に傾聴する)、
  • 職場復帰における支援(復職者の気持ちを受け止め、職場内の緊張を軽減する)

 

などを行います。

事業者には、管理監督者が労働者に適切な対応ができるよう、産業医に相談できる仕組みづくり、部下の話を聴く技術を習得する機会を与える、職場の風土や雰囲気の醸成などに取り組むことが求められます。

   

3-3 産業保健スタッフ等によるるケア

事業場の産業医、保健師や人事労務管理スタッフ等の産業保健スタッフが行うケアです。

 

労働者及び管理監督者に対する各種支援を行うとともに、具体的にメンタルヘルスケア実施に関する企画の立案、健康情報(個人情報)の取扱い、事業場外の資源とのネットワーク形成やその窓口業務、職場復帰における支援などで、中心的役割を担います。

 

産業保健スタッフには、産業医、衛生管理者、保健師、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ、事業場内メンタルヘルス推進担当者などが該当します。

   

3-4 事業場外資源によるケア

事業場内にとどまらず、外部専門機関や専門家を活用し、その支援を受けることによるケアです。

情報提供や助言を受けるサービス等の活用、ネットワークの形成、職場復帰における支援などがこれにあたります。

 

産業保健総合支援センターや外部EAP(従業員支援プログラム)などはこの事業場外資源です。

        

4.メンタルヘルスに有効な4つの取り組み

前章で説明した 「4つのケア」 が適切に実施されるよう、厚生労働省 独立行政労働者健康安全機構より公開された指針では、具体的な進め方として、事業場内の関係者が相互に連携し、次の4つの取り組みを積極的に推進することを推奨しています。



※出典元:厚生労働省 独立行政労働者健康安全機構

 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」8ページ (メンタルヘルスケアの具体的進め方)

          

4-1 取り組み① メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供

労働者、管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等に対し、それぞれの職務に応じた教育研修・情報提供を実施することで、取り組みを進めます。

事業場内の教育研修担当者を計画的に養成することも有効とされます。

           

4-2 取り組み② 職場環境等の把握と改善

労働者の心の健康は様々な要因から影響があることから(下図参照)、日常の職場管理や労働者からの意見聴取の結果やストレスチェック制度を活用することで、職場環境等を評価し問題点を把握することが有効です。また、問題点の把握後はその改善を図りましょう。



※出典元:厚生労働省 独立行政労働者健康安全機構 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 9ページ

           

4-3 取り組み③メンタルヘルス不調への気付きと対応

本来的にはストレス要因の除去又は軽減などの予防策が重要ですが、万一メンタルヘルス不調に陥る労働者が発生した場合には、その早期発見と適切な対応を図ることが必要となります。

このため、次の3項目に関する体制を整備しましょう。

 

  • 労働者による自発的な相談とセルフチェック
  • 管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応
  • 労働者の家族による気付きや支援 等 

また、体制構築の際には、労働者の個人情報の保護に十分留意してください。

          

4-4 取り組み④職場復帰における支援

メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするために、衛生委員会等において調査審議し、職場復帰支援プログラムを策定することが必要です。また実施に関する体制整備や、プログラムの組織的かつ継続的な実施による、労働者に対する支援を実施しましょう。



5.メンタルヘルスケアに取り組むメリット



ここまで、メンタルヘルスケア対策の内容や進め方を見てきました。でも、取り組む内容も盛りだくさんで、どこからどのように進めればよいか悩まれている人事の方も多いかと思います。

しかし、メンタルヘルスケアに取り組むことで、企業にも労働者にもメリットがあります。

では取り組むことでどのようなメリットが生じるのでしょうか。

          

5-1 企業側のメリット

まず、企業がメンタルヘルスケアに取り組んだ際の、3つのメリットを解説します。

 
①採用力が強化できる

 

「メンタルヘルスケア対策の実施に積極的に取り組んでいる、働きやすい環境づくり」をアピールすることで、労働者にとっての魅力を発信することができます。休職や離職の防止と合わせ、メンタルヘルスケア対策の推進を採用力の強化につなげることは十分可能です。

 

さらに採用した後も、メンタルヘルス不調者を少なくすることは、持続的な労働力の確保に欠かせません。メンタルヘルス不調者が多い職場で働き続けたいかどうかを考えれば、不調者を少なくする取り組みは、その事業所全体の休職・離職防止に役立ちます。

 

②ハラスメントが防止できる

 

間接的ではありますが、メンタルヘルスケア対策が推進されている職場は働きやすく、風通しがいいため、ハラスメントの防止効果につながります。

 

昨今職場の大きな問題となっているハラスメント、特にパワハラは、防止・改善措置を命じられたり、不作為責任が問われたりするなど、企業の責任問題も発生します。もちろん「パワハラで問題になった企業」などの評判が、企業活動にとってマイナスであることは明らかです。

 

ラインによるケアでは、「いつもと違う」部下の把握と対応、部下の話を積極的に傾聴するなどの対応を管理監督者が適切に行うよう支援することを求めており、リスクマネジメントの観点からも、パワハラ防止の対応と合わせ実施することが求められます。

ホワイト企業の認定に資する


職場環境が良好な企業は、「一般財団法人 日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)」より、ホワイト企業として認定を受けることができます。ホワイト企業は、いわゆる「ブラック企業」の反対のイメージにもなり、認定を受ければ働きやすい企業として、企業イメージや企業価値の向上、投資家へのアピールポイントにもなり、企業PRに活用できます。

ただし、ホワイト企業の認定には、メンタルヘルス対策の推進を含めた複数の基準を総合的に満たすことが求められますので、メンタルヘルス対策を行ったから即認定されるものではないことに注意が必要です。

この章ではメリットとして大きいと考えられるものをあげましたが、逆に企業のデメリットとしては、多岐に渡るメンタルヘルス対策に人的、金銭的、時間的な負担がかかることがあります。

今まで述べてきた対策をきめ細かく行うことは、日本で多い中小企業において、リソースが少ないなどの体質上、どうしても負担になることは否めません。但し、限られたリソースの中でも、少しずつでも対策を進めることが重要となってきます。

           

5-2 労働者のメリット

労働者としては、当然のことながら、まず 第一義的に「メンタルヘルス不調にならないこと」自体がメリットです。心に悩み、不安など不調がない状態で、仕事へのモチベーションをもって元気に仕事ができる、これは労働者にとってメリット以外の何物でもありませんね。

 

その他、長期休業や離職による生活不安の解消、パワハラ等のハラスメント防止、集中力や注意力の低下による事故・トラブルの回避、セルフケアの技術向上による自己防御力アップなど、積極的に行って労働者のデメリットになること自体ほとんどない(一部業務が煩雑になる、等はあるかもしれませんが)と言えます。

 

また、企業側から見た場合にも、メンタルヘルス不調の労働者を抱えていないということは、生産性の低下防止でもあり、結果的に企業にもメリットがあります。


        

6.メンタルヘルスケアの企業への導入事例

メンタルヘルスケアへの取り組みは、様々なメリットがあることをご理解できたことと思います。

本章ではメンタルヘルスケアに実際に取り組んでいる企業事例をご紹介します。

          

6-1 事例① ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社は、一次予防としてメンタルヘルス不調者を出さないよう、予防する取り組みをしています。

 

A.定期健康診断結果を基に、「健康管理室」による労働者全員への面談を毎年実施し、相談対応を習慣化した。

 

B.ストレスチェック制度内容を、実施前に全社員に対して丁寧に説明。個人情報保護の観点から、個人結果へ関与できる範囲を明確にし、対応する体制を“見える化”することで、社員が安心して受検できるようにした。結果として高い受検率となった。

 

C.職場環境改善活動は、経営幹部がその必要性を理解することが重要であると位置付けた。会社側が設備・食・リラクゼーション等の環境を整備したり、イベントなど様々な仕掛けを織り交ぜたりすることで、効果を高めた。

 

※出典元:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」

https://kokoro.mhlw.go.jp/case/company/cmp042/

           

6-2 事例② 株式会社明電舎沼津事業所

株式会社明電舎は、二次予防としてメンタルヘルス不調の早期発見と、適切な早期対処の取り組みをしています。

 

A.メンタルヘルス対策を含む健康経営の取組みをISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)の一環として位置付け、ISO45001目標の中に、“安全衛生目標”、“健康経営目標(スマートチャレンジ明電5)”、 “心の健康づくり計画”の3つを盛り込んだ。目標に対しPDCAサイクルをまわすことにより、取組みの実効性を高めた。

 
B.“健康経営目標(スマートチャレンジ明電5)” について、5つの取組みを具体的に定めて分科会を設置した。分科会メンバーがそれぞれの得意分野を活かして目標に取り組み、前向きな活動につなげて達成した。

 

C.従業員の視点に立って、ストレスチェックのツールや情報提供の仕方を改善した。ツールを見やすく、スマホ等でも対応できるよう改修し受検率をアップさせた。さらに面接指導の流れや相談内容の秘密が守られることなどを周知徹底することで実施率の改善につなげた。

 

※出典元:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」

https://kokoro.mhlw.go.jp/case/company/cmp093/

6-3 事例③ 株式会社日立ソリューションズ東日本


株式会社日立ソリューションズ東日本は、三次予防としてメンタルヘルス不調者の再発・再燃の防止と、職場復帰支援対策に取り組んでいます。

 

A.定期的に実施するメンタルヘルス研修を、全員が受講できるように取り組んだ。メンタルヘルスに関する情報を提供し、社員の意識改革を行い、メンタルヘルス不調の未然予防、早期発見の意識を高め、誰もが相談しやすい環境を作った。

 

B.休業中のサポートを、基本は外部EAP機関に任せつつも、月1回の休業者カウンセリング結果を社内保健師が人事労務スタッフ、上司、産業医等の関係者へ密に報告する仕組みとした。休業中の状況確認を適宜把握できるようにしている。

 

C.休業者が過去の問題点を思い起こす”ふり返り”作業を外部カウンセラーによる面談で実施した。休業中に今後の方向性やキャリアについてしっかり考え、再休業防止につなげた。

 

※出典元:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」

https://kokoro.mhlw.go.jp/case/company/cmp028/



        

7.企業がメンタルヘルスケアを導入する際の注意点



企業がメンタルヘルスケアに取り組むことは、様々なメリットや効果がありますが、検討段階できちんと注意・認識をしておかなければならないこともいくつかあります。従業員全員が心身ともに安心・安全に働くためには、これらの注意事項全てに配慮して、導入することが重要です。

              

7-1 注意点① メンタルヘルスに関する個人情報の保護への配慮

メンタルヘルスケアを進めるにあたっては、プライバシーの十分配慮する必要があります。個人情報の中でも、健康情報を含む情報は機微性が高いものとされており、その保護には極めて慎重に配慮する必要があります。

 

企業は、健康情報を含む労働者の個人情報や、ストレスチェックにおける情報の取扱いについて、個人情報保護に関する法律及び関連する指針等を遵守し、労働者の個人情報の適切な取扱いを行うことが重要です。

              

7-2 注意点② メンタルヘルス不調に関する情報を理由とした不利益な取扱いの防止

企業が、ストレスチェックや相談窓口等を通じて把握した労働者の心の健康に関する情報は、その労働者の健康確保に必要な範囲でのみ利用されるべきものです。その範囲を超えて、企業がその労働者に対して当該情報に基づいた不利益な取扱いをすることは、一般的に合理的なものとはいえず、事業者は以下のような取扱いを行ってはならないとされています。

 

  1. 解雇すること
  2. (期間を定めて雇用される者について)契約の更新をしないこと
  3. 退職勧奨を行うこと
  4. 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更を命じること
  5. その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること

また、メンタルヘルス不調を把握する過程において、以下の行為も禁止されています。

 

  • ストレスチェックを受けない労働者について、これを理由に不利益な取扱いをすること
  • ストレスチェックの結果、面接指導が必要とされた労働者が、面接指導の申出を行わないことを理由に不利益な取扱いをすること 

さらに、派遣先事業者による派遣労働者に対する不利益な取扱いについても、労働者の心の健康に関する情報に基づいた派遣労働者の変更など、一般的に合理的とはいえないものは行えないことになっています。

              

7-3 注意点③ストレスチェックの集団分析結果の取扱い

労働者個人のストレスチェックの受検の有無や結果に基づいて、不利益な取扱いをすることは禁止されていますが、ストレスチェックの集団分析についても、不利益な取扱いが生じないように配慮が必要です。

 

個人への不利益取り扱いに比べ、イメージしにくいかもしれませんが、例えば集団分析の結果について、管理職のマネジメント能力を査定したり、平均点の高低により部署全体の評価を下げるような行為がこれに当たります。集団分析は職場改善のために行うものであるという原則をしっかりと押さえておく必要があります。



8.まとめ

メンタルヘルスケア対策については、企業毎に、様々な段階、また手法があり、「難しい」「全部やるなんてとても難しい」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかしながら、「5.メンタルヘルスケアに取り組むメリット」で述べたように、これから人材不足が深刻となっていく中で、メンタルヘルス不調で休職・離職する労働者を減らすことは、デメリットをしのぐ大きなメリットとなります。

いきなり全ての施策を行うことが難しくても、まずは早期発見、予防のための現状把握から、進めてみてはいかがでしょうか。

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

   


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