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2024/03/01 (公開:2021/10/26)

【2023年度版】福利厚生の種類と最近のトレンドについて


【2023年度版】福利厚生の種類と最近のトレンドについて

これまでは、就活生にとって、「あったらいいな」程度だった福利厚生。それが今や、会社選びにおいて最も重視されていることから、採用戦略上、根本的な見直しや新規導入を検討する企業が増えているようです。法で定められた、どの企業で働く人にも必ず享受できる福利厚生や企業独自の福利厚生など、福利厚生の範囲はさまざまですが、いずれも働くうえで欠かせないものになりつつあります。

本記事では、昔からありながらも進化し続ける、福利厚生制度のトレンドをご紹介いたします。

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1.そもそも福利厚生とは?



皆さんは「福利厚生」という言葉を、きちんと人に説明できますか。企業で働いている方などは、普段当たり前のように使用していても、範囲の大きな言葉なので、いざ説明しようとしても難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。本章では福利厚生の本質を見直す意味で、目的と対象者について解説します。

1-1  福利厚生の目的

言葉の意味として「福利は幸福と利益」、「厚生は人々の生活を健康で豊かなものにすること」で、一般的に「福利厚生」とは「企業が従業員やその家族が、みな幸福かつ健康的で豊かな生活を送るためのもの」とされています。

 

よって、企業が福利厚生を導入する目的は、給与などの労働対価とは別に、従業員や家族が安心して働きやすい環境を整え、従業員のQQLのさらなる向上を目的とするものです。たとえば自己啓発制度の強化などが、従業員のやる気やスキル向上へと繋がり、多くの優秀な人材を確保できるようになります。また、家賃補助のように社員の家族全員が恩恵を受け、安心した生活を保障することにより、離職率低下にも寄与できます。

 

福利厚生により従業員への支援を強化することは、企業にとって「福利厚生が充実した会社」として評判になり、社会的信用を高めることができます。さらに新卒採用や中途採用の際に、優秀な人材を確保しやすくなるなどのメリットも生まれます。


1-2  福利厚生の対象者


福利厚生の対象者は正社員だけに限らず、アルバイトやパートタイマー、有期雇用の労働者、派遣労働者などの非正規社員すべてが福利厚生の対象に含まれます。これは、2020年4月1日より施行の「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」が背景となっています。

 

この「パートタイム・有期雇用労働法」では、正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差が禁止されています。その中の「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要③では、パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する「福利厚生・教育訓練」について、次のように指針を定めています。

①食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の 転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を行わなければならない。

②病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。

③法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤続期間に応じて認めているものについては、同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければならない。特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価することを要する。 
       
④教育訓練であって、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、同一の職務内容であれば同一の違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

引用元:厚生労働省「同一労働同一賃金に関する改正の概要」


2.最新の福利厚生トレンドとは



日本での福利厚生の始まりは実は非常に古く、その歴史は明治時代にまで遡ります。明治時代といえば、維新から戦争、帝国憲法発布と激動の時代。当時 軍需産業がさかんだった日本では、多くの働く人が紡績・製鉄といった工業に従事するようになりました。資本主義が確立され、農業中心だった働き方から、「働いて、賃金を得る」という出稼型に変化していった時代背景があります。

ただその中で、当時の給与水準や労働環境では、労働者は高い生活水準を維持できていたとは言い難く、急な環境変化の中、苦しい暮らしを強いられていたのは言うまでもありません。

そこで経営者は、納屋(現代でいう社宅や独身寮)や日用品の提供といった、働く人が日常最低限の暮らしを送ることができるような取り組みを始めます。これが現代における福利厚生制度の起源であると言われています。
 

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その後、労働者を守るための法律が生まれ、年次有給休暇を代表とする、企業負担が定められた“法定福利”が制度化されると同時に、各企業・組織は差別化を図り、独自の福利厚生として“法定外福利”を充実させようといった動きも一層活発になっていきます。

このように、時代背景に合わせて、福利厚生制度のトレンドも変化していきます。しかし、かつてないほど働き方が多様化した現代社会では、福利厚生制度が設けられていたとしても、以下の要因により、働く人にとって有用性がなくなり、浸透せずに形骸化してしまうのも少なくありません。

  × 働く人のニーズに即していない

  × 万人受けするよう制度化されたもの

  × 競合他社も導入していることから、形式的に導入したもの

これらに対して、最新の福利厚生制度には、以下のようなことが重要視されるようになっています。

  ○ 自分にとって必要な福利厚生制度を選ぶことができる

  ○ 制度の選択肢が非常に多く、充実している

  ○ 制度自体を使いやすい環境が整っている



3.福利厚生を導入するメリット



福利厚生の正しい意味や目的を理解できたでしょうか。続いて福利厚生には具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。

 

3-1  採用力の向上


福利厚生制度は給与だけでなく、会社が従業員のことをどれだけ気にかけ、大事にしているかを計るバロメーターとも言えます。よって企業としては、自社の福利厚生を就活生や転職希望者が好みそうな制度に整え、従業員を大事にしている会社であることをアピールすることで、良い評判が広がり、採用コストを抑えながらも、求職者が増加し、効率的に優秀な人材を採用しやすくなります。

 

株式会社マイナビ「23年卒 就職モニター調査8月」の調査結果によると、「企業情報を見るとき福利厚生についてチェックすることはあったか」の質問に対し、「よくあった」は55.0%(前年比0.8pt増)で、多くの学生がチェックしていました。チェックするときに注目したポイントでは「家賃補助(66.8%、前年比2.5pt増)」「社宅・社員寮(46.4%、前年比0.4pt減)」「通勤交通費の支給(43.2%、前年比2.7pt増)」などが高い割合でした。


企業情報を見るときに、福利厚生についてチェックすることはあったか




引用元:マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査「8月の活動状況」


 

3-2  従業員満足度・エンゲージメントの向上


福利厚生を充実させ、休暇も取りやすく働きやすい環境を与えてくれる企業で働く従業員は、ワーク・ライフ・バランスも整い、自社に対する満足度やエンゲージメントが向上する傾向にあります。特に健康に配慮したり、育児・介護に追われる従業員に対する施策を実行したりしてくれる企業などは、社内外双方からの信頼度も高まります。

よって、福利厚生制度の充実と従業員が業務に集中できる環境を作ることは、企業から従業員に向けた大きなメッセージとなります。それにより従業員の愛社精神も育み、モチベーションアップとなり、結果的に会社の成長にもつながっていきます。

 

3-3  労働生産性の向上


一般的にブラック企業と言われるような劣悪な環境で、休日も少なく長時間働くことは、業務効率が低下し、生産性向上には結びつきません。逆に居心地の良いオフィスで、適度に有給休暇も取得でき、仕事の後は福利厚生の英会話や習い事に通い、休日も福利厚生を利用して、旅行やレジャー、スポーツなどで気分転換ができる状態だと、従業員は日々健全な生活を送ることができるようになります。

 

そうすることで従業員は心身ともに充実した状態となり、仕事にも張り合いが出てきて、労働生産性も向上し、結果的に企業の業績アップにも貢献できるようになります。

 

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3-4  従業員の定着率の向上


前述の通り、福利厚生を充実することにより、従業員は自社に対してエンゲージメントが向上し、愛社精神も高まります。そうなると、従業員はずっとこの会社で働きたいという気持ちになり、定着率アップにつながることとなります。

 

現在、日本の中小企業などでは人手不足が問題となっており、従業員の退職は大きな痛手となります。そこで、福利厚生を充実させ従業員とその家族が健やかでイキイキとした生活を送ることができるような施策を打つことで、人材の確保や定着も可能となります。繰り返される採用コストを考えれば、従業員に喜んでもらえるためにコストをかけた方が、会社の発展につながるのではないでしょうか。


 

3-5  企業イメージ・信頼性の向上


これまで説明してきたように、企業が福利厚生を充実させるということは、企業が安定的な経営を構築していることを裏付けているとも言えます。さらに従業員の人生がより良いものとなるために、福利厚生を重要視している企業は、「従業員を大切にする会社」という印象を与え、安定的で信頼できる企業というように、イメージアップに繋がるようになります。

 

3-6  節税効果


福利厚生にかかる費用は、一定の条件を満たして「福利厚生費」と認められれば、非課税対象の「経費」となり法人税の節税となることもあります。ただし、福利厚生にかかった費用を「福利厚生費」と認めてもらうには、以下3点の条件を満たさなければなりません。

 

  •  社内規定が整備されていること
  •  従業員全体が対象となっていること
  •  支出金額が、社会通念上妥当な範囲であること

 福利厚生を新しく導入する際は、「これは福利厚生費だろう」などとの思い込みで社内判断はせず、管轄の税務署に相談にいくことをお勧めします。勝手な判断により「福利厚生費」とは認められず、追徴課税になる可能性もあるため、予めしっかり調べることが重要です。



4.福利厚生を導入するデメリット・注意点



福利厚生というと良いことが多く、悪いことはあまりないように思われますが、企業にとってはデメリットも多くあるようです。これらのデメリットを一つずつ解決していくことで、企業も従業員も双方で満足できる制度となっていくことでしょう。本章では福利厚生の具体的なデメリットを見ていきます。

 

4-1  費用負担が大きい


まず、福利厚生を充実させるためにはコストがかかるというデメリットがあります。一般社団法人 日本経済団体連合会の「第64回 福利厚生費調査結果報告(2020年12月18日)」によると、2019年の福利厚生費は、全産業平均で108,517円(従業員1人1ヵ月当たり)という結果となっています。内訳は以下の通りです。

 

  • 法定福利費:  84,392 円
  • 法定外福利費: 24,125 円

 特に法定福利費に含まれる厚生年金保険料や健康保険料などは、従業員の所得が上がると企業の負担額も増加してしまいます。法定福利の費用は企業としては削減できないため、任意で導入している法定外福利を見直すしかありません。ただ、法定外福利のコスト削減を進めてしまうと、福利厚生の充実が歪められ、従業員満足度が低下し、会社に対する不満が大きくなってしまうため、バランスをしっかり取ることが重要です。

出典元:一般社団法人 日本経済団体連合会「第64回 福利厚生費調査結果報告」

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4-2  管理の手間がかかる


福利厚生の導入や充実を図るには、準備や運営、管理に手間がかかります。よって運用を社内で内製化するのか、外部業者にアウトソーシングするのかをしっかり検討する必要があります。特に福利厚生を充実させることは、従業員それぞれの環境に応じたメニューを用意することでもあるため、管理業務は多岐にわたり、作業も煩雑になり、担当者の負担は大きくなります。

 

もし社内で運用をする場合は、夏休みの保養所申込みが増えるタイミングや、新入社員が入社する時期や中途採用を増やす時期など、繁忙期と閑散期を予め把握して、それに対処できる体制を整えておくことが必要です。福利厚生を導入する際は、管理に手間がかかることをしっかり認識しておくことが重要です。

現在、福利厚生のパッケージサービスを導入している企業も増加傾向にあるため、導入を検討されている担当者さまは、お気軽にイーウェルにご相談ください。

充実した福利厚生を目指すなら「WELBOX」

介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行やエンターテイメントなど、多彩なメニューがパッケージとなっている福利厚生サービスです。
従業員のライフスタイル・ライフステージに応じて、メニューを選択しご利用いただくことが可能です。

 

4-3  施策の利用率にバラつきが出る


福利厚生を充実させたとしても、従業員それぞれのライフスタイルの違いによって、ほとんど使用されないメニューも少なからずでてきます。すべての従業員のニーズにあった福利厚生を提供することは、実現的に不可能かもしれません。また、福利厚生の設定内容によっては、従業員から企業に対して不満につながることもあり得ます。

 

しかし、社内に育児中の従業員が1人、家族の介護に追われている従業員が1人しかいないという理由で、育児・介護のメニューを廃止してしまっても良いものなのでしょうか。

 

従業員によって生活スタイルや趣味嗜好、年齢、家族と同居か一人暮らしか、夫婦二人暮らしか、子どもが何人いるのかなどにより、従業員それぞれ福利厚生に求めるものが異なってきます。福利厚生のメニューによっては、ほとんど利用されないなどばらつきが出ることもありますが、極力全ての従業員が福利厚生の恩恵を得られる仕組みを目指し、満足される福利厚生を構築していくことが必要です。

 

ただ、このように一人ひとりの利用状況にばらつきがある場合、すべての従業員のニーズに応えることが可能な福利厚生として、「カフェテリアプラン」の導入という方法も注目を浴びています。企業が設定した福利厚生の補助メニューの中から、従業員一人ひとりが好きなものを選んで利用するというものです。従業員が自らメニューを選んで利用し、不公平という声は上がりにくいため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

選択型福利厚生「カフェテリアプラン」

企業が従業員に一定のポイント(補助枠) を付与し、従業員は企業ごとに設計されたメニューの範囲内で自由に選び、 利用できる選択型の福利厚生制度です。

 

4-4  一度導入した施策を中止する場合の注意点


福利厚生制度は一度投入すると廃止・撤廃しづらい面も持っています。企業の業績が良いから導入し、悪くなったから撤廃するということを繰り返していると、従業員の会社に対する信頼度や仕事に対するモチベーションまでもが低下してしまう可能性があります。

 

企業の業績が悪化し、なかなか賃金を上げられない時こそ、多くの従業員から強い要望のある福利厚生メニューだけでも残し、従業員エンゲージメントを維持させ、企業の生産性向上さらには業績アップを目指していくことが重要ではないでしょうか。

もし、どうしても福利厚生を廃止せざるを得ない場合、特に前項で紹介した「カフェテリアプラン」を廃止する場合は、慎重な対応が必要となります。「カフェテリアプラン」による補助施策は、従業員が生活設計の一部に組み込んでしまっている場合が多いためです。廃止が決まった段階で従業員に状況説明のうえ納得してもらい、書面で同意を得る必要があります。その際、代替制度を提示して従業員に与えるインパクトを軽減する取り組みも必要です。


先ずは、それまで導入し従業員に支持されていた福利厚生を廃止・撤廃することは、マイナス面が多いことを認識しておくことが重要です。従業員の中には、福利厚生に興味を感じて入社したという人、自社の福利厚生に満足して会社に愛社精神を持っている人などがいることを念頭におき、軽はずみな制度の廃止は十分に注意した方が良いでしょう。



5.福利厚生の種類は何がある?


福利厚生制度を広い視野で見たとき、逆に多岐にわたりすぎてしまい、カテゴライズが難しくなります。ここではそれを、6分野に分けて記します。「これも福利厚生?」と思ったら、このようにカテゴライズしながら、現行の制度を整理し直してみると良いでしょう。

 

5-1  “休み”の福利厚生


働くうえで誰もが強く意識するのが“休暇制度”ではないでしょうか。土日祝休み、など定められた休日のほかに法律で別途定められているのが“法定休暇”です。

 ◎年次有給休暇:
   雇入日から6か月時点、1年ごとに労働日数に応じて付与

 ◎産前産後休暇:
   産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、産後8週間

 ◎育児休暇:
   子が1歳に達するまで

 ◎介護休暇:
   対象家族が1人の場合5日/年、2人以上の場合10日/年まで

などが法定休暇にあたります。これとは別に、企業により自由に定められる休暇は以下が一例となります。

 ◎慶弔休暇:
   冠婚葬祭といったライフイベントが生じた際に付与する休暇

 ◎リフレッシュ休暇:
   時期を定めて1-2週間といった長くまとまった休暇を取得できる制度

 ◎ボランティア休暇:
   社員のボランティア活動への参加を推進するための制度

 ◎アニバーサリー休暇:
   結婚記念日や誕生日など、記念日に取得できる休暇

これらは、働く人を応援するような企業独自に設けた休暇制度が挙げられます。

社員が働く実情に合わせ、休みやすい環境を作ることは、ライフイベントを理由とする離職を減少させ、人材流出を防ぐことに直結することから、昨今では企業独自の休暇制度の導入が強く求められています。

 

5-2  “健康”の福利厚生


最も当たり前に存在する、誰もがそのメリットを享受できる福利厚生のひとつが“保険”です。法定福利として法に定められたものであり、例として以下が挙げられます。

 ◎社会保険:
   企業と従業員が折半し保険料を納め、医療サービス利用時に支払われる

 ◎厚生年金保険:
   老齢・障害・死亡時に支払われる

 ◎介護保険:
   40歳以上になった時点で強制加入され、介護サービスを要する際に支払われる

 ◎労災保険:
   業務上および通勤途上での傷病・死亡時に支払われる

 ◎雇用保険:
   失業時、育児休業時、介護休業時に支払われる

 

これらも休暇同様、企業によっては次のような保険制度や独自の福利厚生制度を設けるケースが非常に増えています。

 ◎団体保険制度:
   企業側によりまとめて保険加入・諸手続を管理することで、従業員は安く保険に加入することができる

 ◎ヘルスケアサポート:
   産業医による健康相談、健診・受診補助、マッサージ施術補助 など

 ◎社内スポーツ補助:
   社内でスポーツなどのレクリエーションを行った際に生じた費用を負担する制度

従業員の健康を支えることは企業の存続にも直結することから、数ある福利厚生制度の中でも最も根幹をなすもののひとつと言えるでしょう。

 

5-3  “時間”の福利厚生



休暇と同様、働く時間に関する独自の決まり事もまた、求められている福利厚生のひとつととらえることができます。業種・職種によって導入や運用が難しいのが難点ですが、ライフスタイルの多様化に合わせ働き方を見直すことは、生産年齢人口(15-64歳)における労働参加率を増やすことにもつながります。
 

◎短時間勤務制度:
  法定福利のひとつ。3歳に満たない子を養育する際に短時間勤務を認める制度
 

出典元:厚生労働省「育児・介護休業法について」

 
◎フレックスタイム:
  一定期間で定められた総労働時間の範囲内で、始業・終業時刻を自由に選ぶことができる制度

出典元:厚生労働省「変形労働時間制の概要」

 
◎ノー残業デー:
   毎週水曜日 など曜日を決め、定時退社を推奨する制度

◎働く場所の自由度向上:
   テレワーク(在宅勤務)・リモートワークの推奨、およびその環境構築のサポート

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5-4 “お金”の福利厚生


2019年に金融庁が公表した「老後2,000万円問題」は、記事の本質を理解すれば恐れるに足らないものですが、その衝撃的なタイトルが招く表層的な解釈は、世間の不安を非常に煽ることになりました。

将来の資金計画に対する不安感は非常に強くなっています。お金に関する福利厚生は、財形貯蓄をはじめとした、実感の湧きづらい将来に向けたものだけでなく、今に役立つ可処分所得を増やすための福利厚生もまた増えてきています。
 

 ◎企業型確定拠出年金:
   毎月の掛金を企業が全額拠出し、従業員は自由に運用できる

出典元:一般社団法人 投資信託協会「企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?」

 
 ◎社食支援:
   安く食べられる社員食堂を備えるだけでなく、弁当・社食の宅配サービスの利用もまた拡がっています

 ◎家族手当:
   配偶者や子といった扶養者に応じた手当
 
 ◎通勤手当:
   通勤に係る公共交通機関利用料、またはガソリン代相当額に対する手当

ここで留意したいのは、通勤手当、家賃補助などは「法定外福利」であるということ。当たり前であるように思えますが、内容によっては大きなPRポイントになり得るポイントです。その他施策についても、可処分所得に対し最も影響の大きい“お金”の福利厚生は、従業員満足度を高めやすいものが多いため、これを機に働く人にとって「使いやすく」、また「知ってもらう」ための見直しをしてみても良いかもしれません。

 

5-5  “買い物”の福利厚生


日常的な購買活動に対して、「ポイントが多く貯まる」「安く購入することができる」といった、分かりやすい特典も立派な福利厚生制度として見過ごせません。その特性上、メーカーや小売業に多く見られ、求人票にも「社販」「社割」といったワードが目を惹きます。

 ◎宿泊施設利用補助:関連企業やグループ企業の運営する宿泊サービスを格安で利用する
 ◎ポイント補助:特定のECサイトを利用する際、ポイントが多く貯まる
 ◎食事補助:飲食店などで多く提供される、いわゆる“まかない”

企業独自色を出しやすい反面、その企業や店舗に属したものだけが対象になりがちなため、他業種が取り入れにくいと思われますが、福利厚生のアウトソーシングサービス/パッケージ型福利厚生サービスの登場により、その固定概念も変わり始めています。

5-6  “自分への投資”の福利厚生


人生100年時代といわれる現代、“終身雇用”から“終身成長”へと、事業主も働く人も価値観が変わりつつあります。その中で、“学びたい人が学べる環境”を準備するための制度もまた、福利厚生の役割です。人材を育てるために設けられた制度は、以下のようなものがあります。

 ◎資格取得支援補助:
   試験の受験費、講習の受講費などを補助
 
 ◎図書購入補助:
   自己啓発書やビジネスブックなどの購入を補助
 
 ◎研修参加補助:
   管理職のマネジメント力向上講習など、今後の人材育成に必要と思われる講習の受講費を補助

企業にとって、優秀な人材の育成は目下の課題。特定の人材に対し研修を充実させることも大切ですが、誰もが自由に学ぶことができる環境を整えることもまた、今後の組織成長にとっては重要な要素であることは言うまでもありません。


6.福利厚生のトレンド



多種多様で驚くような制度が多く導入される中、今後 導入を検討するうえで重要となる、制度の傾向を分析していきます。


6-1 “ハコモノ”からの変化


福利厚生は今や、企業独自の商材や強みが無いと実現できないものではありません。かつては企業や組織の持つスケールメリットを活かそうと、“ハコモノ”と呼ばれる社宅/社員寮・保養所/宿泊施設・社員食堂などの利用権は、特権として運用かつPRに用いられてきました。

その背景からか、先入観から「当社では実現しづらい」と敬遠されていたハコモノですが、これをサービスとして利用できるとするならば、より自由度が向上します。

つまり、福利厚生のソフト化です。「形作られた施設利用権を自社で設けずとも、サービスとして利用できるよう準備を整える」、そんな福利厚生の“新しいカタチ”は、働き方やニーズの多様化した昨今、今後さらに拡大していく市場であることに間違いはありません。

 

6-2 働き方改革促進のための要素として


福利厚生制度は、働き方改革に必要な要素のひとつ。休める仕組みをつくることと同時に、プライベートの時間を充実させるための制度の構築もまた欠かせません。この両立こそが、働き方改革およびワークライフバランスの充実に直結すると言っても過言ではありません。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、以下のようなトレンドが見られます。

 ・テレワーク/リモートワークの導入

 ・自宅で過ごす時間の増加

 ・フードデリバリー、EC事業の拡大

出典元:経済産業省「消費動向に見る、withコロナのトレンド」

 

働き方や休み方が大きく変わる中、企業はそのライフスタイルを下支えするための施策を講じることができれば、なお時代に即した“働き方改革促進”につなげられるでしょう。分かりやすい例として、在宅勤務に応じた手当や給付金、商品券の付与などを制度として用意する企業が増えているようです。自らその使い道を選ぶことができれば、なお活用の幅が広がりますね。

 

6-3  組織にとっても、働く人にとっても


福利厚生は、以前のような「ハコモノ」から、「ヒトモノ」へ変わってきています。

人の成長を支援するという人材育成は組織にとって重要なテーマです。人材が自らスキルを身に着けようとする環境があれば、それは組織にとって非常に大きな強みとなりますし、今後成長を続けるためには必須ともいえる事項でもあります。

また、一律に押し付ける教育制度や福利厚生制度ではなく、働き方も働き手も多様化(=ダイバーシティ化)している昨今、企業には幅広い分野でのサービスの提供が求められています。

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e-ラーニングや集合研修だけでなく、通信教育や図書購入補助など、求められるニーズと必要とされる内容を取捨選択し組み合わせながら、最大限の効果を得られる環境づくりを行うことが、組織にとっても、働く人にとっても、最高のパフォーマンスを発揮するためには必要です。


 

7.まとめ



福利厚生には、日本の労働と深い関わりがあります。時代の移り変わりとともに働き方の変化も大きく変化している中、福利厚生のトレンドも大きく変わってきています。

 ①    ハード型からソフト型へ(同時に 自社運営からアウトソーシングへ)

 ②     従業員の働き方の変化に合わせて、それを支える制度を随時導入していく

 ③   
人材育成や組織成長に必要な支援や制度に必要なサービスを提供する

この3点を総合的に実現できる福利厚生制度を検討し、積極的に導入することが、企業のバリュー向上につながります。もちろん、自社内単独での実現がコスト・労力から難しいこともまた事実であることから、福利厚生のアウトソーシングを検討する企業も増えています。ライフスタイルやニーズに合致したサービスを提供することにより、働く人も組織も最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整える姿勢が、これからの福利厚生制度に求められていると言えるでしょう。


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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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