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2024/01/12 (公開:2021/07/05)

コラボヘルスとは?健康経営とのつながりや導入のメリット・デメリットを解説


コラボヘルスとは?健康経営とのつながりや導入のメリット・デメリットを解説

コラボヘルスとは、企業と健康保険組合が協力して、従業員(健康保険組合にとっては組合員)とその家族の健康状態の維持向上を目指す取り組みのことを示します。超高齢社会の到来に際し、高齢者のみならず現役世代からの健康の維持増進が、国としての重要な課題となっております。

 

企業が従業員の健康増進を経営の重要課題として推進する「健康経営」、健康保険組合が健康データを元に組合員の維持増進を図る「データヘルス計画」といった2つの動きを、企業と健康保険組合が同じデータと施策を共有して推進することがコラボヘルスの意義となります。
 

         

1.コラボヘルス概要

コラボヘルスとは、従業員とその家族が健康であり続けられるために、健康保険組合と企業(事業主)が積極的に協力・連携し、疾病予防・健康づくりを効果的・効率的に実行することです。コラボヘルスを実践するには、健康保険組合、企業、従業員の3者の協力が必要不可欠となるのです。

 

厚生労働省は平成27年より、保険事業者を対象に健康医療情報の電子データの分析を利用した「データヘルス」を推進してきました。そして平成29年には「未来投資戦略2017」が閣議決定され、「保険者のデータヘルスを強化し、企業の健康経営との連携(コラボヘルス)を推進する」と提言しています。これは、個人の健康診断の結果などを、疾病予防や健康増進に有効に安全に活用する健康保険組合と企業の協働関係の期待を表しています。

 

平成29年の厚生労働省保険局による「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」では、健康保険組合などの保険者に対して、次の6点が求められています。

 

  1. 事業主等に対して加入者の健康状況や健康課題を客観的な指標を用いて示すことなどにより、保健事業の必要性についての理解を得るよう努めること
  2. 事業主等に保健事業の内容・実施方法・期待される効果等を事前に十分に説明した上で、保険事業に参加しやすい職場環境を醸成すること
  3. 事業主等から加入者に保健事業への参加勧奨をしてもらうこと等について、事業主の協力が得られるよう努めること
  4. 職場内禁煙等、加入者が健康づくりに自主的に取り組みやすい環境が職場において実現するよう、事業主等に働きかけること
  5. 事業主等と役割分担等を含めて十分な調整を行い、効率的な実施に努めること
  6. 事業主が実施する労働安全衛生法に基づく事業との積極的な連携に努めること

図1 コラボヘルスの意義



※コラボヘルス研究会「企業と健康保険組合の連携を最適化」

https://www.collabo-health.jp/about-us/collabo-health

 

さらに、このコラボヘルスのカギとなるのが、「データ活用」となります。具体的には、健康保険組合と企業が持っている様々なデータを、疾病予防や健康増進を目的に活用することです。ここで用いられるデータとは、個人の健康診断の結果や診療に関するデータ、有給休暇の取得状況や欠勤日数など、企業側が持っている人事労務データなどが考えられます。


             

2.「健康経営」とは?

健康経営とは、従業員の健康を企業経営の重要課題の一つとして、戦略的に取り組む経営手法のことです。

従来、従業員の健康は個人のものとして経営の管理対象からは独立しておりました。しかし、労働人口の減少、従業員の平均年齢の高年齢化、働き方改革などの時代の流れから、従業員の健康増進が企業の業績向上・企業価値向上につながるという考え方を、経営方針の一つとする「健康経営」が注目されています。

 

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2-1 健康関連コストの全体像

図2は、ミシガン大学の研究結果に基づく、ある金融関連連企業における従業員の健康関連コストの全体構造です。直接的なコストである医療費は全体のたった1/4程度しかありません。大部分を占めるのは、プレゼンテ−イズムです。

 

図2 健康関連コスト

※出典元:”Healthy Workforce 2010 and Beyond 2009”

Partnership for Prevention and U.S. Chamber of Commerce

 

≪注釈≫ プレゼンティーイズムとは、従業員が職場に出勤しているものの、何らかの健康問題によって業務の能率が落ちている状況(Presenteeism)を示しています。つまり、企業の側から見れば、間接的ではあるが、健康関連でコストが生じている状態を示しています。これらを改善することが、コスト削減=企業の業績向上につながると言われています。


         

        

2-2 健康経営推進の前提

前項の直接的なコストである医療費だけに注目してその削減を図るのは、「部分最適」であり、企業全体としての健康関連コストの削減の「全体最適」には繋がりません。プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム(健康に起因した理由で欠勤したりすること)などの全体を考えていく必要があります。

 

さらに単なるコスト削減の支店だけではなく、健康増進をはかることで従業員の労働生産性を向上させ、企業の業績や事業価値向上につなげていくことが健康経営の目指すべき姿です。そのため、「従業員」を企業における貴重な「資産」と考えて、従業員の健康に「投資」すると捉えるのが、健康経営の基本の考え方です。 

          

2-3 健康経営の現在

経済産業省は企業における健康経営を推進するため、平成26年より「健康経営銘柄」、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しています。

 

年々、銘柄取得の企業数が増え、5回目の認定となる「健康経営優良法人2021」では、大規模法人部門に1,795法人(上位法人には「ホワイト500」の冠を付加する)が、中小規模法人部門に7,937法人(上位法人には「ブライト500」の冠を付加する)が認定されました。

健康経営は企業価値向上のために、「あったらいいな」から「なくてはならない」にもなりつつあります。

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3.「データヘルス」とは?

「データヘルス」とは、健康保険組合が、組合員の検診結果やレセプトデータ(組合員が医療機関にかかったデータ)を元として分析し、組合員の健康状態に基づいた保健指導や予防・健康づくりを行う活動のことです。

 

この背景は、組合員の健診やレセプトデータの大半が電子化されて分析に使用可能となったことです。

データ分析に基づく保健事業であるデータヘルスを推進することで、健康保険組合がどのような健康支援ができるかを効果の測定と検証により見出していくことが可能となります。

          

3-1 健康保険組合の役割

健康保険組合は、「公法人」として日本人の健康維持の中心的役割を担ってきました。

「公法人」であることは、健康保険組合が組合員だけでなく、社会制度(社会保障、社会連帯)に対して責任を有することを意味しています。したがって、健康保険組合は、保険を給付するだけではなく、保険料の徴収や、高齢者医療への納付金・支援金の支払いの義務を負っています。

 

さらに、平成28年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」では、「健康経営やデータヘルス計画を通じた企業や保険者等による健康・予防に向けた取組を強化する」とされ、特定健康診査や特定保健指導をはじめとした被保険者等の健康の保持増進のための効果的・効率的な保険事業の実施等、保険者機能のより一層の強化が求められています。 

            

3-2 データドリブンでの施策実行

データドリブン(Data Driven)とは、売上データやマーケティングデータ、WEB解析データなど、データに基づいて判断・アクションする事です。今まで、ビジネスにおいて様々なデータに基づいて判断・アクションするということは行われていましたが、近年、医療やヘルスケア業界においても、急速な“データドリブン化”の動きが起きており、大きく注目度が高まっています。

 

データヘルスの運用により、組合員の健診やレセプトデータの大半が電子化され、分析に使用可能となったことで、近い将来にはデータヘルスにおいてもデータドリブン化が進むことが期待されています。日常生活の中で取得できるデータが新たな「予防医療」を可能にし、病気発症後の治療においても、ライフスタイルや環境などのデータが参照されるようになり、さらなる健康支援が可能となっていくことでしょう。

         

3-3 コラボヘルスの推進

厚生労働省が推進する健康保険組合が主体となる「データヘルス」と、経済産業省が推進する企業が主体となる「健康経営」は、省庁の垣根を越えて“車の両輪”として推進してきました。

康保険組合等が実施する「データヘルス」と企業(事業主)が実施する「健康経営」とは、当初から健康保険組合等と企業が一体で取り組むこと(コラボヘルス)が重要視されていました。

         

3-4 コラボヘルスを取り上げる理由

近年、「コラボヘルス」が大きく取り上げられるようになってきた背景として、以下の3点が挙げられます。

(1) 特定健康診査・特定保健指導制度の導入

(2) 保険者機能を発揮するためのインフラ整備

(3) データヘルス推進のために事業主との連携


        

4.コラボヘルス導入から期待できるメリット

コラボヘルスを導入することによって、大きく3つのメリットがあると考えています。

コラボヘルスを導入する前に知っておいた方がいい内容でもありますので是非ご参考にしてください。

まずはどのようなメリットがあるのか解説します。



          

4-1 メリット① 業績アップとブランド価値向上

企業にとっては、従業員の生産性が企業の業績に直結します。従業員が健康でいることで、個々のパフォーマンスを上げることができ、健康に関するコストが削減されます。企業単体・健康保険組合単体での施策で行う以上の効果を、コラボヘルスで実現が可能です。

 

コラボヘルスを取り組んでいることは、従業員の健康や働き方を重視していることであり、企業自体のブランド価値を上げる効果も期待できます。

           

4-2 メリット② 医療費の削減

健康組合にとっては、組合員が属する企業と協力する事で、組合員への指導が容易になります。健康保険組合の最大の課題である医療費の削減効果が見込めることとなります。

           

4-3 メリット③効率的な健康管理の維持

社員にとっては、健康管理がしっかり行われている環境の中で効率的に働けるようになります。会社や組合からの指導によって、効率的に自らの健康を保つことが可能です。


        

5.コラボヘルス導入の際のデメリット(注意点)

コラボヘルスの導入は良いことだけではありません。ここでは導入の際に注意しなければならないこと、デメリット(注意点)を解説しますので、導入に興味を持たれた方は合わせて認識しておいてください。

          

5-1 デメリット① リソースの確保

まだ新しい概念のため、導入し実践していくためにリソースがある程度かかります。

特に別の事業体である企業と健康保険組合の密な連携が必要となるため、担当部門・担当者がコラボヘルス事業に注力する必要があります。

           

5-2 デメリット② データの取り扱い

健康Dataという、個人情報の中でも機微情報のため、データの扱い方に十分な注意が必要となります。個人情報の利用の許諾や高セキュリティ環境下でのデータの取扱など、実行に細心の留意が必要となります。

           

5-3 デメリット③ 検証が必要

まだまだ新しい概念のため、事例や進め方の方法論などが整っていません。

仮説検証を繰り返し、当該企業と健康保険組合にとって最適な道を探っていく覚悟が必要となります。

計画策定から実行の支援まで「データヘルス計画支援サービス」

コラボヘルス研究会をはじめとした分析ノウハウ・施策ノウハウをもって、 分析に基づくソリューションをご提案できます。

6.まとめ

従業員・組合員の健康の維持向上のため、コラボヘルスの取り組みは今後もっとメジャーなものになっていき、また必須なものとなっていきます。

様々なものが電子化されつつある今の時代こそ、コラボヘルスに取り組み、従業員、ひいては日本人の健康度をあげていく必要があります。

 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

    

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