健康経営の取り組み事例についてご紹介 ~成功する秘訣とポイントとは~
健康経営に取り組みをしているが思ったように成果がでない、ということはありませんか。本記事では、健康経営を効果的に推進している企業の成功事例を紹介いたします。
1.健康経営に取り組む目的とは
健康経営とは、従業員の健康が将来的に収益性等を高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することです。
従業員が心身ともに健康的に働けるよう環境を整備することは業務の生産性向上や、医療費の削減、休職・離職率の改善にもつながります。また企業価値やブランドイメージの向上により、株価上昇や採用市場での優位性も見込まれます。
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2.健康経営で得られる効果
健康経営に取り組むことにより、具体的にどのような効果が生まれるのでしょうか。企業にとって健康経営は、コストを費やしてまで導入する意義があるものなのでしょうか。本章では、企業が健康経営をすることにより、得られる効果について解説していきます。
2-1 効果① 企業イメージの向上
企業が健康経営をすると以下の理由から、イメージアップにつながります。
- 従業員の健康維持・推進を経営視点で取り組み、従業員を大事にしている企業だと認知される。
- 「健康経営銘柄」や「健康優良法人制度」に選ばれると、さらに企業のブランド力が高まる。
- 健全な経営をしている企業のイメージが定着すると、企業価値が高まる。
- 健康的な社員が多くなると、既存顧客、さらに取引のない企業からも良い印象を持ってもらえる。
以上のように、健康経営に取り組み、それを継続し続けることは、社会的評価や信頼を高めることができ、宣伝費用をかけなくても、企業の大きなイメージアップと安定的な経営につながることとなります。健康経営への投資は、投資した以上の大きな効果が得られることでしょう。
2-2 効果② 人材の確保
企業が健康経営に取り組み、企業の社会的評価が上がり、世間一般に企業の信頼度が高まると、その企業で働きたいという応募者も増加し、多彩でより優秀な人材をより多く集めることが容易となります。
また、近年は少子高齢化により、労働者人口が減少していることも、企業にとっては大きな課題となっています。それを解消させるためには、採用した人材に長く働いてもらうことも重要であると認識されるようになってきました。
その結果、健康経営を導入することが、健康問題による原因の退職や休職を減少させるという考えが広まり始めたのです。つまり、健康的で働きやすい職場環境への改善を図れば、離職率の低下・定着率の向上に大きくつながり、人材確保の面でも大きなメリットとなるということです。
ただし、労働力不足の日本では、どうしても長時間労働となる傾向が強く、体調不良につながるような劣悪な職場環境では、いつまでも離職率は低下しません。少しずつでも、健康に配慮した環境を整備していけば、従業員は健全に効率的に働くことができるようになっていくことでしょう。それが人材の定着・確保につながっていくこととなります。
2-3 効果③ ワークライフバランスの実現
健康経営が重要視されるようになった背景には、労働環境に対する従業員の意識や価値観が徐々に変化し、給料よりも労働環境の整備などへの取り組みなどが尊重されるようになってきました。近年は、働く人それぞれのライフスタイルや働き方も変化し、企業に対しても、従業員の満足度を高めるために、働きやすい環境を整備していくことが求められるようになってきています。
特に、仕事とプライベートが相互に良い影響を与え合えるような働き方、日常生活が充実することで仕事への意欲も湧く、などというワークライフバランスへの意識を高めることが求められるようになってきています。
ワークライフバランスは、従業員のそれぞれの属性(年齢・性別など)やプライベートに何を求めるかによって異なります。企業も、従業員それぞれが仕事とプライベートのバランスがとれるよう、選択肢を広げてあげることが重要となっています。特に、障害者や高齢者などに対しても、柔軟な働き方を選べるように、企業がワークライフバランスへの意識を高めていくことが重要なカギとなっています。
2-4 効果④ 生産性の向上
誰もが心身ともに健康な状態であってこそ、仕事でも最高のパフォーマンスを発揮し、効率的に業務を遂行できます。企業にとっても、健康な従業員が増えることは、労働生産性が向上するというメリットがあります。
逆に、従業員が体調不良だったり、疾病を抱えていたり、大きなストレスを抱えていると、業務遂行能力や労働生産性が低下してしまいます。企業としてはこのような状況を避けるべく、健康経営に取り組み、従業員の心身の健康を維持・増進し、ストレスや体調不良を減らす努力をしなければ、企業としての発展も見込めなくなります。
企業が健康経営に取り組むことは、従業員の仕事に対するモチベーションがアップし、職場全体の活性化にもつながる好循環が生まれ、最終的に生産性が向上し、企業の業績向上にもつながるのです。
3.健康経営の効果的な進め方
健康経営は企業毎にさまざまな進め方がありますが、効率的に進める方法はあるのでしょうか。企業により直面している課題も異なっているため、これが正解という進め方はありませんが、一般的な取り組み内容を紹介します。
3-1 進め方① 目的を決め、実施するための体制を整備
自社の経営理念や経営方針及び事業計画に基づき、健康経営の目的を決める。
また、健康経営のPDCAサイクルを実施するための社内体制を整える。
健康診断の数値改善も大切ですが、自社の経営理念や経営方針に沿って目的を決めると、企業価値やブランドイメージ向上につながります。
トップダウンで組織体制を整えることも、円滑に健康経営を進める上で大切です。
3-2 進め方② 具体的な取り組み内容を決定
自社の健康課題を確認し、具体的な施策を決定する。
健康診断データやストレスチェックの分析、また、従業員の年齢構成や性別など多角的に分析することで、健康課題が浮かび上がってくる場合もあります。課題を明らかにした上での、課題解決策の立案・実施が必要です。
併せて、取り組みの進捗がわかるような具体的な数値目標(可能であれば中期的に)を決定することが望ましいです。
3-3 進め方③ 成果の確認と見直し
可能な限り定義が明確な数値で成果を確認する。
なお、独自の指標を使う場合は、算出方法を統一する。また同業種・同業界において共通化が可能な指標を用いて成果を確認し、経年変化も示しておくとよいでしょう。
改善されなかった場合においては、原因を可能な限り特定した上で、次のステップへ移行することが望ましいです。
4.イーウェル「健康経営推進支援サービス」の成功事例
本章では、イーウェルの「健康経営推進支援サービス」を導入し、専門コンサルタントのサポートのもと経営課題の解決に向け健康経営を推進し、さらに健康経営優良法人の認定を更新し続けている3社の企業事例を紹介します。今後、健康経営を主軸として経営課題を解決していきたい、健康経営優良法人の認定を目指したい、という企業様の参考としていただければ幸いです。
4-1 事例① A社_従業員のパフォーマンス向上とウェルビーイングにおける課題解決に向けて
素材メーカーであるA社は、従業員への健康投資が企業の長期的な成長につながると考えています。従業員の健康の基盤となる労働安全衛生への取り組みや、健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実施・推進しています。特に以下の3点を重点施策として挙げています。
① 従業員の健康意識向上(啓発、教育)への取り組み
- 健康経営に関する情報発信
- リテラシー向上に向けたセミナー
② 従業員の生活習慣改善(運動、食事、禁煙支援など)への取り組み
- ウォーキングイベントの実施
- 禁煙プログラムの実施
- 特定保健指導の実施
③ メンタルヘルス対策の強化(高ストレス従業員・職場への改善対応など)への取り組み
- ストレスチェック受検への推奨・実施
- 高ストレス者への面談
これらの健康投資の効果として、以下の通り改善傾向にあるという結果となりました。
|
2020年度 |
2022年度 |
改善率 |
運動習慣者比率 |
21.7% |
23.9% |
2.2% 改善 |
ストレスチェック受検率 |
81.9% |
83.2% |
1.3% 改善 |
喫煙率 |
22.6% |
20.8% |
1.8% 改善 |
ハイリスク者の管理(治療継続)率 |
61.5% |
98.5% |
37% 改善 |
平均月間所定外労働時間 |
9時間 |
8時間 |
1時間 改善 |
平均年次有給休暇取得率 |
61.7% |
76.0% |
14.3% 改善 |
最終的な経営課題である「従業員のパフォーマンス向上」と「従業員のウェルビーイング」の実現に向けて、健康経営に取り組み解決していくために、イーウェルもサポートを継続しております。その結果としてA社は「誇りとやりがいのある会社」となり、最終的には、企業価値や生産性の向上へとつながるために、さらなる発展を遂げています。
4-2 事例② B社_組織の活性化における課題解決に向けて
エンジニアリング会社のB社は生活習慣病対策やメンタルヘルス対策等の各種施策への取り組みを強化するとともに、「働き方改革」や「ダイバーシティマネジメント」と連携しながら、「健康経営」の目標達成するために、次の3つの観点からの重点施策を推進しています。
① 職場の健康
- 年間総労働時間のさらなる減少(会社休日の増加)
- 有給休暇取得率のさらなる向上
- フレックスタイム制度の利用促進
② こころの健康
- 産業保健スタッフ拡充による健康相談の利用促進
③ からだの健康
- 運動機会の増進(運動習慣率の向上)
- 喫煙者の減少
- 女性の健康課題に関する各種施策
これらの健康経営の施策により効果検証を行い、以下の通り、取り組み状況に関する指標、意識・行動変容に関する指標、最終的な目標すべてにおいて改善傾向という結果となりました。健康経営の各種施策が健康課題の改善、さらには企業課題の改善に良い影響を与えていることが明確になりました。
|
2019年度 |
2022年度 |
改善率 |
運動習慣率 |
21.1% |
26.1% |
5.0% 改善 |
適正体重維持者率 |
54.0% |
59.1% |
5.1% 改善 |
プレゼンティーイズム |
67,142円 |
42,880円 |
24,262円 改善 |
ワークエンゲージメント |
24.2点 |
24.9点 |
0.7点 改善 |
経営環境が厳しい中、組織の活性化は企業成長に欠かかせないものと認識し、フィジカル面・メンタル面の両面で健康な社員がいてこそ実現できるものと考えているB社にとって、イーウェルの健康経営支援サービスは、なくてはならないファクターとなっています。
4-3 事例③ C社_生産性向上や組織の活性化における課題解決に向けて
汎用機械器具の製造や販売などを行うC社は、企業の発展には一人ひとりの『生産性向上』と『組織の活性化』が重要であるとし、その基盤は従業員が健康であることと考えています。そのため、健康維持・増進に対する取り組みにチャレンジしやすい風土と環境を作り上げ、働くすべての人が健康意識を持ち、笑顔でイキイキと輝くことを目標としています。その目標に向け、次の重点施策を推進しています。
①食事支援:健康に配慮した食事、朝食促進
②飲酒:飲酒について
③運動支援:健康経営オフィス、社内事務活用、ウォーキングイベント
④コミュニケーション促進:各拠点での活動、全社イベント(食事支援、運動支援など)
⑤休憩・その他:メンタルヘルス、eラーニング、特別休暇、有給休暇、リラクゼーションルーム、睡眠について、禁煙支援
これらの各種取り組みの成果として、以下の通り改善傾向にあるという結果になりました。
|
2020年度 |
2022年度 |
改善率 |
パフォーマンス指標 |
80.5% |
89.0% |
8.5% 改善 |
適正体重維持者率 |
60.0% |
62.0% |
2.0% 改善 |
プレゼンティーイズム |
43,101円 |
30,697円 |
12,404円 改善 |
アブセンティーズム(日/人) |
3人 |
2.3人 |
0.7人 改善 |
ワークエンゲージメント |
24.4点 |
25.9点 |
1.5点 改善 |
特定保健指導 終了率 |
77.0% |
98.0% |
21.0% 改善 |
ストレスチェック受検率 |
93.6% |
97.7% |
4.1% 改善 |
経営課題である「組織の活性化」「生産性の向上」「個人のパフォーマンスの向上」「健康寿命延伸」などの経営課題解決に向けての健康経営施策を推進していくために、イーウェルもサポートを行っています。C社の従業員が「笑顔でイキイキと輝ける」よう、そして持続的成長が続くようともに歩んでいる状況です。
5.健康経営にはコンサルタントが欠かせない?
前章ではイーウェルが支援する、さまざまな企業の健康経営の取り組みを見てきましたが、いきなりすべて整った取り組みを開始し、すぐに良い結果が出たという企業は少ないことでしょう。おそらく試行錯誤しながら、多様な取り組みを行い、徐々に自社に合った取り組みや安定的な運用に至った企業が多いのではないでしょうか。
もちろん、さまざまな背景から、社内で健康経営推進担当に選定されたメンバーだけで、新たに健康経営を実施するケースもあるかと思いますが、何からどのように始めればいいのかわからないことも多く、壁にぶつかることも多々あると思います。健康経営を自社内で実施することは容易ではないのです。そのような時に社内のメンバーだけでなく、外部にサポート委託する「健康経営コンサルタント」が必要となってくるのです。
健康経営コンサルタントとは、健康経営を実施するにあたり、専門的な知見を活かしたバックアップと、効率的に施策検討を進めるためのサポートをしてくれる専門家のことです。企業の担当者と健康経営コンサルタントが、二人三脚で健康経営に取り組むことにより、より効率的に健康経営を推進することが可能となります。 健康経営を推進するうえで必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、企業の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。
イーウェルの「健康経営推進支援サービス」は、専門の知識を持ったコンサルタントが健康経営を推進する上で必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用し、企業の健康経営の第一歩からPDCAサイクルの循環までをサポートしていくサービスです。イーウェルは企業の従業員の健康状況・施策の課題解決に向けたソリューションを多く保有しているため、健康経営の成果をなかなか感じられないとう企業の担当者様は、ぜひ一度イーウェルにご相談ください。
イーウェルの健康経営推進支援サービスの仕組み健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」
6.まとめ
健康経営の成果は一長一短では出にくいものです。取り組み結果を確認し軌道修正を行いましょう。また社内の状況変化とともに取り組み内容を変化させることも効果的です。
まずは社内の状況を正確に把握し、それぞれにあった目標を立てて実行していきましょう。
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