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2024/03/01 (公開:2022/01/27)

労働生産性と健康経営 ~健康経営は本当に効果があるのか?~


労働生産性と健康経営 ~健康経営は本当に効果があるのか?~

「健康経営」とは、従業員の健康保持や健康増進を企業で取り組み、それを経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。その結果、「健康経営」は組織を活性化させ、企業の業績向上に結び付けられると期待されています。

本記事では健康経営による効果について再認識いたします。そのうえで、強いて健康経営に取り組む必要のある企業とはどのような特徴があるのかを明確にし、今後の健康経営の進化との向き合い方を解説いたします。


    

1. 健康経営の効果はどんなことがある?

当ウェルナレのサイト上では、『健康経営』に関する記事を多数掲載してきました。

これらの記事では健康経営を推進することにより、労働生産性が向上し企業の業績向上にも期待できる、などと解説してまいりました。

本章では健康経営を推進することにより、具体的にどのような効果があるのかをまとめて解説いたます。 

  

         

1.1 効果①生産性の向上

健康経営の効果として、トップにくるのは従業員の生産性向上につながることです。仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには、心身ともに健康でいることが重要となります。心身ともに健康であることで、集中力の向上が期待できるのです。

集中力が向上すれば、自ずと仕事の効率もアップして、「労働生産性向上」「業績向上」に繋がることとなります。

従業員が体調不良を抱えながら仕事に取り組んだとしても、本来のパフォーマンスを発揮することは難しいとされています。会社全体で健康経営に取り組み、従業員の健康管理を行うことで、多くの従業員の健康状態が改善され、健康な従業員が増加することで、社内に活気が出て組織全体が生き生きと仕事に取り組めるようになり、労働生産性の向上効果が期待できるようになるのです。     

        
   

1.2 効果②企業のイメージアップ

自社を「健康経営を推進している会社」であることをアピールすれば「社員を大事にするいい会社だ」というイメージアップに繋げることも可能となります。そのような印象が強くなれば、求職者も増え優秀な人材の採用に繋がるでしょう。

 

働き方改革が叫ばれるようになり、一般的にはだいぶ定着してきました。しかし、世の中には、少なからずブラック企業もあると考えられ、昨今企業は社員を大事にしているのか?という働く人の認識は、ほとんどの人が持っており、企業に対する評価基準となっています。

 

健康経営を実践することにより、健康経営優良法人に認められる可能性もあります。健康経営優良法人に認定されることは、従業員の健康維持や健康推進を経営的な視点で戦略的に取り組んでいる企業だと認められることなのです。そのような評価を受けることは、企業のブランドイメージの向上効果にも期待できることとなります。結果として、求職者や取引先からの評価も高くなり、社会的信用や信頼度を高めることも可能となるのです。

 

健康経営を実践することは、企業にとっても従業員にとっても、また投資家にとっても良い相乗効果が生まれるものとして、重要な経営戦略の1つと言えます。 
        


1.3 効果③リスクマネジメントとの連携

リスクマネジメントは、企業経営において想定されるリスクを管理し、損失を回避または低減させる取り組みのことを指します。世の中の変動に伴い、多種多様なリスクが混在している現代において、事業の存続や経営目標の達成のための手法の1つとしてリスクマネジメントが重要視されるようになってきました。 

健康経営でもリスクマネジメントを実施することにより、従業員の突発的な健康上の問題(入院や病欠)にあらかじめ対処しておくことで、いざという時に損失するコストを最小限にとどめることが可能となるのです。また、従業員のメンタルヘルスの悪化や体調不良は、ミスや大きな事故につながる危険性があるため、健康経営によりその可能性を最大限に減らし、労災発生などを事前回避することも可能となります。

      
 

1.4 効果④従業員の定着率の向上

従業員が企業を離職する原因の1つとして、労働環境によるものがあげられます。長時間労働や、休日出勤などの時間外労働により、従業員のメンタルヘルスの悪化や体調不良を引き起こして、勤務継続が不可能となり離職してしまう。その結果、新たに従業員を採用しても会社に定着せず離職してしまうという悪循環が生まれ、人手不足が加速してしまうというものです。

 

離職率を低下させるためには、まず労働環境を見直す必要があります。そのためには、先ず「従業員たちが現在会社に対してどのような不満を抱えているのか?」などのヒアリングを行い、メンタル面でサポートすることが重要となります。従業員の健康状態を把握することを常態化すれば、自ずとと労働環境の見直しや、改善にもつなげられます。労働環境が良くなることで、従業員の定着率が向上し、離職率の低下を推進できるというメリットにつなげられます。

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2.健康経営を導入すべき特徴の企業

健康経営を推進するには、ある程度のコストと労力が発生します。また、健康経営は成果が見えにくく、費用対効果の把握が難しいというデメリットも挙げられます。そのため、自社で健康経営に取り組むかどうか、メリットとデメリットのどちらを優先させるか、などについて迷う場合も多いのではないでしょうか。 

本章では、どのような状態の企業が健康経営を取り入れるべきかを解説いたします。現在、健康経営を実践するか悩まれている担当者様にとって、判断の一助になれば幸いです。

 

2.1  特徴① 健康状態の悪化が重大事故につながる可能性のある企業

導入メリットが大きい業態としては、「旅客機」「電車」「バス」「タクシー」「トラック」など運輸関連を中心に、従業員の健康状態が安全に直結し、事業活動の根幹につながる業態となります。

 

従業員の健康状態の悪化が、誤った判断や行動を起こしやすくし、重大な事故につながってしまう可能性もあります。健康経営の実践は、企業の重要なリスク管理に対して、メリットがあるといえます。業態にかかわらず、社員の小さなミスが続くようであれば、重大な事故につながる前に、健康経営の導入を検討する意義は大きいです。             

  

2.2 特徴② 従業員の年齢層が高い企業

従業員の年齢層が高い企業は健康経営を導入するメリットが大きいです。労働人口の減少が問題視される中、高年齢層の労働力は企業にとって、貴重な戦力となっています。

 

しかし、高年齢層は若年齢層に比べると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をはじめとした何らかの疾病を抱えている方が多いのです。よって、年齢層の高い従業員が多い企業は、従業員の健康維持・増進に努めることで、生産性の向上といったメリットにつながるのです。

さらには、一旦リタイアしたシニア世代の従業員にとっても、会社が自身の健康管理に気をかけて大事にしてくれている、という感謝の気持ちで従業員満足度が増加し、相乗効果で生産性が向上するという循環も生まれやすくなります。         


2.3 特徴③ 長期休業している従業員が多い企業

業務に起因する体調不良などが理由で、長期休業をしている従業員を抱えている企業は、積極的に健康経営に取り組まなければなりません。このような企業は、労働環境を改善する義務があるのです。特に、メンタルヘルスで問題をかかえ休業を余儀なくされる従業員は年々増加傾向にあります。

メンタルヘルスによる不調を原因とした離職、労災認定、過労死などが顕著に問題視されるようになり、労働安全衛生法が改正され、2015年12月より50人以上の従業員がいる事業所においては、ストレスチェックが義務化されるようになりました。

ストレスチェックの結果が悪いことは、企業の生産性を低下させる要因と考えられており、産業保健スタッフと連携することで自社の現状を知り、早期に対策を行う必要があります。体調不良などで遅刻・早退や欠勤を繰り返す従業員が徐々に増加している企業は、早急に健康経営の検討が必要となります。従業員の健康をサポートすることで、他の健康で優秀な従業員の業務量や離職による採用コストを抑えることが可能となるのです。      

健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」

健康経営を推進する上で必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、貴社の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。

3.時代に合った健康経営はどんな内容?

2020年より世の中を一変させた新型コロナウイルスは、日常生活やビジネスに大きな影響を及ぼし続けています。緊急事態宣言の繰り返しの発令により、新しい生活様式が推奨され、企業での働き方も継続して変化が求められています。在宅勤務はすっかり浸透し、当然のようにオンライン会議も進められるようになってきました。 

このような日常化したウィズコロナ時代において、従業員の健康管理をどのように考え、対応していけばよいのでしょうか?ここでは、ウィズコロナ時代に考えるべき健康経営の課題を4つ挙げてみました。

 

①    継続的な感染症対策

②    在宅勤務等に伴う身体活動量の減少

③    あらゆる変化に対するメンタル不安の増加

④    在宅勤務における健康管理・健康施策の難しさ

 

ウィズコロナのまっただ中にいる現在、解決すべき課題が徐々に見てきました。どの課題も早期に取り組むべきものですが、特に健康経営にフォーカスを当てると、企業担当者としては「④在宅勤務における健康管理・健康施策の難しさ」が気になるところではないでしょうか。

従業員の健康状態は、出勤して同じ執務室で一緒に勤務することで、顔色や様子などで上長が健康状態を確認することができました。しかし、在宅勤務が多くなると健康状態を把握することが難しくなります。多くの企業においては「定期健康診断の延期」「対面の面談ができない」「集合形式のイベント・セミナーの中止」「社員食堂の制限」など、かつてのような健康施策が打てなくなっています。

 現在の健康経営は、従来の会社内での取り組みから、会社+家庭で実践できるような対応や、従業員自身によるセルフケアを支援する取り組みが求められるようになってきました。以上のように、健康経営とはその時代の状況や背景をもとに、取り組むべき形も変わっていくものでもあります。

 ※引用元 : ITmediaビジネスONLiNE 『ウィズコロナ時代に考えるべき「健康経営」の課題とは?』
 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2006/19/news044.html     

       

4.今後の健康経営はどうなるの?

従業員が健康的な習慣を身につけ、健康維持・向上することで企業の労働生産性も高まることに気づき始めた企業の経営者は、早い段階から健康経営に取り組み、実践に移しています。しかし、健康経営に取り組んでいない企業は、業績を伸ばそうとするほど、相当な労力とコストが発生し、間違えれば従業員を疲労させブラック企業となってしまう危険性もあります。

経営者が健康経営の効果を明確に理解し、適切な決断をしない限り、企業の将来性は見えてきません。健康経営の取り組み次第で、企業の未来を予測できてしまうかもしれないのです。企業の経営者は、今後は健康経営を中・長期の経営計画に加える判断が必要となってくることでしょう。

企業の経営者は、自社の現在の問題点と将来の方向性を見定め、従業員の健康づくりをどうしていくべきか、どこに投資すべきなのかなど、明確なプランをたてて実行していかなければ、企業の体力は徐々に弱体化していく可能性もあります。企業は人材なしでは成長が難しいため、健康経営のもとに人材を育てていく努力をする必要があるのではないでしょうか。経営者は、従業員が健康という基盤がなければ労働生産性は高まらないという考え方を持ち、企業の将来を見据えることが重要となるのです。   

      
    

5.まとめ

解説してきたとおり、従業員の健康を主軸とした考えの健康経営は、今後、企業が持続可能性を高めるためにはスタンダードな考え方となっていくことでしょう。従業員が安全で健康的に働ける企業を目指すためには、まずは足元ですぐに着手できることから見直していくことが大事です。

たとえば、部署内のみで管理していた勤怠状況の管理です。勤怠データと健康状況と照らし合わせたものを確認することで、全従業員の働き方や健康状況を把握することができます。残業の多い従業員は、健康を損ねる要因になり得るため、経営者も日頃から従業員の勤怠管理を徹底していくことが重要となるのです。

さらに長時間労働の是正や、ワークライフバランスに合わせた働き方ができる環境を整備することが、「従業員が無理なく健康に働ける状況」へと導くことができるのです。そのためには、日々の勤怠管理などで従業員の状況を適正に把握して、労働生産性の高い企業の基礎を築いてくことが重要なカギとなります。



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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 



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