「ウェルビーイング経営」のサポートメディア

  1. TOP
  2. 人事DX
  3. 人事とDX推進の関係について
2022/08/03 (公開:2021/08/31)

人事とDX推進の関係について


人事とDX推進の関係について

最近よく耳にするようになった「人事DX」とか「HR DX」という言葉を正しく理解していますか。本記事ではDXの定義や概念を理解し、なぜDXが注目をあびているのか、人事部門がなぜDXを推進するのかなどを認識したうえで、人事DXの現在のトレンドや具体例などを紹介します。

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

デジタルトランスフォーメーションとは、英語ではDigital Transformationと書き、DXと略されます。なぜDXと略されるのかというと、TransformationのTransは交差するという意味があるため、交差を1文字で表す「X」が用いられるようになりました。頭文字をとったDTだけではプログラミング用語とかぶってしまうため、DXという略語になりました。

DXはテクノロジーにより産業構造を変化させることを意味します。
経済産業省DX推進ガイドラインではデジタルトランスフォーメーション(DX)を以下のように定義しています。

『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プ ロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』

 
引用元:経済産業省DX推進ガイドライン
   https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf  


ただ企業での一般的なDXは「単なるデジタルの活用」ではなく、事業の構造や業務の進め方をテクノロジーの力で根本的に変える取り組みとなります。

2.人事とDX推進の関係について

近年、人事部門では企業の事業戦略を実現するために人事施策を実行する考え方が定着しつつあります。事業のDXプロジェクトを進めていくためには、社内に適切な環境や人材を整えることが重要だという考え方です。

最初に社内の組織環境を整えることにより、プロジェクトがスタートしてから本質とは関係のない思わぬ部分で時間的・金銭的コストがかかってしまったり、プロジェクトメンバーが高いパフォーマンスを出せなかったりする事態を未然に防ぐことができます。

企業がおかれた様々な環境を理解したうえで、最大限の成長をし続け、最適な取り組みが行えるようにするためには、人事部門ではDXの推進が必須となります。人と組織の観点から、どのようにDXを推進していくのかを考えるのが人事部門の役目となるのです。

3.DXが注目される背景

経済産業省はデジタルトランスフォーメーションに関する研究会を設置し、企業のDXを推進しています。その中で経済産業省は 「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」において「2025年の崖問題」と題し危機感を訴えています。

2025年の崖とは、IT人材の不足や既存ステムの保守切れにより、複雑化・ブラックボックス化したシステムが発生するなどして、国として2025年以降、年間最大12兆円程度の損失が生まれることです。

そのため経産省はDX推進を重要課題とし『DX実現シナリオ』を展開しています。概要は「2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現」するための対策などが明記されています。

引用元:経済産業省「DXレポート」
    https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-1.pdf


4.企業からみる人事DXのトレンド『ピープルアナリティクス』のメリット

2020年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、私たちの暮らしは大きく変貌を遂げました。会社に行かなくても働くことのできる環境が整備されたり、働き方の変化により、従業員たちはデジタルツールを駆使した働き方に馴染んできています。

企業側としても、これまで会社に出社して手作業で対応していた部分をデジタル化していく議論が盛んになってきました。今後、デジタルツールを活用しながらどこでも働ける働き方がさらに加速していくと思われます。

このような状況下においてテクノロジーの進化により、人事の領域でもデータ分析が主流になりつつあります。先端をいくIT企業では、人材データベースを構築して分析する『ピープルアナリティクス』が人事の中心的な取り組みとなっています。

ピープルアナリティクスが浸透してきた大きな要因は、テクノロジーの進化です。これまでは人事に関するデータを集めて分析することは大変な作業でした。しかし、クラウド技術が発達したことにより大量のデータの分析を行うことができるようになってきました。こうした技術的な背景をもとに、人事に関する問題解決が可能となりピープルアナリティクスが注目されるようになってきたのです。

ここでは人事DXのトレンドである『ピープルアナリティクス』のメリットを解説します。

4.1 メリット① 採用:属人的な判断を防ぐ

ピープルアナリティクスは属人的な判断を排除して、本当に優秀な人材を採用できるというメリットがあります。性格検査やSPIの結果を分析するとともに、社内の優秀人材のデータとマッチングさせて本当に優秀な人材だけを見つけだすことが可能となります。これにより、偏らない効率的な採用が可能になります。

4.2 メリット② 人材育成:適材適所な人員配置ができる

多くの企業では、人事や各部門が独自に判断して人事の配置を決めてきました。中には適性のない人材が能力と関係のない部署に配属され、パフォーマンスを発揮できずモチベーションが低下するといったことが頻繫におきていました。しかし、ピープルアナリティクスを採用することでスキルデータを分析し、適材適所を実現することができるようになりました。

4.3 メリット③ 組織開発:現状・課題を適切に分析できる

日本でもようやく転職市場の活性化やジョブ型雇用の導入により、離職率の改善が注目されるようになってきました。従業員のエンゲージメントを高め、離職防止につなげるために、ピープルアナリティクスで人材のモチベーションデータをリアルタイムで分析して離職傾向を早期につかむこともできるようになりました。また分析したデータは、タレントマネジメントにも活用できます。

5.人事DX:7つの成功事例と成功ポイント

ここでは人事DXのトレンドであるピープルアナリティクスを活用して実際に成功した3社の事例を確認したうえで、成功のポイントを解説していきます。

5.1 成功事例日立製作所

日立製作所は、2019年度の取り組みとして一部の事業部門で「ピープルアナリティクス」の先行実施を開始しました。

多岐にわたる事業それぞれに適した人材像が異なるため、最初に採用領域でのピープルアナリティクス活用の取り組みを開始しました。社内で活躍しているハイパフォーマーの特徴や、人材についてカテゴリ分けしたデータを分析した上で採用ポートフォリオを見直しました。

その後も各種サーベイや行動データなどを掛け合わせた、ピープルアナリティクスに取り組んでいます。

参照元:人財|株式会社 日立製作所
    https://www.hitachi.co.jp/sustainability/social/human-capital/index.html

5.2 成功事例:ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社には、ピープルアナリティクスに積極的に取り組んできた実績があり、その最大の特徴は、最先端のテクノロジーをいち早く取り入れていることです。

具体的には、AIにより人事領域である新卒採用の業務効率化を実現し、ピープルアナリティクスを実践しています。 

参照元:AIによるエントリーシート選考が“攻めの採用”を加速させる 500時間の工数を削減した“ソフトバンク流”未来の新卒採用/日本の人事部
   https://jinjibu.jp/hrt/article/detl/techactivities/1788/

5.3 成功事例:株式会社フジクラ

株式会社フジクラは「企業の競争力はそこで働く社員の良好な健康状態が基盤となる」という考えのもと、健康経営にデータを活用するため、2011年に「ヘルスケア・ソリューショングループ」を設置しました。

フジクラグループ健康増進プログラムではICT技術を活用して健康関連データを蓄積・活用し、効果的に社員個人の自主的な健康活動を支援するものです。社員にプログラム参加に必要となる歩数計を配付するとともに、各事業拠点に体組成計や血圧計等を設置し、常時測定できる環境を配備しています。

参照元:人財の価値を高める健康経営|株式会社フジクラ
   https://www.fujikura.co.jp/esg/backnumber/2018/efforts/health_management.html

5.4 成功ポイント人事管理システムの導入

近年の人事DXの取り組みの中心は、人事管理システム(HRIS)の導入となっています。ほとんどの大企業やグローバル企業ではHRISを導入している状況で、HRISは人事機能になくてはならないものとなっています。

HRISは従業員の基本情報だけではなく、評価情報、異動情報、教育履歴など、企業の意思決定に不可欠な従業員に関するデータが集約されたデータベースとなっています。人事部門のDXは、従業員情報の「見える化」が基本となります。経営の根本である人材を見える化して管理することは、人事部門の最も基本的な役割となるため、DX推進の一環としてHRISを導入することも成功のポイントとなります。

5.5 成功ポイント:タレントマネジメントシステムの導入

HRISが従業員情報を集約するシステムであるのに対し、タレントマネジメントシステムは従業員情報を活用して企業の生産性向上を実現するツールとなります。以前の人事部門では、従業員のスキルや能力が見える化されていなかったため、最適配置ができず、全員一律の人事異動・部署異動を繰り返して適性を見極めるのに非効率さがありました。

タレントマネジメントシステムでは従業員の保有スキルをもとに異動先の組織パフォーマンスの変化がシミュレーションできます。また特定のスキルを持つ従業員をデータベースから検索することも可能となります。タレントマネジメントシステムを使用すれば、人事業務の無駄を省くことも可能となります。

5.6 成功ポイント:給与計算業務のデジタル化

給与計算業務は人事部の仕事の中で、重要でありながらミスが許されない業務ですが、給与計算自体は何の付加価値も生み出さないという特徴があります。従来の人事部門ではベテランの従業員が給与計算を担ってきたケースも多く見受けられます。

しかし給与計算業務の人件費は企業にとって割に合わない仕事でもあり、多くの企業では、給与計算のアウトソーシングやRPAを使用した自動化に取り組む方向へシフトしています。また、最近では簡単に導入できるクラウド型の給与計算システムも存在しています。こうした給与計算システムを活用できれば、人事部員が給与計算にかける手間を省くことも可能となります。

5.7 成功ポイント:組織活性化(エンゲージメント/モチベーション)

近年、テクノロジーと組織心理学の発達により、エンゲージメントやモチベーションなど従業員の心理状態を測定できるようになりました。こうした心理データを分析して、組織の状態を見える化するツールも多く誕生しています。こうしたツールを使用すれば、組織の状態をリアルタイムで見える化できるようになります。リアルタイムで見える化できれば、問題が大きくなる前に組織を活性化するための施策を実行に移すことも可能となります。

従業員のエンゲージメントを調査する方法としては、最近はエンゲージメントサーベイが注目を集めています。

従業員ウェルビーイングを可視化する組織診断サービス「ウェルスコア」

従業員アンケートの結果を基に従業員の「ウェルビーイング※」や「満足度」を数値により可視化して組織課題を把握・解決する組織診断サービスです。

 

6.まとめ

「人事DX」という言葉は近年トレンドとなっていますが、先ずはできることから一歩ずつ着手していくことが成功のカギとなります。人事業務のDXを推進するためには人事系システムやツールを導入することから始まりますが、失敗しないためにも、各社システムのトライアルなどを利用して、自社の状況に合致したシステムを選定することが重要になります。


監修者 株式会社イーウェル 健康経営推進室


Related keywords

Related article

Recommend

メルマガ登録

最新情報や
お役立ち資料を自動受信