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2022/11/30 (公開:2022/05/13)

エバンジェリストとは?求められる役割や能力・育成方法について解説


エバンジェリストとは?求められる役割や能力・育成方法について解説

「エバンジェリスト(evangelist)」とは、IT業界で注目される、新しい職種およびその役割を担う専門人材を指します。キリスト教の「伝道者」を意味し、IT業界のトレンドや注目される新しい技術をわかりやすく説明し、啓蒙活動を行う役割を担います。自社の技術の価値を伝えるための専門職として、IT関連企業でこの役割をポストや職種として新設する会社が増えていることから注目を集めています。この記事では、その「エバンジェリスト」について解説します。

 

         

1.エバンジェリストとは

エバンジェリストと言って、IT業界の方などはイメージがつくかもしれません。ただし、多くの方はテレビで聞いた程度で詳しくは知らないのではないでしょうか。社内においてどのような役割を担うのか、なぜ今 注目されるのか、一般的な広報職種とは何が違うのか、といった観点でご説明します。

 

          

1-1 エバンジェリストの役割

IT業界で近年注目を集める「エバンジェリスト」。比較的新しい職種ですが、主な仕事として、以下のような業務が挙げられます。

 

  • 最新テクノロジーやIT業界のトレンドを、顧客や社内にわかりやすく解説する
  • 情報を社内外に広く知らせる

 

また、エバンジェリストとは、これらの役割を持つ専門的な人材を指す言葉として拡がってきています。エンジニアとして開発の仕事をしながらにして、エバンジェリストとしての役割を担う方も多く存在するようです。

 

語源はキリスト教の「伝道師(Evangelist)」から来ているとされ、直接的な意味は“伝道者”“福音を説く人”となります。IT業界の情報やスキルを伝道する、といった側面から結び付けられ、そう呼ばれるようになったとも考えられます。

          

1-2注目される背景

IT業界の巨人ともされる、アップル社やマイクロソフト社は誰もがご存じではないでしょうか。
実はエバンジェリストの名が注目されるようになった背景は、1984年に遡ります。当時、アップル社が広報の一環として、今までプロや専門業者、一部会社でしか使用されなかったコンピュータを“パーソナルコンピュータ”とし、家での利用必要性や、当時市場を席巻していたマイクロソフト社やIBM社との比較を説く目的で活動をしていました。

もちろん同時期に、マイクロソフト社もテクニカルエバンジェリストとして、コンピュータでできることなどを具体的に発信する活動をしていました(日本マイクロソフト社に絞っても、現在もなおエバンジェリストが活躍しています)。


つまり「新しい商品や情報を宣伝するための専門職」というエバンジェリストの原点は、このときにできあがっていたと言えるでしょう。


広報手段として生まれたエバンジェリストですが、指数関数的に進化していくIT業界では、世相に合わせ目まぐるしくテーマが変わる話題に対応しながら、理解、発信していくスキルが求められます。

ITの技術面を理解しながら、分かりやすく発信していく、また社内の人に知識を伝授するといった意味でも、エバンジェリストは、業界において新しいビジネスチャンスを生むための力や教育者にもなっていくでしょう。


     

1-3 営業との違い

「仕事内容的に 営業と結局は同じじゃない?」といった印象を抱いた方もいるのではないでしょうか。実は、求められること、対象、そこから導かれる役割も大きく異なります。その他混同されがちな職種・業務の種類とともに、そのような点を下表にまとめました。



このように、営業やそれに類似する他の仕事とも異なることがわかります。一般社員と比較し、求められるスキルは多岐にわたります。業界経験や向上心・キャッチアップ力が高く求められます。


             

2.エバンジェリストの仕事内容

それでは、営業ともアンバサダーともインフルエンサーとも違う、エバンジェリストの仕事とは、実際にどのようなものなのでしょうか。広義的には「ITに関する技術や知識を広く解説すること」と定義されますが、この章では 実際にどのような仕事内容があるのか紹介します。

          

2-1 新しい情報のキャッチアップ

これは一般社員にも求められることですが、業界のトレンドや新技術といった新しい情報を貪欲に取り入れ、それをわかりやすく説明するための資料作成や説明スキルを身につける、といった“蓄積”の要素を、エバンジェリストは常に意識しています。またそれを、まずは社内理解を得られるよう、コミュニケーションを取るよう意識しながら活動します。 
         

        

2-2 インナーマーケティング

前項でも触れていますが、新しい知識や情報を、社内に分かりやすく伝えることがエバンジェリストの大切な仕事のひとつです。自社製品・サービスなどの価値や技術を解説、紹介し、競合他社や市場の動向を併せて社員に理解させます。

社内に情報を適切に共有することは、例えば営業であれば顧客対応や営業活動に役立てられ、自らが情報を探しに行く工数を削減できます。開発部門や企画部門にとっても同様に、新しい技術を用いることで、大幅な効率化や質の向上、課題解決につながる可能性が見いだせます。

 

          

2-3 イベントへの出席・プレゼン

自社のサービスを、業界のトレンドとともに紹介し、理解を深めてもらい購買意欲につなげる、といった一連の流れは、専門知識や最新情報が手元にないと困難な、エバンジェリストならではの仕事とも言えます。

イベントや講演会などの大多数が集まる場でプレゼンテーションを行うことは非常に効果的でしたが、昨今の新型コロナウイルス感染症対策により、リアルイベントの場は大幅に減少してしまいました。

ただし、Webセミナーや動画配信など、それに代わるマスコミュニケーションの手段の登場により、エバンジェリストの輝ける場は、失われるどころか、非常に注目を集めている仕事内容のひとつでもあります。


        

2-4 個別実演(デモンストレーション)

持てる知識をリアルタイムに活かさなくてはならないのが、企業訪問時です。実際に画面のデモンストレーションを見せることなどは説得力を大幅に増す手段のひとつですが、このとき、セールスに関する知識だけ、開発に関する知識だけ、と説明者の知識に偏りがある場合と比べ、エバンジェリストであれば、持てる幅広い知識や別の側面からデモンストレーションを行うことができます。

企業により異なるニーズに併せ、オリジナリティある提案や実現可能性を加味した提案を行うことができるのは、エバンジェリストならではと言えるでしょう。



              

3.求められる能力や条件

エバンジェリストになるためには、専門的な知識からコミュニケーションスキルまで、幅広い能力が求められます。また、向いているタイプや職種経験などもあるようです。この章では、エバンジェリストに実際に求められる能力や条件、どのような方が向いているのかを紹介します。

          

3-1 必要な能力

4つのポイントに分けて、どのような能力が求められるのかを解説いたします。

 

① ITに対する知識と理解

エバンジェリストはITに関する技術を広く伝える仕事である以上、ITや業界、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)などに対する知識が十分以上にないと、勤めることは難しいでしょう。

また、知識を蓄えるだけでなく、対外的に解説できるようになるレベルまで理解を深めることもまた大切です。

 

② わかりやすく伝える能力(=プレゼン力)

知識を身につけるだけでなく、適切な解釈でわかりやすく伝える力(プレゼンテーション能力)がエバンジェリストには求められます。プレゼンテーションなどは、エバンジェリストの持てる知識をわかりやすく伝えるための最も重要な場ともいえます。


伝わりやすいデザインと話し方でプレゼンテーションを構築することがハイレベルに求められます。

 

③ 聞く力と話す力(=対話能力)

一方的にITに関する技術やトレンドを話すだけでは、講話になってしまいます。エバンジェリストとして話をする以上、相手の理解度を確かめながら柔軟に話を進めていく必要があります。


そのために求められるのは、相手の引っかかっている点や疑問点を聞く力、それに対し、理由を交えて最適解をわかりやすく伝えるための話す力です。この2つをバランス良く身につけるとともに、聞き手を惹きつけるような話し方などのいったコツを会得することが、エバンジェリストとして活躍する・必要とされるための最低条件であるといえます。

 

④ キャッチアップ力

IT業界のトレンドは、非常に移り変わりが早いことが特徴です。また、日常的な話題や流行(ファッション・グルメなど)と異なり、テレビやラジオといったマスメディアで発信されることは多くありません。つまり、能動的にグローバルな視点で自ら情報を仕入れることが強く求められるのです。


人と話すときに「知らないのですか?」と思われてしまうのは、エバンジェリストとして信用度ががくんと下がる要因になりかねません。


つまり、必要なのは情報を仕入れ続ける力と、仕入れるためのルートづくり(人脈・会社関係など)です。

 

            

3-2 キャリアチェンジがしやすい職種

では、必要な能力3点を兼ね揃えており、エバンジェリストへキャリアチェンジしやすい職種とはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは2職種を紹介いたします。

 

① ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、クライアント企業に対しIT関連分野の助言、導入支援、サポートを行うコンサルタントを指します。通常、特定のサービスなどに対しコンサルティングを行いますが、そこに発信という要素を組み込み、広くその知識および製品・サービスを広めていくことができれば、エバンジェリストとしても活躍できます。


ただし、IT業界全体に対して広く見識を持つことが求められるため、常に知識を取り入れようとする力が求められます。

 

② エンジニア

開発や運用を任されるエンジニアは、特定の知識においてはエバンジェリストに最も近い存在であると言えるでしょう。そこに、エバンジェリストならではの必要とされる能力として、発信する力、わかりやすく説明する力、といった対外的な能力を組み合わせることが大切です。


        

4.企業が活用するメリット

エバンジェリストを活用することで、企業が得られるメリットは実は多数あります。どのように活用するのか、仕事内容も交えて紹介いたします。

          

4-1 まわりの社員の成長を期待できる

前章で紹介したインナーマーケティングなどを仕事とするエバンジェリストは、その活動から周りの社員にも影響を与えます。営業部門とエンジニア(開発部門)を結び、それぞれにスポットライトを当てながら、相互に理解を深めるための手助けや取り組みができることから、同時にエバンジェリスト自身も注目を集めやすいとも言えます。

「自分もエバンジェリストの〇〇さんのように活躍したい!」と思う方が、自らキャッチアップ力などを身につけ、社内に良い文化をもたらす効果が期待できます。

           

4-2 自社の認知度を向上させる

エバンジェリストは、社内外問わず幅広くプレゼンなどの広報活動を行います。この方(エバンジェリスト)はどの会社に属しているのだろう、その会社ではどのような商品やサービスを扱っているのだろう、と業界人なら必然的に気になります。

その口コミが拡がり、今までは直接的にアプローチし得なかった一般ユーザーや将来のクライアントにも、自社のことを知ってもらうためのきっかけとなるでしょう。

           

4-3 製品のレベルを上げる

自社内で開発などを進めるとき、外注や他社サービス利用を検討することもあるかもしれませんが、社内で完結させたい、オリジナリティを出したい、と思う方も多いはずです。その際にどうしても、社内人材の持っているスキルや情報量にクオリティ・レベルが左右されてしまうおそれがあります。

そんなとき、エバンジェリストは幅広く情報をキャッチアップしていることから、業界の最新トレンドや技術をどのように導入すれば成功できるのかといった観点から、アイディア発信や差別化要素の導入などにおいて絶大な力を発揮します。

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5.育成するためのポイント


今いる社員の中でエバンジェリストとして活躍できる人はいるでしょうか。すぐにいないのであれば、時間をかけて育成していくのも手段のひとつです。エバンジェリストとしてのポストを設けずとも、人材育成のひとつのヒントになるかもしれません。3つのポイントに分け、育成するためのポイントを紹介いたします。

          

5-1 育成プログラム

自社に十分な人的リソースがある場合、また 既にエバンジェリストとして活躍している前例がいる場合は、OJT型研修(既に活躍しているエバンジェリストの行動を見て学ばせる・プレゼンテーションなどに同行させる)でも、エバンジェリスト育成には十分という見方もあります。

 

ただし、具体的に「何をできるようになれば一人前」「何ができないと務まらない」という明確な尺度がないこともまた事実です。よって、少なくとも求められる“伝える力”を身につけさせるために、エバンジェリストの育成でなくとも有効なのは、プレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルなど、社会人基礎力+αの育成を行っていくことが求められます。

 

そのための育成プログラムとして、数年単位での人事制度(自主的に学ぶことができる教育体制)を確立しておくことが大切です。

           

5-2 経営方針を理解させる

エバンジェリストは自身の持っているスキルや知識を、正しく、中立的な立場で広く発信していくことが求められます。ですが、会社や組織に属する一社員であるのであれば、自社にとって不利な状況を招くような内容を周知していくことは避ける必要があります。

 

もちろん、自社サービスや製品よりも優れた他社の事例を紹介することもありますが、その中で 活用法やデメリット払拭点などを上手に伝えていき、結果として聞き手に対し フラットな内容を伝えられればベストです。

 

ときには対外的に経営者や役員に代わりプレゼンテーションを行うなどの業務を任される中で、自社のサービスや商品がどのようなロードマップを描いていくのか、自社が求められている・取り組んでいるミッションが何なのか、などについてを把握しておくことで、より未来性のある伝え方ができるでしょう。

 

よって、自社の経営方針や未来図を理解させることが重要であると同時に、知っておかないと 情報収集などをするうえでも関連性や共起性が低下してしまう一因ともなり得ます。


           

5-3 活躍し得る人材を選び出す/外部人材の活用

エバンジェリストとして活躍するためには、知識や経験もさることながら、向き不向きやビジョン・やる気といった資質的要素、当人が経営者など 重要すぎるポスト・職務についてしまっていないか、といったリソース的要素など、クリアすべき点が多くあります。

 

解決策として1つは、活躍し得る人材に対し、あらかじめ目星を付けておくことです。そのためには前述の育成プログラムや社内環境の整備、人事賃金制度の拡充など、会社として用意できるポイントが複数あるでしょう。

 

ただし、エバンジェリストの業務を担える人材が会社や組織に、必要なタイミングで在籍しているかといえば話は別になります。その場合、外部人材を活用することもひとつの手として、昨今注目を集めています。

 

社内育成をしていく場合と比べたメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 育成の手間と時間がかからない
  • 企業風土などの色に染まっていないことから フラットな目線での活躍が期待できる
  • 今までにない視点を取り入れることができる

このような点に注意しながら、新卒・中途とともに採用活動を進めていくことも求められるでしょう。



        

6.導入時の注意点

ここまでのご紹介内容で、エバンジェリストについて魅力を強く感じた方もいるのではないでしょうか。ですが、導入における注意点もあります。ぜひ、すぐにでもエバンジェリストを育成・導入したい、と思われる方にこそ把握しておいていただきたい注意点をご紹介いたします。

          

6-1 営業ではない/混同しない

新しい職種や役割が生まれたとき、周りの人間もその仕事内容に理解を示す必要があります。営業と同じだろう、と周りが思ってしまうと、残念ながらエバンジェリストは営業と同じような仕事を振られてしまい、本来のエバンジェリストとして活動をすることは非常に難しくなってしまうでしょう。


組織全体に「エバンジェリスト:特定分野のプロフェッショナル/広く周知活動をしていく布教者」であるという認識づけを行い、社内においての立ち位置を周知し、活動において不利な状態にならないようにしておく必要があるということです。

           

6-2 人材戦略を事前に立てておく

エバンジェリストはどのような組織規模であったとしても、社内にひとりだけである必要は一切ありません。むしろ特定分野のプロフェッショナルを育成するうえでは、ひとりのエバンジェリストに複数の分野を委ねることは望ましくないでしょう。

どのような分野があり、どの分野に、得意分野の合致する 誰を、何年単位で、配置を行っていくのかなどについて、適切に事前設定をしておくことが重要です。

              

6-3 情報統制

エバンジェリストは広くさまざまなナレッジを共有・発信していきます。そのとき注意しなければならないのは、本来公開してはならない自社の独自情報を発信してしまうことが無いように統制する、ということです。どこまでを公開し、どこからは公開してはいけないのか、といった社内の情報資産に対する規則をきちんと定め、マネジメントしていくことが大切です。


        

7.まとめ

この記事では、エバンジェリストがどうして求められるようになったのか、具体的にどのような活動をするのかといった点から、実際にどのようなに企業において役に立つのか、育成方法などについて紹介いたしました。

ただのIT技術の専門家から、伝える、発信していく、といった点にフォーカスされているのは、昨今の他職種においても同様に求められている要素のひとつです。今後もIT技術やその業界は世間的に求められていくことは確かです。これを機に、エバンジェリストの活用を考えてみましょう。

 

監修者 株式会社イーウェル 健康経営推進室

    

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