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2024/03/01 (公開:2023/01/06)

【2023年】世界のジェンダー・ギャップ指数~日本の順位は? ジェンダーレス、ジェンダーフリーについても解説! ~


【2023年】世界のジェンダー・ギャップ指数~日本の順位は? ジェンダーレス、ジェンダーフリーについても解説! ~

2023年6月21日に世界経済フォーラム(WEF)は、男女格差の現状を各国のデータをもとに評価した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版を発表しました。これは、人間開発の3つの基本的な側面である健康、知識、生活水準における女性と男性の格差を測定し、人間開発の成果におけるジェンダー不平等を表しています。

本記事では、この「ジェンダー・ギャップ指数」の全順位と日本の順位を比較しながら考察していきます。さらに「ジェンダーレスコスメ」「ジェンダーレス男子」など、「ジェンダーレス○○」というジェンダーに関連する用語の解説から、そこにまつわる様々な問題、取り組みを解説し、紐解いていきます。 

 

         

1.ジェンダーレスとは?




まず、「ジェンダーレス」という言葉の定義を確認しましょう。

ジェンダーレス(genderless)とは、gender(性差や男女の文化的、社会的な差)とless(~がない)を組み合わせた言葉です。社会的・文化的な男女の差がない、またはないことを目指す考え方になります。

 

そもそもジェンダー(gender)は、男性・女性という生物学的な性差(sex)に対して、社会的・文化的につくられた性差のことです。例えば「女性だから家事をするべき」「男性は外で稼がなくてはならない」など、男女の役割を区別するときに言われる「女性」「男性」という性別がこのジェンダーです。

 

つまり「ジェンダーレス」とは、「男性らしさ」「女性らしさ」という、様々な場面でぶつかる境界線をなくして行こうという考え方です。

   

1-1 ジェンダーフリーとの違い

「ジェンダーレス」と似ている言葉に「ジェンダーフリー」があります。違いを説明できるでしょうか?

「ジェンダーレス」が、社会的・文化的な男女差をなくして行くことを指すのに対し、「ジェンダーフリー」は社会的・文化的な男女差が生み出す差別・格差をなくして行くことを指します。

 

身近な例で違いを確認しましょう。

学校の制服を考えると、以下のような差があります。

 

・「ジェンダーフリー」 女子にスカートの着用を義務付けない。

⇒女子はスカートをはくべき、という差別をなくす。

 

・「ジェンダーレス」 男女関係なく、ズボンにするかスカートにするか自由に選べる。

⇒男子の制服、女子の制服という差異をなくす。

 

つまり、基本的には、男女の差別のない社会を実現(ジェンダーフリー)したうえで、さらに男女の区別をしない方向(ジェンダーレス)へと進む、という順番になります。

 

              

2.ジェンダーレスが広まった経緯

ジェンダーレスは近年だんだんと身近になり、推進の機運も高まっています。

では、ジェンダーレスがなぜ重視されるようになったのか、歴史の変遷を確認しましょう。

          

2-1 「ジェンダーレス」の概念が世界中に広まったのは戦後

ジェンダーレスはそれほど古い概念ではありません。世界的に、過去から今まで、「政治・経済は男性が担うもの」として、女性の進出を阻むような風潮がありました。

 

この風潮を変える契機は、1945年に設立された国連(国際連合)の基本文書「国際連合憲章(国連憲章)」で生まれています。国連(国際連合)は、第二次世界大戦後に設立されました。二度にわたる世界大戦で、多くの人命が失われ、人権が蹂躙されたことの反省を踏まえ、世界平和を実現するためにも、人権を守ることを重要と宣言しました。

 

国連憲章では、自由権、社会権、参政権などの基本的人権とともに、男女や大小各国の同権が、守るべきものとして明記されています。これにより、世界は協力して差別をなくすよう努力することになり、ジェンダーレスの考え方も徐々に広がっていきました。

 

例えば参政権は、男性が獲得したのち、女性へも徐々に広げられたことはご承知の通りですが、フランスで男性の普通選挙が実現したのは1848年、女性の初選挙参加はなんと約100年後、1945年からです。日本も、男性の普通選挙は1925年、男女ともに選挙に参加できるようになったのは1945年です。

 

        

2-2 女性差別撤廃条約

国連では、その後も男女差別をなくすべく、「国連女性の地位委員会(CSW)」の設置、「女性に対する差別撤廃宣言」の採択などを行ってきましたが、とりわけ重要なのが、国連憲章や上記の宣言を受け、1979年に採択された「女性差別撤廃条約」です。

 

この条約は男女の完全な平等の達成を目的とし、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とするもので、日本も1985年に締結しています。

 

締結した国には、「ジェンダーフリー」に向け必要なあらゆる措置を講じる必要が生じています。「ジェンダー」という言葉は、日本でもこの締結前後にメディアで取り上げられるようになり、だんだんに広く認識されるようになりました。

 

          

2-3 SDGsの目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」とは?

最新の動きも注目です。2015年9月の国連サミットでは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が加盟国の全会一致で採択されました。この中に記載された「SDGs(Sustainable Development Goals)」(持続可能な開発目標)には、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う。」というテーマが5番目に挙げられています。

 

継続した問題として国連で取り上げなければならないように、ジェンダーの平等はいまだ達成されておらず、搾取や暴力により女性の人権が守られていない状態があることは、世界的な共通認識と言えます。

合わせて読みたい

3.ジェンダーによる男女不平等・女性差別の問題とは



ジェンダー差別による問題は非常に広く、また複雑です。

本章では、差別による典型的、かつ深刻な問題を紹介します。




          

3-1 暴力・虐待

SDGs目標には、以下の項目があります。

 5-2:人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
 5-3:未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

公益財団法人 日本ユニセフ協会によると、人身売買の被害者の多くは女性(成人女性および女の子)です。2014年に世界85カ国で確認された1万7,752人の被害者のうち、およそ71%を女性が占めており、主な被害者が女性である傾向は、統計が始まってから変わっていません。

※出典元:Unicef 『ユニセフの主な活動分野/子どもの保護』

 
また、独立行政法人国際協力機構(jica)の記載では、2020年現在、世界の女性の3人に1人が身体的・性的暴力を経験し、10人に1人の女児が望まない性行為や性暴力の被害を受けていると言われています。

 

出典元:jica 独立行政法人 国際協力機構 『ジェンダー平等と女性のエンパワーメント』

 
このような現状を受け、SDGsで掲げられた目標は、世界共通の解決すべき課題となっています。上記の数字の多さに驚かれた方も多いのではないでしょうか。 

            

3-2 教育格差

SDGs目標4は、「質の高い教育をみんなに」です。世界銀行のプレスリリースでは、中等教育を受けた女性は全く教育を受けていない女性と比べ、職に就く可能性が高く、収入も約2倍となっているとしています。

 

反面、ユニセフのデータでは、2018年時点、初等教育就学年齢(小学校学齢期:一般的には6歳から11歳)の子どもたちの8%にあたる約5,900万人、中等教育前期の学齢期(中学校学齢期:一般的には12〜14歳)の16%にあたる約6,200万人が学校に通えていません。

 

2018年時点の非就学データ

 

非就学合計人数

うち男子

うち女子

初等教育就学年齢
(目安6~11歳)

 約5,900万人

 (対象年齢全体の8%)


 約2,700万人


 約3,200万人

中等教育前期の学齢
(目安12~14歳)

 約6,200万人

 (対象年齢全体の16%)


 約3,200万人


 約3,000万人

 

これは2000年から大幅に改善された数字で、2000年では約1億人の学校に通えていない子供のうち、約3分の2が女子でした。

前述の世界銀行では、女子の教育機会の欠如や中等教育の修了が妨げられることによる生涯生産性と生涯所得の損失は、15兆ドル~30兆ドルに上ると指摘しており、引き続き平等かつ質の高い教育を、全ての子どもが受けられるようにすることが求められています。

出典元:世界銀行プレスリリース 女子の教育機会の欠如、国に巨額の損失をもたらすことに ―世界銀行新報告書
出典元:Unicef ユニセフの主な活動分野|教育

   

3-3 雇用機会・賃金格差

同一賃金国際連合(EPIC)によると、世界で賃金における男女平等を達成した国はまだありません。男女間の賃金格差については、

  • 同じまたは類似の仕事をしているのに、女性の賃金が男性よりも低い(直接差別)
  • 「女性の」仕事に関連するスキル、能力、責任の過小評価(間接差別)
  • 職務評価の方法、職務分類、報酬の仕組みにおけるジェンダーによる偏見(ジェンダー・バイアス) 

など、様々な要因がありますが、世界的には、女性は男性に比べ、月額で20%ほど賃金が低くなっているようです。

 

男女の雇用機会についても、アメリカ、EU、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンと、先進国と言われる多くの国で、労働の場において性別による差別を行ってはならない規定があります。

先進的な国でも、そのような規定を設けることが必要なほど、男女の差別が歴然として存在することが分かります。

 

考えてみてください。工場のラインで働き、同じ時間で同じ個数の製品を仕上げたとして、ミスもないのに、隣の人の賃金が自分より20%も高かったら?「なぜだろう」「不公平ではないか」と思わない人の方が少数派ではないでしょうか。

 

男女間でも同じです。同一の仕事をしているのであれば、賃金も同じであってほしい。このごく普通のことがなされていない社会は、やはり変えていくべきではないでしょうか。

 

※出典元:同一賃金国際連合(EPIC)『Equal Pay for work of Equal value』

 

        

4.世界の「ジェンダー・ギャップ指数」と日本のジェンダー不平等への問題意識



ここまでジェンダーレスへの変遷、問題点を世界的目線で見てきました。当然、「世界の状況は分かったけど、日本は?」と思われますよね。日本におけるジェンダーレスへの取り組みは、どうなっているでしょうか。

   

4-1 日本におけるジェンダー格差是正の歴史


まず、日本が「ジェンダーレス」に対し、どのように取り組んできたかをご紹介しましょう。1945年に、男女の普通選挙が初めて実施されたことは、前述の通りです。その後、1985年に「男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)」が制定、翌年施行されました。

 

この法律は、男女双方を保護委の対象にしており、性別に関わらず労働者が均等な雇用の機会を得、また能力や意欲に応じた均等な待遇を得られるようにすることを定めています。具体的には、雇用のあらゆる場面、例えば募集採用、昇進降格、配置、退職の勧奨・定年、その他について、男女で異なる取り扱いをすることを禁じています。

 

2014年には「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置、2015年には「女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」を制定し、女性が働きやすい環境づくりを企業に求めています。

 

2016年には「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」を改正しました。この法律は、つい最近2022年10月にも改正が施行され、育児休業の内容を大幅に強化し、男女に平等な育児参加を促す内容が盛り込まれました。

 

2019年の「女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」の改正では、法律の適用範囲を「労働者数301人以上の事業主」から「労働者数101以上の事業主」に変更し、中小企業でも女性労働者への対応を求めるようになりました。この改正は、2022年4月より適用され始めています。

 

特に最近では、法改正も盛んにおこなわれ、女性が活躍できるよう、社会をあげて改善に取り組む姿勢が見られます。

 

   

4-2 世界の「ジェンダー・ギャップ指数」日本は125位で過去最低

  

それでは取り組みの結果は出ているでしょうか。結論からいうと、残念ながら日本ではまだまだ「ジェンダーレス」な状態に近づいているとはいいがたい状況です。

 

ここで、「ジェンダー・ギャップ指数」を紹介します。「ジェンダー・ギャップ指数」は、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する、経済、教育、保健、政治の4分野毎に、各国の男女格差を数値化したものです。

 

2023年発表の日本の順位は、集計146か国中、なんと125位。日本の下にはわずか21か国が残るのみです。G7の中では最も低い順位であり、G7中で次に順位が低いイタリアが79位ですから、日本の順位はその国際的地位に比べて低すぎると言えるでしょう。中国(107位)や軍事政権下のミャンマー(123位)よりも下位です。

 

◆2023年6月21日発表 ジェンダー・ギャップ指数

 ※スコア→男女間の格差が全くない完全平等の状態:1、完全不平等の状態:0

 ※順位が高いほど、ジェンダーフリーに近い

順位

国名

スコア

備考

1

アイスランド

0.912

 

2

ノルウェー 

0.879

 

3

フィンランド 

0.863

 

4

ニュージーランド

0.856

 

5

スウェーデン

0.815

 

6

ドイツ 

0.815

 ※G7

7

ニカラグア

0.811

 

8

ナミビア

0.802

 

9

リトアニア 

0.800

 

10

ベルギー 

0.796

 

11

アイルランド 

0.795

 

12

ルワンダ 

0.794

 

13

ラトビア  

0.794

 

14

コスタリカ 

0.793

 

15

イギリス 

0.792

 ※G7

16

フィリピン 

0.791

 

17

アルバニア 

0.791

 

18

スペイン 

0.791

 

19

モルドバ共和国 

0.788

 

20

南アフリカ

0.787

 

21

スイス 

0.783

 

22

エストニア  

0.782

 

23

デンマーク 

0.780

 

24

ジャマイカ  

0.779

 

25

モザンビーク 

0.778

 

26

オーストラリア  

0.778

 

27

チリ  

0.777

 

28

オランダ

0.777

 

29

スロベニア  

0.773

 

30

カナダ 

0.770

 ※G7

31

バルバドス 

0.769

 

32

ポルトガル 

0.765

 

33

メキシコ 

0.765

 

34

ペルー 

0.764

 

35

ブルンジ  

0.763

 

36

アルゼンチン 

0.762

 

37

カーボベルデ 

0.761

 

38

セルビア  

0.760

 

39

リベリア 

0.760

 

40

フランス 

0.756

 ※G7

41

ベラルーシ 

0.752

 

42

コロンビア  

0.751

 

43

米国  

0.748

 ※G7

44

ルクセンブルク 

0.747

 

45

ビルド 

0.746

 

46

スワジランド  

0.745

 

47

オーストリア  

0.740

 

48

タンザニア連合共和国 

0.740

 

49

シンガポール

0.739

 

50

エクアドル

0.737

 

51

マダガスカル 

0.737

 

52

スリナム 

0.736

 

53

ホンジュラス  

0.735

 

54

ラオス人民民主

0.733

 

55

クロア

0.730

 

56

ボリビア (多国籍国) 

0.730

 

57

ブラジル  

0.726

 

58

パナマ  

0.724

 

59

バングラデシュ  

0.722

 

60

ポーランド  

0.722

 

61

アルメニア  

0.721

 

62

カザフスタン 

0.721

 

63

スロバキア 

0.720

 

64

ボツワナ

0.719

 

65

ブルガリア  

0.715

 

66

ウクライナ  

0.714

 

67

ウルグアイ 

0.714

 

68

エルサルバドル 

0.714

 

69

モンテネグロ  

0.714

 

70

 マルタ  

0.713

 

71

アラブ首長国連邦 

0.712

 

72

ベトナム  

0.711

 

73

北マケドニア 

0.711

 

74

タイ 

0.711

 

75

エチオピア 

0.711

 

76

ジョージア  

0.708

 

77

ケニア共和国

0.708

 

78

ウガンダ 

0.706

 

79

イタリア  

0.705

 ※G7

80

 モンゴル  

0.704

 

81

ドミニカ共和国 

0.704

 

82

レソト 

0.702

 

83

イスラエル  

0.701

 

84

キルギス

0.700

 

85

ザンビア  

0.699

 

86

ボスニア・ヘルツェゴビナ  

0.698

 

87

インドネシア 

0.697

 

88

ルーマニア 

0.697

 

89

ベリーズ 

0.696

 

90

 トーゴ 

0.696

 

91

パラグアイ  

0.695

 

92

カンボジア 

0.695

 

93

ギリシャ 

0.693

 

94

カメルーン 

0.693

 

95

東ティモール  

0.693

 

96

ブルネイ ダルサラーム 

0.693

 

97

アゼルバイジャン 

0.692

 

98

モーリシャス 

0.689

 

99

ハンガリー  

0.689

 

100

ガーナ 

0.688

 

101

チェコ共和国  

0.685

 

102

マレーシア 

0.682

 

103

ブータン  

0.682

 

104

セネガル 

0.680

 

105

韓国 

0.680

 

106

キプロス  

0.678

 

107

中国 

0.678

 

108

バヌアツ 

0.678

 

109

ブルゴーニュ 

0.676

 

110

マラウイ  

0.676

 

111

タジキスタン 

0.672

 

112

シエラレオネ 

0.667

 

113

バーレーン  

0.666

 

114

コモロ  

0.664

 

115

スリランカ 

0.663

 

116

ネパール 

0.659

 

117

グアテマラ 

0.659

 

118

アンゴラ 

0.659

 

119

ガンビア 

0.651

 

120

 クウェート  

0.651

 

121

フィジー

0.650

 

122

コートジボワール  

0.650

 

123

ミャンマー 

0.650

 

124

モルディブ 

0.649

 

125

日本 

0.647

 ※G7

126

ジョーダン 

0.646

 

127

インド 

0.643

 

128

チュニジア 

0.642

 

129

トルコ 

0.638

 

130

 ナイジェリア 

0.637

 

131

サウジアラビア 

0.637

 

132

レバノン  

0.628

 

133

カタール 

0.627

 

134

エジプト 

0.626

 

135

ニジェール 

0.622

 

136

モロッコ

0.621

 

137

ギニア  

0.617

 

138

ベナン

0.616

 

139

オマーン

0.614

 

140

コンゴ民主共和国 

0.612

 

141

マリ

0.605

 

142

パキスタン 

0.575

 

143

イラン(イスラム共和国)

0.575

 

144

アルジェリア 

0.573

 

145

チャド 

0.570

 

146

アフガニスタン

0.405

 

 

出典元世界経済フォーラム 『Global Gender Gap Report 2023』

 

   

4-3 日本の順位が低い理由は?

以下の表は、日本と主な先進国の分野ごとのジェンダーギャップ指数を比較したものです。総体的に日本は、どの分野も飛びぬけて順位の高い分野はありませんでした。

 

 

日本

イタリア

米国

ドイツ

アイスランド

総合

125位
(0.647)

79位
(0.705)

43位
(0.748)

6位
(0.815)

1位
(0.908)

経済

123位
(0.561)

104位
(0.618)

21位
(0.780)

88位
(0.665)

14位
(0.796)

教育

47位
(0.997)

60位
(0.995)

59位
(0.995)

82位
(0.989)

79位
(0.991)

保健

59位
(0.973)

95位
(0.967)

78位
(0.970)

64位
(0.972)

128位
(0.961)

政治

138位
(0.057)

64位
(0.241)

63位
(0.248)

5位
(0.634)

1位
(0.901)

※(カッコ)内はスコア

出典元世界経済フォーラム 『Global Gender Gap Report 2023』

 

日本の教育分野では、ジェンダー・ギャップ指数が前年の1位から今年は47位へと急落してしまいました。原因は今回の調査より大学・大学院への就学率が加わったためです。日本は高等学校までは男女の格差がなく、みな平等に教育機会を与えられていますが、大学以上になると顕著な格差が生まれてしまうことが読み取れます。

保健の分野でも前年63位から59位に下がってしまいました。ただ、教育と保険の分野だけが、今回比較した諸国のなかでは何とかトップを維持できたという形です。その他の経済と政治に関しては最下位に近しい結果となり、今回比較した諸国のなかでも2つの分野で100位を超えてしまったのは日本だけです。

総合1位のアイスランドですが、政治分野が1位、保健分野が128位と極端な結果が出ています。ただよく見ると、保健分野のポイントはどの国もわずかな差による順位になっているのに対し、政治に関しては国ごとにポイントに大きな開きが出ており、政治と経済が順位の要となっているのが理解できます。
 
労働人口に占める非正規労働者の割合も、2023年統計によると、男性が21.32%なのに対し、女性は倍以上の52.5%にもなり、不安定かつ低賃金な環境で働いている女性の姿が浮き彫りになっています。 

出典元:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)4月分結果」

 
日本で特に深刻なのが政治の分野です。2022年8月の時点で、日本の女性議員の割合は衆議院で9.9%(46名)、参議院で25.8%(64名)です。2020年に男女共同参画局が定めた「第5次男女共同参画基本計画」では、2025年までに衆参両院それぞれの議員候補に占める女性の割合を、35%とする目標値を掲げています。

2022年の参議院議員選挙の女性候補者の割合は33.2%であり、目標に近い数値になってきているようにも思えますが、一番当選人数が多い自民党の女性候補は82人中19人で23.2%に過ぎませんでした。野党は共産党、立憲民主党などで50%以上の女性候補を立てたものの、もともとの候補者人数も少ないため、あまり影響を与えられていません。

その前の衆議院議員選挙になると、女性候補者の割合は17.7%で、参議院よりさらに女性比率が下がっています。

 

出典元:読売新聞オンライン 『参院選2022 女性候補 初の3割 参院選公示…181人 各党が積極擁立
出典元:男女共同参画局 第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)

   

4-4 ジェンダー格差是正にむけた、これからの動き



「経済」分野の賃金格差是正に向けては、女性活躍推進法の省令・告示を改正し、常用労働者301人以上の大企業に対し、「男女の賃金の差異」について情報公表が義務化されました。(2022年7月改正)

 

出典元:厚生労働省 『女性活躍推進法の省令・告示を改正しました』

 
また、「政治」分野では、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第67号)」が2021年6月に施行され、政党が男女の候補者数の目標を設定するような、より積極的に取り組みを行うことや、セクハラ・マタハラへの対策などが盛り込まれましたが、努力義務にとどまっています。

 

諸外国では、人種、民族、宗教、性別などを基準に、議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に現在不利益を受けている者に割り当てる「クォータ制」を導入している国や地域が多いのですが(2011年3月時点で87か国)、日本では実現していません。

 

さらに議論を進め、女性の政治参加について、推進に有効な手立てを採用していくべきだとされています。

 

出典元:男女共同参画局 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律
出典元:男女共同参画局 平成23年版男女共同参画白書

5.企業が女性活躍を推進するメリット


さて、ここまで日本としてのジェンダー格差是正につき見てきましたが、現在、「ジェンダーフリー」「ジェンダーレス」を目指し取り組みを進める企業が増えています。企業がこの取り組みを進めると、どんなメリットがあるでしょうか。



          

5-1 社外へのアピール

男女平等の取り組みは、SDGs目標に定められている、国際社会が目標としている世界の実現の一部です。日本国だけでなく、そこで暮らす人々、また企業にも、目標達成の努力が課されています。

実現に向けた取り組みを行うことで、企業の社会的責任を果たしているとのアピールができ、投資家からの評価が期待できます。


   

5-2 採用場面でのアピール

SDGs目線でのアピールだけでなく、男女ともに働きやすい、公平な会社であることは、近年ますます厳しさを増す人材獲得の場面で、就活者への大きなアピールとなります。男女ともに育児休業などの制度が使いやすいということは、女性だけでなく、現在一般的になりつつある共働き世帯の男性にもプラスの要素です。優秀な人材獲得の大きな助けとなるでしょう。

 

5-3 定着率向上

ジェンダー格差のない働きやすい職場は、そうでないブラック気味な職場に比べ、当然離職者が少なくなります。様々な立場の労働者が働きやすい制度がそろっていれば、労働者の事情が変わったとしても、フレキシブルに対応することができ、やめていかざるを得ないケースが減ることでしょう。

また、そのような配慮をしてくれる会社=労働者を大切にしてくれる会社、というメッセージにもなり、モチベーシ  ョン向上からの生産性アップにつながる可能性もあります。

 

5-4 まずは自社の状況を知ることから

様々な法律に従い、社内制度を整備することは大切ですが、実際に利用されているでしょうか。 制度の利用方法が分かりづらかったり、説明が不十分だったりすると、制度があっても利用されません。また、会社には独特の風土があり、ジェンダー格差を風土として残していると、制度を利用しづらい、言い出しにくい雰囲気になったりします。まずは自社の状況について、調査をすることが大切です。

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6.まとめ

ここまで、「ジェンダーレス」に始まり、「ジェンダーフリー」との違い、ジェンダー格差の歴史、「ジェンダー・ギャップ指数」と、幅広くジェンダーの問題を見てきました。日本は「ジェンダー・ギャップ指数」が低く、まだまだ男女格差が大きいと言えます。

今後の日本では各企業の賃金格差の是正など、変えていかなければならないことも多いため、順位に一喜一憂するのではなく、着実に一歩ずつ、取り組みを進めていかなければなりません。

 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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