≪2022年_世界幸福度ランキング≫日本の順位は?ランキングからわかる特徴を解説!

「世界幸福度ランキング」という言葉は、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
今年の日本は世界と比べて、いったい何位ぐらいなのかも気になるところだと思います。
世界全体を見ても、新型コロナウィルスが収束していない状況が続き、人と人とのつながりに変化がみられたようです。その変化により、世界の幸福度に対する意識も変化したように見受けられます。
本記事では「世界幸福度ランキング」というものがなぜ発足し、どのような調査のもとにランキングが発表されているのか、また、皆さんが気になる2022年度のランキングをお知らせします。
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目次
1.世界幸福度ランキングとは?
「世界幸福度ランキング」の発表は2012年に開始され、2022年で10年目となります。発表は毎年3月20日とされ、この日は国連が定めた「国際幸福デー」となっており、「ハピネスデー」とか「幸福の日」としても知られています。
「国際幸福デー」は、2011年に ”イリエン グローバル パブリック ベネフィット コーポレーション” により、幸福やウェルビーイングを啓発、促進するキャンペーンとして開始されました。その後、2012年に国連顧問のジェイム・イリエンが提唱し、国際連合総会で193か国の加盟国が満場一致で採択されています。
ジェイム・イリエンは、インドのカルカッタの路上で孤児として捨てられ、マザーテレサの国際希望孤児院に連れて行かれました。そこでは、アメリカの女性たちが子供を養子にしたく、懸命に活動している姿などを目の当たりにしました。
その後、ジェイムは国際養子縁組により養母のアンナ・イリエンのもとで養子となり、自分がどれほど幸運であるかを実感するようになりました。彼は自分の使命を「幸福を共有すること」とし、幸福とは年齢、国、信念、状況を超えた普遍的なものと定義づけ、養母とともに活動を開始し、現在の世界幸福度報告へとつながることとなります。
「世界幸福度ランキング」は、毎年「世界幸福度報告(World Happiness Report)」にて発表されています。この世界幸福度報告は、国連が設立した非営利団体の「持続可能開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が、2012年から世界各国の居住民の幸福度を定量化し、幸福指数として具現化し発行しています。
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2.世界幸福度ランキングの調査方法
2022年の世界幸福度ランキングの調査は、150以上の国や地域の約1000人の市民を対象に実施しました。例年の調査方法は、社会的支援の充実度や人生の自由度など「人生に対する幸福度」をカントリルラダー(Cantril ladder)の指標を用いて、各国の人々に聞き取り調査を行います。カントリルラダーとは、「最良の生活」を10、「最悪の生活」を0として、10段階評価で表現したものです。
具体的には、以下の評価項目を国・地域ごとに数値化、分析して、過去3年分を積算した平均値で順位を決めています。
- 一人当たりの国内総生産(GDP)
- 社会的支援(Social Support)
- 健康寿命(healthy life expectancy)
- 社会的自由(freedom to make life choices)
- 寛容さ(Generosity)
- 汚職の無さ・頻度(Perceptions of corruption)
- ディストピア(人生評価/主観満足度)+ 残余値(Dystopia (2.43) + Residual)
3.日本の世界幸福度ランキングは54位
世界全体の順位を見る前に、気になる日本の世界幸福度ランキングの順位は何位になったか見ておきましょう。
日本は、2020年は62位、2021年は56位、そして2022年は54位と着実に順位を上げています。コロナ禍において順位が上がっているのは、人々の生活が恵まれている幸福な国と考えられます。一方で、先進諸国の中では最低順位となっており、残念な結果でもあります。
日本の評価結果で高い項目は、「一人当たりの国内総生産(GDP)」と「健康寿命」となっています。「一人当たりの国内総生産(GDP)」は上位国とあまり変わらない数値となっています。「健康寿命」は上位国よりも高い数値となっています。
日本の評価結果で低い項目は、「汚職の無さ」や「社会的支援」などです。更に顕著に低い項目が「社会的自由」「寛容さ(他者への寛大さ)」「人生評価/主観満足度」となっており、特に「人生評価/主観満足度」が非常に低い結果となったのは、日本独特の結果といえます。
4.2022年の世界幸福度ランキング
2022年3月20日に発表された最新の「世界幸福度ランキング2022」の結果を、ここでは100位までを掲載します。気になる国の順位を確認してみましょう。
このランキングでは、ロシアによるウクライナ侵攻は反映しておりません。
世界幸福度ランキング2022
順位 |
国 名 |
---|---|
1位 |
フィンランド |
2位 |
デンマーク |
3位 |
アイスランド |
4位 |
スイス |
5位 |
オランダ |
6位 |
ルクセンブルグ* |
7位 |
スウェーデン |
8位 |
ノルウェー |
9位 |
イスラエル |
10位 |
ニュージーランド |
11位 |
オーストリア |
12位 |
オーストラリア |
13位 |
アイルランド |
14位 |
ドイツ |
15位 |
カナダ |
16位 |
米国 |
17位 |
イギリス |
18位 |
チェコ |
19位 |
ベルギー |
20位 |
フランス |
21位 |
バーレーン |
22位 |
スロベニア |
23位 |
コスタリカ |
24位 |
アラブ首長国連邦 |
25位 |
サウジアラビア |
26位 |
台湾台湾省 |
27位 |
シンガポール |
28位 |
ルーマニア |
29位 |
スペイン |
30位 |
ウルグアイ |
31位 |
イタリア |
32位 |
コソボ |
33位 |
マルタ |
34位 |
リトアニア |
35位 |
スロバキア |
36位 |
エストニア |
37位 |
パナマ |
38位 |
ブラジル |
39位 |
グアテマラ* |
40位 |
カザフスタン |
41位 |
キプロス |
42位 |
ラトビア |
43位 |
セルビア |
44位 |
チリ |
45位 |
ニカラグア |
46位 |
メキシコ |
47位 |
クロアチア |
48位 |
ポーランド |
49位 |
エルサルバドル |
50位 |
クウェート* |
51位 |
ハンガリー |
52位 |
モーリシャス |
53位 |
ウズベキスタン |
54位 |
日本 |
55位 |
ホンジュラス |
56位 |
ポルトガル |
57位 |
アルゼンチン |
58位 |
ギリシャ |
59位 |
韓国 |
60位 |
フィリピン |
61位 |
タイ |
62位 |
モルドバ |
63位 |
ジャマイカ |
64位 |
キルギスタン |
65位 |
ベラルーシ* |
66位 |
コロンビア |
67位 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ |
68位 |
モンゴル |
69位 |
ドミニカ共和国 |
70位 |
マレーシア |
71位 |
ボリビア |
72位 |
中国 |
73位 |
パラグアイ |
74位 |
ペルー |
75位 |
モンテネグロ |
76位 |
エクアドル |
77位 |
ベトナム |
78位 |
トルクメニスタン* |
79位 |
北キプロス* |
80位 |
ロシア |
81位 |
香港S |
82位 |
アルメニア |
83位 |
タジキスタン |
84位 |
ネパール |
85位 |
ブルガリア |
86位 |
リビア* |
87位 |
インドネシア |
88位 |
コートジボワール |
89位 |
北マケドニア |
90位 |
アルバニア |
91位 |
南アフリカ |
92位 |
アゼルバイジャン* |
93位 |
ガンビア* |
94位 |
バングラデシュ |
95位 |
ラオス |
96位 |
アルジェリア |
97位 |
リベリア* |
98位 |
ウクライナ |
99位 |
コンゴブラザビル) |
100位 |
モロッコ |
※出典元:“World Happiness Report” https://worldhappiness.report/archive/
ランキング結果が出ている146位までの全てを確認したい方、さらに、2020年~2022年までの全ランキングを比較したい方は以下から資料をダウンロードしてください。
5.世界幸福度ランキング結果からわかる特徴
前章の結果の通り、2022年の総合幸福度ランキングは、1位がフィンランド、2位がデンマーク、3位:アイスランド、4位:スイス、5位:オランダ、6位:ルクセンブルク、7位:スウェーデン、8位:ノルウェーというように、上位8カ国をヨーロッパ、主に北欧諸国が独占しています。特にフィンランドは5年連続で1位を獲得しています。
北欧諸国が上位となった理由は、主に次の点が影響していると推測されます。
・ワークライフバランスが良好
・教育や医療の無償提供
2022年度発表の世界幸福度報告では、以下の「寛容性」を示す項目の自己評価が、世界の各国にて好転しました。
・正当な目的のために寄付する
・見知らぬ人を助ける
・ボランティアに参加する
これらの指標は、新型コロナウィルスのパンデミック前と比較してスコアが平均25%伸びています。2020年に突然猛威を振るって現れたパンデミックの影響は、世界中の人々の生活を一変させ、幸福度も負の方向に転じたかと思われました。
しかし実際は、全体的な幸福感の自己評価には、さほど大きな影響を与えませんでした。これは、自分の国の問題だけはなく、地球全体の共通の脅威という認識により、連帯感や思いやりの気持ちが高まり、人と人とのつながりに対する変化が、結果に現れたものです。
前章では最下位の表示を割愛しましたが、幸福度ワーストの国は、アフガニスタン、レバノン、ジンバブエ、ルワンダ、ボツワナの5か国でした。
専門家のNasratullah Haqpal氏によると、アフガニスタンは何年にもわたる「腐敗の蔓延」「貧困の増大および貧困者の増加」「雇用不足」「不安定な開発」などが組み合わさって、非常に不安な状況を生み出していると述べています。結論的には「将来に大きな希望を持つアフガニスタン人はほとんどいない」とまで言及しています。
※出典元:“World Happiness Report” https://worldhappiness.report/archive/
6.世界幸福度ランキングが上位で安定している国の特徴
この2年間、全世界はパンデミックにより、日常生活を普通に送ることがままならない状況でした。しかし、ランキング上位の幸福度が安定している北欧諸国では、日常生活を送るうえでの社会的支援が非常に高いため、「幸福」は日常生活の中に存在するものという認識のもとで暮らしています。
具体的には、社会保障制度や、社会的環境の良さなど、国に対する信頼感に基づくものと分析されています。特にフィンランドでは、国民一人ひとりの能力を生かし、業務効率を高めるために、在宅勤務やウェルビーイングを重視した働き方や暮らし方を取り入れ、進化し続けています。
幸福度を測る大きな要素となる収入についてですが、2022年度の調査においては、人生の満足度に対して、収入が与える影響度は減少しています。逆に、家族やパートナーとともに人生を歩む幸せや寛容性など、収入とは別の要因が上昇しました。特に60歳以上の年配の方々の幸福度が高まっているのに対し、若年層にとっては、自由な活動制限のため、幸福に対する満足度が低下しているのも特徴です。
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7.世界幸福度ランキングの順位が大きく変動した国の特徴
本章では、2021年と2022年のレポートで「順位が大きく上がった国」と「順位が大きく下がった国」はどのような国かみていきます。ここでは、大きく変動のあった国を15か国ずつを出してみました。
7-1 順位が大きく上がった国
幸福度がもっとも上昇した国は、リベリアで120位から97位へと23位上昇しています。
続いてトルクメニスタンが97位から78位へと19位上昇、コモロが131位から116位へと15位上昇しています。
モザンビークも14位上昇しています。
7-2 順位が大きく下がった国
順位が大きく下がった国の中でも、20位以上 下がってしまった国が2つありました。
ジャマイカが37位から63位へと26位下がっています。前年は日本よりはるか上の順位だったのが、今年は日本よりも10位ほど下の順位に落ちてしまいました。
続いて、レバノンが123位から145位へと22位下がっています。
またコンゴ、ガーナ、ペナン、パキスタンの4か国が、揃って16位順位が下がってしまいました。
8.日本が世界幸福度ランキング54位の理由
第3章でも触れましたが、日本の「社会的自由度」と「寛容度」を示す数値が、他の先進国と比較すると顕著に低い結果となっています。日本の順位が54位と低い理由は、この二つの項目の低さに起因します。
本章では、なぜ「社会的自由度」と「寛容度」の数値が低いのかを解説します。
8-1 社会的自由度の低さ
社会的自由度はさらに二つに分けられます。一つ目は、人々が働く環境の自由度を指し、二つ目は「言論の自由」や「報道の自由」などを指します。この二つの自由度について、以下で詳細を解説します。
①働く環境の自由
「社会的自由度」については、日本の休暇に対しての認識が、欧米諸国と比較すると大きな違いがあります。日本における大型連休というものは、年末年始とゴールデンウィークの2回が一般的ですが、いずれもおよそ1週間~10日程度となっています。
EU加盟国では、すべての企業・社員に対して、最低4週間の休暇を取ることが法律で義務づけられ、さらに年間30日の有給休暇が付与されています。そのため、EU諸国と比較すると日本が圧倒的に休暇日数の少なさがわかります。さらに、日本人の有給休暇取得率はおよそ50%程度となっており、有給休暇国際比較調査によると世界の中でも最下位となっています。
日本においては、休暇の少なさや休暇の取りづらさなどに加え、ブラック企業による休日出勤や、無報酬残業、上司・先輩からのパワーハラスメントなどにより、強い不満を感じ、自由度が上がらない要因の1つになっています。
②「言論の自由」や「報道の自由」
社会的自由度には、働き方・休暇の自由の他に、「言論の自由」や「報道の自由」などが含まれ、日本の幸福度の低さと深く結びついています。Reporters Without Borders(国境なき記者団)が毎年発表している「報道の自由度ランキング」の2021年の最新の結果では、世界180か国の中で日本は67位となり、先進国の中ではほぼ最下位の結果となっています。
「報道の自由度ランキング2021」では、日本が報道の自由が低い原因は、「菅義偉首相が、報道の自由のために何もしてこなかった」であると挙げています。日本は、メディアの自由と多元主義は尊重しているが、伝統とビジネス上の利益のために、報道の自由度が低下していると指摘しています。
8-2 寛容度の低さ
「寛容度」とは、ボランティアや慈善活動の多さや貢献度などで評価されます。この評価は、日本人のボランティアの少なさが、幸福度をさげていることを結論付けています。
過去の調査結果となりますが、2019年の内閣府『「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書』では、社会貢献することによって満足度が上がるという調査結果を示しています。結論として「頼れる人・ボランティア活動が増加するほど満足度が高くなる」と定義付けています。
内閣府の調査以外にも、ボランティアへの参加活動が、幸福度との正の相関があると言われており、今後の日本においては、ボランティア活動や相互互助の文化を根付かせることが、重要な課題となっています。
9.日本が幸福度の高い国になるには?
幸福度1位のフィンランドでは、新型コロナウィルスのパンデミックになる前から、国民一人ひとりの能力を生かし、効率を高めるために、在宅勤務やウェルビーイングを重視した働き方や、生活様式を取り入れ、進化し続けています。
新型コロナウィルスによる影響は、日本においても、日常生活や働き方に大きな変化をもたらしています。日本がさらに幸福度を上げるためには、この変化をチャンスにして、フィンランドなどの北欧諸国の取り組みや価値観を参考にしながら、進化していくことが大切です。
フィンランドが何年にもわたり、世界幸福度の上位をキープしているということは、国内での様々な取り組みや、長年にわたる努力の結晶の現れといえます。日本においても、国民全員が幸福になるためには、今何が足りないのかなどを考え、少しずつでも改善していくことが大切なこととなるでしょう。
身近なところから、一人ひとりが職場環境の改善をしたり、社会貢献のために先ずボランティア活動に参加するなど、地道な努力を続け、明るい未来に向けて進んでいくことが、重要なことではないでしょうか。
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