タレントマネジメントとは?導入目的や効果について解説!
.jpg)
タレントマネジメントとは、従業員のスキルや資質、経験などを見える化し、一元管理することで、より戦略的な人事、人材開発を実現する手法のことです。タレントマネジメントを導入すると、適材適所な人材配置や、リーダーの抜擢、離職防止などに役立ちます
タレントマネジメントは企業の目標達成する為に非常に重要な取り組みとなります。しかしながら、タレントマネジメントはアメリカが発祥のため、日本では具体的にどのような取り組みなのか知っている人は、まだ少ないようです。
本記事ではタレントマネジメントについての目的や背景、導入のメリット、活用方法、またシステムの選び方や導入事例などについて紹介いたします。タレントマネジメントについて少しでも知っていただければ幸いです。
目次
1.タレントマネジメントとは?
タレントマネジメントとは、タレント(従業員)が持つ個々のスキルや資質、経験などの情報を一元管理することで、戦略的な人事および人材開発を目指す人事マネジメントのことです。
従業員ごとに年齢や学歴、職務経歴といった基本情報はもちろん、自己評価や仕事への意欲、目標、参画したプロジェクトとその評価など、人材に関するさまざまな情報がデータベース化され、人事採用や配置、育成などに役立てられます。
かつては部署のトップやプロジェクトリーダーなどを抜擢する目的で、優秀な人材にのみ適用されていましたが、後述するタレントマネジメントシステムの普及により、近年は全従業員を対象にタレントマネジメントを行う企業が増えてきています。
2.タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの目的は、人事面から企業の経営目標をバックアップすることです。経営目標は企業ごとに異なりますが、売上を伸ばすにしても、事業拡大を目指すにしても、マンパワーが必要不可欠です。
そのため、企業は経営目標を達成するために必要な人材を採用または発掘し、組織力の向上・増大を目指して育てあげていく必要があります。もちろん、採用できれば誰でもいいというわけではなく、現在抱える課題を解決できる能力や資質を持つ人材でなければなりません。
これまでは、人材の採用または発掘を行う際、学歴や職歴、実績など、すでに可視化されたデータのみを基準とするのが一般的でした。しかし、この方法では目に見えない情報、たとえば個々のスキルや資質は評価の対象外となるため、優秀な人材が埋もれてしまったり、人事配置のミスマッチが発生したりするおそれがあります。
タレントマネジメントは、個々の人材をより掘り下げて管理することにより、経営目標に必要な人材の調達・育成・配置をサポートし、効率的な組織力の向上を実現します。
3.タレントマネジメントが注目される背景
タレントマネジメントは、もとは1990年代にアメリカで生まれた概念ですが、日本で注目を集めるようになったのは2000年代に入ってからのことです。
タレントマネジメントが注目されるようになった背景には、日本で長らく問題になっている少子高齢化による働き手不足があります。日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少の一途をたどっており、深刻な働き手不足に陥っています。[注1]
そのため、各企業は新しい人材を増やして戦力を強化する従来の方法から、今いる人材のパフォーマンスを向上し、少ない戦力で高い実績を挙げる方法へとシフトチェンジしています。
さらに、2019年に施行された「働き方改革」による長時間労働の是正、タレントマネジメントシステムを初めとする技術革新などの影響も重なり、大手企業だけでなく、中小企業でもタレントマネジメントを導入、実践するところが増えてきています。
[注1]:総務省「平成29年版 情報通信白書」
以下に、タレントマネジメントが注目される要因をまとめました。
3-1 労働環境の変化
タレントマネジメントが日本でも流行してきた理由の一つとして、「労働環境の変化」が考えられます。
少子高齢化が進む中、なかなか人材を確保することが困難になっている企業も多く見受けられます。また、プライベートを充実したいといった人も増えている事から、ひと昔のような大量に採用をするということが難しいです。ですので、今働いている既存社員の生産性が近年では重要となり注目を浴びてきているのです。
3-2 働き方改革による労働時間の制限
近年では、「労働の生産性」を上げることに力をおいている企業が増えてきています。ここは、労働時間の適正化の為、現状の個々のリソースでどれだけの生産性を上げることができるのかが重要となっています。その為、タレントマネジメントが必要不可欠となっているのです。
4.タレントマネジメントを導入するメリット(効果)
タレントマネジメントを導入することによって下記のメリットが上げられます。さらに今後、生産性を上げていく為にタレントマネジメントを導入する企業は増えてくることでしょう。
4-1 メリット① 社員のモチベーションアップ、定着率の向上
生産年齢人口の減少にともない、どこも人材不足に悩んでいる現代では、新しい人材を確保するよりも、今いる人材を長く定着させることが重視されています。
厚生労働省がまとめた「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、転職入職者が前職を辞めた理由について、男女ともに「仕事の内容に興味を持てなかった」「能力・個性・資格を生かせなかった」と回答した人がそれぞれ約5%ずつ、計1割程度に上っています。[注2]
逆にいうと、従業員が能力・個性・資格を生かして働ける環境が整っていれば、離職の防止につながります。自分にとって適性のある仕事であれば、自然と興味・関心も高まり、仕事への意欲やモチベーションもアップさせることができます。
[注2]厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
4-2 メリット② リーダー・後継者の育成が可能
企業が末永く発展・成長していくためには、企業の将来を担って立つようなリーダーや後継者を抜擢・養成する必要があります。
組織やプロジェクトの中心となるには、ただ単に仕事ができるというだけでなく、リーダーシップや適切な判断力、コミュニケーション能力といった数々のスキルを兼ね備えていなければなりません。
タレントマネジメントを導入すれば、リーダーや後継者となる資質・スキルを持つ人材を抽出し、それぞれの適性に合わせて育成計画を遂行していくことができます
4-3 メリット③ 人材の適正配置によるパフォーマンスの向上
従業員のもつスキルや資質、経験は人によって大きく異なります。同様に、部門や部署、プロジェクトごとに必要な人材にも違いがありますので、人事ではいかに従業員ひとりひとりの個性に適した人材配置を行えるかが重要なポイントになります。
タレントマネジメントを導入すれば、従業員の才能や資質、スキル、経験などを見える化することで、どんな業務・ポジションが適しているのか分析しやすくなります。
分析結果に基づいて適切な人材配置を行えば、個々のパフォーマンスを最大限に高めることが可能です。
5.タレントマネジメントによる人材データの活用方法3選
タレントマネジメントによって構築した人材データの具体的な活用方法を3つ厳選してご紹介します。
5-1 従業員の状態を把握し、適切な対応を行う
タレントマネジメントの人材データを活用すると、従業員ひとりひとりのスキルや資質、才能はもちろん、これまでの経験から現在設定している目標、職場環境に関する意見・要望まで、さまざまな情報を見える化することができます。
これらのデータをリアルタイムに更新し、一元管理していれば、各個人の状態をもとに、今後どのように指導すればいいか、サポートや支援を必要としていないか、などをいち早く把握できるようになります。
早い段階で適性を見出して指導すれば、優秀な人材を効率よく育成することができますし、従業員からのSOSを見逃さず、離職やモチベーションの低下を防ぐことも可能です。
5-2 計画的なキャリア育成を実現
タレントマネジメントを導入すると、従業員の今現在の状態を分析するだけでなく、その結果をもとに今後のキャリア育成計画を立てることもできます。
多角的な人材データから、その従業員に何が足りないのか、どの部分を伸ばせばいいのかを分析すれば、必要に応じて適切な研修を割り当てたり、その道で豊富な実績を持つベテランを指南役にあてたりすることができます。
指導・研修の結果も人材データとして随時更新・蓄積されていきますので、当初のキャリア計画が順当に進んでいるかどうか、軌道修正の必要はないかどうかも判断しやすくなります。
5-3 人材配置の可視化とシミュレーションの実行
タレントマネジメントを導入すると、人材データに基づいて適材適所の人材配置を行えると説明しましたが、さらに一歩進めて人材配置を可視化すれば、異動後の変化や効果をシミュレーションすることも可能です。
特にシミュレーション機能を持つタレントマネジメントシステムを利用すれば、実際に人事異動を行う前に、人材の過不足や人件費の変化の推移などをある程度推測できるため、よりベストな異動案を模索することができます。
6.タレントマネジメントシステムの選び方
タレントマネジメントを簡易的かつ効率的に行うためには、タレントマネジメントシステムの導入が必要不可欠です。現在は複数のベンダーから、さまざまなタレントマネジメントシステムがリリースされており、それぞれ特徴や機能、価格に違いがあります。
自社のニーズに合ったタレントマネジメントシステムを導入できるよう、システムを選定するときは以下のポイントをチェックしてみましょう。
6-1 導入目的に合った機能が搭載されているか
タレントマネジメントシステムを導入する目的は企業によってまちまちで、人材育成に力を入れたい企業があれば、従業員の長期定着を目的にシステムを導入する企業もあります。タレントマネジメントシステムに搭載されている機能は多種多様ですので、自社の目的達成にふさわしい機能がついているかどうかを確認しましょう。
6-2 誰でも使いやすいか
初めてタレントマネジメントシステムを導入する場合、すぐに現場に浸透させられるかどうかも、重要なポイントになります。特にパソコンに不慣れな方は、初心者でも使いやすいインターフェースや、レイアウトを採用したシステムを優先的に選ぶとよいでしょう。
6-3 長期的に続けやすい価格か
タレントマネジメントシステムには、社内にサーバーを設置するオンプレミス型と、外部サーバーを利用するクラウド型の2種類に分類されます。前者は初期費用と保守費用が、後者は月額利用料とメンテナンス費用がそれぞれ発生します。タレントマネジメントシステムは長期にわたって運用するのが基本ですので、予算の範囲内で続けられるシステムを導入するようにしましょう。
7.タレントマネジメントシステムの導入事例
本章では、実際にタレントマネジメントシステムを導入した企業の事例を2つご紹介します。
7-1 アフターコロナ体制の構築に最適な人材を抜擢
A社では、新型コロナ感染拡大防止対策の一環として、テレワークを初めとするアフターコロナ体制の構築に乗り出しました。しかし、まったく新しい体制を導入するにあたり、システムやセキュリティ、労務管理、業務管理などをまとめて見直す必要がありました。
A社では従来、これまでの経験や周囲の話などを考慮してメンバーを選定することもありましたが、タレントマネジメントシステムの導入により、私情や感情などをはさまず、どのメンバーがどのようなスキルを持っているのか。今回のプロジェクトにはどんなメンバーが適しているのか、などを体系的に判断できるようになり、新体制に最適なメンバーの抜擢に成功しました。
7-2 人事データの一元管理で業務効率化を実現
B社では、以前から人材をデータベース化することを考えていましたが、Excelなどで作ったものはなかなか現場で活用するレベルまで昇華できず、行き詰まりを感じていました。そのようなとき、申請のワークフローや勤怠システムの在り方を見直す、業務効率化プロジェクトが立ち上がりました。しかし、その過程で従業員のデータが、あちこちに散らばっていることが問題として再浮上し、人材データの一元管理を目指すことを決意しました。
適性検査や評価情報、異動履歴、勤怠情報などをまとめて管理し、スキルの可視化やメンバーのキャリア情報の公開などを行うことで、必要な時に必要な人材を確保・育成できる環境を整えることに成功しました。情報の一元管理によって管理業務の効率化も実現し、一石二鳥の効果を挙げています。
8.まとめ
『タレントマネジメントを導入し、適切な人材の採用・育成・配置を目指しましょう!』
タレントマネジメントを導入すると、これまであいまいだった人材データを見える化することが可能となり、より客観的かつ公正な人材の採用・育成・配置が可能となります。適材適所な人材配置は従業員のモチベーションアップや離職防止につながるほか、業務効率の向上による売上・業績向上も期待できます。
タレントマネジメントに必要な機能を搭載したタレントマネジメントシステムにはさまざまな種類、特徴がありますので、自社のニーズや目的に合わせて最適なシステムの導入を目指しましょう。
イーウェルで提供している福利厚生、健康経営などのサービスをご紹介!
関連記事
Related article
おすすめ記事
Recommend