「ウェルネス経営」をサポートするメディア

  1. TOP
  2. 福利厚生
  3. 非課税のままで大丈夫?福利厚生を取り巻く税制について解説!
(公開:2022/05/25)

非課税のままで大丈夫?福利厚生を取り巻く税制について解説!


非課税のままで大丈夫?福利厚生を取り巻く税制について解説!

営業現場で企業担当者様のお話を伺う中で、近年、税務署のスタンスがより厳しくなっていると感じております。

 

昔は非課税で承認を得られていたものでも、課税区分の変更指導が入るケースがあるようです。指摘が入ってしまった企業担当者の方は、皆、その対応に大変苦労されているため、ぜひ、本記事を通じて、自社の福利厚生に関する税務状況を整理・確認していただくきっかけとなればと考えています。

 

※本記事は、2021年12月9日に開催されたウェビナー『非課税のままで大丈夫?福利厚生を取り巻く税制』の内容をもとに作成しています。

         

1.税制面に配慮しなければならない理由

実は、福利厚生は様々な税制と関連があり、制度構築時には税制に準拠した内容になるよう、配慮が必要です。特に密接に関連するのは、所得税です。そこで、本記事では福利厚生と所得税の関係について解説します。

 

「そもそも福利厚生って非課税じゃないの?」と思っている方も多いようです。

 

しかし、正確には、国税庁が福利厚生にあたる、としたもののみが非課税となります。企業として福利厚生のつもりで制度を運用していても、国税庁や税務署からみたら、給与と判断されるケースもありますので、福利厚生=非課税、という認識は誤りだと考えたほうが良いでしょう。

 

誤った認識や確認を怠っていると、税務署から指摘が入った場合に、過去の未払い分について、ペナルティをつけて支払いを命じられる場合があります。自社の信頼を毀損してしまう事態になりかねませんので、非課税にて制度運用を行う場合には特に注意が必要です。

                

2.所得課税・非課税の判断

それでは、どのような基準で、課税・非課税を判断したらよいのでしょうか?

明らかに非課税でよいとされているものについてご紹介いたします。

          

2-1 所得税法で規定されているもの

 

当り前ですが、法律に明記されていれば、さすがに非課税として問題ないはずです。

所得税法9条には非課税所得となるものについて定められています。

 

福利厚生関係で関連するものとして、第1項6号および所得税法施行令第21条の規定があげられます。要するに、「作業着など、業務に必要なものを貸与された場合の経済的利益は非課税ですよ」と書かれています。


所得税法第9条第1項6号

(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの

所得税法施行令第21条
(非課税とされる職務上必要な給付)
第二十一条 
二 給与所得を有する者でその職務の性質上制服を着用すべき者がその使用者から支給される制服その他の身回品

          

2-2 いわゆる「見舞金」に該当するもの

弔慰金や災害見舞金など、いわゆる「見舞金」に該当するものは、非課税で差支えない旨が規定されています。

所得税法

(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。

~~~略~~~~

十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

所得税法施行令
(非課税とされる保険金、損害賠償金等)

第三十条 法第九条第一項第十八号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補塡するための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。

一 ~省略~
二 ~省略~
三 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金   
  (第九十四条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)

         

2-3 その他

各種通達などで明記されているものも含めると、他にも非課税で差支えないとされているものも存在しますが、法律上、非課税で差支えないとされているものは、ほとんどありません。

 

個別具体的な内容に基づき、都度判断する必要がありますので、課税区分の判断は、必ず税理士や税務官など専門家へ確認し、判断を仰ぐようにしてください。


             

3.各種通達などで公表されている代表的な個別事例

本章では、代表的な個別事例について解説します。

 

          

3-1 食事を支給したとき

役員や使用人に支給する食事は、次の二つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。

 

(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。

(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下であること。

  (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

※注意点

食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。

 

※出典元:国税庁HP タックスアンサー No.2594

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm 

            

3-2 人間ドックの費用負担

役員や特定の地位にある人だけを対象として、その費用を負担するような場合には、課税の問題が生じます。

 

ただし、役員又は使用人の健康管理の必要から、雇用主に対し、一般的に実施されている人間ドック程度の健康診断の実施が義務付けられていることなどから、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません。

 

※出典元:国税庁HP 質疑応答事例

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/03.htm

 

        

3-3 カフェテリアプランの課税判断について

最後に、カフェテリアプランのご担当者であれば、必ず知っておいていただきたいものを紹介します。カフェテリアプランのポイントにかかる経済的な利益はポイントを付与した時ではなく、ポイントを利用してサービスを受けたときにその内容によって課税・非課税を判断することになります。

 

また、以下の2つにあたる場合、カフェテリアプランのすべてのメニューにおいて、非課税とすることは出来ず、全てにおいて課税対象となります。

 

  • 役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合
  • ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプラン

 

※出典元:国税庁HP 質疑応答事例

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/36.htm

 

        

4.ここまでのまとめ

ここまでほんの一部の情報をお伝えしてきましたが、それだけでも課税区分の判断を担当者自身で行うことは難しい、ということはご理解いただけたのではないかと思います。また、カフェテリアプラン設計の際は、特に以下2点を意識いただければと思います。

 

  • カフェテリアポイントの課税判断は、サービスを利用したときとする(≠付与時点)。
  • 職務上の地位等に比例してポイントが付与されたり、「換金性のある」ルールの場合、「給与」と同視されるため、全てにおいて課税する必要がある。

 

また、「換金性のある」カフェテリアプランとはどのようなものをさすのか参考になる裁決事例もございますので、興味のある方は以下の「公表裁判事例」をご確認ください。

 

※国税不服審判所 公表裁決事例 
https://www.kfs.go.jp/service/JP/118/04/index.html

 

        

5.カフェテリアプランと電子帳簿保存法

 

          

5-1 カフェテリアプランと電子帳簿保存法の接点

近年、カフェテリアプランにおいても、ペーパーレスでの申請方法が主流となりつつある中、電子帳簿保存法とカフェテリアプランの関係について、問い合わせをいただくことが増えてきました。

電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿類や証憑類の全部、または一部を電子データで保存することを認めた法律です。

 

※国税庁ホームページ 電子帳簿保存法関係

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm


カフェテリアプランにおいても、同法の第4条ないし5条に則った保存が必要になるのかという、疑問を持たれる方が多くいらっしゃいます。

           

5-2 特徴② 標準的なカフェテリアプランは「電子取引」にあたる

結論から申し上げますと標準的なカフェテリアプランサービスにおいては、電子取引にあたると解釈することが妥当なため、4条・5条の適用はなく、10条に基づく保存が必要となります。

 

カフェテリアプランサービスは、WEB上で申請をしたポイント数に応じて、補助を支給するというものが一般的です。このWEB申請の場合は、基本的に領収書など書類が無くても成立しうるものであり、利用を証明する書類として添付させる領収書等は、補助を受けるための、審査材料の一つにすぎず、紙面での提出物や保管物がないことが根拠となります。

 

具体的には、タイムスタンプをつけるもしくはデータの訂正・削除を禁止とする規定を備える必要があります。ただし、今後法改正などにより解釈が変わる可能性もありますので、実施、運用の際は都度税務署等へ確認いただくことを推奨いたします。

 

※本記事は2022年1月1日時点施行の法律をもとに記載しております。

 

【参照条文】

 

■「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成十年三月三十一日法律第二十五号)」の第十

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)

第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

 

■「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(平成十年三月三十一日大蔵省令第四十三号)」の第八条

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)

第八条 法第十条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、次項又は第三項に定めるところにより同条ただし書の書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合を除き、当該電子取引の取引情報(法第二条第六号に規定する取引情報をいう。)に係る電磁的記録を、当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、第三条第一項第四号並びに同条第五項第七号において準用する同条第一項第三号(同号イに係る部分に限る。)及び第五号に掲げる要件に従って保存しなければならない。

一 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。

二 当該取引情報の授受後遅滞なく、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。

三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。

  イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。

  ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。

四 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。

 

執筆者 株式会社イーウェル HRソリューション本部 矢作 一哲
監修者 株式会社イーウェル 健康経営推進室

    

Related keywords

Related article

Recommend

メルマガ登録

最新情報や
お役立ち資料を自動受信