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(公開:2022/06/22)

ウェルネス経営を実現している企業の導入事例やポイントを紹介


ウェルネス経営を実現している企業の導入事例やポイントを紹介

近年、「ウェルネス経営」という言葉を経営理念に取り入れて、従業員の健康管理や維持・向上をアピールしている企業が多く見受けられます。しかしながら、取り組み内容や動向を見てみると、「ウェルネス経営」も「健康経営」も概念的にはそれほど変わらず、明確な違いがなくなりつつあるのも特徴のひとつです。

健康経営の詳細については、当ウェルナレ内の記事「健康経営とは?得られる効果や導入事例を紹介」をご確認ください。

 

本記事では、敢えて「ウェルネス経営」という言葉を経営理念に取り入れ、社内外に発信している企業の取り組み事例を紹介いたします。また、そのような企業はウェルネス経営を実現するために、どのようなポイントに注力しているのかも解説いたします。



         

1.ウェルネス経営が注目される背景

『ウェルネス(wellness)』という言葉の概念は、アメリカの公衆衛生学者のハルバート・L・ダン博士が提唱したのが始まりとなります。そこでは、国民一人ひとりが健康でいるためには、社会でそれを支えるシステムが必要であるとし、病気を予防するだけではなく、生きがいや心の豊かさなどを総合的に把握していくことが重要であると提言しています。

 

日本でも、ウェルネス(健康経営)への取り組みを推進するため、2015年から経済産業省が「健康経営銘柄」の選定を行い、2017年には「健康経営優良法人」の認定を開始しています。さらに、経済産業省は2021年度から実施している、健康経営の取り組みに関する調査において、優れた成果を挙げている企業の取組内容や情報開示を促進し、健康経営に対する社会的評価が、更に高まることを目指しています

 

※2022年3月15日に公開された最新の情報はこちらをご確認ください。

 経済産業省「令和3年度健康経営度調査に基づく2,000社分の評価結果を公開しました」

 https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220315004/20220315004.html

 

このように、国が率先となり推し進める取り組みや社会情勢の変化、そしてテクノロジーの進化などにより、ブラック企業とか過労死などの言葉の根源となる、過度な働き方を強要してしまう企業も、以前と比較すると減少傾向にあります。特に労働時間に対する考え方は、大きな変革を起こしています。

 

それは、単に長時間働くのが良いことではなく、より効率的に働くことが求められるようなってきたこととなります。現在は、残業時間の上限規制も行われるようになり、長時間働くことが、業績の向上につながるものではないという考えのもと、効率的に働く体制づくりが求められるようになってきました。

 

ウェルネス経営を前向きに行っている企業は、従業員の健康管理に積極的に関わっています。その関わりとは、企業が従業員に対して投資をしていることです。投資とは、従業員が気持ちよく、長く働くことができる環境を整備することで、その投資が働きやすい職場環境の構築へとつながってくのです。

                

2.ウェルネス経営の導入事例

本章では、「ウェルネス経営」という言葉を用い、推進している企業の事例を紹介します。どの企業も、各業種の課題に合わせた特色のある取り組み内容で、非常に興味深い事例となっています。

          

2-1 事例① 株式会社丸井グループ

丸井グループのめざす「ウェルネス経営」は、「ウェルネス」の視点を通じて新しい価値を創り、社会全体を「しあわせ」あふれる場所にしていくことです。

「丸井グループのサービスによって心が豊かになる」。そういった目に見えない価値や信頼を創りあげていくには、イキイキと活力にあふれ、自らが「しあわせ」を感じられる社員が増えることにより、ワークエンゲージメントの高い組織へと変わり続けていくことが重要と考えています。

そうすれば、社員にとっても社会にとっても価値となり、「しあわせ」な社会の共創に貢献できることを掲げています。

①活力のウェルネス

 丸井グループでは、今よりもっと活力高くイキイキとすることを重視し、社員一人ひとりが意識や行動を変え生産性をアップさせることで、企業価値向上と社会へのお役立ちにつなげることをめざし、活力を高めるためのウェルネス活動を強化しています。

 

 【強化・活動内容】 

  • 今よりもっと活力高く、経営戦略としての「ウェルネス」
  • 自ら手を挙げて参加する組織風土がウェルネス活動を加速させる
  • プロジェクトメンバーを起点にWell-being活動を拡げる
  • トップ層へのアプローチ「レジリエンスプログラム」

 

②ウェルネス活動と組織の活力向上の可視化

 丸井グループは、ウェルネス活動の取り組みによる効果を分析することで、ウェルネス活動と組織の活力の関係の見える化を図っています。活動が活発化している事業所では、ワークエンゲージメントを高める指標が伸長するなど、ウェルネス経営の取り組みが会社全体の活性化につながっていることが数値としても見えてきました。

 

 【具体的な取り組み】

  • 全社員の67%が、社内のウェルネス活動に参加
  • ストレスチェックを職場の活性化に活用
  • 組織の活性度調査(組織健康度調査)のハイブリッド運用

 

※出典元:丸井グループ「サステナビリティ」

https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/theme02/health.html

 

          

2-2 事例② 楽天グループ

楽天では、従業員一人ひとりの心と体の健康の発展と維持を目的とした取り組みとして、ウェルネスを推進しています。2018年に新設されたウェルネス部が中心となり、社内における従業員の健康意識の向上と実践を精力的に推進しています。

 

前段として、2017年頃に楽天の組織体制の中にコーポレートカルチャーディビジョンという組織が創設され、その後、CWO(チーフウェルビーイングオフィサー)という役職も設けられました。従業員のみならず、楽天全体に関わる人の「ウェルビーイング」を高めていくことを目的としており、楽天グループのあり方や、従業員の行動指針・価値観を示す「楽天主義」に基づいて活動しています。

 

その組織の配下にあるウェルネス部は、2018年12月頃に人事部とは別の組織として開始しています。三木谷社長が「楽天創業以降、自分たちが脇目もふらず仕事に専念していた時代から、企業は成長と多様化により、組織の規模が大きくなった。今は、従業員の体調という面にこれまで以上に目を向ける必要があるフェーズになってきた」という言葉がきっかけとなっています。

 

人事部は、従業員の身に何か起きた時に対応するという労務管理および事態を予防する機能(健康診断や予防接種など)を持っていますが、ウェルネス部は、個人の健康意識の醸成や組織としての健康増進に関する推進体制の強化のために発足しています。

※引用元:Rakuten.Today「Rakuten Innovation」

https://rakuten.today/blog-ja/wellness-department-2021-j.html?lang=ja


【具体的な取り組み】

かつては、カフェテリアメニューの改善やジムを活用したフィットネスを推進していましたが、新型コロナウイルスの影響で出社する従業員が大幅に減り、多くのことがオンラインにシフトしました。

 

それに伴い、今まで行っていたことをより多くの人に実施することが可能になりました。ウェルネスサーベイを踏まえて把握した睡眠不足や体重管理、運動不足というような課題に対して、従業員の健康リテラシーを向上させることを目的に、オンラインのセミナーを行いました。

 

参加者は毎回400人くらいと、オンラインで開催することで、より多くの従業員に参加してもらうことができました。海外から参加される方もいたり、初めて参加したという方が増えたりと、大きな変化があったそうです。

 

※出典元:Rakuten.Today「Rakuten Innovation」

https://rakuten.today/blog-ja/wellness-department-2021-j.html?lang=ja

          

2-3 事例③ 野村不動産グループ

野村不動産グループは、「ウェルネス経営の取り組み」として、以下のように謳っています。

“野村不動産グループは、職員の心身の健康を何よりも大切にし、すべての役職員が、心身ともに健康で、活き活きと仕事に取り組むことが企業の持続的な成長につながる「ウェルネス経営」を目指します。”

 

さらに、健康経営宣言においては、以下の通り宣言しています。

 “野村不動産において、人財は最大の財産であり、社員が心身ともに健康であることが、未来につながる新たな価値創造の源泉であると考えます。この人財を基軸とする理念に基づき、私たちは、社員の健康保持・増進を積極的に支援する健康経営を推進いたします。”

 

これらの宣言などからもわかるように、野村不動産グループは、ウェルネス経営に深く取り組み、日々努力していることが伺えます。

 
ウェルネス経営の概念図


※引用元:野村不動産グループ「ウェルネス経営への取り組み」

https://www.nomura-re.co.jp/corporate/health/

 

野村不動産グループは、ウェルネス経営の推進施策として「ウェルネス」「働き方改革」「ダイバーシティ&インクルージョン」の3つの項目に分類し、取り組みを行っています。

 

【ウェルネス】

①メンタルヘルス不調等に対する段階的予防の徹底

  • コミュニケーションの活性化(0次予防)
  • 未然防止(1次予防)
  • 早期発見・対応(2次予防)
  • 再発防止(3次予防)


②生活習慣病の予防などの疾病の発生予防

~生活習慣スコアとして取得しモニタリングしています~

  • 継続した運動機会の提供(スポーツジム利用料の費用補助)
  • ウェルネス推進強化月間の実施(2018年から毎年12月実施)
  • ヘルスリテラシーの向上
  • 女性の健康サポートの充実
  • 喫煙室の閉鎖
  • 新型コロナウイルス感染症対策
  • 仕事と治療の両立


③健康経営優良法人2021(ホワイト500)認定

 

【働き方改革】

生産性と働きがいの向上~誰もが働きやすい環境整備に努めています~

  • フレックスタイム制度の導入
  • テレワーク勤務制度、サテライトオフィスの導入
  • ICTの活用
  • 業務効率化への取り組み
  • 本部単位での時間外労働削減の取り組み
  • 過重労働防止の取り組み
  • 各種休暇制度の設定

 

【ダイバーシティ&インクルージョン】

①多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる環境を提供することで、独創的な新たな価値創造につなげていくダイバーシティ&インクルージョン

  • 1on1ミーティングの実施
  • 女性活躍推進
  • 同好会


②企業のLGBTQに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」で「ブロンズ」を受賞

 

以上のことからもわかるように、野村不動産グループは「ウェルネス経営」に向けて、様々な取り組みを実践しています。「ウェルネス」「働き方改革」「ダイバーシティ&インクルージョン」の3つの推進施策の詳細を確認したい方は、出典元に記載した「ウェルネス経営への取り組み」のホームページをご確認ください。

 

このホームページの最後には、「ウェルネス推進への取り組み実績」として2017年度から経年での実績が公表されています。さらに2022年度の目標値も掲載されていますので、ご興味のある方はご覧ください。

 

※出典元:野村不動産グループ「ウェルネス経営への取り組み」

https://www.nomura-re.co.jp/corporate/health/

              

3.ウェルネス経営のメリット

前章で紹介した「ウェルネス経営」を導入している企業の事例について、興味を持たれた企業担当者も多くいるのではないでしょうか。本章では、これらの企業が取り組んでいるウェルネス経営のメリットをまとめて解説いたします。

          

3-1 メリット① 従業員の健康不良による退職・休職の未然防止

企業の戦力としてバリバリ働いている従業員が、病気やメンタルダウンなどの体調不良により、勤務継続が難しくなり休職してしまうことは、企業にとってもダメージでもあり、大きな損失となります。さらに、残った従業員が休職者の業務を代替することで、労働時間の増大などによる負荷となり、退職へと導くことになってしまう可能性もあります。

ウェルネス経営に取り組むことは、労働環境が改善され、体調不良を起こすリスクが減り、このような負の連鎖を阻止することが可能となります。結果的にウェルネス経営は、従業員の健康被害などのリスクを下げる効果が期待できることから、休職者や退職者の発生を防ぐことにつなげられるのです。

            

3-2 メリット② 効率的な業務の遂行

労働環境が改善されると、健康状態も改善されると前述しました。さらに健康な身体と頭脳を維持することができると、業務に能力を注ぎ、効率的に対応できるようになります。これは単に業務効率が上がることだけではなく、アウトプットの質にも影響し、大きく向上します。

 

要するに、ウェルネス経営に真剣に取り組むことは、仕事のパフォーマンスが発揮できる環境を提供することでもあり、従業員としても業務を円滑に進めることができるようになります。従業員は、効率的に業務を遂行したという達成感や成功体験により、自信と成長へと繋がり、今後の自社の発展に大きく寄与することができるようになります。

        

3-3 メリット③ 企業ブランドのイメージ向上

第1章で解説した通り、2017年の「健康経営優良法人」の認定開始、および2021年度の「健康経営の取り組みに関する調査」において、優れた成果を挙げている企業の取り組み内容や情報が開示されるようになりました。

 

ここで挙げられた各社は「ウェルネス経営」を積極的に取り組み、従業員の健康を重視している会社であるという印象を与えやすくなります。その結果、従業員が安心して働ける環境が整い、従業員を大事にしている会社というイメージも強くなります。このことは、求職者へのアピールポイントにもなり、採用活動を効率的に進めたい企業にとっては、優秀な人材を採用しやすくなるメリットにもなります。

        

3-4 メリット④ 医療費の適正化に寄与

従業員が病気などにより通院し、医療機関に支払う医療費については、健康保険組合も負担することとなっています。2021年度の健康保険組合全体が抱える赤字額は6,700億円でした。この医療費を適正化することで、削減に導くことが急務な課題となっています。

 

その課題を解決するには、ウェルネス経営に取り組み、従業員が健康を維持できるようになれば、医療機関にかかる機会を減らすことができ、企業が負担する医療費を適正化することも可能となるのです。


        

4.ウェルネス経営を実現するためのポイント

企業の規模に関係なく、メンタルヘルス等の不調が原因で退職を余儀なくされる従業員は、どの時代でも、少なからず存在します。ただ、この事実を当たり前に考えるのではなく、企業を支える大切な人材を失ってしまうという危機感を持つことが、ウェルネス経営の重要ポイントとなります

 

企業は従業員に長く働き続けてもらうため、健康投資をすることが重要であると説明してきましたが、本章では、ウェルネス経営に取り組む際、何を目指すべきなのか、どのようなことに注意すべきかを、ポイントを押さえて解説いたします。

          

4-1 ポイント① 成果の可視化

ウェルネス経営に取り組むには、第一歩として、すでに蓄積されている従業員の健康データを分析して、可視化することが重要となります。例えば、データ分析により食事や睡眠に配慮している人は、仕事への取り組み姿勢が前向きで、職場でのコミュニケーションが良好だという結果が、可視化できることとなります。

 

従業員の年齢や職位などの偏りを考慮し、生活習慣のデータと業績データを掛け合わせると、ウェルネスに意識を向ける群の方がどれだけの割合でいるのかという実績を抽出することができます。可視化の結果、どのような取り組みをすると効果的か、などの検討からはじめると、ウェルネス経営の道筋が見えてきます。

          

4-2 ポイント② 目指すゴールは「健康」だけではなく社会貢献

まずは企業自体が元気で健康でなければ、社会貢献はできません。多くの企業が元気で社会貢献することで、社会全体も元気になり、幸福へと導かれていきます。ウェルネス経営の目的は、従業員の「健康」だけがゴールではなく、従業員一人ひとりの豊かな生活、それが社会全体に広がることです。そのためには社会貢献の重要性を考えていくことも必要となります。

           

4-3 ポイント③「働く」ことの意味を再認識

現在、現役で働いている人の中には、新卒入社して働き始めた人、仕事にも慣れチームリーダーにもなれてバリバリ働いている人、定年間近だけどベテランの力を発揮して頑張っている人など、様々な立場の人が混在しています。

 

ウェルネス経営とは、働きやすい環境で心身ともに健康的に働けることですが、中には「仕事はつらいもの」と考える人も少なくありません。「働く」時間をいかに健康的で楽しく過ごすかということを、皆で考えたり、辛いことを共有し、少しでも良い職場環境にしていくことも、ウェルネス経営の重要なポイントとなります。

 

        

5.まとめ

本記事では、皆さんも聞いたことがあると思われる大手企業のウェルネス経営の取り組みについて解説いたしました。どの企業も非常に興味深い取り組みをされていますが、健康経営推進部門の方たちの、日々の並々ならぬ多大な努力の結晶と見受けられます。また、この取り組みが最終形ではなく、流動する世情に合わせ、さらに試行錯誤しながら進化していくことでしょう。

 

今後の日本においても、少子化による人材不足が大きな問題となっていますが、ウェルネス経営を推進することこそ、このような日本の労働市場を救う経営手法になると考えられますので、まだウェルネス経営に取り組んでいない企業担当の方は、従業員一人ひとりの健康管理しっかりと行うことで、より長く働いてもらえることにつながると信じ、一歩ずつ着実に取り組んでいただくことをお勧めいたします。

 

監修者 株式会社イーウェル ウェルビーイング経営推進室

    

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