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2024/03/01 (公開:2022/07/27)

ワークライフバランスの実現に向けた企業の取り組みと個人目標の持たせ方


ワークライフバランスの実現に向けた企業の取り組みと個人目標の持たせ方

最近、従業員のワークライフバランスに対する取り組みに注力する企業が増えてきました。その一方で、「自社でワークライフバランスを実現させるためには、どのような取り組みを実施すればよいか」と悩んでいるご担当者も少なくないでしょう。

本記事では、ワークライフバランスが注目を集める背景や、実現に向けて企業が取り組めることについて、事例を交えながら解説します。従業員に個人目標を持たせるためのポイントも、あわせて案内します。


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1.ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、日本では、「仕事と生活との調和」という意味で、ひとりひとりの人が自分の時間を、仕事とそれ以外で、ひとりひとりの人が自分の時間を、仕事とそれ以外で、どのような割れ合いで分けているか、どのようなバランスにしているか、ということです。その際、「仕事が順調に進めば私生活も潤い、私生活が充実すれば仕事もはかどる」といった相乗効果を目指すことも可能です。

 

企業の目線でいえば、ワークライフバランスを実現することで、従業員のモチベーションや満足度が高まり、効率よく生産性の高い業務遂行を実現できたり、離職率の低下や定着率を向上させたりすることが期待できます。

 

また、従業員の目線では、プライベートの時間が増えることで心身を健康に保てるようになるほか、家族や友人との時間が増えて生活も充実することにより、仕事に対する活力を生み出しやすくなります。

このように、仕事と生活をバランスよく両立させることで、それぞれの時間に恩恵をもたらすのがワークライフバランスなのです。

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2.ワークライフバランスが注目される背景



ワークライフバランスの考え方は、1980年代にアメリカで生まれたといわれます。当時のアメリカでは、多くの女性がビジネス社会で活躍するようになった一方で育児と仕事の両立が課題となっており、それを支援するために政府が「ワークライフバランス」というキーワードを提唱したとされます。

 

日本でも1990年代からワークライフバランスが意識されるようになりましたが、広く注目を集めるようになったのは「働き方改革」が提唱されてからです。日本でも、女性の社会参加にともなう育児と仕事の両立が課題になっていますが、これに加えて少子高齢化による人材不足や長時間労働などの問題も、ワークライフバランスが注目されるきっかけになったと考えられます。

 

ワークライフバランスが注目される背景を、詳しく見ていきましょう。

          

2-1 女性の社会参加

厚生労働省の調査によると、2020年の共働き等世帯数は約1,240万世帯となっており、全世帯に占める割合も年々増加傾向にあります。夫妻ともに外で働く家庭が増える一方、家事や育児の負担は女性のほうが大きく、働き方の選択肢が限られると感じている方も多いのではないでしょうか。

多様な働き方を提供するワークライフバランスの実現により、家事や育児と両立しながら働ける女性が増えますし、企業にとっては多様な人材の活用にもつながります。 
         

        

2-2 少子高齢化

私生活と仕事との両立が難しいケースには、育児だけでなく、介護もあります。これは女性だけの問題ではなく、男性にもかかわることです。子育てや親の介護のために仕事が休めないという風潮は、いまでも多くの企業に残っているようです。

 

子育てや介護に時間を取られる従業員が、安心して休みを取れるようにすることも、ワークライフバランスの実現に必要な取り組みです。

 

          

2-3 長時間労働の是正

かつての日本の企業には、「人より多く働くことが美徳」とされる風潮がありました。それが、心身の疲労から健康を害す従業員を生み、休職や離職、さらには過労死といった問題を生み出す一因になっていたことも事実です。

 

少子高齢化により、これから人材不足がますます深刻な問題になってきます。従業員一人あたりの生産性を向上させようと長時間労働を強いても、休職や離職されては元も子もありません。それよりも、ワークライフバランスを実現し、従業員の生活を充実させることで仕事の効率を上げたほうが、生産性の向上につながりやすいのです。


              

3.ワークライフバランス実現に取り組むメリット



ワークライフバランスの実現に向けて取り組むことで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。企業と従業員にわけて、それぞれのメリットを解説します。

          

3-1 企業へのメリット


①離職率の低下・従業員の定着化を図れる

産休や育休、介護休暇などの休みがとりやすく、復職もしやすいため、人材の流出抑止や従業員の定着化が期待できます。また、ワークライフバランスがとれている従業員は、仕事に対するモチベーションや満足度が高いことも定着化を促します。

 

②人材獲得にもプラス効果

採用の面でも、家庭の事情で働けない人材が集まりやすくなるほか、「従業員を大切にしている」「多様な働き方ができる」という企業イメージを与えることで就職活動中の学生や転職活動中の人材も確保しやすくなるなど、人材獲得に大きく貢献します。

 

③生産性の向上

仕事も生活も充実して、いきいきと働ける労働環境は、従業員の仕事に対する意欲を高めます。こうした環境の醸成により、労働生産性の向上や業務効率化の促進が見込めます。

 

④コスト削減

一人あたりの生産性がアップし、業務効率化が進めば、残業代などのコスト削減も期待できるでしょう。また、離職率が下がれば採用にかけるコストも抑えられます。

削減できたコストを従業員のスキルアップ研修など生産性向上を目的とした投資に回すことで、さらに好循環な経営を生み出せます。

 

            

3-2 従業員へのメリット

①育児や介護との両立が可能に

育児や介護などで働き方が限られていた方にとって、働き方の選択肢が増えることで、生活と仕事との両立ができるようになるでしょう。家庭の事情で働けない、ということもなくなります。また、家族や友人と過ごす時間が増えることで、プライベートも充実しやすくなるでしょう。

 

②心身の健康維持

長時間労働などによる心身の疲れで健康に悪影響を及ぼすこともなくなり、長く安心して働けるようになります。また、プライベートの時間が増えるなど余裕のある生活が送れるようになることも、心身の健康維持につながります。

 

③地域活動などの社会参加も活発に

家庭の事情だけでなく、地域とのつながりに時間を充てることもメリットのひとつでしょう。地域活動に参加し、さまざまな人と交流することによって自らの視野が広がり、仕事に生かしたりモチベーションの向上につなげたりすることも期待できます。


        

4.ワークライフバランス実現に向けて企業が取り組めること



ワークライフバランスを実現させるために、企業はどのような取り組みをおこなえばよいのでしょうか。具体的な取り組みについて、いくつか紹介しましょう。

          

4-1 ノー残業デーの推進

労働時間の削減をめざし、「ノー残業デー」を実行している企業は多くみられます。週に1日以上は定時に帰れる日を設けることで、従業員のプライベートの時間を増やすことにつながります。

           

4-2 育児休暇

最近では「イクメン」という言葉があるように、育児休暇は女性だけでなく男性も取得しやすい環境が求められています。男性が育児休暇を取得しやすくなれば、女性が活躍できる機会が増えることにもつながりますし、多様な人材が活躍する組織づくりも実現できるでしょう。

           

4-3 短時間勤務・フレックスタイム

育休後の従業員などが、勤務時間を短縮できる「短時間勤務」を採用している企業も多くなりました。ただ、短時間勤務を導入する際には、時間帯による働き方の選択肢を増やすことも大切です。

たとえば、通常の出勤時間が9時から18時まで勤務時間は8時間ですが、勤務時間が6時間とする場合、「9時から16時」「10時から17時」「11時から18時」など、従業員の生活にあわせて選べるようにするとよいでしょう。または「フルタイムで週4勤務」という選択肢があっても、よいかもしれません。

これと似たような制度で、フレックスタイムの導入も検討したいところです。フルタイム出勤なので勤務時間は減りませんから収入の面で不安を持たせることなく、また自由な働き方ができることから従業員の満足度向上も期待できます。

          

4-4 テレワーク(在宅勤務)

新型コロナウイルスの影響で浸透したテレワークも、働く場所を選ばず自由に仕事ができるという点で、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みといえます。育児や介護で労働時間に制約がある方でも通勤にかかる時間を仕事の時間に充てられますし、家庭の理由がない方でも余剰時間を自由に使えますから、ワークライフバランスをとりやすくなります。

また、採用の面でも居住地を問わないため、遠方に住んでいる優秀な人材を確保することも可能です。

        

4-5 福利厚生の充実・改善

休暇制度のほかにも、さまざまな福利厚生サービスを提供するのも一手でしょう。たとえば、フィットネスジムの利用料金が優遇されるサービスなら従業員の健康促進につながりますし、資格取得の支援があればスキルアップを目指す従業員が利用するでしょう。

社員が健康的に働け、スキルアップのしやすい環境がある企業は、外部からの評判も高く、人材の確保や定着にも有効です。

       

4-6 人事評価制度の改善

ワークライフバランスを実現するうえで、人事評価の改善が必要になる組織もあるでしょう。長時間労働をよしとする社風や、産休・育休への理解度が低い組織では、抜本的に考え方を変えなければワークライフバランスの実現は難しくなります。

 

短時間勤務でも質の高い仕事をしている社員や、残業の少ない社員などを評価する人事制度に改めることで、従業員の意識を変えていくことも大切です。

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5.実際の取り組みを紹介

 

ワークライフバランスの実現に向けた取り組みについて、具体的な事例を紹介します。

          

5-1 働き方にあわせた人事で業務効率化が促進

不動産管理会社の株式会社東急コミュニティーでは、従業員の要望に合わせた勤務体制を整備しています。もともと、雇用形態や職種などによって勤務体制にばらつきがあったことから、働き方のニーズにマッチする人材を充てることで、ワークライフバランスの実現に取り組んでいました。

始業時間も、従業員の働き方にあわせて30分単位で変更できるように制度を変更。こうした取り組みが時間外労働の削減にも寄与し、1カ月あたりの残業時間を約4時間短縮することに成功しています。

また、男性の育児休暇取得率の向上にも努めており、2015年度からの4年間で5倍以上に増加したことも特筆すべき点です。

           

5-2 働き方が選べる多様な制度を導入

富士通グループのひとつ、株式会社富山富士通では、働き方の多様化を促進するために、さまざまな取り組みをおこなっています。

育児休職制度や介護休職制度はもちろん、短時間勤務、フレックス勤務、テレワーク(在宅勤務)などの制度も、コロナ禍前より実施。さらに、定時退社日(ノー残業デー)を週2回設け、時間外に勤務する場合は事前申請をしなければパソコンが自動的にシャットダウンするというシステムも導入しています。

こうした取り組みは多くの社員にも浸透し、育児休職取得率は100%、フレックスタイムで勤務者は9割にものぼります。また、残業時間も月間平均で約4時間も削減したそうです。

           

5-3 従業員が休みやすい制度に改革

損害保険ジャパン株式会社では、最大22パターンから選べるシフト勤務制度を採用しています。これにより始業時間や終業時間を問わず、生産性の高い働き方を実現しています。また、月1回の休暇取得を全社的に推進するほか、年5日間の特別連続休暇、年5日の指定休暇の取得を必須にするなど、従業員が休みやすい環境づくりもおこなっています。

 

このほか、生産性の向上につながることであれば人事ルールなどの見直しや廃止も積極的に進めており、従業員も率先して働きやすい環境づくりに努めているそうです。


           

5-4 社員の生の声を集め全員で共有・解決

保険代理店を運営する株式会社ライフィでは、社内に「気づきBOX」という意見箱を設置。仕事や労働環境に対する社員の生の声を集め、全社員に問題意識を共有・解決することで、ワークライフバランスの実現に向けた社員の意識改革に取り組んでいます。

 

また、短時間勤務、フレックスタイムなどの制度を導入するほか、新卒社員が取得できる有給休暇を初年度から一律20日とするなどの施策も実施。柔軟な働き方と労働時間の短縮を実現しています。

なお、株式会社ライフィは優れた取り組みを実施している中小企業に対して表彰する「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」の大賞を受賞した企業です。

          

5-5 ユニークな独自制度で自由な働き方を促進

グループウェアや業務改善サービスを展開するサイボウズ株式会社では、「ウルトラワーク」という制度を導入しています。この制度では、在宅勤務や時差出勤、子連れ出勤制度といった自由な働き方を促すもので、個人・チームともに生産性の向上をめざして実施しています。

また、出勤時間や在宅勤務日を自分で自由に決められる「働き方宣言制度」という制度も導入。育児や介護など家庭の事情にあわせて勤務時間をフレキシブルに対応できるしくみになっています。

こうした制度の導入で働き方の選択肢を増やしたことにより、離職率は大幅に改善。かつては28%もあった離職率が、制度の導入後は4%前後にまで低下したそうです。


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6.個人目標をどのように持たせるかもカギ


ワークライフバランスの実現に向けた取り組みは、企業が一方的に実施しても従業員にはなかなか浸透しません。一人ひとりの従業員に個人目標を持たせ、それを企業がサポートすることにより、取り組みの効果を上げることにつながります。

 

個人目標の設定に悩まれている方は、以下のような目標を掲げてみてはいかがでしょうか。

          

6-1 キャリア形成

自らの価値を高めるために、スキルアップや資格取得などを目標に掲げさせます。キャリア形成や資格取得支援などの制度が社内にあれば積極的に活用させることができますが、制度がない場合でも社外セミナーなどのサービスを提案するなど、一人ひとりの目標に適したサポートをおこないましょう。

           

6-2 業務効率化

個人でできる業務効率化の方法を、目標として掲げさせるのも一手です。現状の業務プロセスを振り返らせ、「いまの業務に無駄な作業はないか」「スケジュール管理に課題はないか」など、時間短縮や作業フローの見直しを検討します。

ルーチンワークが多い場合、RPAなどの自動化ツールを導入するのも、企業として取り組みたい施策のひとつです。
              

6-3 心身のヘルスケアに努める

仕事や人間関係などのストレスで、体調を崩す方も少なくありません。従業員の健康に配慮した仕組みを企業が整えることも大切ですが、従業員も不安や悩みがあれば提起するよう、メンタルヘルスを含めた健康管理を意識させることが重要です。

従業員に対して定期的にストレスチェックを実施させるなど、体調を崩す前にケアができる仕組みづくりも検討したいポイントでしょう。


        

7.ワークライフバランスの取り組みの進め方

ワークライフバランスの実現に向けた取り組みを考える際には、「準備」「導入」「実行」「定着」という4つのフェーズを経て進めるのが一般的です。

              

7-1 準備

準備の段階では、ワークライフバランスに関する法令や先進事例などから知識を深めていきます。それと同時に、自社の現状把握をすることも大切です。従業員が抱く課題をヒアリングするなど、施策メニュー(取り組みの内容)を検討するための材料を集めます。

              

7-2 導入

現状を把握したら、課題に応じた施策メニューや導入法を検討します。たとえば、マネジメント層の意識に問題がある場合は講演や研修などの意識啓発の機会を設ける、制度があるのに使われていない場合は全社員への周知を徹底するといった感じです。制度が少なかったり不備があったりする場合は、新たな制度の設置や改善などの整備も進めましょう。

              

7-3 実行

施策メニューが決定したら、実行へと移ります。利用促進の活動をおこなうと同時に、部署ごとに働き方に関する課題の抽出や改善策の検討といった業務分析も進めます。実行後の振り返りもポイント。制度の利用状況や実績などを定期的に発信するとともに、部署ごとの業務分析で見つかった課題は他部署とも共有して解決策を検討します。

              

7-4 定着

取り組みを通じて、成果を上がる方法があれば全社で共有して展開します。必要応じて人事評価や制度の見直しも実施。多様な働き方を理解したうえで、業績への貢献度を評価するよう人事評価を改善します。

また、取り組みに関わった従業員にはワークライフバランスの必要性を伝える推進員として育成することで、長期的な定着を図れるようになります。

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8.まとめ:ワークライフバランスの導入にはコンサルティングの活用も



ワークライフバランスを意識した取り組みを考えるには、現状の業務分析や従業員のニーズをリサーチするなど対応する業務が多く、自社のスタッフだけでは難しい一面もあるでしょう。また、ワークライフバランスに関する知識がない人や誤った認識を持っている人が船頭に立って進めると、従業員に定着せず目的も達成されないおそれがあります。

自社のスタッフだけでは対応できない場合は、専門のコンサルティング会社に相談するのも一手です。経験豊富なコンサルタントであれば、従業員のモチベーションや満足度が高まるような取り組みのアドバイスや、時代に適した福利厚生制度の構築なども支援してくれます。専門家と話し合いながら、自社に適したワークライフバランスの取り組みを探ってみましょう。 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

    

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