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2024/01/12 (公開:2021/07/05)

健康経営におけるエンゲージメント対策を行う3つのメリット


健康経営におけるエンゲージメント対策を行う3つのメリット

健康経営の指標ともいえる、「健康経営優良法人」には、「健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲージメント」という中項目があります。本記事では、健康経営の推進とワークエンゲージメントの向上との関連性について解説いたします。


        

1.エンゲージメントとは?

「エンゲージメント(engagement)」とは、様々な意味で解釈され「婚約、誓約、約束、契約」などという意味に用いられたりします。近年ではビジネスの場においても「エンゲージメント」という言葉が多く用いられるようになってきました。皆さんはビジネスにおけるエンゲージメントの意味を正しく理解していますか。

ビジネスの場でのエンゲージメントには、大きく「従業員エンゲージメント」と「ワークエンゲージメント」の二つに分類されます。


          

1-1.従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、従業員が属する企業の理念やビジョン、仕事を取り巻く環境、一緒に働く上司・同僚・部下などの仲間など、自社全てに共感し、組織に対する愛着心や貢献意欲などを指します。従業員エンゲージメントの要素は、主に以下のようなものとなります。

【目標】理念、ビジョン、戦略、成長性、ブランド

【活動】事業内容、仕事内容、商品サービス

【組織】組織風土、人材、経営陣

【待遇】給与、福利厚生、就労実態

企業はこれらの要素を提供し、従業員は自社の事業発展のために何ができるかなど、熱意を持って業務に取り組み、自ら職場の課題解決に向けた前向きな提案ができる状態であることを、従業員エンゲージメントが高い状態であるといえます。  

          

1-2.ワークエンゲージメント

ワークエンゲージメントの詳細については、次章にて詳しく解説をいたしますが、【活力】【熱意】【没頭】などの要素となります。

ワークエンゲージメントは、自分が所属する組織や風土の愛着心というよりも、仕事そのものに対して肯定的で、充実した感情を抱いている状態のことをいいます。自分の仕事に対して誇りや面白さを感じ、情熱をもって取り組むことが、組織のパフォーマンスを高め、さらに個人の幸せにもつながると考えられているのです。

              

2.健康経営とワークエンゲージメントの関係

ワークエンゲージメントとは、働く人が仕事に対して、情熱や活力を持っているポジティブな状態をいいます。ワークエンゲージメントが高い人は、仕事に対して高い集中力を持ち、困難な問題が立ちふさがっても、立ち向かうことができます。

【熱意】仕事に対して、やりがいを感じている。誇りを持っている

【没頭】仕事に対して、熱心に取り組める心理状態

【活力】仕事に対して、活き活きと取り組めている

こうした状態にある従業員は、自発的に仕事に取組み、高い生産性を維持してくれることが期待されます。「健康経営」推進において、ワークエンゲージメントのような労働生産性向上につながる指標は重視していると言えます。

「健康経営」は、企業が従業員の健康管理を戦略的に行う経営手法とされています。「健康経営」において「エンゲージメント」を高めるためには、ワークエンゲージメントだけではなく、就業する会社に対し、「愛着」や「思い入れ」「誇り」「やりがい」を持つような従業員エンゲージメントを持つようにしていかなくてはいけません。そうすることによって「個人と組織が一体化し、相互に成長し合う関係」を創り出すことができます。

一体化は、従業員同士という「ヨコ」の関係でも、会社と従業員という「タテ」の関係でも重要になってきます。ちなみに、「タテ」の関係では「忠誠」を示す「ロイヤルティ」という言葉もあります。「ロイヤルティ」が上下関係で成り立つのに対し、「エンゲージメント」はより従業員・会社の相互の信頼を示す概念となります。

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3.ワークエンゲージメント対策を行う3つのメリッ

ワークエンゲージメントの対策を行うことにより、得られるリットは3つあります。

「従業員のパフォーマンス」「メンタルヘルス対策になる」「人材育成にも役立つ」の3つとなります。対策を行い、ワークエンゲージメントを高めれば高めるほど、メリットも大きくなっていきます。本章では、メリットの具体的な内容を解説します。



          

3-1.メリット① 従業員のパフォーマンス向上

従業員が熱意をもって仕事に取組み、その結果高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。仕事において成果がでてくると、さらに自信をもって能力を発揮できる正の好循環が出来上がるため、企業経営にとっては非常に好ましい状態となります。

      

3-2.メリット② メンタルヘルス対策になる

仕事に対して、積極的に楽しみながら向かうことができます。楽しく仕事に取り組める状態になれば、従業員満足度も高くなり、ストレス負荷が減少します。結果、メンタルヘルス対策にも寄与するところが大きくなります。また、会社との関係性や従業員同士の関係性も改善されることで、よりその傾向が高くなります。

      

3-3.メリット③ 人材育成にも役立つ

職場のコミュニケーションが改善されることで、情報の共有もスムーズになります。また、活き活きと働く同僚の姿を見ることで、他の従業員にも好ましい刺激として現れます。やる気にあふれた従業員によって組織全体が引っ張られるという効果が期待できます

        

4.ワークエンゲージメント向上を阻害する要因

ワークエンゲージメントを高めることは、健康経営にもつながり、企業にとってメリットが大きいことをご理解できたでしょうか。ただし、様々な要因により対策が進められず、ワークエンゲージメントの向上を阻害してしまうこともこともあります。

世界の中でも、日本は「自分の仕事が誰の何の役に立っているのかわからない」という理由により、やる気がなく、ただお金を稼ぐために働いている従業員が増加傾向にあります。本章では、日本においてワークエンゲージメント対策をすすめられない要因について解説します。 

          

4-1.要因① 業務の細分化による縦割り組織

組織が大きくなればなるほど、担当部門が増え、各部門の業務が細分化してしまいます。フラットだった組織も次第に縦割りとなっていき、自分が所属する部署以外が何をしているのか分からないという状況になります。縦割り組織になると、部門間での必要な手続きやルールが増え、顧客の声を形にするために何かをはじめようとしても、決裁までの時間も要し、現場の声が経営層に届き難い状況に陥ってしまいます。

そのような状況になると、顧客のためにやるべき業務の時間を、社内手続きや調整のために多大な時間を費やしてしまい、業務に対する意欲が軽減され、何のために仕事をしているのか分からなくなるという状態になってしまいます。

      

4-2.要因② 日本独自の雇用形態

日本の雇用形態は、雇用主の意思・判断で、労働者の職務や労働内容、勤務場所を変更できる「メンバーシップ型」というシステムをとっている企業がほとんどです。一方、欧米などの多くの国では、業務に対して適切な労働者を割り当てる「ジョブ型」というシステムを採用しています。

メンバーシップ型の雇用形態は、日本の旧態依然とした「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」を前提としており、定年退職までその企業に尽くすというイメージをおもちの方も多いと思われます。メンバーシップ型はもちろん良い面もありますが、従業員たちは組織の中に溶け込み、いかに長く勤続するかことを優先してしまい、社外よりも社内に意識が向いてしまうことになります。

内向き志向になると、顧客の声よりも上司の声を優先的に聞くこととなり、最終的に上司の顔色を気にしながら、自発的に意見を発言できない「イエスマン」状態に陥り、多くの弊害が現れます。
      

4-3.要因③ サービス・商品の付加価値の低下

現在、日本の市場は成熟してきているため、あらゆる産業で高付加価値を持っていた商品の機能、品質、ブランド力などの市場価値が低下し、一般化することを「コモディティ化」ともいいます。コモディティ化した商品は、一時的な需要は見込めますが、以前のように、付加価値で差別化されないため、低価格競争に巻き込まれてしまいます。

コモディティ化を抜け出すためには、ブランド戦略・コミュニケーション戦略が重要課題となりますが、結果的に、競合会社と価格競争などで激しく競り合い、徐々にシェアが奪われていくと、自信を失い意欲的に業務に打ち込めない状況になってしまいます。

        

5.どうすればワークエンゲージメントを高められる?

自社の従業員が、どの程度のワークエンゲージメントの高さで働いているか、考えたことはありますか。「うちの会社の従業員はきちんとまじめに働いているから大丈夫」と勝手に思い込まず、従業員のワークエンゲージメントレベルを確認してみてはいかがでしょうか。想定外の結果が出てくるかもしれません。先ずは自社の状況をきちんと認識しましょう。 

          

5-1.自社のワークエンゲージメントレベルを確認する

あなたの企業の従業員は、今ワークエンゲージメントが高いでしょうか。それとも低いでしょうか?まずは現在の状況を把握することが大切です。調査の方法は各種ありますが、一般的にアンケートを実施して回答を分析することが多いです。 

<アンケート設問例> 

● 仕事の成果に対して、人から褒められたり、認めてもらったと感じますか?
● 職場の中で、自分の意見が尊重されると感じますか?
● 職場の中で、いざという時に頼りになる同僚(上司)はいますか?
● 仕事を通じて、自分が成長していると感じますか?その機会は与えられていますか?
● 仕事において、自身が期待されている役割が認識できますか?

      

5-2.社内のコミュニケーション活性化を図る

ワークエンゲージメントを高める施策として、もっとも重要なことは「社内のコミュニケーション」を高めることです。上司と部下、他部署の担当者同士、同期入社同士など様々な場面でコミュニケーションを高めていきましょう。ここでは2つの施策例を紹介します。
 

<施策例> 

①情報の透明性を高める 

社員同士の情報が隔絶していると、業務をしていても意思疎通が上手くいきません。セキュリティ上問題がある情報以外は、できるだけ多くの従業員がアクセスできる形にする方が望ましいです。また、メンバーや上司がお互いに意見を言い合える、風通しのよさも大切です。

②褒め合う文化をつくる 

企業という組織での仕事は、一人では完結しないことがほとんどです。時には部署をまたいで打合せをしたり、業務を行うこともあるでしょう。お互いに依頼をしたりされたりする関係の潤滑剤として「褒め合う文化」は大きく寄与します。

ただしこうした文化はやろうとしてすぐに浸透するものではありません。コミュニケーションツールを駆使したり、ピアボーナス施策(感謝の気持ちをポイントなどの報酬で送り合う仕組み)を取り入れるなど、対策を取りましょう。

社内コミュニケーションを活発にし、従業員の働く意欲を高める「インセンティブ・プラス」

ポイントを使って評価や感謝を伝え合うことで社内コミュニケーションを活性化するWEBサービスです。

         

6.ワークエンゲージメント向上対策の成功事例

ワークエンゲージメントの概要について、ある程度ご理解できたでしょうか? ただ、ワークエンゲージメント施策とは具体的にどのようなことをするのか、不明に思う方も多いかもしれません。本章では、ワークエンゲージメント向上施策を実施し、成功している企業の事例を紹介します。

      

6-1.事例① みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループは、「金融業界を巡る外部環境の変化」と「働く側の意識の変化」という2つの要因を背景に、5カ年計画に基づいて人事戦略を大きく変えることとなりました。新人事戦略で打ち出しているのが「熱意&専門性」というキーワードで、社員のやりがいやモチベーションの向上と、会社の発展の好循環を形成することを「エンゲージメント」と位置付け、人事施策の見直しを進めることとしました。

【新人事戦略の具体例】

● グループ内の社員がそれに応募する「ジョブ公募」制度
● 従来からの「出向」の仕組みを活用し、みずほと社外の会社を兼業できる制度
● 土日などのプライベートな時間を使い、自分で業を営む形での副業を認める制度
● 最長2年間休職して「学び」に専念する「自分磨き休職」も認める制度

みずほの人事担当は「変わらなければ新たな価値創造はできない、というメッセージを伝えるツールとして、人事制度は大きな意味をもつ」という考えのもと、数カ月間かけて全国の支店を回り、新人事戦略の説明をしながら、さらなる浸透に取り組んでいるそうです。

※出典元:リクルート マネジメント ソリューションズ 「RMS Messeage」19ページ

           https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/pdf/j202002/m57_all.pdf

       

6-2.事例② Sansan株式会社

 Sansan株式会社では、人事施策の基本方針として「事業目標の達成に向けて、メンバーの強みを最大限に活かす組織作り」を掲げて、毎月、全従業員を対象に、チーム単位でワーク・エンゲイジメント・スコアを計測しています。

かつては人事が行っていたワーク・エンゲイジメント・スコアの状況把握を、現在は現場のチーム・マネージャーに権限を付与し、自身のチームの状態を把握させ、その士気をいかに高めるかを検討させるために活用しているそうです。

同社はこのワーク・エンゲイジメント・スコアの測定開始を契機として、「チャージ休暇」という取組を開始しました。このチャージ休暇の取得開始数か月後の「健康」「組織風土」のスコアをみると、1~2%ポイントの上昇が確認されたということです。

休暇取得によって疲労が回復し、エネルギーがチャージされたことと、休暇取得に向けて、チーム内での相互の協力体制が整備されたことが、スコアを押し上げたと考えられます。

※出展元:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について  https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1.pdf

          

健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」

健康経営を推進する上で必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、貴社の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。

7.まとめ

良好な職場環境を作るためには、従業員エンケージメントやワークエンゲージメントの向上は不可欠です。「健康経営」を推進する担当者は、職場のコミュニケーション活性化に対して、率先して対策を打ち出してください。


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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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