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2024/01/15 (公開:2021/11/25)

エンゲージメントスコアとは?高める方法や高いことのメリットを紹介


エンゲージメントスコアとは?高める方法や高いことのメリットを紹介

「今、自分の会社は従業員から見てどの程度愛着を感じてもらえているのだろう?」
そう考えたことはありませんか?

企業内では、どのような施策が良いのか、またどのような施策が良くないのかを客観的に評価することは難しいものです。それを数値化したひとつの基準があれば、正しく定点観測ができるとともに、その基準を上げていくことにより、組織をより良いものにしていくための施策を講じることができます。そこで最近注目されているのが“エンゲージメントスコア”です。

本記事では、エンゲージメントスコアについて、およびそれを高めていくための方法などをご紹介いたします。

1. エンゲージメントスコアとは

従業員満足度(ES・Employee Satisfaction)と聞けば、聞いたことがある人も多いでしょう。顧客満足度(CS・Customer Satisfaction)に並ぶ、ビジネスにおいて非常に重要な指標のひとつです。従業員満足度や顧客満足度は、あくまで単一方向(従業員→会社 / 顧客→店舗 など)でどの程度満足しているかを指し示します。

それに対し、エンゲージメントスコアとは、双方向に作用する信頼関係を示します。企業理念や基本方針への共感や納得、組織への愛着など、企業や組織と社員との間の双方向での信頼が数字となって表れるのが特徴です。

           

2.エンゲージメントスコアが注目される背景

働き方改革が少しずつ進んでいた時に、未曾有のコロナ禍により一気に働き方やライフスタイルの変化が加速することになりました。

それだけでなく、かねてより日本では、働く従業員の価値観の変化や少子高齢化や労働力人口の減少が顕著なことによる、企業“に”求める働き方、企業“が”求める働き方、それぞれに乖離が顕れ始めています。企業にとっては従業員ひとりへの重要性は増す一方です。

出典:厚生労働省「人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/16/dl/16-1-3_01.pdf

会社が自分の身を終身で守ってくれる時代が終わり、終身雇用 から 終身成長 へとキャリアイメージが大きく変わる時代が幕を開けました。企業側による一方的な条件提示を行う時代から、企業と従業員それぞれが相互に理解し信頼しあう必要がある時代に変化しつつあるのです。

そこで重要な基準となるのがエンゲージメントスコアです。問題点・課題の把握、またその変化に気付くために事業主が最も知っておかなければならないポイントを数字で知ることができるからこそ、今 注目されているのです。

           

3.エンゲージメントスコアが高いメリット

前述したエンゲージメントスコアが高いことは、すなわち従業員の企業への愛着心が強いことを意味します。それにより生まれるメリットを紹介します。

     

3.1 離職抑制 / 離職危険性の把握

エンゲージメントスコアは、従業員の心理的評価を数値化したものであると言えます。仕事に熱意を感じているか、会社や部・課への帰属意識が高いか、など、さまざまな要素に基づいて算出されます。

つまり、明らかに数値が低い部や課には何らかの課題があること、また その予兆があることを把握でき、それにより適切な措置をとることで、ピンポイントに離職危険性が高いポイントを潰すことができます。

小さな課題を潰していく・解決していくこと、また 積極的にポジティブなコミュニケーションを取ろうと試みることで、組織全体のエンゲージメントスコアは段々と向上し、結果として離職率を減らすことにもつなげられるのがメリットのひとつです。

 

3.2 課題の優先順位づけとスピード感の向上

どこに問題があるのかも分からずに制度や文化の改革を推し進めることは、海図も無く、航路も分からないまま船を出すようなものです。また、会社の押しつけとなるような施策改定により、従業員はますます困惑し、効果が得られないどころか相互の信頼性はますます悪化してしまいます。

そこでエンゲージメントスコアの出番です。問題がどこにあるのかを炙り出し、施策を打った際には、また次のエンゲージメントスコア取得時にその変化を見ることにより、講じた施策に本当に効果があったのかを知ることができるためです。

また、課題点が複数あったとき、施策策定・改善に割けるリソースが限られる中では、優先順位をつけることが非常に重要です。急を要することから優先的に着手することで、先手を打った対策ができ、業務の効率もスピード感も高められるでしょう。

3.3 生産性・業績の向上

エンゲージメントが高い水準を維持している企業の営業利益率の伸びは、そうでない企業に比べ3倍以上にもなるという調査結果が出ています。

出典:タワーズワトソン(現ウイリス・タワーズワトソン)プレスリリース (2012/07/25)
https://www.towerswatson.com/ja-JP/Press/2012/07/7642

つまり、エンゲージメントスコア向上に向けて注力・投資している会社は、結果として大きなリターンや、持続可能な成長を手にしていると言えるのです。途方もなく、出口の見えない投資だと思われがちですが、「働き手にとっての働きがい」を高めることでエンゲージメントスコアは向上し、会社への愛着心の向上、および持続可能な伸びしろを得ることにつながるのです。

従業員ウェルビーイングを可視化する組織診断サービス「ウェルスコア」

従業員アンケートの結果を基に従業員の「ウェルビーイング※」や「満足度」を数値により可視化して組織課題を把握・解決する組織診断サービスです。

4.エンゲージメントスコアを高める方法

それでは実際に、エンゲージメントスコアを高めていくためにはどうすれば良いのでしょうか。具体案とともにご紹介いたします。

          

4.1 インナーコミュニケーションから生まれる「理解>共感>自発」の3段階

企業・組織が大きくなればなるほど、現場へ経営者・管理側の意志・意見を伝えることが難しくなっていきます。放置すればその乖離はどんどん大きくなっていき、気づけば 全社員、向いている方向がバラバラになってしまうおそれがあります。

今、会社がどこに居て、どのような方針で物事を進めていきたいのか、結果として社員に何を求め期待しているのかを適切に伝え、理解してもらうこと。まずこれが重要な一歩となります。

そのためには、社内に向けて発信を積極的に行い、コミュニケーションを図ること(=インナーコミュニケーション)が非常に重要です。テレワークの導入が進み、社員同士のコミュニケーションが希薄になりがちな昨今でこそ求められる行動です。

周知するアクションを終えたら、次にそれを共感してもらえるような取り組みを行います。単一方向での発信ではなく、受信し、返すという双方向でのオープンなコミュニケーションにより、段々と同じ方向へ向くように距離を縮めていくことが重要です。古典的な方法ですが、社内報などでの発信やコミュニケーションもまた効果的です。例えば、「こんな声をいただきました」→「会社役員からの回答」といったようなやり取りを継続的に掲載するのも有用です。

見るのも楽しく、内容も充実している社内報は客観的にも評価されています。経団連は毎年、「経団連推薦社内報審査」を実施しており、当賞の受賞を目指すことも、良い社内報を作る有効な目標のひとつとも言えるでしょう。

出典:一般社団法人 経団連事業サービス > 経団連推薦社内報審査
https://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/seminar/cat8/cat1/

ここまで来れば、最後は 自発的に従業員が働きかけができるような環境を整備することで、持続可能な成長を期待できます。会社への意見を気軽に申し伝えられる環境として、受付部署を明確にし、担当者と気軽にやり取りのできる空気を作ることが求められています。

     

4.2 ブランディング施策

世間的によく見られるブランディング施策の多くはあくまで「エクスターナルブランディング」と呼ばれる、製品やサービスを顧客に最終的に購入してもらう/選んでもらうことを主眼に置いたものです。もちろん自社の商品やソリューションのブランド力は、社内外問わず絶大な力を発揮するものですが、ここでは「インナーブランディング」の重要性について紹介いたします。

インナーブランディングとは、社内に対し企業の方向性を指し示し、価値観を共有することを目的としています。自社の商品をまず理解してもらい、好きになってもらうことにより、他者に自社の良いところを自慢できるようになること、これが最終目標です。

企業ブランドを知ってもらう・理解を深めてもらうために効果的な施策として、

・自社ブランドをまとめた本や動画といったコンテンツを製作する
・社員向けSNSなどを作成し、社員ひとりひとりに積極的に発信できる土壌を作る
・自社のサービスを無料で利用できるなどの福利厚生施策の展開

などが挙げられます。

このような取り組みにより、自社商品や企業理念に対し理解や共感を得ることで他社にはない自社の良い点を知ってもらうことが非常に効果的です。

好事例として、アメリカの大手家電量販店「ベスト・バイ」では、正社員・パートタイマー問わず全従業員を対象に、現場の意見を吸い上げるために社内SNSを立ち上げています。結果、900以上の経費削減や業務最適化のアイディアが募り、さまざまな視点から業務改善に向けての施策を実施することで、オープンでスピード感のある経営につながっています。

   

4.3 定期的にエンゲージメントスコアを調べる

エンゲージメントスコアは、そのときその場で取得し完了してしまうのでは有用性が失われてしまいます。定点観測的に、時期や内容などを定めて推移に注視していくことこそ、エンゲージメントスコアを活用していくうえで最も重要なのです。

問題点を発見し、着手、改善策を発信し、結果としてどうなったのかを効果測定する、これを繰り返していくことで、最終的にはエンゲージメントスコアは向上していきます。

また、その変遷は従業員へ周知することもまた重要です。
「どうしてこんなアンケートをやっているのだろう」「答えたところでムダだろう」
と従業員に思わせてしまっては、エンゲージメントスコアを取得する以前の話となってしまいます。

定期的に調べ、それに伴った発信を行っていくことで、組織全体の向上につなげていくことこそが、エンゲージメントスコアの意義とも言えるでしょう。

社内コミュニケーションを活発にし、従業員の働く意欲を高める「インセンティブ・プラス」

ポイントを使って評価や感謝を伝え合うことで社内コミュニケーションを活性化するWEBサービスです。

5.エンゲージメントスコアが高い会社はどんな会社?

エンゲージメントスコアが高い企業に、傾向や偏りはありません。

・積極的/定期的にエンゲージメントサーベイを取得し、推移に注視している
・改善を絶えず試行し、良くしようとするための策を講じている
・従業員との双方向コミュニケーションを実施している

これらのように、当たり前のことに取り組んでいる企業であると言えるでしょう。

また、興味深いことに、エンゲージメントスコアの高さは、離職率の低さや待遇、職場環境や福利厚生制度とも高い相関性があるようです。「働きがいのある会社」「転職して入りたい会社」などは各メディアによる統計情報をよく目にしますが、ここでの上位層企業は、エンゲージメントスコアが高い企業のランキングにも多く挙げられています。

エンゲージメントスコアの高い企業は、今後も持続的な成長を続けていくでしょう。

     

出典:フォーブスジャパン 「組織のエンゲージメントスコアが高い企業トップ10」
https://forbesjapan.com/articles/detail/20226

   

6.まとめ

エンゲージメントスコア向上による効果や、そのために必要な施策について紹介いたしました。企業が求める姿勢と、従業員がそれぞれ目指している姿勢、その2点を同じ方向に向かわせることこそが、エンゲージメントスコア向上の最も近道です。

その中で、施策改定や組織改革にまで話が発展することもまたあるかもしれませんが、回りまわってそれが組織にとってプラスになる施策なのであれば、熟考しチャレンジしてみる価値は大いにあるでしょう。

エンゲージメントスコアはその結果を数字で知ることができるひとつの基準に過ぎませんが、同時に客観的に自社を評価するための非常に有用なツールになり得ます。

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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