従業員ロイヤルティ とは?高めるための3つの方法を解説

組織はさまざまな個性・特性を持つ人で構成されています。個人の考え方の違いが組織としてプラスに働くこともありますが、企業成長を促すためには企業理念や方針を共有し、従業員の「ロイヤルティ」を高めることも大切です。
それでは、ロイヤルティとは一体どういったものなのでしょうか? 今回はロイヤルティの重要性やロイヤルティを高める方法をご紹介します。
目次
- 従業員ロイヤルティとは?
- 若手社員のロイヤルティを高めるためには?
- 従業員ロイヤルティを高める3つのメリット
- 3.1 メリット1:離職率の低下
- 3.2 メリット2:従業員や組織の成長
- 3.3 メリット3:顧客満足度の向上
- ロイヤルティを高めると人材獲得にもつながるの?
- 従業員ロイヤルティを高めるための3つのポイント
- 5.1 企業理念や方針を従業員と共有する
- 5.2 当事者意識を高める
- 5.3 結果だけでなく過程も評価する人事評価をつくる
- さらにロイヤルティを高めるためには?
- 6.1 現場の管理職が主導する
- 6.2 従業員主体のチーム作り
- 6.3 従業員の年代・性別ごとにカスタマイズする
- 6.4 対話を重視する
- まとめ
1.従業員ロイヤルティとは?
ロイヤルティとは「忠誠」や「忠義」を意味する言葉で、企業においては愛社精神や忠誠心と表現されることもあります。
ビジネスシーンにおいては「ロイヤリティ」や「エンゲージメント」といった言葉と混同されるケースも少なくありません。まずは従業員ロイヤルティと顧客ロイヤルティの違い、そして混同されがちな言葉との意味の違いなどについて詳しくご紹介していきます。
1.1 「従業員ロイヤルティ」と「顧客ロイヤルティ」の違い
ビジネスシーンで頻繁に使用される言葉に、顧客の企業に対する愛着心や信頼の高さを表す「顧客ロイヤルティ」と、組織に属する従業員などの愛社精神や忠誠心の大きさを表す「従業員ロイヤルティ」の二つがあります。
顧客ロイヤルティが高ければ商品やサービスを継続的に購入・利用してもらえるだけでなく、家族や友人、知人への紹介から新規顧客の獲得につながるといったメリットが期待できます。従業員ロイヤルティが高いと仕事により積極的に取り組むようになり、結果として業務効率化が実現するなど、組織運営において好影響を与えることが期待できます。
1.2 「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」の違い
ロイヤルティと混同されがちな言葉として「ロイヤリティ」があります。ロイヤルティは英語の「Royalty」から、ロイヤリティは英語の「Loyalty」からきています。「ロイヤリティ」は特許権や商標権などの知的財産への対価を意味します。響きが似ているため混同されることが多いですが、意味は異なるので注意しましょう。
2.若手社員のロイヤルティを高めるためには?
企業の経営者や人事担当者は、従業員の中でも特に若手社員には、自社へのロイヤルティをしっかり持ってほしいという思いは強いことでしょう。現在の経営層の中には、バブル全盛期に若手社員として働いており、定年退職まで会社が守ってくれるという日本的雇用の考えのもと、会社へのロイヤルティを高く持ちながら働いていた人も多くいました。
しかし、近年の若手社員といえば、バブル崩壊の後に生まれ、リーマンショックやコロナ禍という厳しい時代の中で働いてきました。どんなに働いても給料が増えず、副業や兼業が当たり前となりつつある今、企業が若手社員のロイヤルティを高めることは、非常に困難な状況となってきています。
今まで、組織への忠誠心という意味で用いられる「ロイヤルティ」という言葉は、若い世代の価値観にはそぐわないものとなり、その代替として「エンゲージメント」という言葉が注目されるようになってました。
エンゲージメントとは、直訳すると「契約」や「婚約」という意味で、ビジネスシーンでは「組織や仕事への責任・結果への約束や誇り・仲間意識」などを指すものであり、現代に即したロイヤルティとも言えます。エンゲージメントが高い組織ほど定着率も高く、生産性も高いと言われています。
若手社員のロイヤルティ(=エンゲージメント)が高まっている状態とは、働きがいや仕事への価値を感じ、イキイキと働いていることです。このような状態を作るためには、次の3つが重要とされています。
①企業の理念や強みを従業員に共有する
自分のしている業務が、自社に対してどのように貢献しているかを知ることで、会社や製品に愛着を持てるようになります。
②上司と部下との絆を強くする
仕事の成功や課題に対して、上司と部下が一緒に考える時間が連帯感を生み、会社に対するロイヤルティも高くなります。
③適切な人事評価(プロセスも重視)をする
人事評価の基準を明確に示し、評価制度の内容の透明性を維持することで、従業員は安心して仕事に集中することが出来ます。
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3.従業員ロイヤルティを高める3つのメリット
従業員ロイヤルティには、企業への忠誠心や愛社精神という精神論的なイメージが強く、目に見えるメリットがなかなか思い浮かばないという方も多いでしょう。しかし仕事へのモチベーションアップといったメリットはもちろんのこと、ビジネスにおいて具体性のある恩恵も少なくありません。以下では、特に注目すべきポイントを3つご紹介します。
3.1 メリット1:離職率の低下
「離職率の低下」は従業員ロイヤルティを高めることで期待できるメリットのひとつです。
時間やコストをかけて従業員を採用しても、すぐに離職されてしまっては企業において大きな損失となります。従業員ロイヤルティが高いほど、仕事にやりがいを感じ、生産性も高い傾向にあります。結果として従業員の離職率低下にもつながるでしょう。
3.2 メリット2:従業員や組織の成長
従業員ロイヤルティが高まることによって、業務効率や生産性、従業員モチベーションの向上が期待できます。
愛社精神や忠誠心が高ければ、多くの従業員が自発的に会社のために行動するようになり、組織に活気が生まれます。経営戦略に問題が見つからないにもかかわらず予想通りの成長が見られない場合、従業員ロイヤルティの低さが原因である可能性もあります。
3.3 メリット3:顧客満足度の向上
顧客満足度の向上も従業員ロイヤルティが生み出すメリットのひとつです。
生産性や従業員モチベーションの向上により、顧客に提供する商品やサービスのクオリティの向上が見込めます。結果としてそれが顧客満足度の向上につながるなど、従業員ロイヤルティが高まればよい循環が生まれるのです。
4.ロイヤルティを高めると人材獲得にもつながるの?
前章でも述べましたが、ロイヤルティが高い従業員は、会社への愛着心や仕事への充実感・責任感も強く、そのような従業員が多くいる会社は、離職率を低く抑えられます。
ロイヤルティが高い従業員が多い会社では、上司・部下のコミュニケーションも活発に行われ、仕事における問題やトラブルが発生したとしても、しっかりと話し合い、皆で課題解決していく風土があるため、会社への不満が少なくなります。また、従業員の業務の生産性も高くなり、企業の業績も向上します。
そのような企業は、企業理念も共有され、社内の風通しもよく透明性があり、従業員の精神的・物質的な満足度も高まります。それは社内だけにとどまらず、外部からも「良い会社」として認識されるようになり、その会社で働きたいという希望者も増加し、容易く優秀な人材の採用が可能となるのです。
これらのように、ロイヤルティの高い社員を創出することは、採用面で有利となり、優秀な社員が増えることにより、さらに企業の業績向上にもつながるという、好循環が生まれることとなります。
5.従業員ロイヤルティを高めるための3つのポイント
従業員ロイヤルティは、組織を構成するメンバーが主体的に高めていくという側面もあり、具体的な取り組みを行っていないという企業も少なくありません。しかし、「従業員ロイヤルティとは何なのか」を明確にし、自社の問題点を明らかにすることで従業員ロイヤルティを効率的に高めていくことが可能です。
ここからは具体的に従業員ロイヤルティを高めるためのポイントを3つに分けてご紹介します。
5.1 企業理念や方針を従業員と共有する
企業の理念や方針を従業員が十分に理解できていないと、愛社精神や忠誠心は芽生えにくくなります。そのため、すべての従業員に企業の基本的な考え方にあたる理念や方針を浸透させることが大切です。
多くの企業で理念は文章化されて掲示されていますが、文言だけを伝えるのでは不十分です。そこに込められた思いやエピソードなどを同時に伝えることで、従業員一人ひとりが組織への理解を深め、ロイヤルティやエンゲージメントを高めることができます。
5.2 当事者意識を高める
従業員の当事者意識を高めることも重要なポイントのひとつです。
組織の規模が大きくなるほど、企業の業績などをどこか他人事のように感じる従業員も少なくありません。そのため、従業員ロイヤルティを高めるためには当事者意識を高めることも重要となります。ただ仕事をするためだけではなく、「自身が行っている業務が企業内でどのような役割を担っているのか」「どのような影響を与えるのか」を理解しやすい労働環境づくりが大切です。
5.3 結果だけでなく過程も評価する人事評価をつくる
人事評価ではどうしても結果ばかりに目を向けてしまいがちです。しかし、結果だけではどのような行動・戦略がプラスに作用したのかわかりません。逆にマイナスになった場合も、その原因は不明瞭のままです。従業員教育や企業成長を目指すためには結果のみでなく、そこにいたるまでのプロセスの分析が重要となります。
6.さらにロイヤルティを高めるためには?
前章では、従業員ロイヤルティを高めるための3つのポイントを解説しましたが、企業は従業員のロイヤルティをさらに高められるよう、常に進化と努力を続けていかなければなりません。本章では、そのために具体的に何をすべきなのかを解説いたします。
6.1 現場の管理職が主導する
一般的に、企業の中で従業員のロイヤルティを高める取り組みをしている管轄は、人事部が多いことでしょう。しかし、従業員ロイヤルティが高い企業は、各部署の管理職が主導することが特徴となっています。
各部署の管理職に対して、自分のチームメンバーのロイヤルティを高める責任を担わせることで、先ず管理職自身の主体性が生まれ、増加します。また、管理職が職場で起こる問題解決のために、率先して取り組むことで、チームメンバーは連帯感をもち、全員で議論して改善策を考えるようになります。
6.2 従業員主体のチーム作り
一般的に、従業員が現場の顧客の生の声を直接受け取っているため、顧客体験を最も理解しています。そこで、現場での改善策などをテーマにすることで、従業員には当事者意識が生まれ、積極的に取り組むようになります。
それらの改善策などが取り上げられ、従業員たちの提案が具現化することで、会社は自分たちの意見をしっかり聞いて、実行してくれていると実感し、さらにロイヤルティが増すようになります。
6.3 従業員の年代・性別ごとにカスタマイズする
従業員ロイヤルティが高い企業は、従業員の年代や性別、文化によりカスタマイズして、従業員ロイヤルティ向上のための施策に取り組んでいます。従業員ロイヤルティを最大限に発揮させる要素は、年代や性別、文化によって異なるためです。
たとえば、団塊の世代の従業員は、アイディアや意見が自由に言える環境・体制の整備によって、ロイヤルティが向上される傾向があります。それに対し、80~90年代生まれの従業員は、高度な能力開発の学習機会の提供が、従業員ロイヤルティ向上のために重要な要素となっています。
また、近年では外国籍の従業員も増加する中で、その従業員たちに向けた文化の尊重と敬意を表すことが重要であり、従業員ロイヤルティ向上のためのポイントともなります。
6.4 対話を重視する
企業を経営するうえで、指標やデータは最も重要なものです。また、ロイヤルティを高めるための施策にも指標の設定は不可欠ですが、管理職がその数値ばかり見ていると、チームメンバーの士気は下がってしまいます。
最も重要なことは、指標だけでなく対話重視であることを、経営者や管理者が発信し続けることです。そうすることで、従業員の気持ちは「愛社精神」や「忠誠心」という感情へと移っていきます。先ずは経営層たちが、対話重視のロイヤルティ向上施策をしっかり意識し、実行に移すことが重要となります。
7.まとめ
従業員ロイヤルティは企業に対する忠誠心や愛社精神などを示す言葉です。高めることによって業務効率や生産性の向上、従業員や組織の成長、そして顧客満足度の向上といったメリットを得ることができます。
従業員教育に対する考え方は企業によって異なりますが、今回ご紹介したポイントをふまえた施策を行うことで従業員ロイヤルティを高めることができるでしょう。企業のさらなる成長を目指すために従業員ロイヤルティを意識した人材マネジメントも検討してみてはいかがでしょうか。イーウェルで提供している福利厚生、健康経営などのサービスをご紹介!
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