人材育成が必要な理由や目的について解説

新卒採用、中途採用にかかわらず、会社に入社すると先ず入社時研修などを受講するのが一般的となってきています。また入社3か月、1年といった区切りでのフォローアップ研修や中堅社員研修、昇級のための研修、職位・職種ごとの研修など、多くの会社は人材育成のため様々な取り組みを行っています。ここでは、普段当たり前のように使用している「人材育成」という言葉の正しい意味や目的、ポイントなどを紹介いたします。
1.そもそも人材育成はどんな意味?
ビジネスにおける人材育成の本来の意味は、会社の経営戦略の実現に貢献し、会社の利益を生む人材に育てることです。これは会社のビジョンやミッションに共感し、さらなる発展に寄与する人材を育てることにつながります。
人材育成とは、企業にとって「人材とは何か」ということを原点に戻り、認識したうえで本質を捉える必要があります。特にグローバル化、デジタル化、人手不足が進むなかで、これからの時代を勝ち抜いていくためには、従来の日本型人材マネジメントから脱却し、多様な人材、イノベーション創出をリードする人材、自発的に会社に貢献する意欲の高い人材、自発的にキャリア構築意識を持った人材の強化(=人材育成)が必要となっていきます。
かつての日本は、どの業種・業態でもステレオタイプな人材育成を行ってきましたが、今後は企業毎に経営戦略に適合した人材育成を行う必要があります。
2.人材育成を導入する目的は?
人材育成の目的は会社側のメリットだけに意識がいきがちですが、社員の立場としても「人材育成の経験により自身の成長にもつながる」「人材育成を成功させるために、社内に協力し合う風土が生まれる」というメリットもあります。人材育成とは「会社の業績向上」と「社員の働きがい向上」の好循環を生むことができるのです。
ここでは人材育成を導入する目的を考えていきます。
2.1 目的① 事業貢献できる人材の育成
会社が人材育成を行う目的は「会社の利益を生む人材に育てること」です。社員が企業のビジョン・ミッションに共感し、モチベーション高く日々の業務に取り組むことで、事業貢献はもちろん、さらなる新ビジネスの創出などにも期待ができます。
2.2 目的② 時代の変化への柔軟な対応
現在は経済環境が複雑さを増し、予測不能な事態がいつ発生してもおかしくない時代となっています。テクノロジーの進化や新型コロナウイルスの感染拡大による影響など、世の中は常に大きく変化しています。その中で企業が生き残っていくためには、経済状況をいち早くキャッチする向学心を持ち、会社からの指示を待つことなく、自ら事業を推進していく人材を育てていくことが重要なカギとなります。
2.3 目的③ 生産性の向上
前出の「予測不能な現代」においては、一人ひとりの生産性向上が急務となります。従業員の生産性は、会社の生産性につながります。可能な限り業務を簡略化することで、事業戦略や新規立案に注力できるようになり、新しいサービスが生まれる可能性が高くなります。
2.4 目的④ 優秀な人材の離職防止
少子高齢化が加速し、人材不足に直面するなか、特にスキル・経験を持つ人材の獲得は困難を極めています。苦労して優秀人材を獲得しても「人材育成」の機会が十分でないと退職につながってしまう可能性もあります。社員の退職はノウハウの流出、新たな人材採用におけるコストの増加など、会社にとっても大きな痛手となります。
3.人材育成をする前に把握しておくポイントは?
人材育成の目的・重要性は理解できましたか?人材育成の効果を高めるためには、必要な事前準備があります。
ここでは、人材育成を行ううえで必要な準備・考えを説明します。
3.1 ポイント① 現状の把握
先ず自社が抱えている課題を知り、どのような人材育成が行われればその課題が解消されるかという流れが大事になります。人材育成の最終目標は自社の発展ですが、そのためには何が必要になるか、という視点をもつことです。
自社の課題を知るためには、仕事を行っている各部署の社員の声に耳を傾けることです。それぞれの部署でどのような課題を抱えているのかを把握し、役職者だけでなく、一般社員にもヒアリングを行うことで、多方面の視点から課題をつかむことができます。
3.2 ポイント② 目標の明確化
自分が何をすべきなのか、自分が行う業務が会社の何に役立っているのかを理解してもらうためには、目標を明確にすることが重要となります。目標がなければ、ただ日々の業務をこなすだけになってしまい、社員の成長は望めなくなることもあります。自身が会社のどの部分で役に立っているかを知ることで、モチベーションのキープに繋がります。
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4.人材育成を成功させるポイントは?
人材育成は企業にとって欠かせないものとなっていますが、様々な人材育成に取り組んだものの、あまり効果が感じられないという企業の声を聞くこともあります。ここでは、人材育成を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
4.1 ポイント① 人材育成の目的の明確化
人材育成の場ではその目的を明確化することによって、その目的を達成するために何が必要になるかが明瞭になります。たとえば入社一年が経過した社員へのフォローアップの場合、新たに新入社員を迎え、先輩となる心構えや業務に対する向上心の醸成など、研修の目的を伝えることで人材育成の効果が高まります。
4.2 ポイント② 社員の主体性を引き出すための環境作り
自分が自発的に考えて行動したり、斬新な考えを提案するよりも、会社のルールや前例に従うことを良しとする風土に縛られることにより、入社後に発言の場もなくなり、指示待ちになってしまうケースもよくあります。「不要な社内ルールを排除する」「皆が納得する評価制度を作る」「チャレンジを認め、失敗を責めない」など、会社として社員の自発性を引き出す環境作りが必要となります。
4.3 ポイント③ 実践機会を設ける
研修の実施は人材育成の場としては有意義ですが、学んだ内容を定着させるためには実践機会を設けることも必要となります。研修受講者に行動計画を立ててもらい、学んだ内容を生かせる業務を任せたり、権限を与えたりするのも良いでしょう。一定期間ごとに振り返りを行うことにより効果も高まります。
5.人材育成をおこなう方法は何がある?
ここまで人材育成の目的およびポイントを説明してきましたが、具体的にどのように行えばいいでしょうか。ここでは人材育成の4つの方法を紹介します。
5.1 方法① OJT(On the Job Training)
OJTとは実際の仕事を通して、知識やスキルの習得を目指すものです。現場で直接先輩や上司から指導を受けるため、効率的にスキルを習得できます。多くの企業で実践されている人材教育の基本的なものと言えます。
5.2 方法② Off-JT(Off the Job Training)
Off-JTとは、実際の業務から外れた環境で、外部から講師を招いたり、社内の教育担当などが講師となったりして、セミナーや集合研修を受講し知識を習得することです。現場で起こりうる事態を想定したケーススタディやロールプレイングなどを取り入れる方法が効果的となります。
5.3 方法③ 自己啓発(Self Development)
会社の指示とは別に、社員が自ら書籍で勉強をしたり、自らの意志意思でセミナーを受講し知識を習得することなどを自己啓発と言います。大きな目標を持っている社員や、上昇志向の高い社員、OJTを苦手とする社員にとっては効果的な人材教育のひとつとなります。
5.4 方法④ eラーニング
eラーニングとは、インターネットを利用した学習形態のことを指します。受講直後、確認テストなどを実施するケースも多く、自身で知識の習得度をすぐに確認できます。また、eラーニングは時間や場所の拘束がないため、スマートフォンなどを利用して通勤などのすきま時間に学習することも可能となります。
6.まとめ
人材育成をさらに充実させ、会社の生産性に寄与できる社員を増やしたい、時代の変化に柔軟に対応し、新規事業の提案など活発にしてくれる社員を増やしたい、などと考えている採用ご担当者も多いのではないでしょうか。
自社の人材育成を成功させるためには、人材育成の目的を明確にするとともに、自社が直面している課題や目標も明確にすることが大事です。自社の方向性に合致した人材育成の施策が見つかることにより、社員のキャリアアップが促進され、結果として企業全体の成長へと繋がるのです。
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