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2024/01/15 (公開:2021/11/30)

心理的安全性の測り方は?職場やチームのメリットについても解説


心理的安全性の測り方は?職場やチームのメリットについても解説

「心理的安全性」とは「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を訳した心理学用語となります。本記事では、生産性の向上や働きやすい環境作りにも役立つ「心理的安全性」について、メリットや測定方法、特徴などを解説します。

1. 心理的安全性とは

心理的安全性は、1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンソン教授により「周囲の反応に怯えることなく、安心して働ける状態を指す言葉」として提唱されました。さらに、2015年にアメリカのGoogle社が、自社の生産性向上のために調査する過程で再発見した言葉でもあります。

近年では農林水産省が発表した「食品製造業における労働力不足克服ビジョン」や金融庁の「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」でも心理学安全性という言葉が登場し、注目を集めるようになりました。

心理的安全性とは、職場で誰に何を言っても、どのような指摘をしても、拒絶されることがなく、罰せられる心配もない状態のことをいいます。従業員同士が仲の良い状態で、気兼ねなく冗談を言い合えるような環境とは異なります。

会社やチームで仕事をするうえで、相手と反対の意見を述べたり、相手の仕事や振る舞いに指摘をしなければいけない場面で、人間関係が悪化したり、罰を与えられたりする状態になってしまうと、発言をためらったり、あきらめにつながる原因になってしまいます。

社員が意見や情報を活発に交換し、さまざまな考えを取り入れて会社の健全な運営と成長を促していくためには、心理的安全性を作り出すことは必要不可欠となるのです。

近年では、イノベーションや生産性向上が重要であると盛んに謳われていますが、そのためには核心からズレていると思われる発言や、既存の運用を否定するような発言だったとしても、組織内で拒絶せず、評価が下がらない場を作らなければなりません。目的のためには他者と異なる言動ができる状態であることが大切であると認識し、安心して誰に対しても発言することができる環境を整えることが、心理的安全性の意味することとなります。

           

2.心理的安全性とぬるま湯の違い

前述の通り、心理的安全性とは、職場で誰に何を言っても、どのような指摘をしても、拒絶されることがなく、安心して誰に対しても発言することができる環境と説明してきました。ただし、見方を変えると心的安全性の高い職場とぬるま湯的な職場を見間違えてしまうこともあります。ここでは心理的安全性とぬるま湯の違いを解説します。

下記に示した図の通り、「心理的安全性」は職場での関係性が良く、仕事の基準も高い状況を言います。それに反し「ぬるま湯」な職場は関係性が良いけれど、仕事の基準は低い状況を言えます。

※出典元:株式会社カイラボ「心理的安全性とは?心理的安全性の高い職場と、ぬるま湯職場の違いを解説」
https://kailabo.com/soukirisyoku/11337

職場での人間関係が良いことは大変良いことですが、ぬるま湯な職場は「成果にコミットする」「仕事の基準に対しては高いものを求める」ことに欠けており、一言で言えば「なぁなぁ」な職場と言えます。人間関係はある程度良好で仲良く働けていますが、仕事に対して要求する基準が低い職場となります。人間関係の対立や衝突が少ないため、心理的安全性が高い職場と勘違いしてしまうこともあるかもしれません。

           

3.心理的安全性を高める3つのメリット

職場の心理的安全性を高めることにより、様々なメリットが生まれます。本章では、具体的にどのようなメリットが生まれるのか解説していきます。

     

メリット① 生産性の向上につながる

心理的安全性が高い職場は、意見や情報の交換が活発になり、最大限のポテンシャルを発揮できる職場となっていきます。能力の高い人でも、精神的に緊張していると本来の能力は発揮できません。心理的安全性が確保されてリラックスして働ける職場では、気軽に声をかけ確認し合うことが可能になるためミスも減り、自然と仕事の進捗が早くなります。

  

メリット② 定着率が高まる

心理的安全性の確保は、人材の定着率向上にも繋がります。心理的安全性が高い職場では、誰もがリラックスしながら能力を発揮し、否定を恐れずに活発な意見交換を行います。よって仕事にやりがいを感じられる最適な職場となり、人材の定着率も自然と高まるようになります。

また、心理的安全性が確保されている職場では、社員に悩みがあったときすぐに相談する環境が整って、退職という道を選択する前に早期解決が可能となります。

メリット③ 個人と会社が成長できる

心理的安全性を高めることで、情報共有やアイデアなどの提案が活発になります。また周囲からの否定を恐れずに意見交換が可能となり、個人が持つ能力を最大限に発揮し、積極性をもって仕事をすることができるようになります。

また、失敗したとしても、ただ叱責を受けるだけではなく、次のステップに向けて建設的な議論ができる環境であれば、社員は着実に成長していけます。

    

4.心理的安全性の測定方法

心理的安全性を理解したうえで、自社の職場での心理的安全性はどの程度か気になる方もいるかと思います。エイミー・エドモンソンが考え提唱した「7つの質問」が心理的安全性の度合いを測定する方法として有名です。

以下が7つの質問の内容となります。

  1.  ① チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  2.  ② チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  3.  ③ チームの人々は、時々自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  4.  ④ チームにとってリスクのある行動をしても安全である。
  5.  ⑤ チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  6.  ⑥ チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  7.  ⑦ チームメンバーと一緒に仕事をする際、自分の個性的なスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

この7つの質問は基本的に、「非常にそう思う」から「全くそう思わない」までの7段階の尺度を用いて集計します。基本的に「非常にそう思う」を7点に、「全くそう思わない」を1点にして集計します。集計結果が高得点であるほど心理的安全性が高いと評価されます。

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5. 心理的安全性を高める5つの方法

職場の心理的安全性を高めていくためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。ここでは職場の心理的安全性を高める5つの方法を紹介します。心理的安全性が低いと感じる時に見直すのもいいかもしれません。

          

方法① 互いを尊重し多様性を認める

それぞれが臆すことなく自分の能力を発揮するためには、メンバーの間にフェアな関係を作ることが必要です。年齢や性別、役職ではなく、相手の価値観や意見の多様性を重視することで、健全なチームが生まれます。

多様性が認められた職場では、誰もが安心して発言できるようになり、メンバー同士が尊重しあう風土も醸成されます。

         

方法② 組織の透明性を上げ、風通しを良くする

人事考課や業務に対するの評価などの透明性を上げることはもちろん、自分の出した意見がどのように扱われているのかを、明確にする取り組みも心理的安全性を高めるのに効果的です。評価基準の透明性を上げることは、「どうすれば出世できるのか」を明確にすることにも繋がり、メンバーのモチベーションアップにもなります。

また、閉鎖的な組織では思ったことを言えず、積極的な意見交換もできなくなります。年齢や立場に関係なく活発なコミュニケーションを取れる風通しの良さは、心理的安全性の向上を後押しします。

         

方法③ ピアラーニング・ピアボーナスを取り入れる

「ピアラーニング」とは、メンバーが互いに協力し合い、学び合う学習方法のことです。また「ピアボーナス」は、メンバー同士が互いの仕事を認めて賞賛し合いながら、具体的な報酬(インセンティブなど)を贈り合う仕組みのことです。チームメンバーが互いに認め合い、協力しながら、仕事やスキルアップができる環境をつくることが、心理的安全性の向上へとつながるのです。

近年、手軽に取り組めるピアボーナスのシステムも多く提供されているので、自社にあうものを検討してみてはいかがでしょうか。

         

方法④ 1on1ミーティングなどで信頼関係を築く

1on1とは、上司と部下が1対1で行う面談のことです。周囲の目がない落ち着いた場所で、1対1で本音を話すことは、信頼関係の構築に役立ちます。メンバーの目標や状況を把握するために上司と部下で1on1ミーティングや面談を実施する企業は多くありますが、それは心理的安全性を高めるのに良い機会となるのです。

部下の悩みに寄り添いアドバイスを与え、コミュニケーションを定期的に繰り返していくことで、心理的安全性がより高まっていきます。

         

方法⑤ 安心感から無責任にならないような組織作り

心理的安全性の安心感から無責任にならないように注意して組織作りをすることも重要なことです。社員1人1人の役割や上司と部下の関係性を明確にした組織編成を行い、皆が同じ方向に進めるビジョンをもって仕事に取り組めば、安心感と責任感が両立した組織作り可能となります。

そうするためには、チームで助け合う環境を作ることが大切になります。困ったことがあればチームの誰かに助けてもらえるという余裕があれば、心理的安全性が高まるのです。

       

6.心理的安全性が高い職場やチームの特徴

前章では心理的安全性を高める方法などを見てきましたが、その結果、心理的安全性が高くなったチームにはどのような強みや特徴があるのでしょうか。

まず、「遠慮のない指摘・議論」ができています。ミスや失敗への指摘が人格の否定という不安や考えにつながらず、逆に目的や相互の成長のために、多くの指摘やそれに伴う議論が飛び交います。チームメンバーの気持ちや状況への「配慮」はしますが、無駄な「遠慮」はしないという事がポイントとなります。

また、職場の中で「反対する」「否定する」という言動はハードルが高いものです。しかし、心理的安全性が高いチームでは、それが「ヒト」への反対・否定ではなく、「コト」への反対・否定だという相互の認識があります。そのため、チームの1人1人が同じ目的に向かって、意見をぶつけ合うことで、さらに良いものを作り上げるのだという前向きな意識で、反対や否定を行うようになれるのです。

目的のために、わだかまりのない気持ちの良い反対や否定が活発になっていることは、心理的安全性が高いチームの大きな強みと言えます。

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7.まとめ

心理的安全性が低い状況だと『無知』『無能』『邪魔』『ネガティブ』などの4つの不安が生まれ、職場に悪影響を及ぼししてしまいます。社員が意見や情報を活発に交換し、さまざまな考えを取り入れて、会社の健全な運営と成長を促していくためには、心理的安全性を高めることが最重要課題となります。

ただし、そのような組織は短期的に安易につくれるものではありません。たくさんの対話の場を作ったり、上司と部下の関係を構築したり、チームビルディングを実施したりなど、様々な取り組みを試みなければなりません。

また、上司やリーダーの意識が、心理的安全性が組織やチームの中に浸透していくために重要なものとなります。上司・リーダーが「心理的安全性とは何か」「それを活用してどのような組織にしたいか」などのビジョンをしっかり持つことで、部下たちメンバーも働きやすい職場となっていくのです。

心理的安全性を導入する際は、ぬるま湯職場になったり、空気を読みすぎて誰かが不利になってはいけないという気遣いが生まれてしまうチームになってしまわないように、注意することが大事になります。

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

 

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