1. TOP
  2. 福利厚生 エンゲージメント
  3. 人事ご担当者必見!人材定着化のために仕掛けるコミュニケーション施策
2024/01/15 (公開:2021/10/21)

人事ご担当者必見!人材定着化のために仕掛けるコミュニケーション施策


人事ご担当者必見!人材定着化のために仕掛けるコミュニケーション施策

コロナ禍で自社の人材施策を見直し、社員にもっと長く、気持ちよく働いて欲しい!そういった思いを抱えている担当者は多いのではないでしょうか。企業の優先課題である“人材定着”のためには、どのような手段を取るべきか。
今回は、人材定着の大きな要因であるコミュニケーションの施策についてご紹介します。

※この記事は、2021年7月27日に開催されたウェビナー『小売業・サービス業にお勧め!今やるべきコミュニケーション施策と人材の定着化』の内容をもとに作成しています。

 



1.コロナ禍の人材への影響

昨今のコロナ禍では、働き手側の悪い影響がメディアで大きく取り上げられています。この「働き手側の悪い影響」とは一体どのようなことでしょうか。それは、働く環境そのものが奪われてしまったことです。パートやアルバイトなど有期雇用者の働き方は、時短営業や休業要請などの政府の方針が出て、いち早く影響を受けました。

一方、このような有期雇用者の従業員を多く抱える企業にとっても影響は大きいです。従来から抱えていた人材不足の課題が、コロナ禍で加速度的に多様化してしまったことにあります。コロナ禍で見えてきた、「働き手」と「企業」それぞれの影響は、インパクトが非常に大きいものでした。 

具体例を考えます。
休日勤務や就業時間を細かくシフト管理する「サービス業」や「小売業」といった業界は、変化の状況が激しい業界となっています。コロナによる影響が起こる前から抱えていた「人材不足」という課題も重なり、課題自体が多様化してしまったのです。

給与や労働環境の見直しなど、これまで企業や組織がその時々で実施してきた人材施策は多々あります。しかし、コロナ禍という外部影響でその施策も変化しなければいけないのですが、実際はどうでしょうか。従来と同じ施策(打ち手)を継続しているケースもありませんか。

他社の成功事例をそのまま自社に取り入れる。自分の会社の実態には全く合わない人事施策を作り上げてしまうケースもあります。はたして、継続的な効果は見えてくるのでしょうか。 

今回は、働く側(従業員)と雇う側(企業)それぞれの本質の課題から人材定着化の実現のために、企業側は今何をすべきか、考えてみます

 

 

2.指標から見える課題とは

「人材不足」の課題を分析するためには、まずは人材となる「従業員」が自社にどのくらい定着しているのか、データを可視化することにあります。

可視化する方法は様々ありますが、従業員の離職率や離職理由から見てみましょう

 

2.1 離職理由

離職率とは、一定の期間にどのくらいの割合の社員がその仕事を離れたか、を示す指標です。以下の資料は、新規大学卒業就職者の離職状況を業界別にあらわした調査です。


引用元:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html

このデータの結果では、大学卒業の入社者3年以内の離職率の状況を表しています。調査した全産業の平均は、32.8%となっています。この産業別のデータでは、小売業は39.3%、宿泊業、飲食サービス業は52.6%の割合となっております
宿泊業や飲食サービス業は、他の産業と比較して離職率が高い傾向にあると分析できます。

なぜこのように離職率が高くなるのでしょうか。それは業界特有の事情が存在するため、として認識されています。サービス業は、賃金の低さ、営業時間による労働時間の長さ、休日の少なさなど、の理由が存在しているようです。しかし実際はユニークな施策を取り入れ、人材定着化を進めている企業も数多くあります。

 

2.2 離職する理由も多種多様?

男性/女性といった指標で比較すること。昨今のダイバーシティの観点では、まったく好ましくないかもしれませんが、この男性/女性で比較した離職理由、その上位3つ(※)の割合を見てみます。


引用元:厚生労働省 2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/20-2/index.html


(※)離職する上位3つの理由(定年・契約期間満了、その他の理由を除く)

 ① 労働時間・休日などの労働条件が悪かった
 ② 職場の人間関係が好ましくなかった
 ③ 給与など収入が少なかった

■人間関係の問題は会社全体では起こらない!?

職場の人間関係における問題は、上司や同僚といった細かい組織内の単位で起きることが多いです。会社側も、人間関係の問題を組織全体の課題として捉えているケースは意外に少ないのではないでしょうか。組織全体として、先進的な取り組みが出来ている企業はまだまだ少ないのが現状です。

 

2.3 小売業、サービス業が抱えていた人手不足感とは

前出の「予測不能な現代」においては、一人ひとりの生産性向上が急務となります。従業員の生産性は、会社の生産性につながります。可能な限り業務を簡略化することで、事業戦略や新規立案に注力できるようになり、新しいサービスが生まれる可能性が高くなります

一方、サービス業、流通業、運輸業、福祉等といった「第三次産業群」と呼ばれる業界の有効求人倍率が高まっている、という傾向を示した記事があります。有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合で、雇用動向を示す重要指標のひとつです。有効求人倍率が高いほど人手不足であることになります。 

製造業の1.96倍と比較して、サービス業は6.25倍、流通業は6.98倍と比較的高い比率なっています。このような「第三次産業群」は消費者に比較的近い産業と言われていて、コロナ以前から既に人手不足であったことが分かります。 

引用元:イーウェル総合研究所 第29回【福利厚生コラム】第三次産業群での深刻な人手不足が求める変化
https://www.ewel.co.jp/category/column-welfare/p11282/



3.コロナによる変化とは

長引くコロナによる影響、働く側、雇う側それぞれどのように影響が現れているのか、双方へのアンケートの結果や分析データから見てみます

3.1 コロナ禍の意識変化

働く側の意識は、「コロナ」という外部要因で大きく変わりました。これは『新型コロナウィルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』です。




引用元:内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査
https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/20210119/shiryou3-1.pdf

コロナにより職業の選択への意識が変化したか?との質問には、変化していないと答えた割合は57%でした。一方、20代の結果を見てみると、54%の割合で意識が変わったと答えています。

 

3.2 コロナ禍で人材不足は解消した!?

一方、企業側の環境変化を見てみます。コロナ禍の2020年7月に民間団体が行った「人手不足に対する企業の動向調査」の結果です。


引用元:株式会社帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2020年7月)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200805.pdf


このデータでは、飲食店の人手不足の割合を、2020年1月から7か月間、調査した結果です。正社員、非正社員で同じような傾向が表れています。
正社員の割合では、調査開始の1月から徐々に下がっており、1月の時点では56.4%だったのが、4月には14.3%まで落ち込んでいます(約40%超の減少)。

同じ調査結果では、旅館・ホテル業の人手不足の割合でも減少傾向の結果が出ています。調査開始の1月では割合は61.5%だったのが、4月時点では12.5%になっています(約49%の減少)。

この結果から、サービス業であっても企業が人材不足と感じる割合が確実に減っていますので、一時的ではありますが人材不足が解消したのでは?と思ってしまうかもしれません
特に、小売業・サービス業では、実店舗への休業要請や時短要請が一向に終わらず、外的な要因ばかり目立っております。そして、人材の定着率という課題は薄まってしまい、何ら解決していません。

  

4.人材定着の課題に取り組む事例

しかし、早くから本質的な課題を見出し、取り組まれている企業も多く存在します。人材定着に成功している事例として、厚生労働省が2019年度に実施した「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」にて、最優秀賞を取った企業の事例をご紹介いたします

 

4.1 株式会社ハクブン(美容室)

同社は、社員が働きやすい時間帯の平日午前中に価格優遇を行うことで、集客タイミングをコントロールできるようになりました。たとえば平日午前中のみの勤務を認め、午後は育児や介護などに専念できるなど、社員が希望する就労時間を自身で決められる環境を作りました。

また、短時間で高品質なサービスが求められる特殊な業界のため、技術の提供が全国均一に提供できるように作業のマニュアル化を実施。また、従来マンツーマンや時間外に行っていた技術指導を、技術マニュアルの動画作成により補完することで、接客の合間に自己訓練を行えるよう環境を整備されています。

さらに、作業工程(カット・シャンプー・カラー等)ごとにポイントを設定し、基本給にポイント給を加算する給与体系の導入により、社員が自ら積極的に他者のサポートに入るといった仕事の密度を高める働き方につながり、その結果として業務の効率化や集客増(1時間当たりの入客数 1.8 倍)を実現しています。参考までにハクブン様のホームページを見てみると、離職率は12%になっています。人材の定着化が出来ている事例ではないでしょうか
 

4.2 株式会社荒木組

こちらの企業では、働きやすい職場づくりの一環として、「ありがとうカード」で感謝の気持ちを社員等に伝える取組を導入し、社内コミュニケーションを活性化しました。また、休暇取得に向けた積極的な取組を社内で実施、職長を育成する勉強会(アラキ・アカデミー、毎月3回実施)において、様々な工種の協力会社の社員とともに同一の場で学ぶことで協力会社の社員とのコミュニケーションを円滑化しています。

人材育成をする余裕がない協力会社が勉強会に参加することにより、安全管理面での荒木組社員の管理負担の軽減及び労働時間の削減。さらに、土木現場の測量にドローンを活用することにより作業速度が向上。また、全事務所から繋がる共通のファイルサーバーを設置し、業務効率化・業務の見える化を実現しています。

通常の年次有給休暇に加え、会社の営業日である祝日・祭日の日数分(約 15 日程度)を「家族休暇」として付与し、業務に支障がない者には祝日・祭日の休暇を奨励しています。実に多様な施策を打ち出された結果、同社はホワイト企業大賞も受賞しています
 

4.3 株式会社エスバイエス

同社は、働き方改革につながる改善や効率化、社員のコミュニケーション向上の取組(社員相互に感謝を伝えるサンクスカード等)を実施し、その結果、年休取得率 100%、営業ノルマ無しで増収増益を達成。従業員が取組内容を達成した際の明確なインセンティブ(表彰やクオカードの授与)をつけ、企業の働き方改革の普及・浸透を促進。また、他社との差別化を図るため、従業員の資格取得を積極的に促進すると共に、明確なキャリアビジョンを描ける環境を整備しています

上記3社引用元:厚生労働省 第3回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の表彰対象企業
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02993.html

社内コミュニケーションを活発にし、従業員の働く意欲を高める「インセンティブ・プラス」

ポイントを使って評価や感謝を伝え合うことで社内コミュニケーションを活性化するWEBサービスです。

  

5.まとめ

業界や規模によって人材の定着に対する捉え方は異なりますが、とりわけ第三次産業に求められていることは、組織単位でのコミュニケーションの活性化だと考えられています。

労働時間や給料といった面は、業界全体で取り組まなければならない課題ですが、社内制度の大幅な変更やコストの増加など、事前に考慮すべき点は多いはずです。いますぐに実現化することは、なかなかハードルが高い改革ではないでしょうか。

一方、今回取り上げた職場の人間関係の改善にターゲットを当てた施策を考えると、比較的取り組みやすいテーマでもあります。職場の人間関係から取り組むことで、組織内のコミュニケーションの活性化につながります。これこそが、本質的な課題に取り組むべき施策ではないでしょうか

 

株式会社イーウェル 運営会社ロゴ

著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

Related article

Recommend

ダウンロード資料
♠最新人気ランキング♠

メルマガ登録

最新情報や
お役立ち資料を自動受信