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2024/01/15 (公開:2021/12/07)

「今」確認したい、働き方改革の本当の目的と進め方


「今」確認したい、働き方改革の本当の目的と進め方

厚生労働省の記述では「我が国は、『少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少』『育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化』などの状況」に対し「生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題」となっています。課題解決には「多様な働き方を選択できる社会を実現」することをあげ、これを働き方改革としています。

本記事では、働き方改革の本当の目的とその進め方についてご紹介します。

※この記事は、2021年8月24日に開催されたウェビナー『日本人は働きすぎ?~未来のための「働き方改革」~』の内容をもとに作成しています。

1. なぜ働き方改革が必要なのか

日本では少子高齢化にともない、生産年齢人口(15~64歳)が減り、2065年にはその割合は51.4%に、そして高齢化比率(65歳以上)も38.4%まであがっていくと予測されています。

明らかな働き手不足が見込まれ、人材の確保と定着が企業にとって重要なミッションになると考えられています。では、どうやって人材を確保していくのか?

一つは女性の就業率を上げることです。日本では出産、育児を機に労働市場から退出、つまり仕事を辞める女性が少なからずいます。表1は、女性の就業率と潜在的労働力率を表しています。主に出産、育児に携わる年代(25~44歳)の就業率を確認すると、その前後の年代より下がっていることがわかります。


【表1】

表1:厚生労働省:働き方改革の背景に関する参考資料 より

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000190582.pdf


一方、潜在的労働力率と実際の就業率を比較すると、差がみられます。つまり本当は働きたいが、働けていない女性が25~44歳の年代で274万人もいることがわかります。出産、育児だけでなくご家族の介護により仕事を辞めざるを得ないケースを考えると、育児や介護と仕事を両立できるようになれば、就業者増を見込めると考えられます。そのためには、短時間労働や在宅勤務制度など、働き方が選択できることが必要になってきます。

生産年齢人口減少への対策としては、多様な働き方を選択できる社会の実現がカギと言えます。

選択型福利厚生「カフェテリアプラン」

企業が従業員に一定のポイント(補助枠) を付与し、従業員は企業ごとに設計されたメニューの範囲内で自由に選び、 利用できる選択型の福利厚生制度です。

2.働き方改革の背景と目的

ここで、日本人の働き方を振り返ってみましょう。高度経済成長期からバブル期では、たくさん一生懸命働くことが生活の豊かさにつながってきました。しかしバブル崩壊後は景気低迷や過労死などの問題が発生し、長時間働くことだけが豊かな生活につながるとは限らなくなってきました。1991年には時短促進法も施行され、時代の流れは「働きすぎ」を抑制する方向にシフトしてきました。

では、本当に日本人は働きすぎなのでしょうか。外国と日本の労働時間について比較してみましょう。表2は、OECD(経済協力開発機構)の主要統計「労働時間」で主に2020年の労働時間の調査結果です。調査対象45か国中、日本は25位と一見「働きすぎ」ではない結果となっています。


【表2】

表2:OECD(経済協力開発機構):主要統計「労働時間」より

https://www.oecd.org/tokyo/statistics/


実はこの統計は短時間労働者、つまりパートタイムで働く方の労働時間を含めた平均のため、このような結果となっています。表3の資料を参照ください。


【表3】

表3:厚生労働省:高知労働局資料より

https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf


上部の「一般労働者」つまり正社員の労働時間は高い水準で、減っていないことがわかります。日本人の労働時間が表2の結果となっているのは、パートタイム労働者の比率が上がってきていることに起因しています。


【表4】

表4:公益財団法人日本生産性本部:労働生産性の国際比較 より

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report_2020.pdf


表4は、就業者1人当たりの労働生産性の上位10か国の変遷を記しています。日本は1970年以降、これまでに上位10か国にランクインしていないことがわかります。

表2~4から鑑みると、日本人の労働は正社員が長時間働くことが常態化しており、労働生産性が高くないという状況が見て取れます。

これまで日本の社会では、正社員の長時間労働ありきで仕事を進めてきましたが、生産労働人口が減少していく今後は、正社員の長時間労働だけで賄うことができなくなります。就労者を増やすために、フルタイムで働くことのできない高齢者や女性の活躍が必要不可欠です。それを解決する手段の一つが「働き方改革」です。

働き手を増やすには、柔軟な働き方の選択が、そして労働生産性向上には、長時間労働の解消が不可欠なのです。

これからの働き方を考えると、就労者自身がどんな会社で働いていくかを自身の働き方を考えた上で選択できる時代になっていくと思われます。

働きにくい不安定な会社より、働きやすい安心して働ける会社が選ばれることでしょう。

働きやすい会社とは、「プライベート」に時間がとれ、安定した「生活習慣」を維持できる会社。そして安心して働ける会社とは、「仕事」「経済状態」で納得感が得られ、「健康」維持を会社が支援できる会社と考えます。多種多様な立場の人が働きやすい、安心して働ける会社を目指して変革していくことが、「働き方改革」であるといえます。

           

3.働き方改革の課題、その進め方

働き方改革への課題は、あれこれと思い浮かぶことでしょう。「有給5日取得」「副業制度」「時短勤務制度」など枚挙に暇がありません。ではそれぞれの会社で優先度の高い課題をどうやって見つければよいのでしょうか。

会社が考える働き方改革への課題と、社員が求める課題がマッチしなければ効率的な改革が進められません。近年では組織サーベイを活用して課題を浮き彫りにすることがトレンドとなっています。

組織サーベイを実施する目的としては、以下5点があげられます。

  1.  ① 従業員の満足度やエンゲージメントの把握
  2.  ② 企業理念や組織戦略の浸透状況の把握
  3.  ③ 人事戦略や施策による効果の測定
  4.  ④ 組織の健康状態や問題点の把握
  5.  ⑤ 自社の組織風土や傾向の把握

特に「人事戦略や施策による効果の測定」はなかなか数値で表しにくかったのですが、サーベイを活用することにより、数値で可視化され施策の振り返り、再設定がしやすくなります。

サーベイの種類は、年1回程度実施する「センサス」と、週次・月次などの短いサイクルで実施する「パルスサーベイ」とに分けられます。

「センサス」はさまざまな角度から組織の状態を把握し、課題を深く探ることができるのが特徴です。「パルスサーベイ」は従業員の満足度やエンゲージメントをリアルタイムで把握でき、問題の早期発見と改善ができるのが特徴です。個々の会社の状況に合わせて、それぞれのサーベイを活用していくことが肝要です。

サーベイは以下のように実施していきます。

ここで重要なことは、従業員に向けて「目的の周知」「結果の公表」「改善策の周知・実施」をしっかりと伝えることと、サーベイの継続実施です。

従業員からは、こういったサーベイや調査、アンケートを苦痛に思う人が多く、何の意味で実施しているのか、何に効果があったのかがわからないといった声が多くあがります。そうならないように、会社組織として必要な調査であることを従業員に十分に理解させることが必要です。

ここで、ある企業のサーベイを活用した事例をご紹介します。

※平均の数値は、該当企業を含めたサーベイ参加企業全体の平均値を表しています。

参考)当該サーベイはウェルビーイング関連学術論文と統計解析に基づきウェルネスを構成する、5つのカテゴリを構築し信頼性の高いスコアロジックを実現しています。


2019年のサーベイの結果、「健康」「経済状況」のスコアが芳しくなかったため、それぞれ「健康増進ツールを採用し、運動の実践にインセンティブを付与」「企業型確定拠出年金制度を導入」などの施策を実践しました。

すると、2020年には「健康」「経済状況」のスコアが上昇したのです。施策の実践の前には、全従業員が参加できるよう、複数拠点、複数回の説明会を実施し、従業員への周知をしっかり行いました。サーベイを活用することで、働き方改革への課題の優先順位を見つけ、従業員への周知を徹底することで効果的な施策を実践することができます。

イーウェルで提供している福利厚生、健康経営などのサービスをご紹介!

4.まとめ

働き方改革とは、未来の人材確保、定着のカギとなる改革で、働きやすい環境づくりを目指すものです。多種多様な立場の人が働きやすい、安心して働ける会社を目指して変革していくことが必要です。

また、働き方改革の進め方にサーベイを活用することで、課題の可視化が効果的に行えます。この記事をご覧いただいた皆様のお考えの助けとなれば幸いです。

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 


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