福利厚生サービスは役員も利用できる?対象となる条件や注意点を解説
目次
1.福利厚生サービスとは
福利厚生とは、企業が従業員の生活や健康、仕事と生活の両立などを支援するために提供する制度です。福利厚生には、法律によって企業に実施が義務付けられている法定福利厚生と、企業が任意で設ける法定外福利厚生があります。
法定福利厚生には、健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの社会保険料の企業負担があります。一方、法定外福利厚生には、住宅支援、食事補助、健康診断、育児・介護支援、レジャー、宿泊など、企業が独自に設ける制度が含まれます(出典元※1)。
福利厚生サービスは、外部の福利厚生サービス会社が企業に法定外福利厚生を提供する仕組みです。自社で一つひとつのサービスを契約する必要がないため、福利厚生制度を効率的に整備したい企業に向いています。また、採用時のアピール材料や企業の健康経営の推進にも役立つ制度として、近年注目されています。
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出典元※1:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況(労働費用)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou03.pdf
1-1 役員が福利厚生サービスを利用できる条件
役員も福利厚生サービスを利用できます。しかし、役員だからといって特別に利用できる制度にしない仕組みになっていることが重要です。たとえば、従業員と役員が同じ福利厚生サービスに加入して、同じ利用条件で利用する仕組みであれば、制度としての公平性を保ちやすくなります。
一方、役員だけが利用できる高額な旅行や施設利用、住宅などの費用を会社が負担すると、単なる福利厚生ではなく、役員に対する経済的利益として扱われる可能性があります(出典元※2)。役員を福利厚生サービスの対象にする場合は、役員も利用可能かどうかだけでなく、従業員と同じ制度として利用できるかという視点で設計しましょう。
出典元※2:国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm
2.役員の福利厚生費として認められる要件
役員に福利厚生を提供する場合、すべての費用が自動的に福利厚生費として認められるわけではありません。税務上は、会社から役員に提供された利益が、実質的に役員への給与に当たらないかを確認する必要があります。特に、役員だけを対象にした制度や、役員に対して一般的な福利厚生の範囲を超える利益を提供する場合は注意しましょう。以下で、具体的な要件を紹介します。
2-1 従業員と同じ基準・内容で提供する
役員を福利厚生の対象とする場合は、従業員と役員で対象条件を大きく変えないことが基本的な考え方です。全役職員が利用できる福利厚生サービスとして契約し、役員も従業員と同じ会員資格で利用するような方法です。対象者や利用条件を明確に定めておけば、役員だけを優遇するための制度ではなく、会社全体の福利厚生制度として運用しやすくなります。
国税庁も、役員や特定の地位にある人だけを対象として会社が費用を負担する場合には課税の問題が生じる一方、一定年齢以上の希望者全員を対象とする制度であれば、給与として課税する必要がないケースを示しています(出典元※3)。
出典元※3:国税庁「人間ドックの費用負担」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/03.htm
2-2 社会通念上妥当な金額・内容である
福利厚生として提供するサービスは、社会通念上妥当な範囲で定めましょう。たとえば、一般的な従業員向け福利厚生サービスの利用料を会社が負担する場合と、役員だけに高額な旅行や高級住宅を無償で提供する場合では、税務上の取り扱いが異なる可能性があります。
国税庁は、役員に社宅を貸与する場合についても、一定の「賃貸料相当額」を役員から受け取っていれば給与として課税されない仕組みを示しています。一方、無償で貸与した場合などには、賃貸料相当額が給与として課税されます(出典元※4)。
福利厚生の金額が高額になるほど、会社の福利厚生制度として一般的な範囲なのか、役員個人への利益供与と考えられないか、を慎重に確認する必要があります。
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出典元※4:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
2-3 福利厚生を目的とした制度として運用する
役員向けの福利厚生は、単発で役員個人に利益を提供するのではなく、会社の福利厚生制度として継続的に運用する必要があります。
たとえば、就業規則や福利厚生規程などで対象者や利用条件を定め、役員も従業員と同じルールで利用できるようにします。また、会社が負担する金額や利用できる回数などを明確にしておくと、制度を管理しやすくなるでしょう。
国税庁は、役員等に対する経済的利益について、資産の無償提供や低額での譲渡、債務の免除など、実質的に給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものを例として挙げています(出典元※2)。福利厚生サービスについても、役員個人への利益供与とみなされないよう、制度全体として合理的に設計することが大切です。
出典元※2:国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm
3.役員も利用できる福利厚生制度
役員が利用できる福利厚生制度はさまざまですが、同じ制度であっても役員と従業員で税務上の取り扱いが異なるケースがあります。制度ごとのルールを確認し、専門家に相談の上で会社として適切な運用方法を決めておきましょう。具体的な制度ごとに、運用法のポイントを解説します。
3-1 健康診断・人間ドック
従業員への定期健康診断は法令上の義務ですが、そこに人間ドックの受診補助などを加える取り組みや、役員向けの健康管理支援は、福利厚生の一環として実施できます。
国税庁では、役員や使用人の健康管理を目的として、一定年齢以上の希望者全員が人間ドックを受けられ、受診者全員の費用を会社が負担する場合、給与として課税する必要はないとしています(出典元※3)。
一方、役員や特定の役職者だけを対象として費用を負担する場合には、課税の問題が生じる可能性があります。「役員だけ無料」「役員だけ高額な検査を会社負担」といった制度にするのではなく、年齢や希望者など合理的な基準を設定し、対象者を公平にして運用しましょう。なお、総合型の福利厚生サービスの中には、全国3,000以上の健診ネットワークを活用した手配代行など、健康管理に伴う事務負担を大きく軽減できるサービスもあります。
出典元※3:国税庁「人間ドックの費用負担」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/03.htm
3-2 社宅・住宅制度
社宅は、役員に対しても提供できます。ただし、役員に社宅を貸与する場合には、従業員向けの社宅とは異なる税務上のルールがあります。役員から一定額の「賃貸料相当額」を受け取っていれば、社宅の貸与による利益について給与として課税されない仕組みです。
一方、役員に無償で社宅を貸与した場合や、賃貸料相当額より低い家賃しか受け取っていない場合には、その差額などが給与として課税される場合があります。さらに、社会通念上一般に貸与されている社宅とは認められない「豪華社宅」については、通常の社宅とは異なる取り扱いになります(出典元※4)。
役員社宅を導入する場合は、会社独自の判断で家賃を設定するのではなく、国税庁が示す計算方法に基づいて適切な負担額を設定しましょう。
出典元※4:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
3-3 慶弔見舞金・食事補助など
結婚祝いや弔慰金、食事補助なども、制度として適切に運用すれば福利厚生として利用できる場合があります。
食事については、2026年4月1日以後に支給する食事から、非課税となる現物支給の要件が変更されています。役員または使用人が食事の価額の50%以上を負担し、会社側の負担額が月額7,500円以下である場合には、給与として課税されません。ただし、会社が従業員に現金を支給して食事代を補助する場合には、現物の食事を支給する場合とは異なる取り扱いになります(出典元5)。
福利厚生として食事補助を導入する際は、会社が食事を提供するのか、現金を支給するのかなど、制度の仕組みまで確認する必要があります。また、特定の補助に偏らず、全国エリアで多様なライフスタイルに対応できるパッケージ型福利厚生サービスを組み合わせて導入するのも一つの方法です。
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出典元※5:国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026shokuji/index.htm
3-4 福利厚生サービス
福利厚生サービスを活用すると、役員と従業員が共通のサービスを利用できる制度を整えやすくなります。福利厚生サービスの契約対象に役員を含め、従業員と同じ利用条件を設定すれば、役員だけを対象とした特別な制度を設けずに、福利厚生を利用してもらえるでしょう。
また、宿泊やレジャーなどの余暇支援から健康支援、自己啓発まで幅広いメニューを提供できるため、役員・従業員それぞれが自分に必要なサービスを選びやすくなります。ただし、サービスの利用料そのものが必ず税務上の福利厚生費として認められるとは限りません。対象者や利用方法、会社負担の内容などを確認したうえで導入しましょう。
4.役員向け福利厚生サービスを導入するメリット
福利厚生サービスは、役員だけを優遇するために導入するものではありません。役員と従業員を含めて共通の制度として利用できるように設計すれば、福利厚生を効率的に運用しながらも制度の公平性を保ちやすくなります。
4-1 福利厚生制度を公平に運用できる
福利厚生サービスを役員・従業員共通の制度として導入すれば、利用条件を統一しやすくなります。対象者、利用条件、会社負担額などを規程に明記し、誰が利用しても同じルールが適用されるようにしましょう。
全役職員が会員となり、同じサービスを同じ条件で利用する、とルール化すれば、役員だけに特別な利益を与える制度になりにくくなります。制度を共通化しただけで税務上の問題がすべてなくなるわけではないため、サービスの内容や会社負担額などによっては、個別の確認が必要です。
4-2 管理業務を効率化できる
福利厚生サービスを利用すれば、多数の福利厚生メニューを一つのサービスにまとめて制度の運用を効率化できます。利用者向けの問い合わせ窓口や、人事担当者が利用状況を確認できる機能などが提供されているものを選ぶといいでしょう。
また、福利厚生を自社で個別に運用すると、契約先の管理や利用方法の案内、問い合わせ対応など、担当者の業務が増えてしまいます。運用業務を効率化することは、制度を継続するうえでも重要です。
4-3 幅広い福利厚生を提供できる
福利厚生サービスでは、宿泊、レジャー、グルメ、健康、自己啓発、育児・介護など、多様なメニューをまとめて提供できます。役員も従業員も同じサービスを利用できれば、それぞれに応じて必要な福利厚生を選択できる制度です。
福利厚生のニーズは、年齢や家族構成、働き方などによって異なります。一律にではなく、従業員が自分に必要なサービスを選べる仕組みを整えて、福利厚生の利用促進にもつなげましょう。
5.主な福利厚生サービスの特徴
役員と従業員が利用できる福利厚生サービスには、さまざまな種類があります。サービスを比較する際は、宿泊やレジャーなどの提供メニューだけでなく、健康支援や育児・介護、自己啓発などの充実度、利用方法、人事担当者向けのサポート体制なども確認しましょう。以下に、主な福利厚生サービスと特徴をまとめました。
5-1 WELBOX
WELBOXは、株式会社イーウェルが提供する総合型福利厚生サービスです。宿泊施設、育児・介護、健康・フィットネス、自己啓発、旅行・エンタメなど、幅広いメニューを提供しています。
特に、宿泊施設や健康・フィットネスなど、従業員が日常生活や余暇に利用しやすいサービスがそろっていることが特徴です。役員だけを対象とするのではなく、全従業員を含めた福利厚生制度として利用すると、幅広いニーズに対応しやすくなるでしょう。
出典元:
WELBOX サービス紹介ページ
https://www.ewel.co.jp/products/welbox
株式会社イーウェル 企業情報
https://www.ewel.co.jp/company/
5-2 福利厚生倶楽部
福利厚生倶楽部は、株式会社リロクラブが提供する福利厚生サービスです。宿泊、レジャー、グルメなどの余暇支援だけでなく、育児・介護、健康など、さまざまな分野のサービスを利用できます。福利厚生制度を一つのサービスにまとめ、役員・従業員それぞれが必要なサービスを選択できる環境を整えたい企業に適しています。
出典元:
福利厚生倶楽部 公式サイト
https://www.reloclub.jp/fukuri/fukurikouseiclub/
株式会社リログループ IR情報
https://www.relo.jp/ir/
5-3 ベネフィット・ステーション
ベネフィット・ステーションは、株式会社ベネフィット・ワンが提供する総合福利厚生サービスです。グルメ、レジャー、ショッピングに加えて、学習、育児、介護など140万件以上の優待を利用できます。宿泊や旅行だけでなく、eラーニングなどの学習コンテンツや健康支援なども含め、幅広いジャンルから従業員が自分に合ったサービスを選択できる点が特徴です。
出典元:
ベネフィット・ステーション 公式サイト
https://bs.benefit-one.inc/
株式会社ベネフィット・ワン IRライブラリ
https://corp.benefit-one.co.jp/ir/library/
5-4 ライフサポート倶楽部
ライフサポート倶楽部は、リソルグループが提供する福利厚生代行サービスです。宿泊、レジャーなどの余暇支援に加え、健康や育児・介護など幅広いジャンルのサービスを提供しています。多様化する福利厚生ニーズに対応する福利厚生代行サービスで、ホテルやリゾート関連のサービスも活用しながら、従業員のワークライフバランスを支援したい企業に適しています。
出典元:
ライフサポート倶楽部 公式サイト
https://www.fukuri-resol.jp/
リソルホールディングス株式会社 IR情報
https://www.resol.jp/ir/
6.役員向け福利厚生サービスを導入する際のポイント
役員が利用できる福利厚生サービスを導入する際は、「役員も利用できるか」だけでなく、税務上適切な制度として運用できるかを確認することが重要です。特に役員だけを対象にした制度や、高額な利益を会社が負担する制度に関しては注意しましょう。
6-1 制度内容を定期的に見直す
福利厚生制度は、一度導入して終わりではありません。従業員の年齢構成や働き方、家族構成などが変化すると、求められる福利厚生も変わります。利用実績を確認し、使われていない制度を見直したり、新しいニーズに対応するサービスを追加したりすることが重要です。
また、役員と従業員が同じ制度を利用している場合でも、利用状況に大きな偏りがないか確認するとよいでしょう。福利厚生サービスの利用率や人気のメニューを確認しながら、実際に従業員に利用される制度へ改善していくことが、費用対効果を高めるポイントです。
6-2 税務上の取り扱いを確認する
役員向けの福利厚生では、税務上の取り扱いを確認しましょう。役員等への経済的利益について、給与と同様の経済的効果をもたらすものを給与に含めて考えることとされています(出典元※2)。福利厚生として導入したサービスであっても、役員だけを対象としていたり、社会通念上妥当とはいえない高額な利益を提供したりする場合には、役員への給与や経済的利益として扱われる可能性があるでしょう。
また、社宅や食事、人間ドックなどは、それぞれ具体的な要件が定められています。福利厚生サービスを導入する際には、契約内容だけでなく、会社負担の範囲や対象者、利用条件なども確認しましょう。判断が難しいケースでは、税理士などの専門家に相談し、自社の制度設計に問題がないか確認することも有効です。
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出典元※2:国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm
7.まとめ|役員も利用しやすい福利厚生サービスを選ぼう
福利厚生サービスは、役員も利用できる制度です。ただし、役員だけを優遇する制度として運用するのではなく、従業員と同じ基準で利用できる仕組みを整えることが重要です。特に、会社から役員に提供する利益は、内容によって給与や経済的利益として扱われる可能性があります。
また、福利厚生サービスを導入すれば、役員の利用分も必ず福利厚生費になる、というわけではありません。対象者や利用条件、会社負担額などを適切に設定し、福利厚生制度としての合理的な運用が求められます。自社の福利厚生の目的や従業員のニーズを整理したうえで、役員と従業員の双方が利用しやすく、税務上も適切に運用できるサービスを選びましょう。
介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行やエンターテイメントなど、多彩なメニューがパッケージとなっている福利厚生サービスです。充実した福利厚生を目指すなら「WELBOX」
従業員のライフスタイル・ライフステージに応じて、メニューを選択しご利用いただくことが可能です。
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