Well-beingアンケート「働く人々の実態調査」結果を公表|5年延べ約13万人対象|経済状況と働き方の変化による影響

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株式会社イーウェル(以下「当社」)は、働く人々のウェルビーイングの変化を経年で調査するため、「Well-beingアンケート 働く人々の実態調査」を2019年から毎年度定期実施しています。

この度、健康経営およびウェルビーイング経営の研究を行う森永雄太氏(上智大学経済学部経営学科教授)に、第5回、最新の調査結果に関する総評をいただきましたので公表いたします。
当社では今後も森永氏と協力して働く人々のウェルビーイングの変化を調査すると共に、社会全体のウェルビーイング向上に取り組んで参ります。



目次

  1. 調査概要とサマリ
    1. 1-1 調査概要
    2. 1-2 調査結果サマリ
  2. 本調査における【ウェルビーイング】の定義
  3. 調査結果 詳細
    1. 3-1 働く人々のウェルビーイングは回復基調
    2. 3-2 ウェルビーイングの上昇要因1:健康スコアの上昇
    3. 3-3 ウェルビーイングの上昇要因2:経済状況スコアの上昇
    4. 3-4満足度が低下した要素:生活習慣スコアの低下
    5. 3-5 その他トピックス
      1. ①「仕事スコア」の低下傾向が続く
      2. ②【パーパスへの共感・浸透】とウェルビーイングの関係
      3. ③育児や介護従事者とスコアの相関性
  4. 総評 森永雄太氏(上智大学経済学部経営学科 教授)より
  5. 組織診断サービスの活用で見えてくるもの
    1. 5-1 他社サーベイと比較したウェルスコアの特長
      1. ①網羅性
      2. ②信頼性
      3. ③具体的な施策のご提案

1.調査概要とサマリ



本章にて本アンケートの調査概要と結果のサマリを説明します。

1-1. 調査概要

 

内容

企画・実施

株式会社イーウェル

アンケート名称

Well-beingアンケート 働く人々の実態調査

調査実施の背景

当社の企業理念である「健康社会の実現」のため、
働く人々のウェルビーイングの経年変化を把握する

調査方法

森永氏監修の当社組織診断サービス「ウェルスコア」の設問を
用いた独自WEBアンケート調査

調査期間

計5回実施
① 2024年3月:有効回答数34,962名
  回答者が所属する企業・団体数625
② 2023年3月:有効回答数35,941名
  回答者が所属する企業・団体数602
③ 2022年3月:有効回答数20,352名
  回答者が所属する企業・団体数541
④ 2020年9月:有効回答数21,754名
  回答者が所属する企業・団体数125*
⑤ 2019年12月:有効回答数18,126名
  回答者が所属する企業・団体数580
*2020年9月分は対象企業・団体を絞って実施


昨年度の調査結果とサマリ、解説記事はこちらをご参照ください。

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1-2. 調査結果サマリ


①働く人々のウェルビーイングは、4年間続いていた低迷が改善傾向にあり


②ウェルビーイング上昇要因

要因1:健康(心と身体)スコアの向上


要因2:経済状況スコアの向上

 

③低下したスコア

<生活習慣スコアの低下>


<仕事スコアの低下>


 

2.本調査における「ウェルビーイング」の定義

コロナ感染拡大前の201912月から計5回実施した本調査では「ウェルビーイング(総合的な幸福度)」と「仕事・プライベート・生活習慣・健康・経済状況のという5つの要素の充足度・満足度」をそれぞれ10段階で自己評価していただいた結果の平均値を経年で比較、評価を行いました。

5つの要素の充実度・満足度」それぞれの増減は「ウェルビーイング(総合的な幸福度)」の増減と高い相関があるとがわかっています(5つの要素全てにおいて相関係数0.5以上)



さらに本アンケートの設問2は、各5つの要素をそれぞれの視点から細かく質問することで、働く人々の「ウェルビーイングな状態」を様々な角度から評価できるように設計しております。

 (※2)「要求度-資源モデル」「QWL(労働生活の質)理論」などを元に、森永氏のアドバイスを受けて設計した当社オリジナル設問(20243月は117)


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3.調査結果 詳細

ここからは、調査結果の詳細をご報告いたします。

本調査を通じて、働く人々のウェルビーイングの経年変化を捉えることができました。

なお当社では組織診断サービス「ウェルスコア」を提供しています(本調査で実施したアンケート設問と同様)
抽象的で捉えづらい「ウェルビーイングな状態」を可視化し、課題を見つけ、解決施策をご提案いたします。

従業員ウェルビーイングを可視化する組織診断サービス「ウェルスコア」

従業員アンケートの結果を基に従業員の「ウェルビーイング」や「満足度」を
数値により可視化して組織課題を把握・解決する組織診断サービスです。


3-1. 働く人々のウェルビーイングは回復基調

働く人々のウェルビーイングは、2019年12月以降、3年連続で低下していましたが、2024年の調査では回復傾向がみえました。主な要因として、5つの要素のうち、「健康(心と身体)スコア」「経済状況スコア」が改善したことにあります。「仕事スコア」「プライベートスコア」は20209月以降、ほぼ横ばい傾向です。
しかし、「仕事スコア」は緩やかに低下、「生活習慣スコア」も低下しています。



3-2. ウェルビーイングの上昇要因1:健康(心と身体)スコアの上昇

アンケート結果を細かく評価し、「健康(心と身体)スコア」が上昇している詳細な原因を深堀しました。

健康(心と身体)スコアを上昇させている主な要因として、プレゼンティズム、心身の不調に関する設問でネガティブ回答が全年代にて減少していました。

健康経営施策の実践や健康支援に関する設問についての回答がポジティブに転じており、コロナ後の施策の復活や健康経営に取り組む企業のすそ野拡大などが寄与している可能性があります。


3-3. ウェルビーイングの上昇要因2:経済状況スコアの上昇

次に「経済状況スコア」が上昇している原因を深堀りしました。

コロナ前には至りませんが、経済状況に関しては、改善がみられました。将来の貯蓄や給与・賞与の見通しが若干改善しています。

当該スコアは、外部環境の影響を受けやすいものですが、当時の状況に鑑みると、新NISAのスタートやベースアップへの期待、また、日経平均株価の4万円到達などがあげられます。

継続的な賃上げを実現できるかどうかや、新政府による政策によっても、今後スコアが大きく変動しそうです。

参考:国税庁|令和6年1月1日から開始する新NISAの概要

参考:日本経済新聞|賃上げ2025

参考:日本経済新聞|日経平均株価、終値も4万円台 史上初



3-4. 低下した要素:生活習慣満足度の低下

特徴的な低下要因としては、「生活習慣スコア」の低下があげられます。
一昨年までは向上していましたが、昨年度から低下が続いています。

その中でも、睡眠のポジティブ回答が減少しており、年代別でみると30代後半から減少傾向にあります。

別の設問の、リモートワークの実施状況と合わせてみると、リモートワーク利実施日数が減少傾向にあることが原因のひとつである可能性があります。

全体回答率|※未回答者を除く|※201912月は設問なし



3-5. その他トピックス


①「仕事スコア」の低下傾向が続く

わずかながら、毎年「仕事スコア」は低下しています。
今回の調査から、パーパスやいわゆる人的資本経営の5つの要素に関する設問を追加したところ、「人的資本経営の5つの要素」に関連する設問のスコアが低く出たため、昨年の結果を下回りました。
特に、「経営戦略の実現のために必要な人材の採用や配置が適切か」「必要な専門性を向上、強みを強化できる学び直し機会があるか」という設問に対してはネガティブな回答が目立ちました。



②"パーパスへの共感・浸透”とウェルビーイングの関係

パーパスへの共感・浸透に関する設問を新設しました。それらに対する回答ごとにスコアを算出した結果、共感度合に応じて各スコアが上昇する傾向にある(=共感していればしているほど各スコアが高く出る)ことがわかりました。


パーパスへの共感・浸透については、全体的に差分が大きく出ていますが、特に「仕事スコア」の差が大きくなっており、ウェルビーイングの構成要素として重要である可能性を示唆しました。



年代別でみた場合、若手が一番パーパスに対してポジティブであり、業界別で見ると「広告・出版・マスコミ」業界はネガティブな回答が目立ちました。



③育児や介護従事者とスコアの相関性

「ワーキングケアラー」という言葉も浸透し始めている現在、育児や介護と業務を兼ねている方とスコアの相関性など、イーウェルならではの分析結果を多数収録しました。視覚化されたアンケート結果をまとめてPDFでダウンロードいただけます。



4.総評 森永雄太氏(上智大学経済学部経営学科 教授) より

5回目の「Well-beingアンケート 働く人々の実態調査」の結果が出そろいました。

今年度の調査結果を拝見して興味深いと感じた点は2点です。

 1つ目は、調査開始以来続いていた全体スコアの低下に歯止めがかかった点です。詳しく見てみると、健康や経済状況に関するスコアが上昇に転じています。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが第5類に移行するなど働く人々の働き方が落ち着いてきた結果と受け取ることもできるでしょう。ただし、依然としてコロナ禍前の水準には届いていません。今後の動向を引き続き注視する必要がありそうです。

 2つ目は、パーパスへの共感とウェルビーイングに関する集計結果です。この結果によれば、自社のパーパスに共感している人ほどウェルビーイングが高いという結果が得られました。

今回の調査結果は探索的な集計にとどまっていますので、今後はパーパス策定やパーパスの浸透とウェルビーイング、特に仕事に関するウェルビーイングとの関係についての学術的な研究が行われることを期待したいと思います。



<主要業績>
・『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 -健康経営の新展開-』(労働新聞社) 
 『ジョブ・クラフティングのマネジメント』(千倉書房)など
日本労務学会 研究奨励賞、日本経営学会 学会賞(論文部門) など
<略歴>
神戸大学 経営学研究科 博士後期課程修了 博士 (経営学)
専門は組織行動論・経営絵管理論




5.組織診断サービスの活用で見えてくるもの


組織診断サービス、ビジネスサーベイサービスなどを既に導入されている企業様も非常に多いかと思います。ここまで分析結果をご紹介いたしましたとおり、組織を客観的・俯瞰的に見ることにより見えてくるさまざまな課題があるため、次の一手を検討している企業ご担当者は、組織診断サービスの導入をこの機会に検討して見ても良いかもしれません。

当社組織診断サービス「ウェルスコア」は森永氏監修の元、設問設計を行っております(本調査で実施したアンケート設問と同様)。アンケートの結果を基に従業員の「ウェルビーイング」や「満足度」を数値により可視化。所属部門・性別・役職などの属性間の比較や他社比較によって課題を分析し、ソリューションの提案を行います。

5-1.他社サーベイと比較したウェルスコアの特長


①網羅性



②信頼性



③具体的な施策のご提案


従業員ウェルビーイングを可視化する組織診断サービス「ウェルスコア」

従業員アンケートの結果を基に従業員の「ウェルビーイング」や「満足度」を
数値により可視化して組織課題を把握・解決する組織診断サービスです。


著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

運営会社:株式会社イーウェル

 

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