リテンション施策とは?人材定着につながる具体的な方法や事例を紹介
目次
1.リテンション施策とは?
リテンション施策とは、従業員の離職を防ぎ、企業で長く働いてもらうための取り組みです。給与や報酬を見直すだけでなく、職場環境の改善、キャリア形成の支援、研修、社内コミュニケーション、福利厚生など、さまざまな方法があります。
近年は、企業が必要な人材を採用するだけでなく、現在働いている従業員の定着や能力発揮の支援も重要視されています。特に中小企業では人材不足が深刻化しており、採用した人材に長く活躍してもらうことが企業経営上の重要な課題です。
ここでは、リテンションの意味や具体的な施策、自社に合った施策の選び方、実施する際のポイントについて解説します。
1-1 リテンションの意味と人材定着との関係
リテンション(retention)とは、「保持」「維持」を意味する言葉です。人事領域では、従業員を組織につなぎとめ、人材の定着を促す取り組みを指します。
リテンション施策は、単純に退職者を減らすことだけを目的とするものではありません。従業員が働き続けながら成長でき、自身の能力を発揮できる環境を整備するのも重要です。
たとえば、給与が高くてもキャリアの見通しが持てなかったり、職場の人間関係に問題があったりすれば、長期的な定着につながるとは限りません。リテンション施策では、報酬だけでなく、仕事の内容、評価、キャリア、職場環境、働き方などを総合的に考える必要があります。
人材の定着には待遇の改善だけでなく、本人の能力・適性にあった配置や、労働時間の短縮・有給休暇の取得奨励、職場でのコミュニケーションの向上などが関係する可能性があります(出典元※1)。
出典元※1:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-r05_05.pdf
1-2 人材不足でリテンション施策が重要になっている
リテンション施策が注目される背景の一つが、人材不足です。
2024年に行われた調査では、従業員規模30名を超える中小企業の7割以上が「人材が不足している」と回答する(出典元※2)など、中小企業の人材不足が深刻になっていることが示されています。さらに、人材が不足している事業者ほど、直近3年間で採用した従業員の定着率が低い傾向にあります。人材不足への対応として、新たな人材を採用するだけでなく、採用した人材が定着するための取り組みが重要だと考えられるでしょう。
採用活動には、求人広告や採用担当者の工数など、さまざまなコストがかかります。また、採用した後も業務を覚えてもらうための教育や研修が必要です。せっかく採用した人材が短期間で退職すれば、それまでにかけたコストや時間を十分に生かせません。採用・育成・定着を一連の人材戦略として捉え、従業員が長く働ける環境を整えることが重要です。
出典元※2:中小企業庁「2025年版中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf
2.リテンション施策を実施するメリット
リテンション施策には、離職防止だけでなく、採用・育成コストの抑制、人材の能力やノウハウの維持、エンゲージメント向上など、さまざまなメリットがあります。従業員が長く働くと個人が身につけた知識や経験を組織内に蓄積しやすくなるため、企業にとっても重要な取り組みです。ここでは、代表的なメリットを紹介します。
2-1 採用・育成にかかるコストを抑えられる
従業員が退職すると、欠員を補うために新たな採用活動が必要になります。
求人広告の掲載や採用担当者の業務に加えて、面接や入社手続きなどにも時間がかかります。さらに、入社後には業務内容や社内ルールを理解してもらうための教育も必要です。既存の従業員が長く働ける環境を整えれば、こうした採用・育成にかかる負担を抑えやすくなります。
もちろん、リテンション施策を実施すれば必ず離職が減るわけではありません。しかし、離職理由を把握し、職場の問題を改善することは、人材定着に向けた重要な取り組みとなります。
2-2 人材の能力やノウハウを維持できる
長く働く従業員がいることは、企業内の知識や経験の蓄積にもつながります。
たとえば、顧客との関係性や業務上の細かなノウハウなどは、マニュアルだけでは十分に引き継ぎできない場合があります。経験を積んだ従業員が退職すると、このような言語化できないような社内の知識が失われる可能性があります。
一方、従業員が長く働きながら経験を積めれば、個人の能力を組織の財産として生かしやすくなります。中小企業庁も、5年前と比べて人材育成の取組みを増やした企業では、直近3年間で採用した従業員の定着率が高い傾向にあることを示しています(出典元※2)。
2-3 エンゲージメントやモチベーションの向上につながる
従業員が「この会社で成長できる」「自分の仕事が評価されている」「困ったときに相談できる」と感じられる環境を整えることは、仕事や組織に対する前向きな意識にもつながります。
たとえば、上司との定期的な面談やキャリア支援を通じて、自分の将来について考える機会を設けることが挙げられます。従業員満足度やエンゲージメントの向上に向けて、社内コミュニケーションの活性化や上司・部下間のコミュニケーションの円滑化、企業理念・ビジョンの浸透などに取り組む企業がみられます。
2-4 採用競争力の向上につながる
リテンション施策による働きやすい職場の整備は、現在働いている従業員だけでなく、将来の採用にも役立つ可能性があります。
たとえば、休暇を取得しやすい環境や柔軟な働き方、充実した研修制度などは、求職者が企業を選ぶ際の判断材料になります。採用の際の職務や労働条件について詳細な説明・情報提供を行うことが、若年労働者の定着に向けた重要な対策として多くの企業で実施されています。自社のリテンション施策を採用活動で適切に伝えると、「長く働きやすい会社である」ことを魅力として発信しやすくなるでしょう。
3.リテンション施策の具体例
リテンション施策には、給与や報酬といった金銭的な施策だけでなく、キャリア支援や職場環境、コミュニケーション、福利厚生などの非金銭的な施策もあります。すべての企業に同じ施策が適しているわけでありません。たとえば、給与への不満が大きい企業では待遇改善が優先される一方、若手社員の離職が多い企業では、キャリア支援や入社後のフォローが重要になるでしょう。以下に具体的な施策をご紹介します。自社の離職理由や従業員のニーズを把握して、複数の施策を組み合わせる際の参考にしてください。
3-1 給与・報酬制度を見直す
給与や報酬は、従業員が働き続けるにあたって重要な要素です。仕事内容や役割、能力などに対して納得感のある給与水準になっているかを確認し、必要に応じて見直しましょう。
基本給だけでなく、各種手当や賞与、昇給制度なども含めてみて考えます。人材の確保・定着に向けた取り組みとして「賃上げ」を実施している企業は多く、人材が十分に定着している企業では、定着に向けた人事関連施策への取り組みが比較的進んでいることが示されています。ただし、給与を上げるだけで定着につながるとは限りません。職場環境やキャリア、働き方などと合わせて総合的な見直しが大切です。
3-2 納得感のある評価制度を整える
従業員が「頑張っても評価されない」と感じると、仕事への意欲が低下したり、転職を考えたりする可能性があります。評価基準を明確にし、どのような成果や行動が評価されるのかを従業員に分かりやすく伝えましょう。
また、評価結果が給与や昇進、キャリア形成にどのようにつながるのかを明確にしましょう。評価制度を単に人事査定のための仕組みとして運用するのではなく、従業員の成長を支援する仕組みとして活用することで、仕事への納得感を高めやすくなります。
3-3 キャリア形成や成長を支援する
長期的に働くためには、従業員に「この会社で成長できる」と思ってもらうことも重要です。キャリア面談を実施したり、将来的なキャリアパスを示したりすると、従業員が自身の将来を考える機会を提供できます。
加えて、資格取得支援や社内公募制度、専門性を高めるための研修なども取り入れてみましょう。会社から現在の職位以上に昇進するキャリアパスを明確に示すことは、従業員、特に高い業績を上げている人材の退職意思を抑えるのに役立つとされています(出典元※3)。実際、人材が定着している企業ほど、キャリアプランの明確化や、資格取得支援などの人事関連施策に積極的に取り組んでいることが示されています(出典元※4)。キャリアの将来像を描ける働き方は、従業員のモチベーション向上にもつながる可能性があります。
出典元※3:山本寛「組織従業員のHRM認知とリテンションとの関係ーキャリア発達の観点から一」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/20/2/20_27/_pdf/-char/ja
出典元※4:「2024年版小規模企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/shokibo/00sHakusho_zentai.pdf
3-4 研修やスキルアップの機会を提供する
研修やスキルアップの機会を設けることもリテンション施策になります。業務に必要な知識やスキルを身につけられる研修に加えて、eラーニングや資格取得支援、自己啓発支援などの方法があります。
特に入社直後の従業員には、業務を覚えるための研修だけでなく、定期的なフォローも重要です。入社した従業員に対して入社後3年目まで定期的なフォロー研修や面談を実施し、現場に配属された後も総務が継続的にフォローする取り組みなどを導入してみましょう。研修を入社時だけで終わらせず、継続的な支援につながるように心がけます。
なお、入社前における新社会人準備の支援やエンゲージメントの醸成として、内定者向けに各種優待や無料のeラーニング等を提供する「WELBOX for Freshers」のような仕組みを早期から活用するのも有効です。
3-5 働きやすい職場環境を整える
人材定着を考える上では、日々の働きやすさも重要です。たとえば、長時間労働の削減、有給休暇を取得しやすい環境づくり、柔軟な勤務制度、育児・介護との両立支援などがあります。
また、休暇制度の充実や労働時間の見直しに取り組む企業も出てきており、人材が十分に定着している企業では、こうした働き方改善への取り組みも比較的進んでいることが示されています。
また、働き方改革に関する取り組みを経営戦略に位置付けている企業では、離職率の低下や従業員の健康保持・増進に向けた意識の向上、女性・シニアなどの定着率向上といった効果がみられる傾向もあります。たとえば、パッケージ型福利厚生サービス「WELBOX」では、改正育児・介護休業法の要件対応に活用できる研修動画や専門窓口を提供しています。保育施設やベビーシッターで使える割引クーポンなども用意されており、仕事と家庭の両立支援に役立ちます。
3-6 社内コミュニケーションを活性化する
職場で相談しやすい環境をつくることも、リテンション施策として重要です。たとえば、上司と部下が定期的に話す1on1や面談、部署を超えた交流会、社内イベントなどが考えられます。
日常的なコミュニケーションによって、仕事上の悩みや人間関係の問題などを早期に把握できる可能性があります。実際に、社内コミュニケーションが「円滑である」と回答した企業のほうが、「円滑でない」企業よりも直近3年間で採用した従業員の定着率が高い傾向にあります。入社後のコミュニケーションを促すために1on1を中途入社者にも広げ、所属部署以外の従業員とのつながりをつくる取り組みが行われている企業もあります。
3-7 福利厚生を充実させる
福利厚生も、従業員が働き続けやすい環境を整えるための施策です。実際、人材確保に効果があったと考えられる働き方改善の取り組みとして、「福利厚生の充実」などが挙げられています(出典元※5)。
具体的には、休暇制度、健康支援、育児・介護支援、住宅支援、レジャー、自己啓発支援などがあります。福利厚生を整える際には、制度の数を増やすだけでなく、実際に従業員が必要としている制度を選ぶことが大切です。福利厚生をリテンション施策として活用する場合は、従業員のライフスタイルや年齢、家族構成などの違いにも配慮するとよいでしょう。
出典元※5:厚生労働省「人材確保対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000053276.html
3-8 福利厚生を利用しやすくする
福利厚生は、制度を導入するだけでは十分とはいえません。制度があっても、「どのようなときに利用できるのか分からない」「申請方法が複雑」「自分に必要な制度が見つからない」といった状態では、利用されにくくなります。
制度の内容や利用方法を分かりやすく周知し、従業員が必要なときに使える環境を整えることが大切です。また、利用率や満足度を確認し、利用されていない制度については、認知不足なのか、制度そのものがニーズに合っていないのかを分析する必要があります。こうした福利厚生の利用状況把握や分析には、管理ツールの充実したアウトソーシングサービスの導入が役立ちます。一例としてパッケージ型福利厚生サービス「WELBOX」は、企業側で個別の施設と提携する手間を省き、予算管理がしやすいだけでなく、導入後に従業員の「利用実績の把握や分析ができる」仕組みが整っています。これにより、認知向上のための適切なアプローチや従業員ニーズに合わせた改善をスムーズに行えます。
福利厚生を含めた人事施策は、導入して終わりではなく、従業員の反応を確認しながら改善することが重要です。
4.自社に適したリテンション施策の選び方
リテンション施策は、他社で効果がみられた取り組みをそのまま導入すればよいわけではありません。同じ離職率の高さであっても、原因が給与なのか、職場の人間関係なのか、キャリアの不透明さなのかによって、必要な施策は異なります。自社の状況を把握し、課題に応じて施策を選択しましょう。以下で、具体的なリテンション施策の選び方をご紹介します。
4-1 離職率や退職理由を分析する
最初に確認したいのが、自社の離職の実態です。全社の離職率だけでなく、部署、職種、年代、勤続年数などの単位で確認すると、特定の層に離職が集中していることが分かる場合があります。もし入社1~2年目の従業員の離職が多ければ、採用時のミスマッチや入社後の教育、上司との関係などが課題になっている可能性があります。
一方、一定年数勤務した従業員の離職が多い場合は、キャリアパスや評価、待遇などに課題があるかもしれません。退職者へのヒアリングやアンケートも活用し、表面的な離職理由だけでなく、背景まで確認しましょう。
4-2 従業員のニーズを把握する
現在働いている従業員の声も聞きましょう。従業員アンケートや従業員サーベイ、1on1、面談などを活用し、給与、評価、キャリア、職場環境、人間関係、福利厚生などについて意見を集めます。
特に、長く働いている従業員が「なぜこの会社で働き続けているのか」を確認すると、自社が持つ強みを把握する手がかりになります。従業員満足度を確認する方法として社内調査だけでなく、日常的なコミュニケーションが活用されています。企業規模の小さい企業ほど、日常的なコミュニケーションを通じて従業員の状態を把握している傾向も示されています。
4-3 課題に優先順位をつける
すべての課題を同時に解決するのは難しいため、優先順位を決めることも必要です。「離職への影響が大きいか」「改善による効果が期待できるか」「自社で実施可能か」といった観点から課題を整理します。
もし長時間労働が原因で退職者が増えているのであれば、まず労働時間や業務量の改善を優先します。キャリアの見通しが持てないことが課題であれば、キャリア面談や研修、キャリアパスの明確化などを検討しましょう。重要なのは、流行している施策を導入することではなく、自社の課題を解決するために施策を選ぶことです。
5.リテンション施策を実施する際のポイント
施策は導入するだけで効果が得られるものではありません。従業員に目的や内容を理解してもらい、実際に利用してもらうことが重要です。また、人事部門だけでなく、現場の管理職とも連携しながら継続的に改善する必要があります。以下に、リテンション施策実施のポイントをご紹介します。
5-1 施策の目的を明確にする
最初に、何のためにリテンション施策を実施するのかを明確にします。「若手社員の離職を減らす」「管理職候補の育成につなげる」「育児と仕事を両立しやすくする」など、目的を具体化すると施策を選びやすくなるでしょう。
目的が曖昧なまま制度だけを増やすと、利用されない制度が増え、運用負担だけが大きくなる可能性があります。人事部門だけでなく、経営層や管理職にも目的を共有し、組織全体で取り組むことが大切です。
5-2 従業員が利用しやすい仕組みをつくる
どれほど充実した制度でも、利用方法が分かりにくければ十分に活用されません。制度の内容、対象者、申請方法、問い合わせ先などを分かりやすく整理し、社内ポータルやイントラネットなどから確認できるようにする方法があります。
また、制度を導入した際だけでなく、定期的に周知することも重要です。福利厚生制度であれば、入社時の説明だけでなく、社内メールや社内報などを通じて利用できる制度を紹介する方法もあります。積極的に周知しましょう。
5-3 人事と現場が連携する
人事部門だけで従業員の定着を実現することは難しいため、現場と連携を図りましょう。従業員の日常的な変化や悩みを把握しやすいのは、直属の上司や現場の管理職です。人事と管理職が情報を共有し、必要に応じて面談やキャリア支援につなげる体制を整える仕組みを作りましょう。1on1などを単なる業務進捗の確認にせず、キャリアや働き方について話せる場として活用する、といった方法も考えられます。
5-4 継続的に効果を測定する
施策を実施した後は、効果を確認します。代表的な指標として、離職率、定着率、勤続年数などがあります。加えて、従業員満足度、エンゲージメント、研修参加率、福利厚生の利用率などを設定する方法もあります。
たとえば、若手社員向けの研修を導入したのであれば、研修参加率だけでなく、一定期間後の定着状況や本人の満足度を確認します。1つの指標だけで判断するのではなく、複数の指標を組み合わせることで、施策の効果を多面的に確認できます。
6.リテンション施策の企業事例
リテンション施策を検討する際は、実際の企業事例を参考にすることも有効です。ただし、他社の施策をそのまま導入するのではなく、「自社でも応用できる部分はどこか」という視点で導入を検討しましょう。ここでは、事例・調査をもとに、代表的な取り組みを紹介します。
6-1 社内コミュニケーションを活性化する事例
中途採用者の定着事例として、年齢や役職に関係なく愛称で呼び合う「ニックネーム制度」を導入している企業があります。加えて、全社員の業務日報をSNSでオープン化し、所属部署だけでなく部署以外の従業員とも自由にコミュニケーションを取れる機会を設けています。
中途入社者は既存社員との人間関係を一から構築する必要がありますが、こうした部署を越えた交流の機会は、組織にスムーズになじむための支援として参考になるでしょう。
6-2 成長機会を提供する事例
人材の定着には、従業員に成長機会を提供することも重要です。5年前と比べて社内での人材育成の取り組みを増やした企業では、採用した従業員の定着率が有意に高い傾向が示されています(出典元※2)。具体的な企業事例では、新入社員に対して入社後3年目まで定期的なフォロー面談を実施し、現場配属後もじっくり育成を進めることで、入社3年以内の離職者を出さないことに成功している例もあります(出典元※6)。研修を入社時だけで終わらせず、継続的に成長を支援して振り返りの機会を設けると定着につながる例です。
出典元※6:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf
6-3 働きやすい環境を整備する事例
働き方の改善も、人材定着につながる可能性があります。
年間休日数の増加や時間外労働の削減、育児・介護休業を取得しやすい環境づくりなどに取り組んだ結果、安定した採用につながり、従業員数が取り組み前と比較して20~30人程度増加した例があります。
さらに、業務の標準化・マニュアル化や省力化投資が進むと、働きやすさと生産性の両方を高めています。このように、リテンション施策は一つの制度だけで完結するものではありません。休暇制度、労働時間、育児・介護支援、業務効率化などを組み合わせ、従業員が長く働きやすい環境を作りましょう。
7.リテンション施策の効果を高めるために必要なこと
リテンション施策は、一度導入して終わりではありません。従業員の価値観やライフステージ、事業環境は変化するため、現在有効な施策が将来も同じように利用されるとは限りません。制度の利用状況や従業員の反応を確認しながら、継続的な改善が求められます。
7-1 従業員の声を定期的に確認する
アンケートや面談、1on1などを活用して、従業員が施策や職場環境をどのように感じているかを確認します。たとえば、福利厚生制度の利用率が低い場合、制度そのものに魅力がないとは限りません。制度の存在を知らない、申請方法が分からない、利用する時間がないなど、別の原因が隠れている可能性があります。単純に利用率だけを見るのではなく、従業員の声と組み合わせて分析することが重要です。
7-2 利用率や満足度を確認する
導入した制度が実際に利用されているかを確認しましょう。福利厚生であれば利用率、研修であれば参加率、キャリア支援であれば面談実施率など、施策に応じた指標を設定します。利用した従業員の満足度を確認し、制度がニーズに合っているかを判断しやすくなります。利用率が低い制度は廃止を検討するだけでなく、認知度や利用条件、内容などを確認し、改善の余地がないかを検討しましょう。
7-3 PDCAを回して改善する
リテンション施策では、計画(Plan) 、実行(Do) 、評価(Check) 、改善(Action)のサイクルを継続することが重要です。
まず、自社の離職状況や従業員の声を分析し、課題を明確にします。そのうえで施策を実施し、離職率や定着率、従業員満足度などの変化を確認します。期待した結果が得られなかった場合は、「施策そのものが適切ではなかったのか」「周知が不足していたのか」「利用しにくい仕組みだったのか」など、原因を分析します。
たとえば、キャリア面談を実施しても利用率が低ければ、面談の必要性が従業員に伝わっていない可能性があります。その場合は制度の周知方法や面談の内容を見直します。結果を次の施策に反映させ、自社に適したリテンション施策へと改善しましょう。
7-4 手間を抑えて多様なリテンション施策を一度に実現する方法
リテンション施策を総合的に実施するには、パッケージ型福利厚生サービスの活用が有効な選択肢となります。たとえば、株式会社イーウェルが提供する「WELBOX(ウェルボックス)」は、従業員の多様なライフスタイルに対応する福利厚生アウトソーシングサービスです。旅行や健康、育児、介護、自己開発など多彩なメニューを会員価格で提供し、従業員のエンゲージメント向上を支援します。
WELBOXの主な特徴は以下の通りです。
豊富なメニューと使いやすさ :
旅行から自己啓発、日常の買い物まで、提携施設約180万件、自社ECサイト商品約28万点という幅広い選択肢が用意されています。スマートフォンアプリのリニューアルなどにより、お得な情報を見つけやすく、直感的に操作できる設計が特徴です。
家族の満足度向上 :
従業員の家族(2親等まで)も同様にサービスを利用できるため、家族全体の満足度にも繋がります。
管理業務の効率化と実績分析 :
企業にとっては、個別に施設と提携する手間が省けるだけでなく、予算管理がしやすいメリットがあります。また、従業員の利用実績を視覚的に確認・分析できる「利用実績ダッシュボード」が用意されており、データをもとにした効果的な利用促進施策の立案に活用できます。
このようなサービスを活用して人事担当者様の業務負担を抑えながら、従業員一人ひとりのニーズに応える働きやすい職場環境を整えられるでしょう。
8.まとめ|リテンション施策で人材が長く働ける企業を目指そう
リテンション施策は、従業員の離職を防ぐだけでなく、長く働きながら成長し、能力を発揮できる環境を整えるための取り組みです。
具体的な施策には、給与・報酬制度の見直し、評価制度の改善、キャリア形成支援、研修、職場環境の改善、社内コミュニケーションの活性化、福利厚生の充実などがあります。
ただし、すべての企業に同じ施策が適しているわけではありません。まずは離職率や退職理由、従業員のニーズを分析し、自社にとって優先度の高い課題を把握することが大切です。
また、制度を導入するだけでなく、従業員が実際に利用しやすい環境を整えることも重要です。人事と現場が連携し、利用率や満足度、離職率などを確認しながら改善を続けましょう。
人材不足が続くなか、企業にとって採用活動をして終わりではなく、採用した人材が長く活躍できる環境をつくる重要性は高まっています。自社の課題と従業員の声を起点にリテンション施策を設計し、持続的な人材確保と組織の成長につなげていきましょう。
介護・育児・自己啓発・健康増進・旅行やエンターテイメントなど、多彩なメニューがパッケージとなっている福利厚生サービスです。充実した福利厚生を目指すなら「WELBOX」
従業員のライフスタイル・ライフステージに応じて、メニューを選択しご利用いただくことが可能です。
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