シエスタ制度とは?オフィス昼寝で生産性が向上

「シエスタ制度とはどのような制度なの?」
「シエスタ制度を導入するにはどうすればいい?」
このような悩みを持つ経営者や、企業内で労働環境の改善に携わる方もいることでしょう。近年注目されているシエスタ制度ですが、本記事では、シエスタとは何か?その定義やメリット、デメリットについて解説します。
最後まで読めば、シエスタ制度への取り組み方が分かります。良好な職場環境を作るなら、ぜひ参考にしてください。
1.シエスタ制度とは?

シエスタ制度は、長い休憩を意味する取り組みです。米国ではNASAやGoogle、Nike社などでも採用されています。近年では、日本の企業でも注目されており、多くの企業が導入を進めている制度です。
1-1 シエスタ制度の由来
シエスタとは、南ヨーロッパで行われている昼寝の習慣です。スペインを中心としたラテン地方では、ランチ後の日差しが強くなる時間を休憩時間に充てています。昼寝をしなくても、ジムで汗を流すのも家族と過ごすのも自由。こうした習慣を日本企業に合うように取り入れたものが「シエスタ制度」です。
1-2 シエスタ制度の目的
シエスタ制度は、眠気による労働生産性の低下を防ぐことを目的としています。ランチを取った後は、どうしても眠くなりがちです。眠気を感じながら無理に仕事をすると、集中力の低下につながります。また、睡眠不足や病気の予防も重要です。そこで、昼寝や休憩でリフレッシュする時間を設け、午後の生産性向上を狙って導入する企業が増加しています。
1-3 シエスタ制度の導入方法

シエスタ制度を導入する際のポイントは以下の通りです。
- 休憩時間分の退勤時間を遅らせる
- シエスタ中の過ごし方は従業員に任せる
- 関係先へのアナウンス、自動音声などの準備をする
ポイントとなるのは、休憩時間を確保して退勤時間をずらすことです。退勤時間がずれることについては、全社的に是非を伺った方が良いでしょう。なお、1時間を超える休憩時間については、労働基準法でも問題はありません。
2.シエスタ制度導入のメリット
シエスタ制度の導入で期待できるメリットは以下の3点です。
- 生産性が向上する
- ストレスを解消できる
- 体力を回復できる
企業側だけでなく、労働者にもメリットが期待できるシエスタ制度。正しく導入すれば大きな効果を発揮するでしょう。以下では、詳細を解説します。
2-1 メリット① 生産性が向上する
シエスタ制度の大きなメリットは、生産性の向上です。NASAが行った実証実験によると、26分の仮眠で34%仕事の効率が向上し、注意力が54%向上したという結果が出ています。
また、厚生労働省も「午後の早い時間にする30分以内の短い昼寝は効果的である」と認めています。疲れた頭と体をリセットすることで、生産性の向上が見込めるのです。
2-2 メリット② ストレスを解消できる
第二のメリットは、ストレスの解消です。仕事が忙しくなり疲れがピークに近づくと、ストレスホルモンが多く分泌されます。そのような状況下では的確な判断ができないケースも目立ち、同僚や部下に対する接し方にも問題が発生しがちです。
そこで、昼寝やストレッチ、散歩などのリラクゼーションを行います。目を瞑るだけでもリラックス効果はあるので、ストレスの解消が見込めます。
2-3 メリット③ 体力を回復できる

体力の回復が見込めるのも、シエスタ制度のメリットです。日本では通勤環境や、職場環境で疲れを溜める人が多い傾向にあります。体力的な疲れが蓄積すると、良いパフォーマンスは期待できません。
特に、体を動かす仕事をしている人にとっては効果が大きいでしょう。外回りの営業マンやドライバーなど、車を運転する人にとって疲労は大きな敵です。シエスタ制度が導入できれば、体力の回復で安全に仕事を遂行できます。
3.シエスタ制度導入のデメリット

シエスタ制度の導入には以下のデメリットも想定されます。
- 寝過ぎることがある
- 体内時計が乱れる
- 頭痛が起きやすくなる
シエスタ制度は、正しい理解のもとに進めないと効果は期待できません。以下で、一つずつ解説します。
3-1 デメリット① 寝過ぎることがある
適度な仮眠を取ることは良いことですが、寝すぎてしまうと逆効果です。浅い眠りであるノンレム睡眠には、脳を休める効果があります。しかし、30分を超えて深い眠りであるレム睡眠に進むと、すぐに起きることが難しくなります。脳が再び稼働するのにも時間がかかり、パフォーマンスが落ちてしまうのです。
3-2 デメリット② 体内時計が乱れる
シエスタ制度で昼寝をしすぎると、体内時計の乱れが心配されます。昼に寝すぎると、夜の睡眠に差し障ることになりかねません。夜の寝不足をシエスタで補う、本末転倒のサイクルになることも想定されます。体内時計が乱れると、仕事面でもマイナスです。昼寝時間を取りすぎないように注意しましょう。
3-3 デメリット③ 頭痛が起きやすくなる
シエスタ中の昼寝により、頭痛を起こす人も出てくる可能性もあります。昼寝による頭痛は、主に血流によるものが原因です。
30分以上の睡眠を取ると、血管が拡張します。そのため、目覚めたときに血流量が増加し、血管を取り巻く神経に影響が生じます。昼寝前にカフェインを摂取すると、昼寝から起きるタイミングにカフェインの効果が出て目覚めが良くなります。
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4.シエスタ制度の適切な時間
シエスタ制度の導入に当たっては、適切な時間の把握が重要です。シエスタ制度自体は、3時間程度の導入が望ましいとされています。ただし、3時間全てを睡眠に充てると、夜の睡眠に影響が生じます。また、長すぎる昼寝は病気のリスクも高めてしまいます。
シエスタ制度の適切な時間は、13時から16時の3時間。ランチ後の眠くなる時間と、疲れが溜まる時間に該当するためです。この時間内で30分弱の昼寝を取ることで、仕事のパフォーマンスに最も好影響を与えます。
5.シエスタ制度の導入の注意点
シエスタ制度の効果が分かったところで、制度導入の際の注意点を3つ解説します。
- 退社時刻が遅くなりすぎないようにする
- 仮眠室を設けるなどの環境を整える
- サービスへの影響や取引の遅延がないようにする
それぞれ詳しく解説します。
5-1 注意点① 退社時刻が遅くなりすぎないようにする
注意点の1つ目は、退社時間が遅くなる恐れがあることです。シエスタ制度では、3時間程度の休憩を取得し、退勤時間をずらします。仕事の効率が向上する代わりに、プライベートに影響が出ると従業員のモチベーション低下が懸念されます。
そこで、早く帰りたい従業員のために、従来の1時間休憩も選択できる制度にすると良いでしょう。フレックスタイムとの組み合わせで、従業員に配慮することがポイントです。
5-2 注意点② 仮眠室を設けるなどの環境を整える
シエスタ制度の導入で大切なことは、昼寝ができる環境の整備です。仮眠をするときは短い時間、同じ時間帯、同じ姿勢が望ましいとされます。そのため、気兼ねなく快適に仮眠を取れる「仮眠室」「仮眠用のチェア」などの環境整備が必要です。
実際にアメリカだけでなく、日本企業でも仮眠スペースを設ける企業が増加の傾向にあります。中にはGMO、インターネットグループのようにアイマスクも用意している企業もあります。
5-3 注意点③ サービスへの影響や取引の遅延がないようにする
サービスや取引先へ影響を出さないよう注意しましょう。シエスタ制度を導入する目的は、生産性や社員の健康、満足度の向上です。
しかし、シエスタ制度の導入でサービス品質の低下や取引に遅れが出ると本末転倒です。全従業員が一斉にシエスタに入るのではなく、時間帯をずらす工夫も必要です。想定されるリスクに応じた対策は必須といえます。
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