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コロナ時代の保険診療について

労働衛生コンサルタント 日本医師会認定産業医
久保 浩太

2年間続いたコロナ禍は私たちの暮らしを大きく変え、産業保健だけでなく医療の構造も大きく変えました。本日のコラムは、少し産業保健の枠を離れ日常の医療受診で大きく変わった点についてお話ししたいと思います。

コロナ禍に入ってから、時限措置としてオンライン診療の規制が緩和されておりましたが、令和4年4月から時限措置ではなく大幅にオンライン保険診療の規制が緩和され、条件を満たした場合初診からも利用できるようになりました。
主に生活習慣病や花粉症などの慢性疾患の場合は非常に利便性も高く、忙しいクリニックに通う時間の取れない労働者にとって大きいメリットとなるでしょう。
また併せて、処方の郵送や服薬指導などの規制も緩和されております。

諸外国でも似たようなオンラインヘルスサービスは存在しますが、本邦で特記すべき点は保険診療とひも付き、非常に安価に遠隔診療を受けられるという点が挙げられます。これをうけ、産業保健領域においても、健康診断後の事後措置として通院配慮を指示する際も遠隔診療というオプションを提案できるようになり、時流とご本人の健康状態・就業状態に合わせた提案が可能になってきております。

具体的に少しお話ししますと、現状のオンライン診療および服薬指導は具体的にはスマートフォンの専用アプリ(ICTアプリと言います。)や専用のWebページにログインした上でのビデオ通話という形が主流で行われており、これは医療機関もしくはアプリの会社が専用の回線を用意し一定の安全性を担保した上で行われています。

一般的なソーシャルメディアやミーティングソフトのビデオ通話機能を用いての診療は認められていません。専用アプリ上にアカウントを作り、個人情報・支払情報・保険証の画像等を登録し、受診する医院を選択するという形でECサイトへの登録と似ています。
予約を行い、遠隔受診をした後、薬局を選択し服薬指導を受け、内服は取りに行くもしくは郵送となります。
処方箋は選択した薬局に医療機関側で郵送されるので内服受け取り時は写しでも構いません。

このように非常に便利ですが、発熱等の急性期疾患や検査が必要な受診、メンタルの受診など遠隔診療が認められていないものもありますので注意は必要です。
昨今は特に時代の流れが速く、これからも医療構造については変化の大きい時期は続くと思われ注視が必要と考えられますので、貴社の産業医とも情報を交換すると良いでしょう。

この記事の講師

久保 浩太

労働衛生コンサルタント、日本医師会認定産業医、産業衛生学会専攻医、

遠隔産業衛生研究会(発起人)、麻酔科学会専門医

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