人手不足倒産とは?増加する原因と中小企業が今すぐ取り組むべき対策を解説

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「求人を出しても応募が来ない」

「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」

企業の経営者や人事担当者から、こうしたお悩みの声が後を絶ちません。

 

人手不足を原因とした企業倒産は年々増加しており、2024年度には過去最多の309件(東京商工リサーチ調べ)を記録しました。資本金1千万円未満の小・零細企業が全体の65%を占めており、中小企業にとって人手不足は事業継続を左右する深刻なリスクとなっています。

 

本記事では、人手不足倒産の定義や種類から最新の統計データ、原因、そして企業が取り組むべき具体的な対策まで、実践的な視点で詳しく解説します。



目次

  1. 人手不足倒産とは?
  2. 人手不足倒産の種類
  3. 人手不足倒産の原因ランキング
    1. 3-1 求人難
    2. 3-2 人件費の高騰
    3. 3-3 従業員退職
  4. 人手不足倒産する会社はどのくらいある?
    1. 4-1 年々増加する人手不足倒産
    2. 4-2 特に中小企業での人手不足が深刻
  5. 人手不足倒産を防ぐために企業が取り組むべきこと
    1. 5-1 採用手法の見直し
    2. 5-2 入社した社員のフォロー
    3. 5-3 業務効率化・自動化
    4. 5-4 福利厚生などの待遇改善
  6. まとめ

1.人手不足倒産とは?



人手不足倒産とは、企業が事業運営に必要な人材を確保できないことによって発生する倒産のことです。従業員の離職や採用難、人件費の高騰などが原因となり、事業継続が困難になって倒産に至るケースを指します。

 

たとえば、店舗や工場を稼働させるのに必要な人員を維持できなくなったり、専門的なスキルを持つ人材が確保できずに受注を断らざるを得なくなったりすることで、売上が減少し経営が立ち行かなくなるケースが該当します。

 

注目すべき点は、人手不足倒産は黒字経営の企業でも起こり得るというところです。十分な利益が出ているにもかかわらず、必要な人員が確保できなければ事業を継続することは難しく、最終的には倒産・事業終了を選択せざるを得なくなる場合があります。

売上や利益の数字だけでは経営の安定を測れない時代になっていると言えるでしょう。




2.人手不足倒産の種類

人手不足倒産は、その原因によって主に4つのタイプに分類されます。

自社がどのリスクに直面しているかを把握することで、適切な対策を講じることができます。

 

【後継者難型】

経営者や幹部層が高齢化や病気などで不在となり、後継者が見つからないために起こる倒産です。中小企業や家族経営では事業承継の準備不足から発生しやすいパターンで、次世代を担う人材が育っていないまま経営者が引退・死亡した際に事業継続が不可能になります。

 

【求人難型】

人手不足を解消しようと求人募集を行っても応募者が集まらず、必要な人員を確保できないために起こる倒産です。求人市場が売り手優位となる中、知名度が高かったり待遇がより良い企業に応募が集中し、中小企業や不人気業種では応募自体がなかったり少なかったりする傾向があります。

 

【従業員退職型】

在籍していた従業員が次々と退職することで人手が不足し、営業継続が困難になって起こる倒産です。労働環境や人間関係への不満から従業員が相次いで離職するケースが多く、特に中核社員や幹部クラスが抜けると事業への打撃が大きく、ノウハウの継承もできないまま倒産に至ることがあります。

保育施設や介護施設、医療機関などで一斉に職員が退職し、有資格者が足りなくなって利用者のケアがままならなくなるといった昨今たびたび聞かれるニュースも、この「従業員退職型」の典型でしょう。

 

【人件費高騰型】

人材確保のための賃上げや最低賃金の引き上げなどで人件費が増大し、収益バランスが崩れて発生する倒産です。近年は働き方改革や物価高騰の中で人件費が上昇し続けており、従業員一人あたりのコスト増によって資金繰りが悪化して倒産に至るパターンが増えています。

 

 

3.人手不足倒産の原因ランキング




東京商工リサーチの調査によると、2024年度の人手不足関連倒産は過去最多の309件(前年度比60.9%増)に急増しました。すべての要因別件数が過去最多を更新していますが、特に多かった原因は次の3つです。


 

3-1 求人難

「求人難」すなわち採用したくても人が集まらないことが、人手不足倒産の最も多い直接要因となっています。2024年度はこの求人難を背景とする倒産が122件発生し、全体の約4割を占めました。

 

求人数の増加に対して労働力人口が減少傾向にあるため、求人市場は売り手優位が続いています。その結果、知名度や待遇の良い企業に応募が集中し、中小企業や不人気業種では人材確保が困難になっています。

特に建設業・運送業・介護業など慢性的な人手不足業界や地方の企業で、この「求人難型」倒産が多発しています。

 

 

3-2 人件費の高騰

人件費の急激な上昇も人手不足倒産の大きな原因です。2024年度は人件費高騰による倒産が110件確認され、前年度比約69%増と大幅に増えました。

 

最低賃金の毎年の引き上げや、大企業による賃上げ競争の影響で、中小企業にも賃金上昇の波が及んでいます。その結果、賃金負担が経営を圧迫し、収益バランスが崩れる企業が増えています。

 

価格転嫁が十分にできないまま人件費だけが増えると、利益を圧迫して倒産リスクが高まります。大企業と中小企業の賃金格差が拡大する中、「防衛的賃上げ」にも限界が見えつつあると指摘されています。

 

3-3 従業員退職

従業員の離職そのものが引き金となるケースも多く、2024年度は従業員退職を直接の要因とする倒産は77件と報告されています。社員の大量退職や重要人材の流出により、業務が回らなくなってしまうパターンです。

 

従業員退職型倒産につながる主な背景としては、以下のようなものが挙げられます。

 

特に中堅社員や管理職クラスが抜けると組織力が低下し、1人のキーマン退職を契機に他の社員も次々と辞めてしまう「連鎖退職」に発展するケースもあります。そうなると残った社員の負荷増大から、さらなる退職を招くという悪循環に陥ります。

 

参考:2024年度「人手不足」倒産 最多の309件(東京商工リサーチ)



4.人手不足倒産する会社はどのくらいある?

4-1 年々増加する人手不足倒産

人手不足倒産に陥る企業の件数は増加傾向にあります。

 

人手不足倒産は2013年に統計を取り始めて以降、近年急激に増加しており、2023年度・2024年度と2年連続で過去最多を更新しています。わずか数年前と比べても件数は大幅に増えており、人手不足が企業経営に与えるリスクが急速に高まっていることがわかります。

2024年度の人手不足関連倒産は前年度比60.9%増の309件、年度として初めて300件台に乗りました。

さらに2025年に入っても増加ペースは衰えておらず、引き続き過去最多を更新する見通しとなっています。人手不足倒産は一時的な現象ではなく、構造的な問題として今後も続くことが予想されます。

参考:2024年度「人手不足」倒産 最多の309件(東京商工リサーチ)

 


4-2 特に中小企業での人手不足が深刻

人手不足倒産は企業の構造上、規模が小さいほど起きやすい傾向があります。2024年度の人手不足関連倒産では、資本金1千万円未満の企業が全体の65.0%を占めており、小・零細企業に集中していることがわかります。

 

中小企業は従業員数が限られるぶん、一人ひとりの役割が大きく、人材の損失が事業に与える影響も大企業より深刻です。少人数の小規模事業者ほど人が辞めた際のダメージが大きく、業務効率の低下や売上減少、ひいては事業継続の困難に直結するケースが増えています。

中小企業庁の2024年版中小企業白書でも、中小企業の人手不足が深刻化していることが指摘されています。

 

さらに、人材確保競争の激化によって大手企業と中小企業の賃金格差が広がっており、収益力の乏しい中小企業では「防衛的な賃上げ」にも限界が見えつつあります。大企業が若手の初任給引き上げや積極採用に踏み切る中、中小企業はそれに対抗できず人材流出を招くケースが増えているのです。 

参考:2024年版 中小企業白書 第1節 人材の確保(中小企業庁)

 


5.人手不足倒産を防ぐために企業が取り組むべきこと

人手不足倒産という最悪の事態を避けるためには、企業側で積極的に人材の確保・定着策を講じることが不可欠です。以下では、具体的な対策について詳しく解説します。


5-1 採用手法の見直し

従来のやり方で応募者が集まらない場合は、求人チャネルや採用プロセスの見直しが必要です。採用市場は売り手市場が続いており、企業間の人材獲得競争は激化しています。

 

中小企業にとっては、自社の魅力をより効果的に発信し、応募者の母集団を広げる工夫が求められます。具体的には次のような取り組みが有効です。

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5-2 入社した社員のフォロー

採用した人材を定着させる取り組みも非常に重要です。新人社員が職場に定着し、早期離職を防ぐことで人手不足による「連鎖退職」を食い止められます。

 

具体的には次のようなフォロー施策が有効です。

 

忙しい現場では新人教育が後回しになりがちですが、入社直後の手厚いフォローは長期的な定着率向上の鍵です。早期段階でつまずきを防ぎ、モチベーションを維持させることで、貴重な人材の流出を防ぐことができます。

 


5-3 予業務効率化・自動化

限られた人員でも業務が回るように、業務プロセスの見直しやIT化による効率化を図ることも重要な対策です。

 

たとえば、定型的な事務作業や問い合わせ対応などはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やチャットボットを導入して自動化すれば、新たな人材を採用せずとも労働力不足を補える可能性があります。

 

生産性向上や働き方改革に資するツールを積極的に取り入れ、人手に頼らない運営体制を築くことで、人手不足リスクの軽減と従業員の負担軽減の両面に効果が期待できます。業務効率化によって残業時間や休日出勤を減らせれば、従業員の満足度向上にもつながるでしょう。

 


5-4 福利厚生などの待遇改善

従業員の待遇を改善して魅力ある職場にすることは、人材確保・定着の基本的かつ強力な対策です。給与や各種福利厚生を充実させることは、求職者にとってその会社を選ぶ動機づけとなり、同時に既存従業員の離職防止にもつながります。

 

ただし、中小企業には「そう簡単に賃上げできない」という事情もあります。賃上げは採用面では一定の効果がありますが、定着面への貢献は限定的であるとの指摘もあります。また、賃上げは企業の負担が大きく、従業員にとっても税金や社会保険料が増えるため、手取りの増加率は思ったほど高くなく、従業員に魅力を感じ続けてもらえるかという点でいささか疑問が残ります。

 

そこで注目されているのが、福利厚生を活用して手取りを増やすという手法です。

福利厚生であれば非課税枠を活用して従業員に補助を行い、実質的な可処分所得を増やすことも可能です。

たとえば家賃補助や食事補助、日用品購入補助といった制度は、社員の生活費負担を軽減しつつ企業側のコストを抑える「実質的な賃上げ策」として有効です。

 

賃上げと福利厚生を上手く組み合わせることで、限られた予算で最大の効果を得ることができ、従業員の満足度向上と定着促進に寄与します。人材は企業にとって最も重要な経営資源であり、その確保と育成への投資こそが持続的成長の原動力となります。

 

なお、費用が限られている場合でも、福利厚生のアウトソーシング会社が提供するパッケージサービス等であれば、従業員1人あたり月数百円という予算で導入ができます。

福利厚生パッケージサービスは割引が中心のサービスで、身近で使えるようなサービスをラインナップしていますので、従業員にサービスを周知して日常的に利用してもらう、結果的に割引を積み上げて余剰を生み出してもらう、という流れを企業が情報発信をすることで利用を後押しし、有効活用される福利厚生のひとつとすることが可能です。

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6.まとめ

少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革の進展などを背景に、人手不足倒産は年々深刻さを増しています。2024年度には過去最多の309件を記録し、特に資本金1千万円未満の小・零細企業が全体の65%を占めるなど、中小企業にとって経営を脅かす重大なリスクとなっています。

 

人手不足倒産を防ぐためには、採用手法の見直し、入社した社員へのフォロー強化、業務の効率化・自動化、そして福利厚生を含めた待遇改善など、多面的な対策を講じていく必要があります。これらを積極的に実行することで人手不足によるリスクを軽減し、企業の持続的な存続と成長につなげることができるでしょう。

 

人材は企業の生命線です。人手不足時代を乗り切るために、経営者・人事担当者は今こそ自社の人材戦略を見直し、魅力ある職場づくりと人材の定着に力を注いでいくことが求められています。

 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

運営会社:株式会社イーウェル

 

  

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