ワークエンゲージメントとは?高めるメリットやスコア向上3つの方法を解説

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「エンゲージメント(engagement)」とは、一般的に「婚約、誓約、約束、契約」などの意味で使われています。近年はビジネスの場で注目を集めるようになり、そのエンゲージメントの定義には「従業員エンゲージメント」や「ワークエンゲージメント」など、概念が異なった2種類があります。

「従業員エンゲージメント」とは、従業員の企業への愛着心を指し、「感情的コミットメント」「継続的コミットメント」「役割外行動」の3つの要素で成り立っています。

「ワークエンゲージメント」とは、仕事全般において前向きで、達成感に満ちている状態のことをいい、「熱意」「没頭」「活力」の3つの要素で成り立っています。

本記事では「ワークエンゲージメント」に焦点をあて、定義や要素について、そのメリットや高める方法を紹介します。また最終章では、テレワーク下でのワークエンゲージメントの高めるポイントなども解説しますので、参考にしていただければ幸いです。

 ※従業員エンゲージメントに関する詳細はこちらをご覧ください。

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目次

  1. ワークエンゲージメントとは?
    1. 1.1 ワークエンゲージメントとは?その定義を紹介
    2. 1.2 ワークエンゲージメントを構成する3つの要素
  2. ワークエンゲージメントの類似概念
    1. 2.1 ワーカホリック(ワーカホリズム)
    2. 2.2 モチベーション
  3. ワークエンゲージメントを高めるメリット
    1. 3.1 メリット①:従業員のエンゲージメント向上
    2. 3.2 メリット②:従業員とチームの生産性が向上
    3. 3.3 メリット③:顧客満足度が向上する
  4. ワークエンゲージメントの尺度と測定方法
    1. 4.1 UWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度)
    2. 4.2  MBI-GS
    3. 4.3 OLBI
  5. ワークエンゲージメントを高める4つの方法
    1. 5.1 「仕事の資源」と「個人の資源」
    2. 5.2 明確な目標を決める
    3. 5.3 自分のやるべきことを明確にする
    4. 5.4 自己効力感を高める
  6. ワークエンゲージメントの注意点・ポイント
    1. 6.1 従業員の考えを十分に理解する
    2. 6.2 ネガティブな思考を全否定しない
    3. 6.3 従業員の仕事に没頭する動機に注目する
  7. テレワーク下でワークエンゲージメントを高めるには
    1. 7.1  テレワーク下でのワークエンゲージメントのメリット
    2. 7.2  テレワーク下でのワークエンゲージメントの注意点
    3. 7.3  テレワーク下でのワークエンゲージメントを高めるポイント
  8. まとめ

1.ワークエンゲージメントとは?

組織の業務効率・生産性を向上させるためには、従業員一人一人のパフォーマンスの向上が欠かせません。そこでカギになるのが「ワークエンゲージメント」です。主に従業員のメンタル面の健康度を示すもので「主体的に仕事に取り組んでいる心理状態」のことです。 

ワークエンゲージメントの向上は、生産性アップのほか離職率の低下など、さまざまなメリットが期待でき、多くの企業で改善に取り組んでいます。まずはワークエンゲージメントの定義や構成する要素について見ていきましょう。

      

1.1 ワークエンゲージメントとは?その定義を紹介

ワークエンゲージメントとは、従業員と業務の間に構築されるエンゲージメント(絆、愛着、思い入れ)のことであり、仕事に対してポジティブで充実している心理状態のことを指します。

対極に位置するのが「バーンアウト(燃え尽き症候群)」という概念。仕事に献身的に没頭したにも関わらず、本人が期待する結果が得られないなどの理由により、不満や疲労感によって活動水準が低下してしまった状態です。 

 

ワークエンゲージメントは、バーンアウトの研究で有名なユトレヒト大学のウィルマーB・シャウフェリ教授らによって提唱された概念で、3つの要素(活力・熱意・没頭)が揃った状態として定義されています。

詳しくは次の「ワークエンゲージメントを構成する3つの要素」で解説します。

1.2 ワークエンゲージメントを構成する3つの要素

ワークエンゲージメントは「活力」「没頭」「熱意」の3つの要素が揃った状態のことです。それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう

①活力
活力とは、仕事に対して積極的に取り組むことにより生まれるエネルギーのことです。活力が高まることで精神力や集中力が向上し、失敗してもストレスを感じにくくなります。

②熱意
熱意とは、仕事内容や自分のスキル、キャリアに対するプライドや思い入れのこと。仕事への興味関心や探求力、よい仕事をするためのモチベーションが高まります。

③没頭
没頭とは熱中して仕事に取り組んでいる状態。丁寧で質の高い仕事ができるようになり、人為的なミスも減るうえに作業効率も飛躍的に向上します。


2.ワークエンゲージメントの類似概念

ワークエンゲージメントとは、「仕事に対して、自発的な貢献意欲を持ち、主体的・前向きに充実している心理状態」という概念を理解すると、他にもよく似た概念を思い浮かべる方がいるのではないでしょうか。「ワーカホリック(ワーカホリズム)」や「モチベーション」などという言葉です。本章ではこれらの言葉とワークエンゲージメントの違いについて詳しく解説します。

2.1 ワーカホリック(ワーカホリズム)

仕事に没頭し、高い活動水準を示すという意味では、ワークエンゲージメントはワーカホリック(ワーカホリズム)とも似ています。しかし、ワーカホリックは「仕事せざるを得ない」というネガティブな動機で仕事に取り組む状態を指します。

 

ワークエンゲージメントが高い状態で没頭するというのは「仕事が楽しい」というポジティブな動機によるものとなるため、仕事に没頭する点では同じでも、その動機は正反対となります。ワーカホリックは「仕事から離れた時の罪悪感や不安から回避する」という強迫性をもつ感覚であると言われています。


2.2 モチベーション

「モチベーション(motivation)」とは動機付けという意味の単語で、「従業員個人の中に醸成される意欲」を意味する指標です。このモチベーションには、自らの意思で意欲が高まる内発的モチベーションと、外部要因によって意欲が高まる外発的モチベーションの2種類があります。

 


モチベーションとは、基本的に行動を起こすための動機にあたるもので、従業員自身の心理状態を表す指標となり、従業員は「自分のため」に仕事を頑張ります。一方、「ワークエンゲージメント」は従業員と企業の関係性を表す指標で、従業員は「会社のために」仕事を頑張るとか、「企業に貢献する」という気持ちを持って働くこととなります。


3.ワークエンゲージメントを高めるメリット



従業員のワークエンゲージメントを高めていくことで、個人はもちろん組織全体にも良い影響を与えてくれます。具体的にどのようなメリットがあるのか、ここで詳しく見ていきましょう。

3.1 メリット①:従業員のエンゲージメント向上

仕事に対するエンゲージメントが高まることで、企業と従業員との関係にも良い影響を与えてくれます。お互いに必要な存在として、絆を深めながら成長できる関係性を構築できれば、それが企業経営にプラスの影響をもたらしてくれるでしょう。

それは、次のようなメリットが期待できるからです。

①メンタルヘルスの改善

ワークエンゲージメントが向上することでストレス耐性も高まり、仕事に対して苦痛を感じにくくなります。感じるストレスが減れば睡眠の質も上がり、身体の健康増進にも寄与してくれるでしょう。
昨今は従業員のストレスマネジメントが注目されており、多くの企業でメンタルヘルス対策が行われています。しかしそれらはストレスの発生が前提であり、多くの場合が対処療法です。
一方で、ワークエンゲージメント向上によるストレス耐性は、メンタル疾患などの予防効果も期待でき、戦略的にストレスに強い組織づくりができるのです。

②コミットメントと離職率低下

従業員のワークエンゲージメントが高まると組織へのコミットメント、つまり「帰属意識」が高まります。それにより同僚や組織に対して愛着を感じるようになり、仕事内容にも満足して働けるようになるのです。組織に対する愛着がわけば離職率の低下も期待できます。
離職率が低下すれば、熟練度の高い人材を育てられるうえに、採用コストや教育コストを抑えられるというメリットもあります。

③パフォーマンスの向上

ワークエンゲージメントが高まるということは、仕事に熱中・没頭できるということ。自発的に学習する機会も増えるため、自然と従業員のパフォーマンスアップにもつながります。また、バーンアウト(燃え尽き症候群)の予防にもなるため、突発的な活動水準の低下を抑制し、安定した生産性を保てるようになります。

 

3.2 メリット②:従業員とチームの生産性が向上

厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」を見ると、ワークエンゲージメントの高さは従業員個人や組織の生産性の高さと相関関係があることがわかります。

出典元:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」(P.198)

ワークエンゲージメントが高まると、従業員は積極的に職務能力を成長させようとするため、仕事に役立つ技術や知識を身につけようとするのです。加えて自分の可能性を広げるために難しい業務にもチャレンジしようとするので、組織として対応できる仕事の範囲も広がるでしょう。それぞれの社員同士が刺激し合うことで、組織全体の活性化も期待できます。

3.3 メリット③:顧客満足度が向上する

ワークエンゲージメントの向上により従業員の働く姿勢が変われば、顧客の満足度も上がります。従業員が会社に対して愛着が湧けば、従業員は扱う商品やサービスの価値などを信じられるようにもなり、自信を持って顧客におすすめできるようになるでしょう。顧客がその姿を見ることにより企業へ信頼を寄せ、商品にも安心感を抱きます。 

また、顧客と接する従業員だけでなく、制作などに携わる従業員もこだわりをもつようになり、商品の質も高まります。このように従業員のワークエンゲージメント向上は、顧客満足度の向上にもつながるのです。


4.ワークエンゲージメントの尺度と測定方法

ワークエンゲージメントを高めるにあたって、まずは現在の状態を把握するところから始めてみましょう。ワークエンゲージメントを測定する方法としては、主に次の3つが挙げられます。
 

4.1 UWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度)

日本で最も利用されているのが「UWES(Utrecht Work Engagement Scales)」という測定方法です。

ワークエンゲージメントを構成する「活力」「没頭」「熱意」を、計17の質問項目で測定します(9項目、3項目版もあり)。次に挙げる2つの測定方法に比べて安定した結果を得られる点が、国内で最も広く使用されている理由です。また、国内では日本の労働者に合わせた日本版のUWESが用いられることも多いです。9つの質問に限定されているので、オリジナルのものよりも簡易に測定できます。


4.2 MBI-GS

2つ目の測定方法は「MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)」です。

厳密には、MBI-GSはワークエンゲージメントの尺度そのものを測るものではなく、ワークエンゲージメントと対極の概念である「バーンアウト」の測定方法です。つまり、MBI-GSの結果が低ければワークエンゲージメントの尺度が高いことになります。逆にMBI-GSの結果が高いということは、ワークエンゲージメントが低いといえるでしょう。 


MBI-GSでは「疲労感」(5項目)、「シニシズム」(5項目)、「職務能力感」(6項目)の計16項目の質問に対して得た回答をもとに結果を割り出します。

4.3 OLBI

「OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)」もMBI-GSと同様、バーンアウトを測定することでワークエンゲージメントを測る方法です。MBI-GSと違うのはその質問内容。「疲弊」と「離脱」というネガティブな2因子で構成されており、値が高いほどワークエンゲージメントが低いことになります。


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5.ワークエンゲージメントを高める4つの方法

従業員のワークエンゲージメントの現状を把握できたら、実際に施策を考え取り掛かりましょう。ワークエンゲージメントを高める要因は大きく「仕事の資源」と「個人の資源」の2つ。それぞれの要因に対しどのようなアプローチをとるのが効果的か、その方法を紹介します。



5.1 「仕事の資源」と「個人の資源」

まずはワークエンゲージメント向上の要因となる、「仕事の資源」と「個人の資源」がどういったものなのか解説します。

仕事の資源

仕事の資源としては、「上司や同僚のサポート」、「仕事の裁量権」、「パフォーマンスに対する評価」、「トレーニングの機会」などが該当します。仕事の負担や負担による悪影響の軽減、従業員のモチベ―ション向上などの役割をもった要因のことで、仕事の資源が多いほどワークエンゲージメントは高まります。

②個人の資源

「楽観性」、「自尊心」、「自己効力感(自信)」などが個人の資源にあたり、モチベーション向上の原動力になるような要因のことです。仕事の資源が充実することで個人の資源が高まるなど、2つの資源は密接な関係にあります。

例えば上司や同僚が仕事をサポートすることで成功体験を生み出し、それにより自己効力感が上がってモチベーションも高まります。そのように、働く環境は個人の資源に大きな影響を与えるのです。

5.2 明確な目標を決める

自己の資源を高めるためにも、従業員には目標と達成期限を定めましょう。目標がないと、どこに向けて努力しているのかわかりづらく、自己の資源が高まりづらくなります。目標が大きい場合には小さなタスクに分けて実行すると、達成への道筋が見えて意欲を高められるでしょう。

目標の達成のために行動することで、仕事に対する意欲がわき、期限を設定することでより集中して仕事に取り組めるようになります。

5.3 自分のやるべきことを明確にする

目標を定めたら、目標に向けてやるべきことを明確にしましょう。自分がやっていることが本当に目標達成に向かっているのか不明瞭だと、モチベーションは上がらないものです。 

特に成功体験の少ない従業員に対しては、上司などがフォローし一緒に目標達成に向けての計画立案をサポートしましょう。仕事の目標や目的を理解しながら働くことで、仕事へのモチベーションも高まり、目的意識をもって仕事に取り組めるようになります。

 

5.4 自己効力感を高める

自己効力感を高めるためには、まずは仕事の資源を充実させましょう。自己効力感はそれぞれの従業員が自ら高めることもできますが、従業員任せだと安定的に高めるのが難しいことも考えられます。安定して自己効力感を高めるためにも、会社として仕組みをつくることが重要です。

例えばセミナーやトレーニング制度を整えることで、従業員に学びの機会を提供します。またメンター制度などで学びの実践をサポートするとともに、成果に対してフィードバックを繰り返すことで徐々に成功体験を積み重ねられるようになります。 

小さな成功体験でも、積み重ねることで「自分はできる」という気持ちをもちやすくなり、難しい仕事にチャレンジする姿勢も身につきます。


6.ワークエンゲージメントの注意点・ポイント

ワークエンゲージメントを高めるために、企業は働く環境を整えることが重要です。ただし、そのうえで注意したいポイントもあります。

6.1 従業員の考えを十分に理解する

新しい仕組みを考える際に、従業員の気持ちを無視して始めてはいけません。ワークエンゲージメントを高めるために始めた施策も、従業員が求めていなければ逆効果にもなり得るからです。ワークエンゲージメントを高める際には、アンケートなどを活用して従業員の気持ちや考え方などを把握してから始めましょう。 


自分の裁量で自由に働けることで意欲が高まる従業員もいれば、丁寧にひとつずつコーチングされることで安心しながら働ける従業員もいます。組織全体でワークエンゲージメントを高める施策を行うのも重要ですが、従業員一人ひとりを理解することも大切です。時間を要することではありますが、それに見合った効果を期待できます。

6.2 ネガティブな思考を全否定しない

ワークエンゲージメントを高めるうえでは、ネガティブな思考に対しても寛容にならなければいけません。ポジティブ思考の必要性が説かれることも多いですが、組織を活性化していくためにはネガティブな思考も重要な役割を果たすからです。ネガティブ思考の中にこそ、改善やイノベーションの種が潜んでいることがあります。

また、ネガティブ思考を受け入れ「どこに不満を感じているのだろう」と分析すれば、よりよい環境をつくるための改善もできます。従業員の中にネガティブな方がいるなら、それを受け入れて改善に努めましょう。

 

6.3 従業員の仕事に没頭する動機に注目する

仕事に没頭する従業員は、必ずしもワークエンゲージメントが高いわけではありません。場合によっては大きな不安感や脅迫観念によって突き動かされていることがあります。そのような状態ではストレスが大きく、長期的にその集中を持続することもできません。 

「ワークエンゲージメントが高い」のか「ワーカホリック」なのか、その点はしっかり注視しましょう。


7.テレワーク下でワークエンゲージメントを高めるには

新型コロナウィルスの感染状況については、ようやく落ち着きをみせてきているようです。企業の取り組みとしては、今後も在宅勤務やテレワークを主体として継続的に行う企業もあれば、かつてのように全社員をオフィスでの勤務に戻していく企業も増加傾向にあったりと、考え方は様々のようです。

テレワークは、新型コロナウィルスの感染リスクの軽減や、通勤時間の短縮、ワークライフバランスの実現や、遠隔地にいる優秀な人材に対する採用のしやすさなどメリットもありますが、ワークエンゲージメントが低下するのではないか、という懸念点もあるようです。

本章では、テレワーク下におけるワークエンゲージメントのメリットや注意点、高めるためのポイントを解説します。

7-1 テレワーク下でのワークエンゲージメントのメリット

ワークエンゲージメントの要因には「仕事の資源(裁量性、コントロール)」という項目があります。これは、自分のペースで仕事ができるということで、一般的に、裁量性がありコントロールが効きやすいテレワーク下では、生産性が上がりやすく、ワークエンゲージメントを高めることも期待できます。よって、テレワークはワークエンゲージメント向上のチャンスでもあります。

 

7-2 テレワーク下でのワークエンゲージメントの注意点

テレワークはワークエンゲージメントの向上に期待できる反面、注意点もあります。今後もテレワークを継続していく場合、以下のようなことに注意することが重要です。

 

①適切なフォロー体制

テレワークをワークエンゲージメント向上のために活かすためには、従業員にとってやりがいの感じられる仕事内容であることは当然のことです。
さらにテレワーク下でも、仕事に対して良い刺激になる適度なコミュニケーションや、一人ひとりの日々の勤務状況やコンディションの把握が欠かせません。よって、マネジメント層からの行き届いたフォロー体制やサポートを実施し、適切な評価制度などの体系化が必要となります。

 

②働き過ぎのリスク

テレワーク下では、同僚がいつ終業しているのか把握しづらく、ついつい長時間労働になってしまうリスクもあります。長時間労働だけでなく、より危険度が高い「ワーカホリック」に陥る可能性もあるため、見極めが必要になってきます。

 

ワークエンゲージメントという言葉は、ワーカホリックの研究で見いだされた対立概念のため、全く異なるものです。しかし、周りが見えないテレワーク下のため、いつの間にか仕事を「楽しくやっている」から「やらなければならない」という状況となり、心の健康を損ね、何もできない状態になってしまう可能性もあります。

 

度を越した働き過ぎが続くと、身体の健康を損ねてしまうことがあるため、注意が必要です。

7-3 テレワーク下でのワークエンゲージメントを高めるポイント

テレワークを今後も続けていく企業にとって、どのような取り組みを行うとワークエンゲージメントを高められるのか、ポイントを解説します。

 

①人事評価の体系化

従業員一人ひとりが、自分がすべき業務の方向性を理解し、仕事へのモチベーションを高めてもらうためには、人事評価の基準や過程を明示することが必要です。

テレワークにおける人事評価は成果主義になりがちですが、プロセスを評価する仕組みも重要となります。それには、目標管理制度を導入したり、フォロー面談により、企業が求める方向性とずれがないかなど、認識合わせ機会を設けたりするとよいでしょう。

 

②従業員の特性の把握

従業員のスキルや特性に合わせた業務の振り分けや配置、そして、成長できる機会を与えることにより、テレワーク下でも従業員のワークエンゲージメントを高めることは可能です。それは、社員のモチベーションを高め、維持していくことにもつながります。

 

③コミュニケーションの強化

テレワーク下において、ワークエンゲージメントを向上させるためには、コミュニケーション強化は重要な施策です。具体的には、1on1ミーティングの実施や、チームでのビデオ会議を開催することなどです。また、社内SNSの導入など、気軽にコミュニケーションできる環境を作ることがポイントとなります。

 

④主体的に働ける環境作り

テレワーク下でのワークエンゲージメントを高めるためには、従業員が自律的に働けるよう、権限や裁量を委ねることも重要です。管理する上長は部下を信頼し、自律性を持って働くことのできる環境を整えることで、お互いのストレスが減り、結果としてエンゲージメントを高めることが可能となります。


8.まとめ

従業員がストレスを感じていると、パフォーマンスの低下だけでなく、それが離職につながってしまうことも考えられます。既にストレスを感じている従業員のケアも重要ですが、従業員が意欲的に働ける環境を用意することも大切です。

ワークエンゲージメントの向上によって従業員のモチベーションが高まれば、ストレス軽減はもちろんパフォーマンスアップにもつながります。そしてそれが企業の業績アップにもつながるという好循環が生まれるので、ぜひワークエンゲージメント向上に取り組んでみてください。


著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

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