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スマホと添い寝するとヤケドするかも

産業医
藤城 幹山

 

スマートフォン(スマホ)、とても便利ですよね。

電話やメールなどで連絡、電車の乗り換え情報、タクシーを呼んだり、GPSを使った地図機能、クラウド技術も合わさって大量の資料と本を持ち歩いているのと同じような状態。どこでも小さなオフィスのように、そして秘書のように助けてくれ、ビジネスのツールとして欠かすことのできないと感じている人も多いのではないでしょうか。そして仕事以外でも大活躍。


そんなスマホとは朝から晩まで一緒。寝る時も一緒。家では家族よりもスマホと向かい合っていることが長かったりして。そんなかわいいスマホ、ほっぺたにつけてたらなんだか冷たかったスマホが徐々にあったかくなって。もしかして愛情が伝わったか?、、、とまで考える人はいないでしょうが、もちろん愛情で暖かくなっているのではなく、機械なので熱を発してるんです。

 この熱が曲者で、スマホと添い寝することもある方は注意が必要です。

 

「仕事の電話がかかってくるかもしれないから枕元においていた」や「ゲームをしていたらいつのまにか寝てしまった」など色々と事情はあると思いますが、低温やけど(低温熱傷)を起こすことがあります。
実際に就寝中にスマホが下敷きになっていて、起きたら低温やけどになっていたという例が報告されています。

スマホでやけどって?確かにたまに熱くなってることあるけど、、、たいして熱くないからやけどになっても軽いものでしょ、と思いがちですが、実は低温やけどは重くなる傾向にあります。

 

 低温と言っても氷やドライアイスのような低温という意味ではなく、100度の熱湯のようなものより低い温度、つまり体温より少し高いくらいの温度(44~50度くらい)で熱せられて起こすやけどという意味です。

料理で「弱火でじっくり奥まで焼く」と聞いたことがあると思いますが、似たようなことで、弱めの熱で時間をかけてやけどをすると、奥までじっくりやけどしてしまうのです。こうなると重症です。

 

Google等で「低温やけど」と検索すると赤くなって水ぶくれができたり、黒くなったり、なんだか黄色のものが見えたりと、かなりエグイ画像が出てきます。深いやけどは治った後も元通りというわけではなく、瘢痕(キズあと)やシミ、場合によっては機能障害が残ります。こんな傷がもし顔にできてしまったら、と考えると恐ろしいですよね。。。

 やけどの重症度は、温度×接触時間で考えると理解しやすいでしょう。例えば熱い鍋を触って「あちっ!」となったとき、人間は危険を察知してすぐ手を引きますので、温度は高い一方で接触時間は一瞬です。

低温の場合は「なんとか我慢できるかな~」とか「ちょっと熱めだけど、暖かくて気持ちいい」くらいで危険を察知しにくいので接触時間が長くなる傾向にあります。

結果的に「すごく熱いものを一瞬」より「やや熱いけど比較的低温のものを長時間」の方が、受ける熱の総量が大きくなり、深いところまでやけどを負ってしまうのです。

 

 寝ている時は、スマホが同じところに数時間あたったままになっていても気づきにくいので要注意です。
接触時間が、44℃のものでは3~4時間、46度で30分~1時間、50度では3分程度で低温やけどになると言われています。

 熱くなっていればそれだけ接触時間が短くてもやけどをしてしまいます。

スマホが古かったり、壊れていたり、重めのアプリを使っている時、充電中は発熱しやすい状態です。
そのような時は、眠っているとき以外でも「熱くなったスマホで8分間電話していたら頬を低温やけどした」や「充電の接続部が熱くなっていてやけどした(こちらは普通のやけど)」などもおこります。
就寝時にアンカや電気カーペットで低温やけどしたという話を聞いたことがあるかもしれませんが、スマホでも低温やけどをおこします。

どんなに頼りになってもスマホに添い寝の機能はまだ(?)ついていません。一緒のベッドに入らず、別の寝床を作ってあげてください。

この記事の講師

藤城 幹山


<略歴>

平成18年 東京医科大学医学部卒業。
東京大学医学部附属病院で初期研修、東京医科大学病院などでの臨床経験を経て、現在は産業医として働く人の健康、企業価値を高めることをテーマに産業医活動に従事。
日本医師会認定産業医、メンタルヘルス法務主任者、日本皮膚科学会認定専門医

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