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ストレスチェック後事後措置の意義と期待する効果 〜 働く社員のウェルビーイングを考える

“こころ”と“からだ”の健康管理サービス WELD
代表 松永 芳径

 

ストレスチェック(SC)元年に相当する今年は、既に多くの企業でSCを実施されていることと思います。 一方で、努力義務ではありますが、集団分析後の事後措置はどのように行えば良いのかと迷っていませんか?どのように結果を活かし、組織的介入を行えば良いのかわからない、と考えている企業は少なくないと思います。
 

限られた字数の中でどのような介入が効果的であったか?という先行事例については取り上げませんが、介入が効果的であった場合、どのような効果が組織にもたらされるか?ということを社員のウェルビーイングの観点から少しお話したいと思います。

 

そもそも、ウェルビーイングって何?
 
ウェルビーイングとは、人の健康状態として望ましい状態や存在のことを指します。日本語に訳した場合、1対1に対応する日本語はありませんが、世界保健機構(WHO)憲章内に用いられているウェルビーイングを見てみましょう。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. ”

 「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にある」ことをいいます。(和訳:公益社団法人日本WHO協会より引用)

上述の文章は、健康の定義について述べられていますが、その中でウェルビーイングは、「身体的、精神的、社会的にすべてが満たされた状態」と訳されています。 満たされた状態が果たして存在するかは別として、人にとって、理想とする、望ましい、健全な存在や状態のことを指し示していることは汲みとってもらえるのではないでしょうか。

SCの質問項目は、社員のウェルビーイングも問うている
 
ウェルビーイングを評価する尺度は、研究者によって項目は異なりますが、マーティン・セリグマンのPERMAモデルを参考にしますと、人の健全なる状態の評価項目として、「ポジティブ感情」「エンゲージメント」、「人間関係」、「意義」「達成感」等があります。

そして、SCの質問項目内にも、「職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる」、「自分で仕事の順番・やり方を決めることができる」とエンゲージメントや自己効力感を問う質問があります。さらに、「私の職場は友好的である」(人間関係)や、 「働きがいのある仕事だ」(意義)などの社員のウェルビーイングを問う評価項目が多数含まれています。

 

なぜ企業内で社員のウェルビーイングが重要なのか?〜生産性と社員のウェルビーイングの関係〜
 なぜ重要なのか、結論から言いますと、社員のウェルビーイングが高い職場では、企業の生産性が高くなるからです。 もちろんSCはメンタルヘルス不調者の予防になることを期待して始まりましたが、そのさらに先には、社員のウェルビーイングが高い職場形成が企業活動に大きな影響を与えることを理解しておくことが重要です。

社員のウェルビーイングと生産性の関係に関する研究結果は、世界中で蓄積されつつあり、欧米では具体的な取り組みが始まっています。日本企業も、どのように職場環境をデザインする必要があるのか?ということを正面から取り上げ、考えていく必要があるのでは無いでしょうか。

今後の展開
 
SCが始まり、具体的にどのような組織的介入が効果的なのか、ということは厚労省からは示されていません。それは、企業の抱える問題や風土によって必ずしも同じ介入方法で同じ結果が期待できないことが考えられます。しかし、今後、各企業での取り組みとその成功事例が蓄積されるにつれ、日本全体で共有されることが期待されます。

 また、SCは企業内の高ストレス集団から問題点を抽出して、組織へ介入していくアプローチです。企業内でより多くの割合を占めるストレスが中等度から低い社員達のウェルビーイングをアセスメントし、企業として介入していく取り組みを行えば、より生産性を高められることになるのではないでしょうか。

この記事の講師

 “こころ”と“からだ”の健康管理サービス WELD代表 松永 芳径

こころ”と“からだ”の健康管理サービス WELD代表 松永 芳径豊かな仕事体験を!! 職場での社員のやりがいや生きがいが、企業の生産性を向上させます。www.weld-project.org

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