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余裕を持つ方法

産業医大産業衛生教授
浜口 伝博

 心身両面のリフレッシュとともに、すがすがしい新年を迎えられたことと思います。今年も、活力を上げて、かつ余裕を感じる一年にしたいものです。そこで、今回は「余裕をもつ」ためのヒントを紹介します。

 ヒントを考えるにあたり、対比として「余裕がない」と言われる人たちに共通しているパターンを考えてみましょう。
 彼らに共通する点と言えば、

 1)いつも時間不足を嘆いている
 2)イライラしたり緊張したりしている
 3)指摘されると攻撃(反抗)する
 4)睡眠不足気味
 5)落ち着きがない

等々でしょうか。また、物事をネガティブに捉えがちで、勇気がなく、執着心も強いようです。余裕がなくなると誰でもこのようになる傾向があるのですが、実はこれは生理学的反応であるため、仕方がないということが解ってきました。

 どういうことかというと、脳内にある「不安中枢」「恐怖中枢」のスイッチが一旦入ってしまうと、誰もが同じ思考や反応パターンになってしまい、自力ではそこから脱出できない状況になるからです。こうなると中枢は脳に入ってきたあらゆる情報に対して、機械的に「不安」「恐怖」「緊張」という反応をしてしまい、自分を守るための必死の体勢をとり続けます。心に余裕がない状態とは、言うなれば、この種の中枢が必要以上に活性化された状態なのです。やっかいなこの中枢は、脳の両脇にある「偏桃体」という場所であることが明らかになっています。

 「余裕をもつ」ためには、この偏桃体が不用意に活性化されないようにすることが重要です。そもそも脳には、そうならないようにここを抑えつける「抑制系神経」が配線されています。この「抑制系神経」はセロトニンという物質を使って活動する神経なのですが、脳内のセロトニンが減少してくると機能低下してしまいます。そこで、抑制系神経を活性化させるために、セロトニンの分泌を促すことが大切です。
その方法としては、次のようなものがあげられます。

1)適度な睡眠をとる(6時間以上) → セロトニンの分泌量が増えて自律神経が安定する。
2)魚、豆腐、納豆、海草類、バナナ、乳製品、をよく食べる → これらはセロトニンの材料です。
3)定期的な運動をする(週末だけでもよい) → 脳内BDNF(神経栄養因子)も増え、ほどよい疲労で睡眠の質も良くなる、等がわかっています。


心身両面の「余裕」を生み出すヒントは、やはり毎日の過ごし方にあります。充実した1日は充実した1年に繋がります。毎日の過ごし方を見直しながら、今年も健康で快適な生活を送りましょう!

この記事の講師

浜口 伝博

浜口 伝博

産業医科大学 産業衛生教授

(ファームアンドブレイン有限会社 代表取締役社長)

産業医科大学医学部卒。(株)東芝、日本IBM(株)にて専属産業医を勤める。現在、ファームアンドブレイン社を立ち上げ、産業医・産業保健コンサルティングを展開。慶應義塾大学医学部講師 (非常勤)、愛媛大学医学部講師(非常勤)を兼任。

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