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組織の生産性低下を解消することが最も企業にとって良い!?

株式会社i CARE代表取締役
東京ベイ・浦安市川医療センター経営企画室室長
山田 洋太

 

新卒や中途入社の社員が入られて3ヶ月目、そろそろ社員も会社に慣れてきた頃でしょうか?
本日は、企業組織で対比される「組織コンサルタント」 vs. 「産業医」から、産業衛生の分野の重要性を改めて考えてみたいと思います。

 

■産業医の価値とは?

産業医のシゴトがよくわからない人事からは、「産業医の先生は、会社の病気になったヒトを治療するの?」といった質問を受けます。確かに産業医のシゴトって理解するのは難しいですよね。産業医のシゴトはどのようなものか、過去のイーウェル総合研究所コラムを御覧になって頂ければわかるかと思います。
産業医の第1のミッションは、会社にとってコストとなる労働災害を防ぐこととなります。それ以外のミッションとしては、社内のヘルスケアだけにとどまらず、人事の相談役として、経営者の相談役として、組織コンサルとして役割を担う場合もあります。

 

■組織コンサルタントと産業医との違い

違いをわかりやすくするために、社員の生産性という観点で3つに分類しました。生産性向上をさせるプラスの領域、そして生産性低下が見られるマイナスの領域、生産性がゼロの領域です。
それでは、組織コンサルと産業医の領域を生産性の観点から見ていきましょう。組織コンサルタントの役割も様々です。採用コンサル(新卒、中途)、教育研修コンサル(新卒、管理職向け)、人事設計コンサルです。わたしの作成した図の上の部分に該当し、より生産性向上といった「プラス」の領域となります。

表向きは組織の中で最も重要な生産性を上げる教育、中でも売上に貢献するようなものになります。生産性向上の上限はなく、企業風土やクレドを社内に浸透させるといったことで生産性を高めることが特徴です。当然、会社として投資がしやすいのですが、効果判定は難しく、売上に本当に直結したのか不明の研修プログラムも多くあります。

一方、生産性低下の領域は、われわれが活動している社内ヘルスケアの領域となります。労働安全衛生法をはじめとする法律によって定められており、やれることは原則的には限定的であり、失調者をなくすことや、生産性が低下しているのを解消するといった領域です。

4月のコラムで松永先生の言われた“プレゼンティーイズムの領域です。さらに状態を放置すれば、生産性ゼロへの領域へと進むわけです。会社の生産性に一切貢献していない状態、休業中な状態“アブセンティーイズム”です。限定的な領域だからこそ、社内で課題となっているヘルスケアの問題を選択し、それらを数値化して、改善策を実践、その数値がどうなったのかといったPDCAをまわすことが比較的簡単です。例えば、「喫煙率」、「肥満率」、「高ストレス者率」、「休業者数・休業者率・全休職期間数」、「プレゼンティーイズムの部署別や前従業員の点数(WHO-HPQを用いて)」などとなります。

 

■生産性低下を止めることは、生産性増加にも繋がる

社員生産性低下の原因に大きく影響しているのが本人の疾病性です。もちろん業務内容や量のミスマッチ、人間関係がそのベースにあるわけですが、結果として「ぷち病」や「ホンモノの病」になるわけです。つまり、業務ミスマッチの解消や人間関係の解消をすれば、疾病が回避されるのです。これっていわゆる「生産性を高める組織コンサルの研修教育プログラム」と同じことと思いませんか? 考え方は違いますが、とりかかるポイントは同じなのです。

従って、「産業医」とともに衛生委員会を機能させ、人事と一緒に組織の「低下」の部分からとりかかる方が、より確実に組織内で効果が出ることでしょう。そのようなマインドの産業医の先生と是非契約されて下さい。

この記事の講師

山田 洋太

山田 洋太

金沢大学医学部医学科卒業 
2005年 沖縄県立中部病院研修  
2008年 離島医療(久米島)に従事  
2012年3月 慶應義塾大学大学院経営管理研究科
(MBA)修了
 

 大学院と並行して心療内科を学び、一般内科とともに現場での診療も継続中。
現在、株式会社i CARE代表取締役、東京ベイ・浦安市川医療センター経営企画室室長。

 


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