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暑い季節のその疲れに、「3つのR」のススメ

榊原産業医パートナーズ株式会社代表
産業医・精神科医
榊原 亙

連日30℃を超える日々が続くこの時季、担当している企業の産業医面談ではこのような声が多く聞かれます。

・夜に寝苦しいせいかよく眠れず、朝スッキリと起きられない
・冷房の強いオフィスと外との行き来で体がだるい
・疲れて食欲も体力も落ちてしまった

日本の夏は高温多湿であり、環境要因によるストレスが大きくなります。このため、多くの人にとって心身の調子を崩しやすい時季と言えるでしょう。自身では大したことがないと思う程度であっても、改善せずに積み重なると業務へ支障をきたすこともしばしば。

ストレスの要因となるものは、気温や湿度によるものから、病気や人間関係によるものまで数多く存在します。したがってストレスを全くのゼロにすることは難しいのですが、それでも上手にコントロールするためのコツはあります。

今回は、ストレスフルなこの時季を乗り切るための対処法を紹介します。

 

1.大切なのは「3つのR」


ストレスを上手にコントロールするコツ、それは「3つのR」です。

3つのRとは…
①レスト(Rest):ぐっすり眠る
②リラクセーション(Relaxation):ゆっくりリラックスする
③レクリエーション(Recreation):空っぽの時間を作る

意外に思われたでしょうか。

それぞれ特段難しいものではありません。しかし、疲れが抜けないと訴える方の多くは、これらのポイントをあまり意識しないままに過ごしているのが事実です。以下、それぞれ具体的に見ていきましょう。

2.最も基本となる「①ぐっすり眠る」


我々は1日24時間のうち、おおよそ3分の1を寝て過ごします。

日中の疲れをとるために睡眠が重要であることはよく知られていますが、皆さんは積極的な工夫をされているでしょうか。不眠を理由に「睡眠薬が欲しくて…」と精神科外来を受診される方は多くいらっしゃいます。しかし、受診された方へお聞きすると、ぐっすり眠れるよう積極的に工夫をしているケースはそれほど多くないように思われます。ストレスへの対処法の中で、誰にとっても避けて通れないという意味で最も基本となるのが睡眠です。質の高い睡眠のために、生活習慣を一度見直してみましょう。

1.目が覚めたら太陽光を浴びる
太陽光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気へとつながります。

2.夕方以降は刺激物を避ける
夕方以降は、カフェイン入りのコーヒーやお茶、辛い食べ物などの刺激物を避けましょう。

3.お風呂はぬるめでゆっくりと
快眠のためにはぬるめ(39℃程度)のお湯にゆっくりと入浴するのがおすすめ。就寝の1~2時間前までに済ませましょう。

4.スマホやパソコンの使用は寝る2時間前まで
ディスプレイの光は寝つきを悪くします。就寝前のテレビやスマホ、パソコンなどの使用は控えましょう。

以上は、どなたも1度は聞いたことのある内容かと思います。ですが、地道に続けることで睡眠の質は確実に改善します。最近では、睡眠の時間や質を可視化するデバイスやアプリも充実してきていますので、併せて利用しながら睡眠改善につなげたいですね。

3.自分に合う方法で「②ゆっくりリラックスする」


リラックスできる方法は、人それぞれで大きく違います。

気軽にできるものにはストレッチやアロマテラピーなどがありますが、中でも場所を選ばず短時間でできる「腹式呼吸」がおすすめです。

腹式呼吸の手順として、まず体を楽にしておへその下に手をあて、10秒ほどでゆっくりと息を吐きます。お腹の中の空気を全て出しきるイメージで、口をすぼめて息を細く遠くに吐きだしましょう。吐ききったら、今度は出した空気を再びお腹へ取り入れるように3秒ほどかけて鼻から息を吸っていきます。目一杯息を吸いこんだら、少し息を止めて、再び息を吐いていきます。この呼吸をすきま時間で試してみてください。

腹式呼吸はヨガの基本的な呼吸法で、リラックス効果の他にも便秘の解消や血行促進、インナーマッスルの強化など様々な効果が期待できます。マインドフルネス、瞑想、ヨガなどと関連が深く、動画共有サービスやアプリで簡単に学ぶことができます。これらをガイドとして、イメージを頭に浮かべながら行うと効果が高まりますよ。

4.ねば思考に囚われず、「③空っぽの時間を作る」

 

 休日に親しい人との交流、運動、旅行など、各種の遊びや趣味活動へ没頭することは良い気分転換となります。

とは言え、疲れやストレスの程度によっては、ただ心のおもむくままにゆったりした時間を過ごすだけでも構いません。例えば、前もって休日の計画を立てていたとしても、気分が乗らないようなら無理をしない方がよい場合もあります。人と会いたくなければ家でゆっくり過ごす、何もしたくなければ日がな一日ぼんやりと過ごす、といった休日があっても良いのです。

疲れが抜けない時は「次の休日は〇〇しよう、〇〇しなければ」という「ねば思考」に囚われることなく、ご自身の心と体の回復を優先させましょう。

 

4.おわりに

 

 ここまで、ストレスを上手にコントロールする具体的な方法について紹介してきました。いかがだったでしょうか。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ご紹介した対処法は互いに独立したものではありません。それぞれが関連し合って相乗効果をもたらします。まずは、どなたにとっても避けることのできない睡眠から改善していくのが良い方法と言えます。

一方で、「3つのR」をしっかり意識した生活をしていても、疲労感が抜けない場合もあります。疲労がそれだけ強いのかもしれませんし、もしかしたら単純な疲れだけではないかもしれません。中には心や体の専門的治療が必要なケースもあるでしょう。「そう言われても、自ら受診先を探すのはハードルが高くて…」という方は、産業医や保健師など職場の産業保健スタッフへまずは相談していただけたらと思います。しっかりとお話をうかがった上で、適切な助言や医療機関への橋渡しをさせていただきます。

この記事の講師

榊原 亙

産業医・精神科医・労働衛生コンサルタント 
榊原産業医パートナーズ株式会社

榊原産業医パートナーズ株式会社代表、VISION PARTNERメンタルクリニック四谷パートナー医師。
産業医として、複数のスタートアップや中小企業の産業保健活動に携わる。メンタル不調や企業の健康づくり全般に関する発信を積極的に行っている。

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