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仕事を通じた経験を成長に結びつけるにはー経験学習モデルー

背伸びが必要な仕事は部下の成長につながるか

武蔵大学 経済学部 経営学科 教授
森永 雄太


せっかく良質な背伸び経験をしたとしても、その経験から学びを得ることができるかどうかには個人差があります。せっかくの良質な経験を学びにつなげるには、ただ仕事をこなしているだけでは十分ではありません。
今回は経験を学びに結び付ける経験学習モデルについて紹介します。

 

コルブ(デービッド・コルブ(David A. Kolb))によって提唱された経験学習モデルでは、経験から学びを引き出すためには、4つの段階からなら一連のプロセスを繰り返していく必要があります。以下では順に説明していきます。

第1段階ではいうまでもなく「具体的経験」をすることです。
リーダーシップを学ぶのであれば実際に職場でリーダーシップを発揮してみるという経験が必要です。その際、上手に行くこともあればうまくいかないこともあるかもしれません。ここではその成否は問題ではありません。

第2段階「内省的検討」です。
実際にリーダーシップを発揮してみてどうだったのか、うまくいったのか、いかなかったのかを振り返ります。
私が大学の講義で「リーダーシップ経験」に対する振り返りを求めると「うまくいかなかった点」に関する言及が非常に多く出てきます。もちろん改善するポイントを挙げることも重要ですが、うまくいった点、上手にできている点についても振り返ることが重要です。

第3の段階が、振り返りを通して「抽象化」して、自分なりの学びを概念化する段階です。
私たちが経験を通じて学ぶべき知識は、曰く言い難いコツのようなものを含みます。これらを言葉にすることで私たちは初めて違いを理解したり、意識したりすることができるようになります。
例えば、これまで営業をうまくいかせるためのポイントとして「とにかく、おせ」と「時にはひけ」としか説明できなかったのに、「引き方」をさらに2つの分ける良い表現が見つかったり、それぞれの引き方に適した状況を説明できるようになったりすれば大きな進展です。

第4の「積極的行動」の段階で、内省や概念化で得られた気付きを意識的に実践してみます。
こうすることで、新たな経験につながるとともに、学びのプロセスが再び回転し始めるのです。

学びを引き出すうえで特に重要なのが、第2段階です。
私たちは日々様々な経験をしていますが、「振り返り不足」で十分な学びを引き出せていない可能性もあります。研修などを通じて振り返りを促す方法もありますが、日常の業務フローの中で振り返りを促したり、学びを共有する機会を取り込んだりすることも有効でしょう。

経験学習モデル


出所:Peterson & Kolb (2017) をもとに一部修正の上筆者作成

Peterson, K., & Kolb, D. A. (2017). How you learn is how you live: Using nine ways of learning to transform your life. Berrett-Koehler Publishers.

この記事の講師

コーヒー

森永 雄太

武蔵大学経済学部経営学科 教授

略歴
神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。
博士(経営学)。

専門は組織行動論、経営管理論。

主要著作は『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 - 健康経営の新展開 -』(労働新聞社)等。

2016年、健康経営を経営視点から取り組む企業横断研究会(HHHの会)で副座長を務める。
2019年日本労務学会研究奨励賞受賞。

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