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背伸びが必要な仕事は部下の成長につながるか?
学習ゾーンという考え方

武蔵大学 経済学部 経営学科 教授
森永 雄太


業務に取り組む中で従業員に成長してもらい、その潜在能力をいかんなく発揮してもらいたいと考えるマネジャーや人事部にとって、チャレンジングな課題の割り当ては古くて新しい問題といえるでしょう。今回は、従業員にとって背のびが必要な課題のとらえ方と課題を適切な範囲に収めるために考慮できることについて紹介していきます。

 

今回は、仕事の難易度と学習について直感的な理解を与えてくれるコンフォートゾーンモデルを紹介します。もともとアドベンチャー教育の領域で体験学習の効果を説明する際に用いられた考え方で、変形モデルも含めて広く浸透している考えかたのようです。(本稿ではBrown(2008)が用いている用語に基づいています)。

以下では、このモデルから私たちが学ぶべきポイントについて私なりの考えを説明していきたいと思います。

図1をご覧ください。
ゾーンが円によって3層に分けられています。
一番中心部分に位置付けられているのがコンフォートゾーンと呼ばれる場所です。コンフォート(快適)という言葉が示す通り、「ストレスなく」「居心地の良い」場所といえるでしょう。日常生活が快適であることは素晴らしいことですが、この領域で新たに学ぶことは少ないと考えられています。

そこで重要になってくるのが2層目の「学習ゾーン」もしくは「成長ゾーン」と呼ばれる領域です。不慣れな課題ややや難しい課題に挑戦する必要があり、ハラハラドキドキしたり、少しストレスがかかったりすることがあります。しかし、挑戦して課題を乗り越えることで成長感を感じられる領域ということになります。社会人になって初めて顧客と商談をした、とか、管理職になって部下のマネジメントをする必要が生じた、といった場合には新たなチャレンジが伴っていたはずです。失敗することもありますが、試行錯誤の中で学んでいくことができます。

最後の3層目は、パニックゾーンと呼ばれ、難易度が高すぎて成長に結びつきにくい領域のことを指します。いくらチャレンジングな業務に取り組むことが、成長につながることがある、といっても「難しすぎる」課題は従業員をただ不安にさせたり、疲弊させたりするだけに終わります。
小学1年生にいきなり方程式を解かせようとしても、(中にはとける天才もいるかもしれませんが)、多くの人にとっては学びのない気まずい時間が過ぎるだけに終わるでしょう。

私たちは、ついつい快適な環境で暮らすことに居心地の良さを感じ、その場所に長居してしまいがちです。逆にマネジャーとして悪意はなくとも、難しすぎるタスクを与えて部下を混乱させてしまっているケースもありそうです。学習ゾーンを意識してちょっと背伸びする挑戦課題を意識することが有効でしょう。


<図1>

 出所:Brown(2008)をもとに筆者作成

Brown, M. (2008). Comfort zone: Model or metaphor?. Journal of Outdoor and Environmental Education, 12(1), 3-12.

この記事の講師

コーヒー

森永 雄太

武蔵大学経済学部経営学科 教授

略歴
神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。
博士(経営学)。

専門は組織行動論、経営管理論。

主要著作は『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 - 健康経営の新展開 -』(労働新聞社)等。

2016年、健康経営を経営視点から取り組む企業横断研究会(HHHの会)で副座長を務める。
2019年日本労務学会研究奨励賞受賞。

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