働き方改革の問題点を取り上げる!法案の内容から解決策まで解説

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「働き方改革には問題点はある?」

「働き方改革を進めないといけないのはわかっているけれど、悪影響はないの?」

このような疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。一般的によしとされている働き方改革ですが、思わぬ悪影響を被っている人もいるかもれません。

 

この記事では、働き方改革を進める上で直面する課題と、その解決策を解説します。この記事を読めば、働き方改革によって苦労している現状を打開できるでしょう。働き方改革でポジティブな効果を生み出したいと考えている人は、ぜひご覧ください。

 

目次

  1. そもそも働き方改革の定義についておさらい
    1. 1-1 少子高齢化によって日本企業は生産性を求められている
  2. 働き方改革のポイントとは?
  3. 働き方改革で従業員が直面する問題や課題、デメリットとは?
    1. 3-1 従業員に生産性の向上を押し付ける
    2. 3-2 残業規制による収入の減少
    3. 3-3 ストレスの増加
    4. 3-4 業務負荷の偏り
    5. 3-5 テレワーク導入により部下の管理や育成が難しくなる
  4. 働き方改革課題の解決策とは?
    1. 4-1 会社が抱える課題を分析する
    2. 4-2 ワークフローを見直す
    3. 4-3 業務効率改善ツールを導入する
  5. 働き方改革に関する情報ならこちらから
         

1.そもそも働き方改革の定義についておさらい




働き方改革とは、1億総活躍社会の実現に向けた労働現場の改善のことです。現在「少子高齢化による生産年齢人口の減少」「労働者のニーズ多様化」によって、働き方改革が進んでいます。特に長時間労働の常態化、雇用形態による待遇の格差は大きな問題となっています。生産年齢人口の減少が確実視される状況では、日本人がいかに長く生産的に働けるかがこれからの重要な課題と言えるでしょう。

 

こうした背景から、2019年4月には働き方改革関連法が施行され、政府主導で日本社会の働き方の改善に向けて動き出しています。この新法は従業員が経歴や経験に関係なく、職場で自分の才能や向上心を追求するための自律性の提供を目的としています。[注1]

 

[注1]厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」


   

1-1 少子高齢化によって日本企業は生産性を求められている

少子高齢化による労働人口の減少は、もはや防ぎようのない課題と言えるでしょう。労働人口が減少すると、企業にとって人材確保や事業規模の維持が難しくなると考えられます。そのため、日本企業は従業員一人ひとりの生産性を高め、来たる人口減少に対応することを求められています。

 

ただし、生産性が上がっても給与が同じままでは、従業員にとっては割りに合わないと感じられるでしょう。働き方改革関連法によると、2023年4月1日より月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられることになりました。[注2] 

 

これには賃金を引き上げることによって、企業の残業抑制の効果も見込まれています。今後企業はITの力も借りながら、少ない人数と一人当たり労働時間で高い成果を出すことが重要な課題となるでしょう。

 

[注2]厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
            

2.働き方改革のポイントとは?

働き方改革を考えるうえで重要なポイントは、大きく分けて以下の3つです。

 

長時間労働については、近年過労死や精神疾患などの問題が顕在化しています。長時間労働は従業員の心と体を蝕み、生産性を低下させる大きな要因です。長時間労働の改善は、働き方改革における大きなテーマと言えます。

 

また、正社員と非正規雇用の賃金の差も問題視されています。雇用形態ではなく、仕事内容によって待遇を決める同一労働同一賃金も取り組むべき課題です。介護や育児などで忙しい人でも、柔軟に働ける環境作りもテーマの一つです。就業場所や時間に柔軟性を持たせ、平日フルタイムで働くこと以外の選択肢を作ることも重要といえるでしょう。 


3.働き方改革で従業員が直面する問題や課題、デメリットとは?



本来ポジティブな取り組みであるはずの働き方改革ですが、現実には導入・推進にあたり思わぬ負担が発生している人もいるでしょう。働き方改革の推進によって直面しやすい問題には、大きく分けて以下の5つが挙げられます。

 

それぞれ詳しく解説します。


          

3-1 具体性がないまま従業員に生産性の向上を押し付けてしまう

 「働き方改革」という言葉のもと、単に残業を制限しても仕事量が減るわけではありません。その上「生産性を上げろ」と言うだけでは、従業員は困惑してしまうでしょう。結果として、時間内に終わらなかった仕事を持ち帰ったり、サービス残業が発生したりする可能性があります。

 

残業を制限するだけでは、働き方改革ができているとは言えません。いかに業務を効率化するかを経営層、従業員でアイデアを出し合って考えてこそ、真の改革と言えるのではないでしょうか。


            

3-2 残業規制による収入の減少



働き方改革によって残業時間が減少すると、残業代も減ることになります。今まで残業代ありきで生活をしていた人にとっては、働き方改革は必ずしも手放しで歓迎できるものではないでしょう。言葉には出さなくとも、不満を溜めたりモチベーションが低下してしまったりする恐れがあります。

 

経営者にとって「残業代で稼ぐ」ことは仕事の姿勢として疑問に思うかもしれません。しかし、現実として残業代を支えにしている社員がいることを理解する必要があります。

ただ残業を制限するのではなく、評価制度および給与体系の見直しも検討する必要があるでしょう。

  

3-3 ストレスの増加



働き方改革においては、従業員にも生産性を向上させるための努力が必要です。そのような状況下では、会社からのプレッシャーが強くなる可能性があり、従業員にとってストレスの原因になります。

 

「もっと早く」「もっとやらなければ」と無言の圧力を感じる人もいるでしょう。

 

最高の結果を出し、精神的ストレスを軽減するためには、企業は従業員に必要なリソースとサポートを提供しなければいけません。従業員に丸投げするのではなく、経営側から積極的にサポートする姿勢を見せる必要があるでしょう。 

3-4 業務負荷の偏り

残業抑制や業務効率化を目指す上で、業務負担の偏りが発生する可能性もあります。効率の良い従業員もいれば、そうでない従業員もいるためです。残業時間を減らすと、効率の良くない従業員の残タスクがどんどん溜まっていくでしょう。溜まったタスクは、そのままにすると自分のタスクを早くやり終えた従業員に流れていきます。

 

これでは優秀な社員の負担が増加し、離職を招いてしまう可能性があります。業務負担の不平等が生じないよう、タスクの振り方も工夫する必要があるでしょう。
   

3-5 テレワーク導入により部下の管理や育成が難しくなる



働き方改革の一環として、あるいはコロナ禍をきっかけに多くの企業がリモートワークを導入しています。現代に合った合理的な働き方ではありますが、コミュニケーションの機会が減るという思わぬ落とし穴もあるようです。

 

実際に、テレワークによって「ちょっとした悩みの相談」「同僚との進捗状況の確認」「雑談」が減ると感じる人は多くいます。[注3]

 

テレワークにおいては部下や同僚の顔を直接見る回数が少ないため、プロジェクトの進捗管理やフォローアップが難しくなるでしょう。これからは、テレワーク特有のコミュニケーションの課題に対しても、対策を打っていく必要があります。

[注3]厚生労働省「第2-(2)-24図 テレワークにおけるコミュニケーションの変化」

      

4.働き方改革課題の解決策とは?



これまで解説した働き方改革における課題の解決策は、以下の3つです。

自社が抱える課題は、上記のいずれかによって開設できる可能性が高いでしょう。それぞれ詳しく解説します。

   

4-1 会社が抱える課題を分析する



働き方改革を進めるには、現在発生している課題の分析が大切です。たとえば、見かけ上の残業時間は減っているものの、実際にはサービス残業が常態化していたとします。

この場合、従業員の業務負担が変わっておらず、会社の要請に応じて仕方なく早めにタイムカードを切っていることが考えられるでしょう。つまり、この場合は業務効率化の施策を打つ必要があることがわかります。

政府の言われた通りに働き方改革を実践するだけでは、歪みが生まれます。現場のヒアリングなどを通して、どこで不整合が起きているかを突き止めることが、課題解決の第一歩です。

   

4-2 ワークフローを見直す

ワークフローとは、業務に関わる一連の流れを指します。働き方改革を導入するのであれば、ほとんどの場合でワークフローの見直しが必要です。働き方改革は生産性を上げるための取り組みとも言え、そのためには無駄の削減が欠かせないためです。

たとえば、一つのワークフローで上司の承認が5〜10個もある仕事は無駄が多いと言えます。各承認が本当に必要なのか、省いても問題が発生しないのかを検討しましょう。これまで当たり前だと思っていたことを疑うのは難しいかもしれません。しかし、一度見直してみると意外にも無駄が多いことに気づくはずです。

 

   

4-3 業務効率改善ツールを導入する



ワークフローの見直しと併せて、業務効率改善ツールの導入も検討しましょう。たとえば、シフト表や顧客管理などは、ワークフローには欠かせない業務ツールです。この業務ツールもExcelで管理していては多くの手間が必要でしょう。

 

近年は自動化が進み、計算やタスク管理などワークフローに関わる業務を一括で管理できるようなツールもあります。発注書や検収書、領収書などワンクリックで全て共有できるものもあります。働き方改革ではこのような業務改善ツールの導入で大幅な効率化ができ時短につながるかもしれません。



5.働き方改革に関する情報ならこちらから



働き方改革が叫ばれている裏で、新たな苦労を抱えている人は多くいます。時代の波に半ば飲み込まれる形で取り組んでいる人はなおさらでしょう。

働き方改革の推進で困ったときは、ぜひ当ウェルナレの「働き方改革」のカテゴリページより各記事をご覧ください。さらにウェルナレでは、働き方改革に関する課題を解決するための情報を提供しています。福利厚生企業として、働き方改革に関する各種リサーチ資料も豊富に有していますので、業務改善に興味のある方は、こちらから資料をダウンロードしてみてください。

 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

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