若手社員が定着しない原因と対策とは?離職理由から読み解く実践的な改善策と成功事例

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「若手社員の早期離職が続き、採用しても人が育たない」

「定着率を上げたいが、具体的に何から手をつければよいか分からない」

若手社員の定着は、企業の持続的な成長を支える重要な基盤す。早期離職の原因を正しく理解した上で適切な対策を講じることが不可欠です。

厚生労働省のデータによると、大卒の新卒社員のうち約3人に1人が3年以内に離職しており、この傾向は数十年ほぼ変わっていません。

 

本記事では、若手社員が定着しない理由を公的データにもとづいて整理し、定着率の高い企業が実践している具体策や成功事例を紹介します。

目次

  1. なぜ若手社員が定着しづらいのか
  2. 若手社員の離職率と主な理由
    1. 2-1 労働時間・休日等の労働条件が悪かった
    2. 2-2 給料等収入が少なかった
    3. 2-3 職場の人間関係が好ましくなかった
  3. 若手社員が定着しない会社・職場の特徴
    1. 3-1 入社前と後でギャップが大きい
    2. 3-2 会社の雰囲気、人間関係が悪い
    3. 3-3 労働時間が長くプライベートの時間が取りづらい
    4. 3-4 自己成長、キャリアアップが見込めない
    5. 3-5 賃金や評価基準が曖昧
  4. 若手社員の定着率を高めるために企業がすべき対策
    1. 4-1 採用ミスマッチを防ぐために正確な情報を発信する
    2. 4-2 労働環境や人事制度の見直しをする
    3. 4-3 若手社員のエンゲージメントを高めるために社内制度を見直す
  5. 若手社員の定着に成功した企業事例
    1. 5-1 株式会社コスモスイニシア
    2. 5-2 株式会社EVENTOS
    3. 5-3 株式会社ドリームビジョン
  6. まとめ



 

1.なぜ若手社員が定着しづらいのか


若手社員の早期離職は「最近の若い人はすぐ辞める」という印象とは異なり、数十年前から続く構造的課題です。

 

厚生労働省の統計では、大卒就職者の3年以内離職率は1990年代後半からおおむね3割前後で推移しています。直近の令和3年3月卒では34.9%、令和4年3月卒では33.8%と、ほぼ横ばいが続いています。つまり「3年で3割が辞める」という構図は、30年近くにわたって大きく変わっていないのです。

 

では、なぜ若手社員は定着しづらいのでしょうか。背景には、労働市場の変化があります。終身雇用の前提が薄れ、転職が「特別なこと」ではなく一般的なキャリア選択肢となったことで、「合わなければ早めに環境を変える」という判断が自然になりました。加えて、転職サイトやSNSの普及によって他社の待遇や働き方の情報を容易に得られるようになったことも、比較検討のハードルを下げています。

 

若手社員の定着率が低い原因を「最近の若者は根性がない」というような世代論で片づけてしまうと、本質を見落としかねません。定着しない理由の多くは、個人の資質ではなく職場環境や制度設計に起因します。だからこそ企業側は、客観的データをもとに離職理由を把握し、課題に応じた対策を講じていく必要があります。

 

参考:新規学卒就職者の離職状況(厚生労働省)

 


2.若手社員の離職率と主な理由

令和4年3月卒の新卒就職者の3年以内離職率は、大卒で33.8%、高卒で37.9%にのぼります。

高卒では約4割が3年以内に最初の職場を離れていることになり、企業にとって深刻な人材流出の実態が浮かび上がります。

 

では、若手社員はどのような理由で職場を離れているのでしょうか。厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」における「転職入職者が前職を辞めた理由(20代)」を見ると、次の3つが上位に並びます。


 

2-1 労働時間・休日等の労働条件が悪かった

若手社員の離職理由として最も多いのが、労働時間や休日に関する不満です。

男性20〜24歳で11.3%、女性同年代では13.6%がこの理由を挙げており、25〜29歳女性では15.2%とさらに割合が高まります。

 

長時間労働の常態化や休日出勤の頻発は、プライベートの充実を重視する若い世代にとって大きなストレス要因です。特に入社前の説明と実際の労働環境が異なる場合、会社そのものへの信頼が失われ、早期離職につながります。働き方改革の意識が社会的に広まる中、長時間労働を放置している企業は若手社員にとって「選ばれない職場」になりつつあるといえるでしょう。

 


 

2-2 給料等収入が少なかった

賃金への不満も、若手社員が離職を決断する大きな要因です。

男性25〜29歳では16.9%と突出して高く、男性20〜24歳でも12.5%にのぼっています。

 

入社から数年が経つと、同世代の友人や転職サイトの情報を通じて「自分の給与は市場と比べてどうなのか」を意識するようになります。昇給のペースが見えなかったり、成果が評価に反映されないといった状況は、将来への不安を強め、転職の引き金となります。物価上昇が続く昨今では、実質的な購買力の低下を実感しやすく、賃金への不満が強まっています。

 


 

2-3 職場の人間関係が好ましくなかった

人間関係の問題は、女性を中心に離職理由の上位に挙がっています。

女性25〜29歳では14.0%、男性25〜29歳でも11.5%が、人間関係を理由に前職を辞めています。

 

上司とのコミュニケーション不足、相談しにくい雰囲気、パワハラやセクハラの存在など、人間関係に起因する問題は日々の業務に直接影響するため、蓄積される心身のダメージは大きいといえます。

入社して間もない若手社員では特に「職場での居場所」を求めるため、パワハラなどの問題がない場合であっても、頼れる先輩や気軽に話せる同僚がいない環境では孤立を感じやすく、「自分はこの会社に必要とされていないのでは」と感じた時点で離職を考え始めてしまいます。

 

参考:令和6年 雇用動向調査結果の概要(厚生労働省)

 
 

3.若手社員が定着しない会社・職場の特徴




離職率の高い企業には、共通した特徴があります。ここでは代表的な5つの特徴を整理します。自社に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。



 

3-1 入社前と後のギャップが大きい

採用時に伝えた情報と入社後の実態にギャップがあると、企業への不信感に直結します。求人票や面接で良い面ばかりを強調し、残業の実態や業務の厳しさを隠してしまうと、入社後のリアリティショックは大きくなります。

 

「思っていた仕事と全然違った」「こんなに残業があるとは聞いていなかった」

こうした声が出る職場は、まさに採用段階の情報発信に課題があるといえるでしょう。期待と現実の乖離が大きいほど、早期離職のリスクは高まります。配属先が希望と異なるケースも、ギャップを広げる要因の一つです。



 

3-2 会社の雰囲気、人間関係が悪い

風通しが悪く、意見を言いにくい職場は若手社員の定着を大きく妨げます。

上司への相談がしにくい、先輩社員が後輩をフォローする余裕がないといった状況では、若手社員は孤立しがちです。

 

ハラスメントが放置されている環境では、被害者本人だけでなく周囲の従業員にも悪影響が及びます。「自分もいつ対象になるか分からない」という不安が職場全体に広がり、モチベーションの低下や連鎖的な離職を招く危険があります。



 

3-3 労働時間が長くプライベートの時間が取りづらい

残業が慢性化し休暇が取りづらい環境は、若い世代にとって退職を考える大きな要因です。

仕事とプライベートのバランスを大切にしたいという価値観は若手社員に限った話ではありませんが、若手社員は「この働き方がずっと続くのか」と不安を抱き、職場を離れやすくなります。

 

人員不足で代替要員が確保できず、休暇取得に罪悪感を抱かせるような文化が根づいている企業は、定着率の改善が難しいでしょう。



 

3-4 自己成長、キャリアアップが見込めない

「この会社にいても成長できない」と感じた瞬間、若手社員は転職を視野に入れ始めます。

研修制度やスキルアップの機会が乏しく、日々の業務がルーティン化している職場では、自分の市場価値が上がらないことへの焦りが離職につながります。

 

キャリアの選択肢が広がった現在、「成長機会のある環境」は若手社員が企業を選ぶ際の重要な判断基準です。上司がキャリアについて話し合う場を持たず、将来のキャリアパスが見えない環境では、優秀な若手社員ほど早く見切りをつけてしまう傾向があります。



 

3-5 賃金や評価基準が曖昧

何をすれば評価されるのか分からない状態は、若手社員のモチベーションを著しく下げます。

評価基準が不透明で昇給・昇格の条件が明示されていない企業では、努力の方向性が見えず、将来のキャリアプランを描くことが困難です。

 

上司の主観や好き嫌いで評価が左右されると感じれば、「頑張っても報われない」という諦めが生まれます。特に成果主義を期待して入社した社員にとって、年功序列的な評価体制は大きなギャップとなり、離職の後押しになってしまうでしょう。



4.若手社員の定着率を高めるために企業がすべき対策

若手社員の定着率を改善するためには、離職理由に応じた具体的な対策が求められます。こ

こでは3つの観点から対策を紹介します。


 

4-1 採用ミスマッチを防ぐために正確な情報を発信する

入社後のギャップを防ぐには、採用段階で会社のリアルな姿を伝えることが重要です。

業務内容だけでなく、1日の仕事の流れや繁忙期の実態、社風や職場の雰囲気も含めて正直に情報を開示しましょう。現場社員との座談会や職場見学、インターンシップなどを通じて入社前に「等身大の会社」を知ってもらう取り組みが効果的です。

 

良い面ばかり伝えて入社後に幻滅されるよりも、課題も含めて率直に伝えた上で納得して入社してもらう方が、定着率は確実に高まります。入社前の期待値を適切にコントロールすることが、ミスマッチ防止の本質です。



 

4-2 労働環境や人事制度の見直しをする

若手社員が「この会社で長く働きたい」と思える職場にするには、労働環境と人事制度の両面からの改善が欠かせません。

 

残業時間の削減や有給休暇の取得促進は、離職防止に即効性がある施策です。同時に、評価制度を見直して昇給・昇格の基準を明確にすることで、若手社員が将来のキャリアを見通せるようになります。

「何を頑張れば、どう評価されるのか」が見える仕組みは、日々の業務へのモチベーションにも直結するでしょう。

 

加えて、定期的な1on1ミーティングやメンター制度の導入も有効です。上司以外に相談できる相手がいることで、若手社員の小さな不満や悩みを早期にキャッチでき、離職の兆候を未然に察知することが可能になります。

 


 

4-3 若手社員のエンゲージメントを高めるために社内制度を見直す

社内制度、特に福利厚生の見直しは、若手社員のエンゲージメント向上に大きな効果を発揮します。

 

食事補助や住宅手当といった日常生活に直結する福利厚生は、若手社員にとって実感しやすいメリットです。特に一人暮らしを始めたばかりの社員にとって、住宅補助や食事補助は生活の安定に直結し、「この会社に勤めていてよかった」と思えるきっかけになります。

 

また、資格取得支援やスキルアップ補助、外部研修への参加費用負担など成長を後押しする制度は、キャリアへの不安を軽減し、「この会社にいれば成長できる」という実感につながります。

 

若手社員のニーズは多様化しているため、定期的なアンケートで要望を把握し、利用しやすい制度設計を心がけましょう。どれだけ良い制度を整えても、手続きが煩雑だったり申請しにくい雰囲気があったりすると利用率は上がりません。制度は「使いやすいこと」が重要。手続きの簡素化と、上司を含めた職場全体の社内制度利用に対する理解促進も合わせて進めることが大切です。


 


 

5.若手社員の定着に成功した企業事例

福利厚生の充実や社内制度の見直しによって、若手社員の定着を実現した3社の取り組みを紹介します。


 

5-1 株式会社コスモスイニシア

不動産業のコスモスイニシアは、2015年から「Work Style Innovation」と題した全社的な働き方改革に着手しました。

 

育児や介護で時間的制約を抱える社員の増加を見据え、残業時間の削減や有給休暇取得の促進だけでなく、会議の効率化や業務フロー全体の見直しも段階的に取り組みました。フリーアドレスやモバイル環境を整備して場所にとらわれない働き方を可能にした結果、時間外労働が約30%減少し、有給休暇取得率は96%に到達しています。

 

こうした取り組みは若手社員にとっても「無理なく自分のペースで働ける環境」として大きな魅力となり、定着率の向上と働きがいの改善につながっています。

参考:コスモスイニシア

 


 

5-2 株式会社EVENTOS

広島県を中心にケータリングや飲食店を展開するEVENTOSは、若手社員の定着と女性社員の離職防止を目的に、多様な制度とコミュニケーション機会を整備しました。

 

社員同士の交流を促す仕組みに加え、ライフイベントに応じた柔軟な勤務体制の構築に取り組んでいます。

結婚・出産・育児などで働き方を変える必要が生じた際にも、退職せず働き続けられる選択肢を用意したことで、職場内の関係性が改善されました。入社後間もない若手社員が孤立するリスクが軽減され、定着率の向上に貢献しています。

 

参考:経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus

 


 

5-3 株式会社ドリームビジョン

SES事業を中心にIT関連事業を展開するドリームビジョンは、2015年に「日本で一番エンジニアに優しい会社」をコーポレートビジョンに掲げ、福利厚生の大幅な拡充に取り組みました。

 

食事補助や書籍購入補助、アニバーサリー休暇と手当、懇親会補助制度、EAP(従業員支援プログラム)の導入まで、実に26もの福利厚生制度を整備。エンジニアが安心して働ける環境を徹底的に追求しています。

 

その取り組みが評価され、2025年3月には「ハタラクエール2025」において福利厚生推進法人(福利厚生への熱意部門)として表彰されました。

 

充実した福利厚生制度が若手エンジニアの定着だけでなく、採用面での競争力強化にもつながっている好例といえるでしょう。

 

参考:ドリームビジョン

 


6.まとめ

若手社員の定着は、採用段階のミスマッチ防止・労働環境の整備・社内制度の見直しという3つの柱で取り組むことが重要です。

 

厚生労働省のデータが示すとおり、大卒新卒の約3人に1人が3年以内に離職するという状況は長年変わっていません。離職理由の上位に並ぶ「労働条件への不満」「賃金の低さ」「人間関係の問題」は、いずれも企業の取り組みで改善可能です。

 

成功企業に共通するのは、若手社員のニーズを正確に把握し、それに応じた制度を柔軟に設計している点です。特に福利厚生の充実は、賃上げとは異なり非課税で従業員に還元できるケースも多く、「第3の賃上げ®」(※注)として注目を集めています。食事補助や住宅手当、スキルアップ支援といった実用性の高い制度は、若手社員の満足度と定着率の両方を高める効果が期待できるでしょう。

 

※注:「第3の賃上げ®」とは

定期昇給(第1の賃上げ)、ベースアップ(第2の賃上げ)に続く賃上げ手法として、福利厚生制度の充実を通じて従業員の生活を支え、金銭給付によらない実質的な手取り増を目指す取り組みのこと

「第3の賃上げ®」は株式会社エデンレッドジャパンの登録商標です。

 

定着率の向上は一朝一夕で成果が出るものではありませんが、継続的な取り組みによって採用コストの削減、生産性の向上、企業ブランドの強化といった好循環を生み出すことができます。若手社員の定着に課題を感じている企業は、まずは自社の離職理由を正確に把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

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著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

運営会社:株式会社イーウェル

 

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