1. TOP
  2. 健康経営
  3. 健康経営に求められる「新入社員のマネジメント」
2024/01/23 (公開:2022/02/22)

健康経営に求められる「新入社員のマネジメント」


健康経営に求められる「新入社員のマネジメント」

新入社員に新しいプロジェクトを任せる、といったケースは、帰属意識や責任感を醸成するうえでも非常に効果的とされるため、昨今非常に増えているようです。ただし、ときにそれが重荷やプレッシャーになってしまうこともしばしば。特に健康経営施策や福利厚生、DXといった、概念的かつ分掌分野が多岐にわたるテーマでは、何から手を付けて良いか分からずに、手がいっぱいになってしまうことも。

本記事では、健康経営を推進するうえで欠かせない労務管理、その中でも新入社員を対象に絞って詳しく解説していきます。

 
         

1. 健康経営に求められる「新入社員のマネジメント」



健康経営を進めるうえで、従業員の労務管理は欠かせない要素のひとつです。その中でも、右も左も分からないが故についつい“受け身”“指示待ち”となってしまうのが新入社員。社会人基礎力とよく呼ばれますが、休みの取り方や有給休暇、会社独自の休暇制度まで理解がなく、遠慮してしまうことから、ベテラン社員よりもかえって休めていないといった事態を招きがちです。

健康経営施策を効果的に実施することが離職率の改善につながることは明らかであり、逆説的に、離職率を低くするために何を講じられるか、を検討すること自体が健康経営施策の一環であるとも言えます。

合わせて読みたい

              

2. そのためには何から始めたらいい?

健康経営施策を実施すると言っても、何から手を付ければ良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。健康経営施策は、健康診断、メンタルヘルス対策、ストレスチェックをはじめとした法律に定められたものだけでなく、懇親会や社内スポーツレクリエーションなど、会社独自のもの含め多岐にわたります。

だからこそ、最も短期的に結果が出やすく、実感しやすい施策から手を付けるのも考え方のひとつです。既存の従業員によって象られている会社も、新入社員という新たな風が入ることによって大きく変わっていく可能性があります。まず目の前の新入社員という貴重な人材を合理的に守るための施策として、ここでは新入社員の健康管理を計画的に行っていくことに焦点を当てて考えてみましょう。

             

3. 新入社員の健康管理を計画的に行うメリット



新入社員の心身の変化は、社会人となったことで学生時代と比べ生活スタイルや心持ちが大きく変わることから、通常の従業員よりも非常に大きいものとなります。また、新入社員を専任で見る担当者が付かないことも、健康管理を計画的に行っていくべき理由のひとつです。加えて、中小企業の場合であればさらに注意が必要です。労働安全衛生規則により定められている産業医の選任は、50人以上の事業場が対象となります。また、専属の産業医については、通常1,000人以上(職種や条件により500人以上)が常時従事する大企業環境でないと対象にならないためです。つまり、新入社員の心身の変化に気付けずに放置状態になってしまうおそれがあるためです。  

※出典元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 「産業医について」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103897.pdf

よって、従業員の心身の変化に気付くため、および できる限り健康な状態を保つためにも、あらかじめ健康管理の計画を練っておくことが最も重要なのです。本章では、対策を講じることによって得られるメリットを大きく3つ紹介します。

          

3-1  離職や休職の予防

新入社員の退職理由に「根性がない」「どこに行ってもまたすぐに辞めるだろう」といった印象を抱く経営層の方もいるかもしれません。しかしその退職理由には、心持ちだけではない明確な要因があることが、最近分かってきました。内閣府の『子供・若者白書』によると、以下の理由が上位にきています。さらに退職理由の中には、「健康上の理由」が一定数存在することが分かります。

● 仕事が自分に合わなかったため
● 人間関係が良くなかった
● 労働時間・休日・休暇の条件が良くなかった

初職の離職理由

引用元:内閣府HP 平成30年版 子供・若者白書(全体版) 「特集 就労等に関する若者の意識」

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30honpen/s0_0.html

この統計は、子供・若者白書の中でも2018年には「就労等に関する若者の意識」と特集を組まれるほど、昨今注目が集まっているテーマです。離職の大きな要因のひとつに上ってきていること、およびその理由が多様化してきていることを指し示しています。

新入社員の離職や休職を防ぐことがいかに大切かを理解したうえで、健康管理施策を定期的かつ計画的に行うことで、「会社はきちんと私のことを気にかけてくれているのだな」、といった認識を新入社員は得ることができるため、新入社員の帰属意識を高める効果が望めます。

        

3-2 心や体の不調の対策

新入社員には、最初の研修のみ念入りに実施したものの、それ以降はあまり気を払っていない、といった企業もあるのではないでしょうか。配属後も定点観測として、期を定めて顔を合わせること、また データを取得することで、心身に起きている変化を感じ取りやすくなります。普段の様子を知ることで、逆に現在不調であるという事実を見極める材料にもなります。

        

3-3 周りの対応がしやすくなる

健康管理を計画的に行うことは、周りの協力や会社の理解を得られやすいといったメリットもあります。事前に定めておくことで予算を十分に確保できること、また 外部研修での講師確保、健診での確実な予約、といった不確定要素になり得るものを、確定要素として定められるというメリットがあります。

また、あらかじめ先の予定が分かっていれば、会議やイベントを重複するリスクも減り、計画有給休暇も取得しやすくなるでしょう。

健康経営の第一歩からPDCAの循環まで「健康経営推進支援サービス」

健康経営を推進する上で必要な「健康経営度調査」「健康投資管理会計ガイドライン」などを活用して、貴社の健康経営の第一歩からPDCAを回していくお手伝いをするコンサルティングサービスです。

4. 新入社員の年間健康管理計画を立案する際のポイント



昨今、新入社員の健康管理を適切に行うことは、前述どおり非常に求められています。ただし注意しなければならないのは、“習うより慣れろ”のOJT思想から、“教えてもらうことを前提とする”Off-JT思想に、ここ最近の若手層の考え方がシフトしていることです。よって、休み方やそのルールを適切に理解させることをひとつの目的とし、そのうえで具体的にどうフォローしていくか、を踏まえて検討していくことが大切です。本章では、取り入れておくとより効果的であると考えられる3点をご紹介いたします。

          

4-1 法律で定められていることを網羅する

義務として当たり前のように行うべきことは、確実に網羅するようにしましょう。例として、以下のようなものが挙げられます。

● 健康診断の実施(定期健康診断・雇入時健康診断・特定業務従事者の健康診断 など)
● 健康診断後の健康指導および事後対応(再検診など)
● 時間外業務超過時の産業医面談
● ストレスチェック
● 衛生委員会の定期開催および議事録の共有

このようなごく当たり前に本来行われるべきものについては、確実に実施する・計画に組み入れるようにしましょう。最低限の当たり前に行うべきことを行うことが、新入社員にも、またその親族にも社内制度をPRする/企業理解を示してもらうことにつながります。

        

4-2 Off-JTを大切にする

新入社員が「法定休日」の範囲をすべて理解しているとは言い難いものです。また、仮に理解が進んでいたとしても、実際に社内規定として定められているものの利用タイミング、申請方法、場合によっては許可の取り方や必要書類など、既存の従業員が当たり前に分かっていることであっても、右も左も分からない新入社員にとっては非常にハードルが高いものです。

気軽に、簡単に健康管理につながる施策を利用できるように体制を整えることも大切ですが、本当に必要なのは「どのような制度があり、どのように利用するか」を適切な方法で教えることかもしれません。そのためにも、Off-JTとしてきちんと研修の時間を設けましょう。その他、健康管理の施策として会社独自に、および法規に則り何かを設定する場合であっても、いずれにせよ説明をきちんと行い、どうして行うのか、行うことによって何が得られるのかをきちんと理解してもらうことが非常に大切です。

        

4-3 第三者による面談を定期的に行う

健康管理を行ううえで、やはり心の変化は面談やヒアリングなどでないと得にくいものです。直属の上司や同じ部課の同僚との面談が既に年間計画に組み込まれているケースは多いと思いますが、大切なのは、普段話すことのない人と話す機会を設けることです。例えば、新入社員研修や採用を担当した先輩社員、ひとつ上の階層の上長、人事担当者、産業医など。新入社員同士で、抱えていることをブレスト・雑談風に自由に語らせることも、緊張を感じさせずに自然と意見や悩み、またその解決策を引き出すためには効果的です。客観的に新入社員一人ひとりと向き合うことこそ、新入社員に向けた健康経営施策には求められているのです。

        

5. まとめ



新入社員は慣れない社会環境に適応できず、心身の調子を崩しがちです。健康経営施策に取り組む以上、一部ではなくすべての従業員が健康に仕事を行えることがひとつ大切な要素になってきますが、その中でも新入社員は少し特別な存在であると認識しましょう。知識や経験といったノウハウがない中で、すべての新入社員が自ら学び取れるかと言うとそうではありません。施策に取り組むことで、以下のメリットが得られるため、計画を立てながらきちんと健康管理を進めていくことが大切です。

① 離職や休職の予防
② 不調への対策
③ 周りの対応がしやすくなる

そのために、次のようなポイントを押さえておくと、効果的な年間健康管理計画が立てやすくなるでしょう。

① 法律で定められていることを網羅する
② 不調への対策
③ 第三者による面談を定期的に行う

新入社員のマネジメントは、いつからでも準備ができるものの、ないがしろになりがちです。入社してさえくれればOK、といった考え方からは脱却し、すぐにでも次年度の新入社員を万全の体制で迎え入れる準備をしてみましょう。

株式会社イーウェル 運営会社ロゴ

著者情報

株式会社イーウェル ウェルナレ事務局

「人も、企業も、ウェルビーイングへ。」をテーマとして、企業の健康経営や福利厚生の支援を行う株式会社イーウェルが運営する、BtoB(人事総務向け)オウンドメディア「ウェルナレ」の編集部。
2021年7月にメディアリリース後、毎年60回以上、有名企業様とのコラボセミナーや官公庁の専門分野に特化した方を招いてのカンファレンス、大学教授による福利厚生勉強会の開催や専門家記事の掲載などを実施し、多くの方に好評いただいております。
人事部署や経営者が、会社のウェルビーイングを向上されるためのヒントを探して、日々活動しています。

 

    


Related keywords

Related article

Recommend

ダウンロード資料
♠最新人気ランキング♠

メルマガ登録

最新情報や
お役立ち資料を自動受信